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共有名義の不動産を売却する方法と注意点を分かりやすく解説

【更新日】2021-03-11
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共有不動産の売却

不動産には所有権があります。一度所有者名義を設定してしまうと、なかなか変更することができません。

所有者が一人の単独名義がほとんどですが、複数の人が所有者となる共有名義も法律で認められています。共有名義にすることで所有者の権利・責任が分散されるので、相続した不動産を家族と共有名義にしておくと便利です。

相続した不動産売却の流れをわかりやすく解説!

しかし、最終的に売却をすることになると、所有者が複数いると手続きが面倒になってしまいます。

この記事では、共同名義の不動産を売却する方法を紹介していきます。

共有名義の不動産とは?

共有不動産の状態

不動産を共有している状態に関しては、意外と多くの方が勘違いしている部分もあります。

共有不動産というのは、上記の図にあるように、登記上1つの不動産を複数人で所有している状態になります。

マイホームの場合、登記上は建物部分と敷地部分で分かれ、2つの不動産の集合ということになります。

そのため、建物部分あるいは敷地部分、またはマイホーム全体を複数人で所有している場合、その物件は共有不動産ということになります。

一方で、相続した実家の建物を兄が、敷地を弟が所有しているような場合は、それぞれ別々の不動産を所有していることになるので共有名義とは言いません。

後者の例でも話す上では「実家を共同で所有している」ということになりますが、法律上は共有不動産と言えないので注意が必要です。

区分所有と共有不動産の違い

その他、共有不動産と混同してしまいがちなのが区分所有です。

区分所有とは分譲マンションのように、管理会社などが決めたルールのもと、それぞれの部屋に所有者が割り当てられている状態です。

区分所有でも従わないといけない共通のルールはありますが、所有した部屋の売却・譲渡などの手続きは権利者が自由におこなえるようになっています。

一方、共同不動産の場合はこうした手続きを全て全員の合意のもとでおこなわなければいけません。

勘違いしがちな部分なので、しっかり整理しておきましょう。

共有名義の不動産を売却するには共有者の同意が必須

夫婦や親子、兄弟姉妹など、家を誰と共同所有しているかによって、売却時の問題は違ってきます。

また、「共同所有者同士の仲が良ければ、問題なく売却できる」という意見もありますが、よくある勘違いです。

関係の良し悪しにかかわらず、共同名義の家を売るときには権利関係の複雑さを原因とした問題が起こりやすいのが特徴。

家は土地と違い、同じ面積で分割することができないので、共同所有者同士が納得いくまで話し合わなければならないケースが多いです。

こちらの記事にあるように、相続した不動産の取り扱いを巡って兄弟間でトラブルが起こることも良くあります。

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知らぬ間に共有名義になっているケース

自分一人が所有者だと思っていた不動産が、実は共同名義だったというケースも存在します。

こうしたケースは、主に相続方法が原因であることが多いです。

子どもが複数いる場合に親心で全員に相続させるということは良くあり、その後子ども達が手続きをおこなわなければ、共同名義のままになります。

また、夫婦や親子で購入資金を分担した場合なども、共有名義になっていることがあります。

共有不動産の持分割合の調べ方

共有名義の不動産を売却したいのであれば、まず持分割合を調べておくことをおすすめします。

なぜなら、所有者が複数いるといっても、権利が平等に振り分けられているとは限らないからです。

こどもが2人の場合は、長男の持ち分が3分の2、次男の持ち分が3分の1となっているかもしれません。

共同名義の不動産を売却しても代金を持ち分の割合で分割するようになるので、売却をしても利益があまり出ない場合があります。

そのため、事前に持ち分を調べておくことが大切です。

持ち分を調べるには、登記簿を確認するのが最も確実です。

登記簿は登記所(法務局登記部門)の窓口で申請することができますが、600円の手数料を払えば郵送してもらうことも可能です。

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単独名義の場合は【所有者】と、共同名義の場合は【共有者】として氏名が記載されており、その他の共有者氏名と持ち分割合も記されています。

ただ、もし共有者が亡くなっていたときに相続登記をしていなければ、故人がそのまま共有者として登録されるので、注意しましょう。

共同不動産を売却する3つの方法

売却後に不動産の売却額を持ち分で割ると、権利の大きさによって金額を分担できるのでおすすめです。

しかし、不動産も資産なので、勝手に換金されると困る人も出てきます。

そんな人のために、不動産を分割(分筆)して売るという方法があります。

税負担を避けるために権利を売ってしまいたいという人は、持ち分だけを売ってしまうことも可能です。

共同者がどんな人かによって売り方は変わりますが、売れないというケースはまずないので、適切な方法を選択して売却を行いましょう。

名義人全員の合意を得てそのまま売る

オーソドックスなのが、名義人全員の合意を得た上で、不動産を売却する方法です。

全員が不動産を売ることで意見を一致させているのであれば、権利の委譲や不動産の分割など余計なことをする必要はありません。

売却後の代金の分割や税金の支払いは、主に持ち分割合に応じて分担されます。

自分の持分を売る

自分の持分を他の共有者に売ることで、税負担を避けつつ代金をもらうことができます。

権利者が複数いることで起こりうるトラブルにも関わらなくて済むので、不動産の管理を面倒に思っている人にはおすすめの方法です。

ただ、この方法は共有者が2人の場合は有効ですが、それ以上になると買ってくれないことも多いです。

3分の1の持ち分を他の共有者に売り2分の1にしたところで、他の共有者にとってはあまりメリットがないからです。

夫婦で分担して購入した不動産を離婚後に売る場合などには有効です。

分筆して売る

不動産ならではの方法に、敷地を分担してしまうというものがあります。

こうすることで、分割された不動産はそれぞれの単独名義となるので、売却しようが保有し続けようが自由になります。

共有者の意見がなかなかまとまらないときに有効な方法です。

ただ、分割の仕方は道路の接し方などによって方法が異なり、持ち分が大きい人から順に面積の広い不動産をもらえるというわけではありません。

また、分割をするためには測量、境界測定や所有権の移転登記が必要になるので、出費をまた、どう分割するのかという問題も発生してしまいます。

なお、売却の際に仲介業者を利用するなら、あらかじめ共同名義の不動産を扱った経験がある業者を探すのがおすすめです。

2017.06.07
不動産売却は仲介業者選びが何よりも重要ですが、手続きが複雑なので、特に重要になります。選び方としては相場をまず調べた上で具体的な目標額を設定することをおすすめします。

共有不動産の売却益は持ち分割合に応じて分割

共有不動産の売却で得た利益は、持ち分の割合に応じて分割するようになります。

例えば、3人の持ち分割合がA:50%、B:25%、C:25%の物件が2,000万円で売れた場合、売却代金は以下のように分割されます。

  • A:1,000万円
  • B:500万円
  • C:500万円

持ち分割合を無視して代金を分割すると贈与税が発生するので注意

持ち分割合に応じて売却代金を分するのは、共有不動産を売却する際の基本的なルールです。

ただ、例えば持ち分割合がA:50%、B:25%、C:25%ではあるけど、Cのおかげで高く売れたので売却代金の割り振りをA:25%、B:25%、C:50%に変えたとします。

Cにとっては嬉しい話ですが、税務署はAがCに25%分のお金を譲渡したとみなし、贈与税が発生してしまいます。

このように、持ち分割合を無視して取り分を設定すると大きなトラブルに巻き込まれかねないので注意しましょう。

持ち分割合が大きいと発言権も大きくなる

このように、持ち分割合が大きいほど、その不動産に関する決定権も大きくなります。

自分の持ち分は少ないけど売却したい場合は、このリスクを事前に想定しておきましょう。

逆に持ち分割合の大きい所有者が売却を迫ってきても、1人が反対をすれば売ることはできません。

決定権は持ち分の大小にかかわらず、全ての所有者が持っています。

共有不動産の売却が難しい理由

共有不動産の売却は、単独名義の不動産よりも難しくなります。

その理由は、共有名義人同士の合意形成が取りにくいためです。

まず、共有不動産を売るには名義人全員の合意を得たうちに、それぞれ書類を提出する必要があります。

売却を希望する方にとっては、まずこれが第一のハードルとなります。

いざ売り出した後も、所有者の数が多くなれば、内輪でもめ事が起こる可能性が高くなります。

購入希望者も所有者それぞれの話していることが違ったりすると、購入が不安になってしまいます。

こうした不安も売却の成功率を下げるリスクになってしまいます。

権限を代表者に集中させるのがおすすめ

共有名義人の合意を得られた後は、できるだけ単独名義の不動産売却と同じように売ることが大切です。

名義人それぞれが意思をもってあれやこれやと口出しをすると、作業が前に進みませんし購入希望者も混乱してしまいます。

また、それぞれが勝手に手続きをおこなえばトラブルのもとになります。

売却が決まったら代表者を一人たてて、手続きや連絡の窓口を全て任せましょう。

そうすることで、通常通りの不動産売却ができます。

売れない共有不動産の持ち分を放棄する方法

共有不動産がどうしても売れない場合は、その不動産の持ち分(権利)を放棄することもできます。

単独名義の場合は所有している不動産の所有権を放棄することはできませんが、共有持ち分の放棄は民法でも認めており、意思表示をすれば放棄可能です。

放棄された持ち分は他の所有者のものになるので、彼らにとってもメリットがあります。

このまま所有することにリスクを感じる場合は、持ち分を移転させることで費用の支払いや管理責任も放棄することができます。

持ち分放棄の登記が必要

共有持ち分を手放すには、持ち分放棄の登記という手続きが必要になります。

持ち分放棄の登記をおこなう場合は他の名義人の立ち合いも必要になってくるので注意しましょう。

持ち分放棄の登記がおこなわれた後、放棄した持ち分は割合に従って他の所有者に帰属されます。

例えば3人の持ち分割合がA:50%、B:25%、C:25%の場合、Cが放棄した後の持ち分割合は以下のようになります。

  • A:58.3%
  • B:41.7%

贈与税がかかるケース

不要だから持ち分を放棄するという行為は単独の作業ですが、実際は他の所有者に権利を分け合っているので、贈与とみなされて贈与税が発生する可能性もあります。

贈与かどうかは、その物件の価値や関係性、放棄した持ち分の割合などが関係してきます。

贈与税が発生する場合は一度税理士などに相談しておくことをおすすめします。

共同不動産の売却で税金・手数料が課される仕組み

共同不動産の売却でも、通常の不動産売却と同じく以下の税金・費用が発生します。

  • 仲介手数料
  • 印紙税
  • 登録免許税
  • 譲渡所得税

この、共同不動産の売却でかかる税金・手数料も持ち分割合に応じて課されます。

例えば仲介手数料は、売却代金に応じて以下のように金額を計算します。

取引額 仲介手数料(法定の上限額)
200万円以下 売却額×5%
200万円超400万円以下 売却額×4%+2万円
400万円超 売却額×3%+6万円

2,000万円で売れたマンションの持ち分割合がA:50%、B:25%、C:25%の場合、まず持ち分割合に応じて代金を以下のように分割します。

  • A:1,000万円
  • B:500万円
  • C:500万円

その後、上の式にあてはめて仲介手数料を計算していきます。

  • A:1,000万円×3%+6万円=36万円
  • B:500万円×3%+6万円=21万円
  • C:500万円×3%+6万円=21万円

持ち分割合の高い人は代金を多く得られますが、その分だけ高額な税金を納付する義務も発生するのです。

共有名義の不動産売却時の注意点

不動産を所有する人全員に固定資産税や都市計画税が課されます。

不要な相続物件は持っているだけで費用がかさむので、なるべく早く処分してしまいましょう。

特にマイホーム(土地+建物)を夫婦や兄弟間で共有している場合は、トラブルが起きやすいので注意が必要です。

ただ、権利を共有している分、売却できたとしても、その費用や代金を巡ってトラブルが起こりやすくなっています。

ここからは、共有名義の不動産を売るときにおこりやすいトラブルと対処法を紹介します。

共有不動産のリスクを売却によって回避しよう

夫婦で共有している不動産の売却取り決めは早いうちにおこなう

共働き夫婦の数は年々増えてきており、新居の購入や住宅ローンの申し込みの費用を2人で分けて支払うケースも多くなっています。

ただ、夫婦の負担額をきっちり半分ずつに分けて支払っていたのであれば共同で所有しているという意識を持ちやすいですが、夫の負担が9割で妻の負担が1割でローンを組んだ場合にも、夫婦の共同所有となってしまうので注意が必要です。

共同所有のまま売り出しても手続きさえしっかりすればトラブルは起きませんが、離婚後に売却する場合は、夫婦の意見が一致している必要があるので、なるべく離婚協議中に家の取り扱い方を決めておくことをおすすめします。

相続人で共有している不動産の処分について生前から話し合おう

二世帯住宅を売却する場合は特に、トラブルが起こりやすいといわれています。

例えば、兄弟のうち一人が親と一緒に住み、最後まで介護をしていたので、他の兄弟よりも多くの取り分を要求したというケースや、逆に県外で世帯を持っている兄弟が、親と同居していた一人に単独相続されたことに異議を唱えるというケースもあります。

こうしたトラブルを避けるために、生前のうちから兄弟同士で話し合う、司法書士を立てて効力のある遺言書を作っておくという対策が必要になります。

共有名義状態は共有物分割訴訟で強制的に解消可能

共有名義の不動産の取り扱いについて、他の共有者と話し合っても一向に解決できないケースがあります。

この場合は、裁判所に事態を解決してもらう必要があります。

共有物分割訴訟では、以下の3種類の分割方法のうち、いずれかで決定されます。

  • 現物分割
  • 全面的価格賠償
  • 競売手続き

それぞれ見ていきましょう。

現物分割

現物分割とは、共有状態が原因でトラブルが起こっている土地を強制的に分筆し、共有者をそれぞれ割り当てることで共有を解消する方法です。

最も広く一般的に行われている分割方法で、トラブル解決の他にも平和的な遺産相続のために用いられることが多いです。

全面的価格賠償

共有物について、特定の共有名義人が全ての所有権を取得した上で、他の名義人に対して代償金を支払う方法です。

特定の一人が不動産を取得した後は、その人の権限で自由に利用・処分ができるようになります。

競売手続き

共有名義の一人が破産手続きをする場合、不動産が競売にかけられて債権者へ分配されます。

共有名義の場合もこの流れは基本的に変わらないので、他の2つの方法が出来ないか確認をし、不可能な場合は競売にかけられます。

共有名義の不動産売却では揉め事が起こりがち

夫婦の離婚で家を売却する場合は、感情論でぶつかってしまい答えがでないことが多いです。

このような状態に陥ってしまったら当人同士が話し合っても解決しないので、弁護士に相談をして法的な解決策を考えていきましょう。

一方、相続によって共同所有となった場合は法律で解決することが難しく、時間が経つほど家族間の亀裂が広がってしまいます。

こうした状況に陥ってしまわないためにも、敢えて身を引く、第三者にそれぞれの主張を聞いてもらうといった方法をとることをおすすめします。

出来るだけ高く売ることがトラブル回避に繋がる

共同名義の家を売るときは所有者間がギスギスしていることが多いですが、それによって最も嫌な思いをするのは物件を買う人です。

せっかく良い物件を見つけて新居にしようと思っていたのに、前の所有者の仲が悪かったら「のちのち自分もトラブルに巻き込まれるのではないか・・・」と考えて、購入を避けることも十分あり得ます。

物件は売り出したら商品として扱われるので、一度売ると決めたら、人間関係は置いといて高額での売却を目指し積極的な活動をおこなっていきましょう。

家を高く売る方法!売却の基礎知識・手順から節税・手数料値下げのポイント解説
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