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生産緑地の2022年問題を分かりやすく解説!指定解除による不動産価格下落の見通しと今からできる対策

【更新日】2020-05-21
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2022年問題

不動産業界で大きく懸念されているのが、生産緑地の2022年問題です。

生産緑地の要件の変化によって不動産全体へ影響が及ぶことを懸念されていますが、現時点で問題の内容を詳しく理解している方はそこまで多くないと思います。

そこで今回は、生産緑地の2020年とは何か、悪影響が及ぶ前にどんな対策ができるのかなどを分かりやすく解説していきます。

生産緑地・生産緑地法とは何?分かりやすく解説

2022年問題を理解するには、まず生産緑地について知る必要があります。

生産緑地とは、1992年に生産緑地法で定められた土地制度の一つで、分かりやすく言うと都市や住宅街の中にある農地・緑地のことを指します。

コンクリートで舗装されたエリア一帯に緑地や農地があることで良好な生活環境が維持できること、衰退しつつある農林水産業の一助になることから、条件を満たす土地を生産緑地とみなし、税金などの優遇をおこなうことが決定されました。

生産緑地とみなすかどうかは申請式で、1992年の施行以来、主に税金の優遇を受ける目的で多数の申請があり、平成29年でも全国で12,972.5ヘクタールの生産緑地地区が残っています。

バブルが崩壊して間もない1992年は、バブル期に原野商法などで騙されて購入した土地や購入してすぐに価値が下落した土地を持て余す人も多く、こうした背景も生産緑地の増加を後押ししました。

現在の生産緑地地区は半数が関東圏に位置し、その他も愛知県や大阪府といった大都市圏に集中しているという特徴があります。

生産緑地として認められる条件

生産緑地として認められるためには、以下の4つの条件を満たしている必要があります。

  • 農林漁業などの生産活動が営まれている、または公共施設の用地になっている
  • 面積が500㎡(森林、水路、池沼などを含む)
  • 生産活動の継続が可能である(日照などの条件が十分かどうか)
  • 所有者以外の関係権利者全員が同意している

こちらの条件を満たしているかどうか、所轄の自治体が審査をして認められると生産緑地として認められます。

ただ、詳しくは後述しますがこの条件には解釈の余地も多く、問題も少なくありません。

生産緑地には30年間の営農義務がある

生産緑地に指定されると、30年間の営農義務が発生します。

そのため、生産緑地を維持するためには以下の制限を守らなければいけません。

  • 農地として管理する必要がある
  • 生産緑地の標識を設置する必要がある
  • 農林漁業に必要ない建築・造成など手を加える行為はできない

ただ、生産緑地を農地以外の目的に利用しないか監視することはできますが、本当に営農しているかに関しては厳しくチェックすることができません。

そのため、生産緑地扱いになってはいるものの、実態は農地でない土地も多数存在しています。

生産緑地に指定されると相続税の納税が猶予される

生産緑地に指定された土地を相続・遺贈する場合、取得者の相続税納税が猶予になります。

そのため、相続税対策として生産緑地の申請を利用する方も多いです。

ただ注意してほしいのは、納税猶予は控除・減税ではなくあくまで猶予という点です。

そのため、生産緑地が解除された時点で、相続税は遡って課税されるようになります。

また、猶予期間の長さに応じた利子税も追加で課されるので、結果的に負担はより大きくなってしまいますが、相続税対策として初期負担を減らすには一定の効果があります。

生産緑地は固定資産税が優遇される

従来より、農地は固定資産税が通常の宅地よりも優遇されますが、同様に生産緑地も固定資産税が優遇される仕組みとなります。

土地の分類によって固定資産税の優遇の度合いは変わりますが、生産緑地は農村部の一般農地ほどでなくても、般緑地と同じ評価になるため、最大限課税を抑えることができます。

本来は宅地扱いになるはずの都市部の土地も税金が優遇されるのが、この生産緑地の最大の理由です。

土地の分類と固定資産税の優遇は、以下のようなイメージとなります。

土地の分類 税額のイメージ
一般農地 約1,000円/10a
生産緑地 数千円/10a
一般市街化区域農地 数万円/10a
特定市街化区域農地 数十万円/10a

生産緑地の2022年問題とは?問題点を分かりやすく解説

生産緑地という土地分類が出来たのは1972年なので、それから自然に生産緑地とみなされてきた土地もあります。

ただ、数としては1992年の生産緑地法改正によって条件が緩和されてから指定された土地のほうが多いです。

生産緑地の指定は1992年に一気におこなわれているので、2022年の営農義務完了で一斉に指定が解除されます。

これにより固定資産税の優遇なども無くなるので、市町村に対して一斉に市町村への買取申し出がおこなわれると予測されます。

これにより不動産の供給過多が起こり、全国的な地価の下落を引き起こすのではないかという懸念が起こっています。

これが2022年問題の概要です。

2022年問題は行政の目論見が外れたことも要因

ただ、そもそも生産緑地というものは、都市が拡大する段階で、緑地を徐々に都市化するために設けられたものでした。

一般農地に指定解除の期限が定められていない一方で生産緑地に期限があるのは、都市拡大を見込んでのものでした。

ただ、長年の不況で自治体が土地を買い取る余力がない他、世界的に環境保全が叫ばれるようになり、必ずしも都市を拡大し続けることは良いことではないという考えが定着してきました。

少子高齢化で人口減少が進んでいることもあり、広げ過ぎた都市を有効活用できていない、居住区域が広がっているせいで効率的な税徴収ができていないという問題も発生し始めました。

もともと1992年に新生産緑地法を改正したタイミングの予測と大きく実情が変わっているのも、2022年問題が起こりうる要因となっています。

不動産市場の衰退と相まって大きなダメージを受ける可能性も

2020年以前はオリンピック特需もあって好況に推移していた不動産市場ですが、オリンピック開催後は住宅ローン金利の跳ね上げや少子高齢化の本格的な進展などにより、決して明るい見通しではないと常々言われていました。

その上2020年には新型コロナウィルスの感染拡大によって多くの産業は打撃を受けています。

こうした状況に加えて2022年問題が起こることで、より大きな影響が出ることが懸念されています。

生産緑地に関する法律の改正と条件の変遷・2022年問題への対策の歴史

生産緑地法は元々は1972年に制定された法律ですが、1992年に新生産緑地法の制定がおこなわれてから、頻繁に法改正がおこなわれました。

内容
1992年 新生産緑地法の制定
2016年 都市農業振興計画の閣議決定
2017年 新生産緑地法の改正
2018年 田園住居地域の創設
2018年 都市農地賃借法の制定

1992年に新生産緑地法の制定がおこなわれ、従来指定が難しかった生産緑地の条件が緩和され、指定を受ける農地が一気に増加しました。

更に、2016年に都市計画振興計画の閣議決定がおこなわれ、生産緑地の意義が転換されました。

従来は都市拡大を段階的におこなうため、生産緑地のエリアは都市部に残しつつも、最終的に市街化を図る対象とみなされていました。

ただ時代の変遷により都市と緑の共存、環境保護が叫ばれるようになり、生産緑地は都市部に必要なものという認識に変わりました。

2017年の新生産緑地法改正のポイント

上記の中で特に重要なのが、2017年の新生産緑地法改正です。

これにより、以下の3点が大きく変わりました。

  • 特定生産緑地の指定
  • 面積の要件引下げ
  • 行為制限の緩和

従来、生産緑地は30年の義務終了後に市町村へ買取申し出がありますが、これによって後述する2022年問題が発生しやすくなっていました。

特定生産緑地に指定された土地は買取申し出を10年延長できるので、短期間での大量売り出しを避けることができます。

また、生産緑地に指定される面積が500㎡以上から300㎡以上に引き下げられました。

こちらは小規模な土地の多い都市部で運用するために面積要件を適正化する目的がありました。

最後に紹介する大きな変更が、生産緑地でおこなわれる行為制限の緩和です。

従来は生産緑地=農地でしたが、改正によって農業生産の他に商品の製造・加工・販売施設やレストランなどを設置できるようになりました。

これによって生産緑地の生産性が上がり、2022年問題を避ける目的もあります。

都市農地賃借法の制定により第三者に貸しやすくなった

次に重要なのが、2018年の都市農地賃借法の制定です。

これにより生産緑地の貸借条件が緩和され、第三者に貸し出しやすくなりました。

2022年問題の問題点は生産緑地の指定解除によって、大量の土地の売り出し・放棄が起こることでした。

生産緑地の賃借条件が緩和されても手放されることには変わりませんが、引き続き管理者が生まれるので、荒廃を防ぐことができます。

2022年問題によって不動産業界はどう変化する?

2022年問題によって懸念されるのは、不動産業界全体への影響もあります。

特に今不動産業界への就職・転職を考えている方は、不安に思うことも多いでしょう。

ただ、2022年問題によって地価が下落したとしても、不動産会社の働き方に大きな変化が起こるとは考えられません。

一般層にとって不動産は生活の一部なので、生活の営みの中で不動産を利用し続けることに変わりはないからです。

一般層の不動産にかける費用は実体経済が下落して収入が下がるのに比例して下がります。

2022年問題は制度上の問題なので、不動産業の核の部分には影響が出ないのではないか?という見方が一般的です。

2022年問題をどう回避する?緑地オーナーの対処法まとめ

現在が2020年なので、2022年の生産緑地解除までに膨大な準備時間が取れる訳ではありません。

ただ、今の状況を生かしつつ2022年問題に向けて対処する方法はいくつかあります。

ここから1つずつ紹介していきましょう。

特定生産緑地の指定を受ける

一般的な生産緑地は30年で指定解除となりますが、特定生産緑地の場合は10年ごとに更新され、固定資産税の優遇を受けることができます。

生産緑地で本格的な営農をおこなっており、今後も農業を続ける予定なら特殊生産緑地を受けることをおすすめします。

不要な生産緑地は納税猶予の有無によって売り時を決める

後継者のいない不要な農地は早めに売ることをおすすめしますが、この時に注意したいのが納税猶予です。

猶予がない場合は指定解除されて次の固定資産税の支払いが重くなる前にすぐ売ることをおすすめしますが、納税猶予をしている場合は売却をしても猶予している相続税+利子税によって赤字になる可能性があります。

もし後継者がいる場合は相続税のコストも多少受け入れながら売ることもありますが、後継者がおらず、かつ売ったほうが損失は大きいという場合は特定生産緑地の指定を受けることをおすすめします。

固定資産税の優遇を受けられますし、持ち主がなくなった時に後継者がいなければ納税猶予は解除されます。

2022年に地価が底まで急落するリスクはほぼ無い!ただし何かしらの対策は必要

最初に2022年問題のリスクがささやかれた時には、2022年を機に相場が急落してしまうというのが最大の懸念でした。

ただ、生産緑地が一斉に解除されても、そこから転用・利用をするまでに長い時間がかかりますし、それぞれ事情が異なるので、一気に悪影響が出る訳ではないと考えられます。

また、行政のほうでも2022年に備えて様々な対策を講じているので、当初の懸念ほどの影響は出ないと考えられます。

ただ、2022年を境に何かしらの変化は免れないので、特に生産緑地のオーナーは今後の方針を固めておく必要があるでしょう。

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