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不動産売却の手続きを代理人に任せることは可能?委任の手続きや売買に伴うリスク・注意点を解説

【更新日】2023-12-22
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不動産売却で代理人を立てる
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不動産の所有者は簡単に変更することができないので、契約に所有者本人が立ち会えないときや、病気や障害が理由で手続きができそうにない場合は、所有者の名義を変えずに代理人をたてます。

もちろん、不動産所有者の一存で代理人をたてることはできず、様々な手続きが必要になります。また、代理をたてて売却手続きをおこなうことにはリスクもあるので、注意しましょう。

それでは、不動産売却で代理人をたてる方法、メリット、注意点を紹介します。

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不動産売却で代理人に任せるには「代理権委任状」が必要

不動産の売却時に、所有者本人が取引を直接行わない場合、第三者を代理人として立てることが一般的です。

この際、代理人が適切に売買手続きを進めるためには「代理権委任状」の作成が必須となります。

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委任状を作成することによって、選任された代理人には、売買契約に関する全ての手続きを行う権限が付与されます。

また委任状の書き方に制限はなく、代理人、もしくは不動産所有者が作ってしまっても構いません。

とはいえ、実際に委任状を作成していく際は仲介業者が定めているフォーマットを利用することが多いです。

書類上には委任者、受任者の氏名、委任の有効期間、口座取り扱いの注意事項など、基本的な契約事項の確認が主ですが、目標売却額、引き渡しの予定日など、所有者の希望を記すこともあります。

加えて、代理人として活動することができるのは、所有者から正式に委任された者だけです。

しかし、不動産売却を代理委託すると、勝手に物件を値下げされてしまっても文句は言えません。

そのため、目標額などを書類に表記しておき、主導権をすべて与えないようにすることも大切です。

代理権委任状に記載する内容

代理権委任状は、不動産売却の際の代理人の権限と範囲を明確にするための文書です。

所有者の意向を正確に反映させるために、どのような権限を代理人に委ねるのか、詳細に記載する必要があります。

委任状に記載する内容

  • 売買価格の交渉
  • 契約の締結
  • 代金の受領など

上記のように、代理人が行うことができる行為の範囲を明示的に示すことで、後のトラブルを避けることができます。

同様に、委任状を作成する際は、以下3項目を明確に記載します。

記載項目 記載する内容
土地の表示項目 所在、地番、地目、地積など
建物の表示項 所在、家屋番号、種類、構造、床面積など
委任の範囲 媒介委託に関する権限、不動産売買契約の締結に関する権限、手付金や売買代金の受領等に関する権限、引渡しに関する権限など

それと同時に、委任者本人の住所・氏名・実印、委任者の氏名・住所、書面日付の3点を委任状に記載します。

代理権委任状作成に合わせて売却手続きに必要な書類

代理権委任状を作成する際には、その他の関連書類も準備する必要があります。

用意する書類

  • 委任者(所有者本人)の印鑑証明書(3か月以内のもの)・実印、住民票
  • 代理人の印鑑証明書(3か月以内のもの)・実印
  • 代理人の本人確認書類(運転免許証などの写真付き身分証明書) など

これらの書類は、取引の透明性や信頼性を確保するために不可欠です。

不動産売却を代理人に委託するケース

そもそも、不動産の売却手続きを代理人に任せるのはおすすめしません。

不動産は一般の方が所有し得る最高額の資産ゆえ、その行方を他人に任せるのは非常にリスキーな行為です。

しかし、様々な事情により代理人を選任して契約を進める場合があります。

以下は、不動産売却を代理人に委託するケースです。

代理人に委託するケース

  • 売却したい物件が遠方にある場合
  • 売買契約締結のために時間を設けるのが難しい場合
  • 諸事情により外出が困難な場合
  • 共有名義人との顔合わせが難しい場合

ここからは、上記5つのケースについて詳しく解説します。

売却したい物件が遠方にある場合

所有者が現地に訪れるのが難しいとき、例えば物件が所有者の居住地から離れた場所にある場合や、所有者が海外在住である場合など、代理人の介入が求められます。

代理人を通じて、現地での見学や交渉などの手続きが行われるため、結果的に物件所有者は遠隔地からでも安心して売却活動を任せられます。

とはいえ、遠方に住む人が手続きを進めるより、土地勘もある現地人が進めたほうが良いかというと、そんなことはありません。

この場合でも、可能であれば売主本人が空いた時間で現地に赴いて手続きを進めるのが最適です。

売買契約締結のために時間を設けるのが難しい場合

多忙な日常を送っている人にとって、不動産の売却に関する手続きや交渉に時間を取るのは難しい場合が多いです。

このような状況で代理人に売却を委託することで、スケジュール調整や交渉、契約手続きなどを専門家が代わりに行ってくれます。

諸事情により外出が困難な場合

病気やケガといった健康上の問題から外出が難しい場合や、高齢ゆえ移動に制約がある場合、代理人が契約の場に立ち会うことで、物件の売却を進められます。

これにより、身体的なストレスやリスクを軽減しつつ、必要な取引を進めることが可能となります。

共有名義人との顔合わせが難しい場合

物件の所有者が複数人いる場合、売却にあたっての意見や方針が異なることが想定されます。

このような場合、代理人に売却を委託することで、所有者全員の意向を代理人がまとめ、統一された戦略のもとで売却活動に望めます。

同様に、離婚後の夫婦間での不動産売却など、共有者との直接の対面を避けたいときにも、不動産売買を代理人に委託する方法が有効的です。

このようなケースで代理人を立てる際は、各所有者とのコミュニケーションが重要となってきます。

密な話を繰り返し行うことで、認識のズレや誤解を最小限に抑えられ、円滑な取引が行えるようになります。

代理人を立てて不動産売却を行うリスク

代理人を立てて不動産売却を行う事は、売主にも買主にもリスクが発生します。

不動産売却は金額が大きい取引になるので、なるべく本人が交渉していくことが好ましいです。

どうしても代理人を立てる必要がある人は、リスクを理解した上で代理人を依頼しましょう。

ここでは、代理人による不動産売却が売主と買主にどのようなリスクを伴うのかについて解説します。

売主に伴うリスク

不動産の売却に際し、代理人を利用することは状況によっては便利である反面、売主にとっていくつかのリスクが伴います。

最も大きなリスクは、代理人に全権を委ねることによる権限の乱用です。

具体的には、売主が委任状を通じて代理人に与えた権限を、代理人が適切に行使しない場合の問題が考えられます。

特に、未成年者が親や親戚を代理人とする場合、その範囲や期間などの明確な取り決めがなければ、未成年者の利益が損なわれる可能性が高まります。

そのため、具体的な売買条件や代理の範囲を明確に記述した委任状を用意することが重要です。

これにより、売主の意向がしっかりと代理人に伝わるとともに、万が一のトラブル時のリスク軽減が図れます。

買主に伴うリスク

買主もまた代理人を介した取引においてリスクを抱えています。

その最も顕著なリスクは、代理人の正当性についての疑念です。

事前に通知なく突然代理人が現れ「私は売主の代理です」と主張しても、買主側としてはその人物が本当に正式な代理人であるのかを判断するのは難しいのが実情です。

また、提出される委任状が正規のものであるか、偽造されたものでないかの確認も欠かせません。

これらのリスクを回避するためには、取引を進める過程で買主が直接売主とのコンタクトを確保し、代理人の正当性や委任状の真偽をしっかりと確認することが必要です。

そして、不確かな点や疑問点がある場合には、専門家や弁護士のアドバイスを求めることで、安全かつ確実な取引を進めることができます。

代理権委任状を作成するときに気を付けること

不動産売却の代理人は、家族や親族、非常に信頼できる友人などに依頼することが多いですが、いくら信頼できる人だとはいえ代理人に権利をすべて与えるのは危険です。

よって、代理権委任状を作成する際は、その正確性や明確性が極めて重要となります。

特に、第三者との取引の際には、誤解を招くことのないよう細心の注意が求められます。以

代理権委任状を作成するときに気を付けること
  • 委任内容を明確にすること
  • 実印で押印していること
  • 捨印を押させないこと
  • 「一切の件」などの曖昧な表現を多用しないこと
  • 氏名・住所を記載して当事者の特定ができるようにする

ここからは、委任状の作成において特に注意が必要な5つの点を解説いたします。

委任内容を明確にする

委任状の中心となるのが「委任内容」です。

代理人がどのような権限を持つのかをしっかりと明記することで、後々のトラブルを防ぐことができます。

付与する権限の範囲

  • 売却可能な価格条件
  • 手付金の金額
  • 引き渡し日(予定)
  • 契約解除時の違約金額
  • 公租公課の分担起算日・お金の支払い日
  • 代金・費用の取り扱い方法
  • 所有権移転登記などの申請手続きの方法
  • 上記の条件に当てはまらないケースをどう処理するか
  • 委任状の有効期限

例えば、売買の金額や支払いの期日など、細かな条件を一つ一つ確認し、明記することが必要です。

あいまいな記述を避けるためにも、全てを丁寧に記述しましょう。

また、不動産売却は売り手のおかれている環境や物件の状態がそれぞれ違うので、以上のようなものの他にも、適宜、注意点やルールを加えていきましょう。

不動産売却で委任状を作成する際の書き方とひな形・注意点

実印で押印していること

委任状はその正式性を示すため、実印での押印が求められることが多いです。

当然、認印でも法的には有効ですが、取引先や関係者への信頼性を担保するためにも、実印で押印することが望ましいです。

加えて、印鑑証明書や住民票の提出を検討し、更なる信頼性を確保することも考慮すると良いでしょう。

捨印を押させないこと

捨印とは、書類の上部や余白部分に予め押印しておくことを指しますが、委任状ではこの捨印を避けるべきです。

というのも、捨印を施すことで、後から内容を修正されるリスクが生じるためです。

委任状の内容が正確であることを保証するためにも、捨印の使用は控えましょう。

「一切の件」などの曖昧な表現を多用しないこと

「一切の件」といった曖昧な表現は、委任の範囲が不明確になるため避けるべきです。

具体的には、代理人が持つ権限の範囲が不確かになり、後で争いの原因となりかねません。

そのため、委任事項を具体的に、かつ細かく指定し、代理人の権限を明確にしておくことが求められます。

氏名・住所を記載して当事者の特定ができるようにする

委任状上の当事者特定は、非常に重要な要素です。

特に、同姓同名の他者との混同を避けるためにも、氏名だけでなく、住所も記載することが推奨されます。

これにより、委任者と受任者が一目で分かるようになり、後々の取引でもスムーズに進められます。

代理人による不動産売却を成功させる方法

代理人は内覧時に現場に立ち会ったり、交渉の席に座ったりすることもあります。

このとき代理人は委任状に記載されている規則を守り、事前に所有者から共有された物件情報、アピールポイントを購入希望者に紹介する、代理で書類にサインをするといった作業をおこなっていきます。

事前に所有者や業者から教えてもらった情報で購入希望者の対応ができれば良いのですが、相手によっては急に値下げを要求してきたり、次の交渉や契約の期日を提案されたりすることもあります。

代理人の行動把握と密な連絡を取っていること

代理人を設けて不動産売却を行う場合、その代理人とのコミュニケーションは極めて重要となります。

代理人が現地での内覧や交渉の際に直面する可能性のある状況や、購入希望者からの質問への対応などをスムーズに進めるためには、所有者との密接な情報共有が不可欠です。

加えて予期せぬ要求や新たな提案が持ち上がった場合、その場で迅速に判断や対応をすることが求められるため、所有者は代理人のスケジュールや予定を知っておくことが望ましいです。

また、特定のタイミングで、例えば重要な交渉時など、所有者が即座に連絡可能な状態を保持することも大切です。

直接の面談が難しい場面でも、電話やオンラインミーティングを通じて定期的に状況を確認し、必要に応じて指示や情報提供を行うことが成功の鍵となります。

代理人と分かる書類を相手に提示する

代理人が本当にその役割を持った正規の人物であることを確認するための書類の提示は、取引の透明性や信頼性を確保するために欠かせない手続きです。

しかし、委任状だけでは、その真正性を完全に証明することは非常に困難です。

そのため、購入希望者に安心感を与えるため、物件の所有者は追加の証明書類や、代理人の身元を確認できる情報を提供すべきです。

これには、家族の写真や簡単なプロフィール、過去の取引の実績なども役立ちます。

直接のコミュニケーション、例えば電話でのやりとりも信頼関係の構築に寄与します。

購入希望者にとって、物件の所有者や代理人の顔が見えることは、安心感を得るための大きな要素となります。

適切な書類の提示と、その他の安心材料を提供することで、不動産売却の成功確率は大きく向上します。

未成年が売主の場合は法定代理人を立てること

未成年が売主となって不動産を売却するのは原則不可能です。

未成年が売主になっている不動産を売る場合は所有権移転登記をおこない成年者に権利を移した上で、その成年者が売却手続きをおこなうのが最もスムーズです。

一方、遺言書で定められている場合や両親がいない場合などは、法定代理人を立てて手続きをおこないます。

この法定代理人は上記で紹介したような代理人とは違い、法規定により代理権が与えられた人のことで、容易に変更することはできません。

法定代理人は近親者か未成年後見人がなる

法定代理人は、原則近親者がなります。

未成年者が売主の不動産売却は親の離婚が原因で起こるケースが多いですが、その場合は片親が法定代理人となります。

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もし両親が亡くなっている場合は、未成年後見人がそのまま法定代理人になります。

法定代理人は自分の意思で不動産売却をおこなう

普通の代理人と法定代理人の違いは、普通の代理人は売主の意思に応じて行動するのに対し、法定代理人は自分の意思で不動産売却を完結させるということです。

未成年はまだ判断能力が未成熟だと見なされるため、高額の不動産取引をおこなうことはできません。

そのため、不動産をどの業者に依頼していくらを目標に売るのか、あるいはそもそも不動産を売るかどうかの判断まで、法定代理人の独断でおこないます。

そのため、未成年者が売主の不動産売却は代理人も大きな責任を負うようになります。

意思能力の衰えがある場合は成年後見人が代理人になる

知的障害や事故・病気・老衰など、広義の意味で判断能力に衰えがある成人の方は、成年後見人を代理人に立てて不動産売却をおこないます。

成年後見人とは日本では2000年にはじめて施行された制度で、主に親族などが代理人となり手続きの補佐・補助や代理手続きをおこなうというものです。

こちらは法定代理人とは違い、売主の不利になるような売却は禁止されています。

自分で判断すべき部分は普通の代理人より多いですが、かと言って全て自由に手続きすることはできないので注意しましょう。

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代理人を立てて不動産売却をおこなうケースは珍しくない

不動産売却では、頻繁に代理人がたてられます。

東京に住んでいながら、相続した地方の不動産を売却する場合、海外在住者が日本の物件を売る場合など、所有者が物件から遠く住んでいることはよくあるからです。

ただ、そうだとしても、不動産売却を他人に任せるのは危険が伴います。

業者が注意喚起を怠る可能性もあるので、一般的な方法だからこそ不動産所有者自身がトラブルに気をつける必要があります。

また、代理に選ばれた方も「言われたことだけやっておけばいい」という態度ではトラブルに巻き込まれかねません。

代理をたてて不動産売却をおこなう場合は、それぞれが責任感をもって動くことが重要になります。

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