アパート売却時の税金・費用はいくら?計算方法・節税対策を解説
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アパートを売ると税金・費用がかかってしまいます。
この費用はアパートの売却代金から引かれていくので、「売ったお金で住み替えをしよう」と思っていても課税額を知らないと予測を立てることができません。
そこで今回は、アパート売却でかかる税金・費用を徹底解説していきます!後半に節税のコツも紹介しているので、お得にアパートを売りたい方はぜひチェックしてください!
→損せずアパートを売るには?高く売却する方法と流れ・注意点- アパート売却でかかる税金の基本的な仕組み
- アパートを売る前にかかる税金・費用も計算しておくのが重要
- アパート売却にかかる税金・費用とは?計算方法と支払い方を解説
- アパートの譲渡所得税を計算する際の注意点
- アパートの売却益が出た翌年の所得税・住民税の納付について
- 法人が売った時にかかる譲渡所得税の計算方法
- 夫婦共有のアパート売却時は譲渡所得税の支払いも半分になる
- アパート売却で戻ってくる4つの費用
- アパートを売ったら税金・費用は総額いくら?シミュレーション計算してみた
- 居住用物件は譲渡所得税は2つの方法で大幅に節税できる
- アパート売却で譲渡所得税が発生しても3000万円特別控除はほとんど利用できない
- アパート売却時には特定事業用資産の買換え特例を利用しよう!内容・条件を解説
- アパート売却で税金が発生したら確定申告が必要!必要書類と申告の流れ
- かかる費用・税金の金額と納付方法を知った上で損せずアパートを売ろう
アパート売却でかかる税金の基本的な仕組み
不動産は大きく分けて、居住用と事業用の2種類があります。
アパートは多くの場合、事業用物件と見なされますが、居住用・事業用を問わず、かかる費用はかなり共通しています。
ケース | かかる税金 |
---|---|
取得時 |
|
所有時 | 固定資産税 |
売却時 |
|
このうち、特に売却時にかかる譲渡所得税は注意が必要です。
例えば、アパートを売却して得た利益は、売主の所得となります。
所得と言えば会社から支給される給与などが代表的ですが、例えば所得税は所得全体に対して課税される税金のこととなります。
一方、アパート売却で得た利益は「不動産所得」という分類になり、他の所得とは違うものと見なされます。
次に税金に関してですが、所得税の課税方法は総合課税と分離課税の2種類に分けることができます。
このうち譲渡所得税は分離課税となり、他の所得と合算されません。
そのため、譲渡所得税は給与から天引きされるようなことがないので、サラリーマンでも確定申告が必要になります。
アパートを売る前にかかる税金・費用も計算しておくのが重要
アパートを売る際は、査定額だけでなく、かかる税金・費用の目安もしっかり立てないといけません。
なぜかというと、まず前述の通り、手取り額がその分引かれるからです。アパートを売ったのに新しい物件が購入できなければ、賃貸経営はそこで終了してしまいます。
また、売却でかかる税金は課税額が頻繁に変化します。税制まで視点を広げてチェックしておけば、最適なタイミングで売り出すこともあります。
納付の仕組みもしっかりチェックしておきましょう。中には売却前に支払うので自己資金からお金を出さないといけないもの、納期を過ぎると延滞金がかかってしまうものもあります。後悔しないためにも、しっかり確認しましょう。
アパート売却にかかる税金・費用とは?計算方法と支払い方を解説
アパート売却にかかる費用は、主に以下の8種類です。
- 印紙税
- 登録免許税
- 譲渡所得税
- 消費税
- 仲介手数料
- 賃料の一部
- 立ち退き料
- その他、売却にかかる費用
ここからは、それぞれの費用の内容を詳しく紹介していきます。
①印紙税
印紙税は、アパートの安全な売買を保証してくれた国・自治体に対して支払う税金です。
課税額はアパートの売却価格に応じて、以下のように決まっています。
不動産売却代金 | 印紙税額 |
---|---|
100万円以下 | 500円 |
500万円以下 | 1,000円 |
1,000万円以下 | 5,000円 |
5,000万円以下 | 10,000円 |
こちらは、売買契約時に印紙を契約書に貼り付けて提出します。
本来は、買主へ提出する分と保管分の契約書2枚に印紙を貼る必要がありますが、売主が手元に残す分はコピーでも構いません。
取引内容によっては領収書(保管分)にも印紙が必要
売買契約書の保管分に印紙の貼り付けが不要なのは、個人間の売買など非営利と見なされた取引に限ります。
今まで賃貸経営をおこなっていたアパートを出口戦略として売却する場合は、その目的が営利なものとみなされるので保管分にも印紙が必要になります。
また、法人や事業主がアパートを売却する際も事業の一貫とみなされるので、目的が何であれ「営利目的」と見なされてしまいます。
領収書に印紙はいるかどうか、しっかり確認しておきましょう。
②登録免許税
登録免許税は、アパート売却で売主から買主へ所有権が移転する際におこなう登記にかかる費用のことです。
このうち、売主が支払う可能性があるのは、以下の2つです。
- 所有権移転登記
- 抵当権抹消登記
このうち所有権移転登記の費用は買主が負担するのが一般的ですが、法的な決まりはなく、場合によっては売主負担になるケースもあるので注意しましょう。
また、登記作業は司法書士に依頼するのが一般的ですが、その際に1万円ほどの報酬の支払いが必要になります。
③譲渡所得税
売却価格が当時の購入費用を超える時、譲渡所得税が発生します。
➝不動産売却でかかる税金はいくら?費用の計算方法から節税・控除のポイントまで分かりやすく解説譲渡所得税は、以下の式で求めることができます。
取得費とは、アパートの購入価格+取得に要した費用(仲介手数料など)のことです。譲渡所得税の計算をする際は、当時の取得費そのままではなく、築年数の経過に応じて減価償却費を差し引いた上で計算をします。
税率はアパートの取得期間が5年を過ぎるかどうかを基準に、以下のように決まります。
短期譲渡所得(5年以内) | 長期譲渡所得(5年超) | |
---|---|---|
所得税 | 30% | 15% |
住民税 | 15% | 5% |
所有期間は取得日から引き渡した年の1月1日までで計算します。
2014年4月1日に取得した物件を2019年4月1日に引き渡せば期間はちょうど5年ですが、実際は2014年4月1日~2019年1月1日の4年9か月となり、税率は安くならないので注意しましょう。
※譲渡所得税を計算する際のポイント・注意点は詳しく後述しています。
アパート売却の出口戦略が上手くいくほど税金は高くなる
賃貸経営で収益を上げられるだけ上げたアパートは、頃合いを見て売るのが理想的とされています。
賃貸経営をずっと続けていてもマイナスになるので、利益の最大化を見越して行われるのです。
不動産投資は物件を安く買い、高く売るのが基本ですが、現在は東京オリンピック需要で地価がバブル期以上に高騰しています。
リーマンショックや東日本大震災直後に買った物件を今売れば、2倍近くの値段で売れるのも夢ではありません。
ただ、その差額分だけ高額な譲渡所得税が課されるので注意しましょう。
譲渡所得税が発生したら確定申告が必要
売却益が購入費を上回ったら、引き渡しの翌年2月16日~3月15日の間に税務署で確定申告をおこないます。
確定申告書はネットからダウンロードすることができますが、記入の流れが難しいので、こちらのガイドを参考にするのがおすすめです!
➝不動産売却の確定申告は必要?申告の流れ・必要書類の書き方を完全ガイド【決定版】
この時に、所得税を譲渡税の上乗せ分ごと支払います。
確定申告をおこなうと、同年5月頃に住民税の納付書が届きます。納付書が届き次第、税金を支払っていくようになります。
住民税の支払い期限は、6・8・10・翌1月末日となっており、それぞれ指定された額を4分割して納付していきます。
※売却益が出た時の納税方法は、このページで詳しく後述しています。
④消費税
収益物件としてアパートを売却すると消費税がかかります。
アパートを敷地ごと引き渡す場合、消費税がかかるのは建物部分のみとなります。
また、納付が必要なのは2年前の課税売上が1,000万円を超える場合のみなので、収益物件を売る方全てが支払うわけではありません。
ただ、不動産はただでさえ高価なので、消費税が数%上がるだけで大きな負担がかかります。
2019年には消費税が8%から10%に上がる予定なので、その前に売ってしまうのがおすすめです。
消費税が上がる前にアパートを売るほうが良いの?
2019年10月1日から消費税が8%から10%に上がるので、賃貸経営していたアパートを売る際は大打撃を受けてしまいます。
普通に考えれば増税前に売るのがお得ですが、ただ焦って早期売却を目指しても損する可能性があります。
間違いなく購入希望者は足元を見てきます。増税期間が近付いてくれば「増税までに購入するのでその分値下げをしてください」というような要求をする人も増えてくるでしょう。
また、増税直前は競合が多く売り出され、売れにくくなる可能性も高いです。
満室の古いアパートなど、「競合に勝つ自信はないけど高値で売れる自信がある」という物件は、あえて増税後に売ったほうが早期に成約をするかもしれません。
ただどちらにせよ消費税増税に向けてどう戦略を立てていくかは今後重要になってくるでしょう。
⑤仲介手数料
譲渡所得税や消費税がかからない場合、最も高額な費用が仲介手数料です。
→不動産売却の仲介手数料はいくらが相場?なぜ払うの?根拠・計算方法を解説これは、仲介業者への報酬として支払う費用で、売却価格と比例して負担額が大きくなります。
取引額 | 仲介手数料(法定の上限額) |
---|---|
200万円以下 | 売却額×5% |
200万円超400万円以下 | 売却額×4%+2万円 |
400万円超 | 売却額×3%+6万円 |
これは建物部分・土地部分と分けるのではなく、総売却額を参考に算出されます。
上の表は法定の上限値(不動産会社が求められる上限価格)ですが、この価格ピッタリを求めるのが慣例となっています。
しかし、値引きが不可能というわけではなく、こちらの3種類の方法を使えば負担を減らせます。
- 直接担当者と値引き交渉をする
- 大手不動産会社の値引き特典を利用する
- 不動産会社の季節限定キャンペーンを利用する
詳しい内容はこちらにまとめているので、合わせてご覧ください!
➝不動産売却の仲介手数料の値切り方!値引き交渉のテクニックとコツ・タイミングを紹介
⑤賃料の一部(清算金)
アパートの賃貸経営では、入居者からもらう毎月の賃料が利益となります。
ただ、引き渡した当月分の賃料を売主が全額もらうことはできません。
例えば、毎月20日が家賃の支払い期限のアパートを10月1日に引き渡したとします。
この場合、9月20日~10月1日までは売主が所有、そこから10月20日は買主が所有すると考えて、10月の賃料を1:2で分割します。
ただ、実際は高額を支払い中古アパートを買ってくれた買主に敬意を表して、日割りせずそのまま買主が全額持っていくことも多いようです。
先払い分も日割りするか全額渡す
アパートの家賃精算が面倒なのは、例えば9月20日締めで10月1日に引き渡したとしても、既に9月20日~30日の間にほとんどの入居者は家賃を売主に支払っているからです。
家賃は先払いの風習があり、多くの人はなるべく早くに支払おうとします。
そのため、精算しようとしても家賃は既に売主の手元にあり、使った後かもしれません。
この場合も家賃の精算は必要で、購入価格から差し引いて調整します。
例えば、既に売主が30万円の賃料を取得している場合、1:2で分割するなら1,000万円のアパートは980万円に値下げされます。
⑦立ち退き料
アパートを1棟ごと売る場合は、入居者に立ち退いてもらう必要があります。
ただ、本来入居者に立ち退いてもらうには「古くなって危険なので、修理をする」といった正当な理由が必要になります。「売りたいから立ち退いてほしい」というのは自分勝手なので、納得してもらうために立ち退き料を支払います。
立ち退き料は、以下の2つの方法で算出するのが一般的です。
- 新居入居にかかる費用(保証金・敷金礼金・仲介手数料など)
- 家賃の半年~1年分
こちらを入居者全員に支払うので、結構な出費となります。また、立ち退き料を支払うと約束しても、相手が納得しなければ売却することはできません。
納得してもらうには売却の1年~半年前に立ち退き勧告をおこない、じっくり時間をかけて交渉をしていくしかないでしょう。
→アパート売却時の立ち退き料はいくら?住人の退去を円滑に進める方法
⑧その他、売却にかかる費用
アパートを売る際は、決まったお金だけでなく、物件の状態によっても費用がかかります。
例えば、ハウスクリーニング費用などです。
水回りが汚く、自力でキレイにするのも限度があるという場合は、業者へ部分ごとに清掃を依頼するのがおすすめです。
ちなみに、部分別の料金相場はこのようになっています。
場所 | 料金相場 |
---|---|
浴室 | 10,000~20,000円 |
洗面所 | 6,000~10,000円 |
トイレ | 6,000~13,000円 |
キッチン | 10,000~24,000円 |
レンジフード | 10,000~20,000円 |
全ての箇所を依頼しても総額7~8万円程度で済みます。
第一印象が良くなれば早く高く売れるようになります。
実際、掃除をしたら査定額の3割増で売れたという報告もあるので、初期投資を恐れずに依頼をすることをおすすめします。
アパートの譲渡所得税を計算する際の注意点
アパートにかかる税金を計算する際に最も面倒なのが譲渡所得税です。前述の通り、譲渡所得税は以下の計算式で求めることができます。
式に使われる用語を簡単に説明すると、以下のようになります。
- 譲渡価額:アパートを売った利益
- 取得費:アパートを買った時にかかった費用
- 譲渡費用:アパートを売った時にかかった費用
ただ、例えば広義の意味ではアパートを売った利益だとしても、譲渡価額に含むものと含まないものがあります。
また、相続したアパートなど、購入価格が分からないことも多いです。
ここから、譲渡所得税を計算する時の注意点をわかりやすく解説していくので、ぜひ参考にしてください。
アパートの譲渡価額に関する注意点
譲渡価額とは、その名の通りアパートを譲渡した時に買主からもらう金銭のことです。
ただ、以下の2ケースに当てはまる時は譲渡価額が変化するので注意しましょう。
- 対価として物・権利を受け取った場合はそのものの時価が譲渡価額となる
- 物件を引き渡すことで売主側に経済的利益が発生する場合は、その利益も含める
更に、以下のケースに当てはまる場合は、アパートの売却代金ではなく、代わりのお金が譲渡価額と見なされます。
- 個人が法人へ時価の2分の1以下で売却した場合、その時価が譲渡価額になる
- 法人に対して現物出資をした場合、受け取る出資持分・株式の時価が譲渡価額になる
- 債務の弁済のためにアパートを渡す際は、時価が譲渡価額になる
- 借地権などの資産が消滅した場合、保証金額などが譲渡価額になる
取得費にはさまざまな費用が含まれるので注意
譲渡所得税の計算でややこしいのが取得費ですが、基本的に売却したアパートの購入・建築代金や購入手数料となります。
ただし、賃貸経営していたアパートを売る際は、それまでにかかった設備費・改良費も取得費に含みます。
さらに、こちらのような細かい費用も全て取得費に含むので注意しましょう。
- アパートを購入する時に支払われた立ち退き料
- アパートを建てる前に支払った土地の埋め立て費用や造成費用
- 所有権の確保で要した訴訟費用など
- 築古の物件を買った後、新築アパートに建て替えるために支払った解体費用
- アパートを買ってから使用開始するために支払われる資金の利子
- 購入時に、他に申し込んでいた契約を解除した時にかかった違約金
購入価格がわからない時は取得費をどう計算する?
アパートを相続した場合は、購入価格がわからないことも多いですよね。
この時、どうすれば良いというと売った金額の5%を取得費として計算するようになります。
例えば1000万円で売れた相続アパートの取得費は5%の50万円になるということです。
また、購入時の契約書はあるのに、ザックリした記載しかなく取得費がわからない場合もあります。この場合は以下3つの方法で費用を算出します。
- 契約書に建物と土地の価額が分けて記されている場合→建物部分の価額=取得費
- 建物と土地の価額が区分されていない場合→消費税額の記載に注目。建物にしか消費税はかからないので、当時の税率で価額を割り戻す
- 建物と土地の価額区分がなく消費税の表記もない➝構造、面積などを参考に標準建築価格へ当てはめる
譲渡費用には大きく分けて6種類が含まれる
譲渡費用は、アパートを売るために支払ったさまざまな費用で、以下の6種類の費用を含みます。
- 仲介手数料
- 印紙税
- 売却のために支払った立ち退き料
- 立て壊し費用と建物の損失額(アパートを取り壊した場合のみ)
- 他の買主との契約を解除した際の違約金
- 借地権を売る際に支払った名義書換料
注意点として、リフォームや固定資産税などの維持・管理にかかった費用は譲渡費用に含みません。
譲渡費用に含める経費は忘れず計上しよう
譲渡所得税の計算式は、税率×{譲渡価額-(取得費+譲渡費用) }なので,取得費・譲渡費用が高額であるほど税金は安くなります。
売却時に支払ったお金は、微々たる費用でもなるべく譲渡費用に計上したほうが良いです。
売却でお金がかかったなら、譲渡費用に計上できるか不動産会社に確認してみましょう!
アパートの売却益が出た翌年の所得税・住民税の納付について
アパートを売って利益が生じた時は、引き渡した翌年に確定申告をする必要があります。
確定申告は2月半ば~3月半ば(細かい日は年ごとに異なる)の間に管轄の税務署でおこなわないといけません。
このタイミングを逃すと遅延金がかかってしまうので注意しましょう。
ただ、例えば売買契約を12月におこない、引き渡しを翌1月におこなった場合は、売買契約日などの効力発生日を譲渡日として、その翌2、3月に確定申告することもできます。
アパートを売った際の所得税は「分離課税」
所得税の確定申告は、昨年1年間の所得税額を申告します。
所得税の課税方法は大きく分けて総合課税・分離課税の2種類で、会社からもらう給与などは総合課税、売却益にかかる税金は分離課税となります。
ただ注意してほしいのが、アパートの賃貸収入は分離課税になるということです。
- アパートの賃貸収入:総合課税
- サラリーマンの給与所得:総合課税
- アパートの売却益:分離課税
そのため、アパートの売却益は会社の給料と合算した上で所得税を計算するようになります。
住民税は確定申告後に分割納付する
所得税を納付したら次は住民税ですが、こちらは確定申告時に納付するわけではありません。
確定申告が完了すると自宅に住民税納付書が届きます。こちらに納付額が書いていますが、住民税はアパート売却で上乗せされた分を1年4期に分けて分割納付していきます。
【東京都渋谷区の住民税支払い期限】
期別 | 納期限 |
---|---|
1期 | 6月末日 |
2期 | 8月末日 |
3期 | 10月末日 |
4期 | 翌1月末日 |
※引用:渋谷区公式サイト
基本的には上のタイミングで住民税を納めていきますが、当日が土日祝日の場合はその次の営業日が納付期限となります。
また、分割返済が煩わしいという方は6月に一括で返済することも可能です。
法人が売った時にかかる譲渡所得税の計算方法
個人が不動産を売った時の税金の計算は、さまざまな費用を足したり引いたりと面倒でしたが、法人が不動産を売った時の計算はもっとシンプルです。
なぜなら、不動産の売却益は会社の全ての売り上げと合算して計算するからです。
どういうことかというと、法人の決算年度の賃貸利益+売却益+その他の事業売上に法人税率をかけるのです。
ちなみに、税率は以下の通りとなります。
利益額 | 法定実効税率 |
---|---|
400万円以下 | 約21.4% |
400万円~800万円 | 約23.2% |
800万円以上 | 約34.3% |
夫婦共有のアパート売却時は譲渡所得税の支払いも半分になる
共働きの夫婦などは、共同名義でアパートを購入していることもあります。
この時、譲渡所得も夫婦で半分ずつ支払われます。
ということは、それをもとに課される譲渡所得税も半分ずつということです。
譲渡費用の計上や3000万円特別控除、軽減税率特例などは分けることなく、夫婦それぞれで使うことができるので、生計を一にしている場合はかなりの節税になることもあります。
アパート売却で戻ってくる4つの費用
アパートを売ると、逆に手元に戻ってくる費用というものもあります。
戻ってくる費用として代表的なのは、以下の4つです。
- 住宅ローン保証料の返金
- 火災保険料の返金
- 管理費・修繕積立金の精算金
- 固定資産税・都市計画税の精算金
それぞれの内容を、ここから1つずつ見ていきましょう。
①住宅ローン保証料の返金
住宅ローンを使ってアパートを購入した際に、保証契約を結び、保証料を払ったと思います。
これは、万が一返済が延滞した時のためにプールしておく費用のことですが、ローンは売却時に一括返済するので、保証料は返金されます。
ただ、必ずしも保証料が満額返ってくるわけではないので注意をしましょう。
保証料の何%返ってくるかは残りの期間がどれくらい残っていたか、どの金融機関によって異なるので、必ず確認をしておきましょう。
②火災保険料の返金
火災保険料の保険期間中に売った場合、残り期間の分は返してもらうことができます。
ただ、残り期間があまりに少ないと返ってこないケースも多いので注意しましょう。
また、焦って早めに火災保険を解約してしまうと、万が一引き渡し直前に災害などが起きたら大変です。
解約手続きは必ず引き渡し後におこなうようにしましょう。
→家を売る時に火災保険はどうすればいい?解約タイミングと手続きの流れ・返ってくる金額の計算方法
③管理費・修繕積立金の精算金
管理費・修繕積立金は翌月分の支払いを前以てするのが一般的ですが、例えば11月20日に1ヶ月分を支払ったのに、12月1日に引き渡してしまうケースもあります。
この時、12月1日~12月20日までの分を日割り精算して買主に払い戻してもらうことができます。
ただ、微々たる額なので精算しないことも多いです。
④固定資産税・都市計画税の精算金
固定資産税・都市計画税は1月1日時点の持ち主に納税義務が1年間かかります。
1年の途中で売った場合、引き渡し日を起点に日割り計算して、買主と精算するのが一般的です。
固定資産税は管理費などと違い非常に高額なので、かならず精算するようにしましょう。
→不動産売却した年の固定資産税は誰が支払う?どう精算する?精算の方法・注意点を解説アパートを売ったら税金・費用は総額いくら?シミュレーション計算してみた
では、ここまでの内容を踏まえてアパートの売却時にかかる税金をシミュレーションしてみましょう。
ちなみに、今回シミュレーションするのは、こんなアパートです。
建物名 | プラザ荘 |
---|---|
売却価格 | 4250万円 |
築年数 | 20年 |
構造・階数 | 木造・2階 |
満室率 | 80%(全10室中2室が空室) |
賃料 | 月6万円 |
所有期間 | 5年6か月 |
専有面積 | 50.00㎡ |
駅までの距離 | 徒歩7分 |
利用使途 | 賃貸経営 |
①業者に支払う仲介手数料の金額を算出
まず、仲介手数料を差し引いていきましょう。おさらいですが仲介手数料は、売却価格に応じて以下のように決まっています。
取引額 | 仲介手数料(法定の上限額) |
---|---|
200万円以下 | 売却額×5% |
200万円超400万円以下 | 売却額×4%+2万円 |
400万円超 | 売却額×3%+6万円 |
4250万円は400万円超なので、仲介手数料は4250万円×3%+6万円=127.5万円+6万円=133.5万円となります。
②印紙税を算出
次に、印紙税です。前述の表に当てはめると、プラザ荘の印紙税は10,000円です。更にプラザ荘は収益物件なので、課税額は20,000円となります。
③立ち退き料を算出
売主は現在の入居者を全て立ち退きさせてから売ると仮定し、立ち退き料を算出していきます。
立ち退き料は、売却の半年~1年前に立ち退き勧告をしてから、オーナーと入居者で話し合って決めるのが一般的ですが、通常は以下2つのどちらかになることが多いです。
- 新居の入居にかかる費用全額(保証金・敷金礼金・仲介手数料など)
- 家賃の半年~1年分
今回は後者を採用して、入居者8人に家賃の半年分を支払ったと仮定します。
プラザ荘の家賃は月6万円なので、立ち退き料の合計は6万円×6ヶ月×8人=288万円となります。
④譲渡所得税を算出
次に、譲渡所得税を計算していきます。
アパートの取得費が3,800万円、売却にかかった費用が438万円とします。
【費用の内訳】
更に、取得費を減価償却費で引くと、以下のようになります。
②3800万円-2120万4000円=1679万6000円
更に、プラザ荘の所有期間は5年を超えているので、税率は長期譲渡所得の合計税率20%が適用されます。
ここまで算出した数字を譲渡所得税の計算式に当てはめると、こうなります。
=20%×{4250万円-(1679万6000円+438万円) }
=20%×2132万4000円=426万4800円
こちらが、アパート売却にかかる譲渡所得税となります。
⑤売却価格から税金・費用を差し引いて手取り額を算出
ここまでで算出した金額を一度まとめてみましょう。
- 売却価格:4250万円
- 仲介手数料:133.5万円
- 印紙税:2万円
- 立ち退き料:288万円
- リフォーム、ハウスクリーニング:14.5万円
- 譲渡所得税:426万4800円
売却価格から総コストを差し引くと、手取り額がいくらかが分かります。
4250万円-(税金・費用の総額)=3385万5200円
こちらが、あなたがアパートを売って手に入る金額の予想値になります。
⑥ローンが残っている場合は手取り額で一括返済する必要あり
多くのアパートが、住宅ローンやアパートローンを利用していると思います。
ローンが残ったアパートを売ることはできないので、売却代金を使って引き渡し前に完済をします。
ただ一括返済はイレギュラーな返済方法なので、事前に金融機関から許可を取る必要があります。アパートにローンが残る方は、まず金融機関に連絡しましょう。(不動産会社に取り次いでもらうこともできます)
➝住宅ローンの残債が残る不動産を売却!銀行へ連絡するタイミングはいつ?
また、一括返済の金額は、ローン残高そのままというわけではありません。例えば、住宅ローンは金融機関ごとに一括返済手数料を設けています。
【主要銀行住宅ローンの一括返済手数料】
金融機関 | 一括返済手数料 |
---|---|
ARUHI | 0円 |
イオン銀行 | 5万4000円 |
じぶん銀行 | 3万2400円(変動金利:0円) |
新生銀行 | 0円 |
住信SBIネット銀行 | 3万2400円(変動金利:0円) |
ソニー銀行 | 0円 |
楽天銀行 | 0円 |
みずほ銀行 | 3万2,400円 |
三井住友銀行 | 5400円 |
三菱UFJ銀行 | 1万800円 |
りそな銀行 | 1万800円 |
三菱UFJ信託銀行 | 3万2,400円 |
優良住宅ローン | 0円 |
カブドットコム証券 | 1万800円 |
残債+手数料を、費用・税金を引いた手取り額から支払えるかどうかもしっかり確認しておきましょう。
住み替えの場合は引っ越し代や長期的なローン返済も考慮しよう
住宅ローンを引いた最終的な金額が、3000万円となりました。
では、これを使って3000万円の新築物件を買えるかと言えば、そんな甘いものではありません。
購入できる住宅は、自己資金(頭金+諸費用)+住宅ローンを余裕で支払えるかどうかが重要になります。頭金は購入価格の2~3割にはなるので、その分も考慮しなければいけません。
また、新居を買う場合は新たに住宅ローンを付けるようになるので、長期の返済プランも立てなければいけません。
毎月返済額 | 20年ローン | 25年ローン | 30年ローン | 35年ローン |
---|---|---|---|---|
8万円 | 1442万円 | 1687万円 | 1897万円 | 2078万円 |
10万円 | 1803万円 | 2108万円 | 2371万円 | 2578万円 |
12万円 | 2163万円 | 2530万円 | 2846万円 | 3118万円 |
14万円 | 2524万円 | 2952万円 | 3320万円 | 3637万円 |
16万円 | 2884万円 | 3374万円 | 3795万円 | 4157万円 |
18万円 | 3245万円 | 3795万円 | 4269万円 | 4677万円 |
20万円 | 3606万円 | 4217万円 | 4743万円 | 5196万円 |
※金利3%、元利均等返済の場合
月20万円の返済を要する35年ローンを全て売却代金から補うことはできません。ローンを組む際はやはり自分の給与に縛られてしまいます。
その他の引っ越し代や家具購入費などを含めると、アパートを売ったお金を住み替え費用に使おうとしても、現実的には大きな足しにはならないことがわかります。
住み替え計画を立てる場合は、費用の見積もりは少々厳しめにやっておくことをおすすめします。
居住用物件は譲渡所得税は2つの方法で大幅に節税できる
譲渡所得税がかかってしまったとしても、特例・控除を使えばほとんどの場合、課税額を0円に抑えることができます。
居住用物件を売って譲渡所得税がかかった際に利用する節税対策は、主にこの2つです。
- 軽減税率
- 3,000万円の特別控除
それぞれの内容を、ここからわかりやすく解説していきます。
所有期間が10年を超えると軽減税率特例が使える
前述の通り譲渡税率は所有期間が5年を超えると低くなりますが、10年を超えると更に税率が下がります。
譲渡所得(円) | 住民税の税率 | 所得税の税率 |
---|---|---|
6000万円以下 | 10% | 4% |
6000万円超 | (譲渡所得-6000万円)×15%+600万円 | (譲渡所得-6000万円)×5%+240万円 |
居住用物件が高く売れるほど低い税率がお得になります。
課税額を予測する際は、この税率の変化にくれぐれも注意してください。
➝一棟アパート売却の価格相場はいくら?適正価格の求め方と高く売るための不動産会社の選び方
所有期間を延ばすことが必ずしもお得とは限らない
税率が所有期間に応じて下がると聞けば、「だったら、少し経ってから売ったほうがお得じゃん!」と思う人がいるかも知れませんが、必ずしもそういうわけではありません。
まず所有期間を延ばせば築年数がその分経過するので、評価は下がってしまいます。また、前述の通り今は絶好の売り時ですが、所有期間を延ばすことでチャンスを逃してしまうかも知れません。
例えばこちらの投資家の方は、所有期間が5年未満でも様々な要素から今がお得と判断して売り出し、成功させています。
アパートを売る目的は節税ではなく収益の獲得です。それを踏まえて、短期で売った場合と長期で売った場合の収益を確認しましょう。
どちらもだいたい同じであれば、市況が好調な今のうちに売るほうが確実にお得です。
3,000万円控除を使って譲渡所得税を帳消しにしよう!
居住用物件は、3,000万円控除という最強の特例控除を利用できます。
これは居住目的の取引にしか使えません。収益物件には適用されないので注意しましょう。
この特例は、以下の条件を満たしている時のみ利用できます。
- 今住んでいる家や敷地を譲渡する場合
- 転居してから3年後の12月31日までに、以前居住していた家や敷地を譲渡する場合
- 災害があって減失してしまったときは、災害があった日から数えて三年目の年の12月31日までに、以前の敷地を譲渡する場合
- 転居後に家屋を取り壊した場合は、転居から3年後の12月31日か、取り壊しから1年以内のどちらか早いほうで譲渡する場合
この条件を満たしていれば、名前通り最大3,000万円まで課税を免除することができます。居住用のアパートを売る際は必須で利用したい特例ですね!
2016年度から相続した空き物件も3000万円控除される
上の3000万円特例は主にマイホームに対して使われる特例でしたが、2016年度の税制改正により、相続した空き物件に対しても3000万円控除を受けられるようになりました。
ただし、相続物件の譲渡し所得控除は、更に条件が厳しくなります。
相続物件の3000万円特例が利用できる条件
- 2016年4月から2019年12月に売却した場合に限る
- 区分所有のものは除外(1棟全体の所有権を相続した場合のみ)
- 新耐震基準施行(1982年5月31日)以降の物件を相続した場合に限る
- 相続から3年目の年末までに相続人が売った場合に限る
- 譲渡価格は1億円以下
- 生計を一にしていない親族からの相続物件はNG
このように、特例を利用する条件は非常に難しくなっていますが、利用できればかなりお得なので、相続物件を売る際は必ず条件に合うか確認しましょう!
アパート売却で譲渡所得税が発生しても3000万円特別控除はほとんど利用できない
アパート売却で譲渡所得税が発生しても、ほとんどの場合3000万円特別控除は利用できません。
アパートは収益物件ですが、3000万円特別控除は別名マイホーム特例と言われるように居住用不動産の売却のみが対象となるためです。
収益物件は3000万円特別控除以外に、以下2つの特例も利用することができません。
- 10年超所有軽減税率の特例
- 特定居住用財産の買換え特例
アパート売却時には特定事業用資産の買換え特例を利用しよう!内容・条件を解説
アパート売却時に税金が発生しても、利用できる特例控除が限られてしまいます。
そんな中でも利用をおすすめするのが、「特定事業用資産の買換え特例」です。
この特例を利用すると、課税の支払いを次の買換えまで延長することが出来ます。
直近の経費削減・節税対策に大きな影響があるので、有効活用することをおすすめします。
ただ、この特例を利用するには適用条件を満たしていなければいけません。
ここからは、主な2つの条件を紹介していきます。
条件➀取得から1年以内に事業使用する予定であること
特定事業用資産の買換え特例を利用する場合、収益物件として売却されたアパートを、同じく収益物件として利用する方に引き渡すことが前提となります。
例えば、収益物件として利用していたアパートを買い手が居住用として利用する場合、この特例は利用できないのです。
条件②新しく取得する土地面積が元の土地の5倍以内である
アパートを売却して買い換える場合、元の土地の5倍以上の物件を購入するのであれば特例の効果は限定的となります。
買換え特例によって繰り延べできる税金は、元の土地の最大5倍になります。
例えば元の土地の6倍の物件に買換え特例を利用した場合、5倍までは繰り延べて、残り1倍は支払いが必要となります。
【重要】買換え先が決まっていない場合も見積もり額を元に手続き可能
確定申告の期日はアパートを売却した年期の2月15日~3月15日となります。
3月初旬に売却をした場合、事業物件に買い換えることは決まっていても、具体的な金額は契約前で確定していないケースも多々あるでしょう。
この時、買換え先の見積もり額を提示することで、その金額を基準に手続きをすることができます。
実際の金額と見積もり額に大きな差が出てしまった場合も、取得から4か月以内に修正申告をすれば脱税などには問われないので安心しましょう。
アパート売却で税金が発生したら確定申告が必要!必要書類と申告の流れ
アパート売却で税金が発生したら、確定申告をおこないましょう。
まず、国税庁のHPから以下の書類をダウンロードします。
- 申告書B
- 申告書第三表(分離課税用)
- 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算証明書)
ダウンロードした後の大まかな書類作成の流れは、以下の通りです。
- 譲渡所得の内訳書を作成
- 申告書B第一表の左半分を記入
- 申告書B第二表を作成
- 申告書第三表に内訳書の記載を転記
- 第三表の右上に算出した税額を記入
- 申告書B第一表の右側を記入して完成
その他、事業用不動産の買い替え特例を利用する際は、以下の2書類も添付をして申告する必要があります。
- 不動産の資産取得証明書類(買換資産の登記事項証明書など)
- 特例適用の証明書
上記書類は、仲介業者に発行してもらうケースが一般的です。
かかる費用・税金の金額と納付方法を知った上で損せずアパートを売ろう
アパートは高額で売れる分、失敗した時のリスクも大きいです。
既に賃料収入があるアパートを空にして売ったら、そのままの方が利益を見込めた…なんてこともあります。
損せずアパートを売るためには、高く売る方法だけでなく、費用がいくらかかるのかまで知っておくことが大切ですよ!
→アパート売却のタイミングを見極めるポイント11選!売り時のベストタイミングを見つけてアパート経営の出口戦略を成功させる
売り時が来たら節税を意識せず売ってしまうのも一つの手
現在、アパートは絶好の売り時と言われています。その理由は2020年の東京オリンピック特需で地価が高騰しているのと、2016年にはじまったマイナス金利政策で住宅ローンを安く借りられるという2つのポイントが重なっているからです。
それ以降になると相場の低下や金利の上昇、さらに2022年問題などで高く売れにくくなると言われています。
→不動産価格は今後どう推移する?市場・市況の動向・価格高騰がいつまで続くかの見通しを徹底解説【2024年最新】
アパートを取得したばかりで高額の譲渡所得税がかかることを予測しながらも、「節税目的で期間をあけるより今売ったほうがお得!」と読んで売却に成功した例もあります。
アパートを売る際は、コストと利益を大きな視点で考えることが求められるのです。