空き家問題とは?その現状と今後の見通しを徹底解説
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誰も住んでいない空き家がどんどん増えており、空き家問題としてニュースでも取り上げられています。
全国の空き家件数は留まるところを知らず、現在は何と戸建て住宅の全体の6分の1ほどが空き家だと言われます。
空き家問題はなぜ深刻化し続けているのでしょうか。また、空き家問題の拡大は私たち一人ひとりにどんな影響があるのでしょうか。
現在トピックになっている空き家問題について、詳しく解説していきます。
➝空き家を売る方法!売る流れとかかる費用や税金・注意点を解説空き家問題の現状
出典:総務省統計局「日本の住宅事情の今を明らかに」
数年放置している家も、数週間の旅行で空けている自宅も、大きく言えば「空き家」ですよね?
ただ、この空き家問題でいうところの空き家は、こちらの4種類です。
空き家の種類 | 内容 |
---|---|
二次的住宅 | 主な住まいとしては利用していない住宅(別荘など) |
空き家の賃貸住宅 | 人が住んでいない貸家 |
空き家の売出住宅 | 売出し中だが買い手が付かない空き家 |
その他の住宅 | 上記以外のケース |
総務省などが問題視しているのは、このうち「その他の住宅」です。
ここに当てはまる空き家は賃貸用・売却用としては価値がほぼ無いことが多く、老朽化が激しい状態です。
中には二次利用や処分の前段階で、たまたま放置されている「その他の住宅」もありますが、空き家全体の20%前後は、他の用途もない完全な不良債権となっています。
空き家問題は首都圏でも深刻化している
空き家が生まれる流れとして最も多いのが、親が亡くなって田舎の実家を相続したが、自分は都市部に家があるので放置しているというケースです。
そのため、空き家は地方の方が多い傾向にありました。
しかし、近年では都市部の空き家も増加し、問題が深刻になっています。
都道府県 | 空き家の数 |
---|---|
東京都 | 817,100 |
神奈川県 | 486,700 |
愛知県 | 422,000 |
大阪府 | 678,800 |
出典:平成25年住宅・土地統計調査
各都市の中の空き家率は全国平均レベルですが、上記の都市は数が多いので、全国の空き家率を大きく下げているのが分かります。
田舎よりも都市部の空き家のほうが、犯罪につながるリスクが高くて危険なのです。
今後拡大するのがマンションの空き部屋問題
空き家問題は戸建て住宅にとどまりません。
今後はマンションも部屋が埋まらなくなると考えられます。
都市部では、狭い敷地で大人数を収容できるタワーマンション(タワマン)が多く建てられており、首都圏の新築マンションの約4分の1が、「タワマン」と呼べる条件を満たしています。
マンションの空き部屋問題の厄介なところは、老朽化した戸建て住宅のように古いからといって気軽に解体できない点です。
需要と均衡のバランスは保たれているのに、メーカーは売上目的で新工法のブランドマンションなどをどんどん建てていきます。
需要を超える数のマンションが建てられ続けており、かつ是正が難しいとなれば、今後マンションの空き部屋問題は深刻になっていくでしょう。
なぜ空き家が増加し続けているのか…主な4つの理由
ここまで空き家問題の現状を解説しましたが、空き家自体は昭和期にもあったはずです。
それがなぜ現在、全国規模で問題になっているのでしょうか。
ここからは空き家問題が深刻化している原因を4つ紹介していきます。
①日本の主産業は地方から都市部へ
ここ数十年の間に、日本の主産業は地方でおこなう農林水産業から、都市部でおこなうサービス業に移行しました。
田舎の若者は地元に留まっていても働き口がないので、どんどん都市部に流入していきます。
若者が地元を離れて仕事をするようになったため、実家を継ぐ割合が大幅に減ったのです。
②少子高齢化の進展
少子高齢化の進展により、不動産の需要と供給のバランスが崩れたことも空き家増加に関係しています。
住宅は古くなったからといって全て立て壊されるわけではありません。それに加えて、ハウスメーカーは毎年新商品をリリースしています。
住宅購入者が年々減っているかわりに、住宅の数は年々増えているというアンバランスが起きているのです。
③晩婚化・未婚率の上昇
ここ最近では、日本全体で晩婚化や未婚率の上昇が起きています。
1人暮らしは家を持つ必要性を感じにくいので、結果的に中古空き家が売れ残ってしまうのです。
④マイホーム信仰の薄れ
かつては40歳前後で家を買うというのが、サラリーマンのステータスでした。
しかし最近では、「必ずしも持家じゃなくて良い」という人が増えています。
WEBメディアも「”負”動産時代」などと銘打って、持家が今後リスクになり得ると解説しています。
確かに、なぜ持家を買わなければいけないかをよく考えてみると、見栄・体面以外に理由が見つからないという人は多いです。
持家率は今後どんどん減っていき、2040年代には半数以上の人が賃貸に住むようになると言われています。
空き家問題の進展によって起こるリスク
空き家問題が深刻化しても、自分には関係ないと考える人は多いです。
しかし、空き家問題は日本に住む全ての人にとってリスクになる可能性が十分あります。
今回は、空き家問題の進展が我々一人一人にどんな影響を与えるのかを解説していきます。
周辺への物理的なリスクが拡大
まず考えられるのが、倒壊などの物理的なリスクです。
更に、ゴミの不法投棄や下水道の放置による悪臭の発生などの被害を被る可能性があります。
空き家が隣にあれば、こうした被害をダイレクトに受けて、安定した生活を阻害されてしまいます。
犯罪の温床になる危険性も…
最も怖いのが、反社会組織に空き家を悪用される可能性です。
彼らは警察に見つかりにくいアジトとして空き家を選ぶケースが多いです。
その周辺で事件が起きれば、近隣住民も巻き込まれてしまうでしょう。
また、若者が空き家にイタズラ目的で放火する事件などもあります。
ポストから大量のチラシがはみ出していたりすれば、そこが管理されていない空き家だと一発で分かります。それが悪い人に見つかれば、容易に犯罪が起きるのです。
不動産相場が下がる
空き家が増えるということは、すなわち価値の低い不動産が日本に増えるということです。
この状況が続けば、日本の不動産相場が全体的に下がってしまう可能性があります。
不動産相場が打撃を受ければ、まず不動産業界が打撃を受けます。
また、事業目的で不動産を運営している様々な業種の会社の業績が悪化してしまいます。
不動産相場の低下は、日本全体の景気を下げる可能性があるのです。
活用できない土地が増えてしまう
日本の国土は7割ほどが山地です。
そのため、有効活用できる土地は国土の3割前後しかない計算になります。
このうち、住宅地の6分の1ほどを空き家が占拠しているということは、国土強靭化とは真逆の方向を向いているので大きなマイナスです。
空き家がなければ便利なお店が建てられたかもしれませんし、そこに会社が出来たかもしれません。
空き家問題によって、知らぬ間にあなたが損している可能性が高いのです。
管理・維持費が負担になる
空き家の維持管理は、長期間にわたって見れば大きな負担となります。
例えば固定資産税は毎年支払わなければならず、その金額は物件の評価額によって決まります。
また空き家があることで保険料も発生します。
これらの費用は空き家が利益を生むことなく、所有者に経済的な負担をかけ続けます。
さらに老朽化や天候による被害などで修繕費が発生することもあります。
これらの費用は一度に大きな金額となることがあり、所有者の財政を圧迫する可能性があります。
社会的・経済的影響が大きい
空き家が増えると、地域全体の活気を奪う可能性があります。
地域の商業活動が低下すれば、地域経済が衰退し、失業率が上昇する可能性もあります。
また空き家は地域の風景を損ない、街のイメージを悪化させます。
新たな住民やビジネスが引き寄せられなければ、その地域の人口はさらに減少し、これが地域の衰退を加速させる可能性があります。
空き家が増加することで生じる社会的および経済的なリスクです。
法的リスクが発生する
日本の「空き家等対策特別措置法」により、空き家の所有者はその管理についての法的責任を負います。
管理が不適切な場合、自治体からの指導や命令を受ける可能性があります。
これらの命令に従わない場合、罰則が科せられる可能性もあります。
最悪の場合、自治体は強制的に建物を取り壊すこともあり、その費用は所有者が負担しなければなりません。
これらの法的リスクは、空き家を保有し続けることによる重大な負担となる可能性があります。
遺産相続に関連する問題
空き家を相続すると、それに伴う管理責任や費用負担が相続人に移ります。
相続人が複数いる場合、それぞれがどれだけの負担を担うべきか、また空き家を保持すべきか売却すべきかなど、意見が分かれる可能性があり、相続人間のトラブルの原因となり得ます。
さらに空き家の価値が低下している場合、売却による収益が期待できない場合もあります。
このような複雑な問題を解決するためには、専門的な知識や手続きが必要であり、時間とコストを必要とします。
空き家の処分はどうする?素早く手放す方法や得する処分方法を解説空き家問題の解決に向けた取り組み
空き家は、これまでは各自治体が管理する形で処分をしてきました。
しかし近年は自治体の財政が悪化している状況で、空き家の管理が難しくなっているのです。
問題の規模も大きくなってきたため、現在は国の介入によって解決する動きが高まっています。
ここからは、空き家問題解決に向けてどんな取り組みがなされているのかを紹介します。
空き家対策特別措置法の施行
2015年に施行された空き家対策特別措置法は、空き家の中でも倒壊の危険などが高い家を特定空家等とし、行政が強制的に処分しやすくなりました。
特定空家等に指定されたら、持主は処分や状況の改善をスムーズにおこなわないといけません。
これを怠ると強制退去(除却等)を求められるようになり、更に固定資産税の特例が外されて負担が最大4.2倍に跳ね上がります。
これまでは空き家といえど持ち主を尊重して強制的な施策をおこなえませんでしたが、空き家対策特別措置法により有無を言わさぬ対応が可能になったのです。
自治体による解体費用の補助金制度
補助金制度は空き家対策特別措置法よりも前に推進されてきた制度で、処分の際に建物を解体する費用を自治体が補助してくれます。
ケースによっては、自治体が引っ越し先まで用意してくれることもある便利な制度です。
空き家マッチングサービス「空き家バンク」
空き家を売って処分したいと思ったら仲介業者と契約をするようになりますが、業者との契約は3ヶ月ごとの更新なので、長期間売り出すのが難しいです。
そこで活用したいのが、マッチングサービス「空き家バンク」です。
空き家バンクに登録すれば、空き家を活用したい人とのマッチングを図ることができます。
仲介売却と違って期限はないので、長期プランで買い手を探すこともできます。
仲介売却と併せて使うこともできるので、積極的に活用しましょう。
民間団体による取り組みも拡大中
国や自治体で解決しきれない部分を、財団法人、公益法人、NPO法人などが働きかける事例もどんどん増えてきました。
一般財団法人「世田谷トラストまちづくり」は、23区の中で最も人口・世帯数の多い世田谷区の空き家問題解決に取り組んでいます。
特定非営利法人「空き家コンシェルジュ」は奈良県で活動するNPO団体で、空き家バンクの運営といった情報提供をおこなっています。
こうした草の根の活動も合わさって、解決に向けた取り組みがおこなわれているのです。
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今20、30代の人も、将来的には実家を相続するようになります。
この時、正しい処分の手続きをしっており、かつ早急に対応しなければ、あなたの実家も空き家として放置されてしまいます。
空き家問題は他人事ではなく、どんな人も考えていかなければいけないトピックなのです。
国は現在進行形で空き家問題解決に向けた議論をおこなっています。TVや新聞を見る時は、空き家問題についてアンテナを張っておくことをおすすめします。
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