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契約不適合責任とは?売主が不利になる?瑕疵担保責任との違い・契約時の注意点をわかりやすく解説

【更新日】2024-01-22
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契約不適合責任
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2020年4月1日に民法が改正され、これまでの瑕疵担保責任に代わって、契約不適合責任が制定されました。

不動産売却を検討している方にとってはかなり重要な変更点なので、事前に把握をしておきましょう。

今回は、契約不適合責任の内容と瑕疵担保責任との違いや注意点をわかりやすく解説していきます。

不動産売買契約の流れ・注意点を徹底解説!契約書のチェックポイントと瑕疵担保責任

契約不適合責任の内容と瑕疵担保責任との違い

契約不適合責任は、売主(引き渡し者)が買主(取得者)に物品等を引き渡す場合、その目的物が契約内容に適していないと判断されたら、売主が買主側に対して責任を負うという仕組みです。

従来の瑕疵担保責任を引き継いではいますが、内容・目的が少し異なります。

  • 契約不適合責任:物件内容が契約と異なる場合にペナルティが発生
  • 瑕疵担保責任:物件の瑕疵(欠陥)が引き渡し後に見つかった場合、ペナルティが発生

まずはこの概念の違いを把握しておきましょう。

瑕疵担保責任との違い➀契約時に売主側は徹底調査・契約書への記載が必要

瑕疵担保責任の場合、取引時に隠されていた「隠れた瑕疵」の定義が曖昧で、言った/言わないの論争が起きてしまいがちでした。

これが契約不適合責任に代わったことで、契約内容に適合しているかどうかが論点となりました。

これでクリーンな内容になったようにも思えますが、売主側はどんな内容でも契約書に記載しておかないと免責にならないので、売主側は大変さがより増したとも言えます。

瑕疵担保責任との違い➀追完請求が可能になった

瑕疵担保責任と契約不適合責任では、物件に欠陥が見つかった場合に買主が売主に対して行使できる権限に違いがあります。

不動産売買時の瑕疵担保責任と契約不適合責任の違いがこちらです。

項目 瑕疵担保責任 契約不適合責任
修理・代替物等の請求 ×
損害賠償
契約解除
代金減額 ×

瑕疵担保責任制度でも、隠れた瑕疵が発見された場合に買主から売主に対して損害賠償請求や契約のキャンセルを求めることが可能でした。

ただ、その一方で修理費用や代替物の請求、減額請求などはおこなえないという特徴がありました。

ただ、契約不適合責任制度の場合、隠れた瑕疵が発覚した場合、以前とは異なって売主の契約違反(明確な過失)と見なされてしまうので、買主が行使できる権限が増えます。

契約不適合責任で買主が持つ5つの請求権

契約不適合責任では、買主の権限が大きくなり、以下5つの請求権を持てるようになりました。

  • 追完請求
  • 代金減額請求
  • 催告解除
  • 無催告解除
  • 損害賠償請求

一つずつ見ていきましょう。

➀追完請求

追完請求とは、想定した完全な状態になるよう、請求することが出来るという制度です。

例えば、契約内容を読んだときに「雨漏り・シロアリ被害のない家」を購入したつもりが、実際はこの2つの欠陥が見られた場合、買主は「雨漏り・シロアリ被害のない家になるまで修理」することを請求できます。

契約内容に基づき、乖離が発生している場合は、そのギャップが0になるまで売主に請求できるというのが追完請求です。

②代金減額請求

追完請求が高額になり過ぎる場合や、ただちに修理が出来ない場合は代金減額請求をすることが出来るようになりました。

つまり、争点となる欠陥が直せる場合は追完請求、直せない場合は代金減額請求が適用されるようになります。

③催告解除

追完請求に応じない場合は代金減額請求が可能ですが、中には「代金が安くなっても欠陥物件は買いたくない」という方も多いです。

そのため、追完請求に相手が応じなかった段階で購入を拒否することができます。

これが、催告解除です。

④無催告解除

無催告解除、つまり催告なしでの契約キャンセルも買主に認められています。

ただこれは、契約が不履行になる場合に行使できる権限なので、不具合が生じた時(契約はできるが、契約書通りではない)などは催告解除がおこなわれます。

⑤損害賠償請求

瑕疵担保責任の場合、物件に隠れた瑕疵が見つかった場合に買主は売主へ損害賠償請求をおこなうことが出来ました。

しかし、契約不適合責任の場合は売主側に非(責めに帰すべき事由)がない場合、損害賠償請求をおこなうことは出来なくなっています。

ただし、契約不適合責任では信頼利益を損なわれた場合(契約内容を信じて損失を被る)の他、履行利益を失った場合(契約履行で得られる利益を得られなかった)にも損害賠償請求が可能となります。

つまり、損害賠償請求ができる範囲は契約不適合責任のほうがずっと広くなっています。

契約不適合責任で重要な「責めに帰すべき事由」とは?

契約不適合責任を調べる際に、良く出てくる言葉が「責めに帰すべき事由」です。

これは、契約不適合になった理由が売主の過失か(故意の秘匿など)どうかということを表しています。

瑕疵担保責任の場合、物件に損失があっても売主側に「責めに帰すべき事由」がなければ、請求をするのが難しい側面がありました。

しかし、契約不適合責任の場合は追完請求、代金減額請求などは、責めに帰すべき事由がなかったとしても請求が可能になっています。

瑕疵担保責任が契約不適合責任に改正された2つの理由

瑕疵担保責任のままでも常に大きな不具合が起きていた訳ではありませんが、それでも改正がおこなわれたのは大きく2つの理由があります。

  • 誰もが分かりやすい内容に変更するため
  • 社会通念ではないルールに変更するため

詳しく見ていきましょう。

理由➀誰もが分かりやすい内容に変更するため

瑕疵担保責任という言葉は一般生活で使われないので理解しにくく、かつ「隠れた瑕疵」という定義が曖昧でした。

特に瑕疵という言葉は常用ですらないことから、一般人が利用する制度としては不適切だと見なされたという経緯も考えられます。

理由②社会通念ではないルールに変更するため

瑕疵(欠陥)とは、言ってしまえば「普通はそうであるべき状態に比べて、劣っている状態」という事ができます。

ただ、ここで考えたいのが“普通”ってなんだ?ということです。

日本の“普通の物件”の感覚は、日本文化で生まれ育った純日本人でなければ備わるのが難しい感覚です。

世界には様々な住まいの形・生活文化があるので、従来の瑕疵担保責任は日本人以外にとって難しいのではないか?というのも、改正の大きな理由となりました。

契約不適合責任の期間は不具合を知った時から1年以内

瑕疵担保責任の場合、一般的に引き渡しから1年間が責任を行使できる期間とされています。※契約内容によって異なります。

一方で、契約不適合責任の場合は買主が不具合を知ってから1年というのが時効になります。

これは言ってみれば、契約不適合責任の場合は買主側に時効は存在しない(気付いた時にいつでも申請できる)ということでもあります。

ただ、これは契約不適合責任の期間に関しての取り決めが一切ない時に適用されるルールとなります。

売主・買主間の話合いによっては、期間を設定することは十分可能です。

契約不適合責任制度で売主が注意すべき点

契約不適合責任制度にかわり、売主は一体どんな点に注意すべきなのでしょうか。

特約・容認事項を詳細に書くことが大切

売買契約書は似たようなフォーマットを元に作成されることが多いですが、その中に特約・容認事項という欄があり、個別のケースに基づいて例外などを記入することが認められています。

ここをしっかり作成することで、売主は自分を保護することができます。

旧耐震基準の物件である、騒音がするといった内容をしっかり容認事項に記入しておきましょう。

設備に関する免責事項を明記する

例えば築10年の中古物件を売買してから、築20年になるまでに起こりうるであろう自然な劣化は常識的に考えて売主の責任ではありません。

ただ、物件の付帯設備に関してはその通りではありません。

築古ということを容認事項に記載しても、付帯設備の劣化・故障を含んでいる訳ではないので、個別に「設備の故障に関しての責任は一切負わない」という旨を明記しておく必要があります。

契約不適合責任制度ではインスペクションなどプロの手を借りるのが最善の策

契約不適合責任制度下では、今までに比べて物件の状態を詳細に把握しておく必要があります。

しかし、いくら長年住んだ物件でも素人がその全貌を把握できる訳ではありません。

そこで、まずインスペクションなどを依頼してプロに点検をしてもらい、その上で相談をして報告書を作成してもらい、仲介業者に契約書作成の参考にすることをおすすめします。

自分1人で容認事項などを作成していくのは危険なのでやめた方が良いでしょう。

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