
分譲マンションを売るか貸すか迷った方必見!どちらがお得か判断するポイント
いらない分譲マンションを売るか貸すか、多くの人が悩んでいることと思います。
世の中には「売る/貸すのが絶対にお得!」なんて記事も見かけますが、どちらが100%お得ということは物件の状態や時期が異なるので一概には言えません。
では、どんなことに気を付けて処分をすれば良いのでしょうか?
今回は売却と賃貸それぞれのメリット・デメリットと、どんな部分に注意すれば良いのか説明していきます。
→分譲マンションを売るコツ!売却相場はいくら?ローンが残っていても売れる?
- 売却と賃貸はどっちがおすすめ?フローチャートをチェック!
- 分譲マンションを売るメリット・デメリット
- 分譲マンションを売る際はローン残高に注意しよう
- 分譲マンションを賃貸に出すメリット・デメリット
- 分譲マンションを賃貸に出す際の4つの注意点
- 売却と賃貸はどっちがお得?費用・労力・かかる時間で比較
- 持ち主の事情・マンションの状態ごとにおすすめの方法を解説
- 分譲マンションを売るか貸すか迷ったらPERと実質利回りも参考にしよう
- 【第3の選択肢】損を覚悟で空き部屋のまま所有する
- 【第4の選択肢】期間サブリースやリロケーションを活用する
- 賃貸で収益を出すのは難しい!目標・期間をしっかり決めておこなおう
- 一括査定サイトで分譲マンションの価値を査定しよう
売却と賃貸はどっちがおすすめ?フローチャートをチェック!
分譲マンションを今後どうすれば良いか迷ったら、こちらのフローチャートをチェックしましょう。
基本的には、また住む予定のある方が賃貸、それ以外の方には売却を進めています。
賃貸経営は難しいので、初心者が手を出しても簡単に収益は上げられません。
売り払ってしまえば、その後の税金・費用をカットすることも出来るので一石二鳥です。
それでも、不労所得生活に憧れており、どうしてもやってみたいという方はチャレンジする余地があるでしょう。
何も決まってない時は住宅ローンの残高で売るか貸すかを決める
どちらも魅力を感じており決め兼ねているという方は、住宅ローンが残っているかどうかを判断のポイントにしても良いでしょう。
住宅ローンが残っていないか、残債が少額なのであれば、売却がおすすめです。売る際は住宅ローンを一括返済しなければいけないので、手取り額が少なくなってしまいます。
逆にローンが残っているなら、賃料収益を得ながら少しずつ返していくほうがお得です。
分譲マンションを売るメリット・デメリット
転勤や離婚などで今まで住んでいた分譲マンションが不要になったら、まず思い着くのが売り払ってしまう方法です。
自分で買った物件を売ってしまうのは少し寂しい気もしますが、早目に対応することでリスクを最小限に抑えることができるのです。
ここからは、分譲マンションを売るメリット・デメリットを解説していきます。
分譲マンション売却のメリット
売却のメリットは、まず物件を運用する責任を放棄することができるという点にあります。
持ち物件を所有するだけでかかるのが固定資産税です。固定資産税は築年数の経過によって金額が下がっていきますが、それでも納税を避けることはできません。
更に、管理費やリフォーム代も物件を維持するためには必要になります。
加えて、老後は持ち家を死後どうするか考えていかなければいけません。相続か贈与か、税金はどうするのかなも自分自身で戦略を練る必要があるのです。
早目に売ってしまえば、税金の支払いも今後の面倒な手続きも全て回避することができるのです。
まとまったお金を手に入れることができる
今後もう少し広く立地の良い家に住み替えたいという方は、売却のほうがおすすめです。
不動産会社に査定依頼をすれば大体いくらで売れるか検討が付くので、資金計画も立てやすいのです。
目星の付くまとまったお金を手に入れるなら、売却をおすすめします。
分譲マンション売却のデメリット
次に、分譲マンションを売るデメリットを説明します。
売れるまで時間がかかる
分譲マンションを売りに出すと、成約までに時間がかなりかかってしまいます。
不動産会社に査定を依頼し始めてから売れるまでの期間は、平均で3~6か月ほどと言われています。
ただこれは期間の相場で、実際は1年経っても売れないということもあり得ます。
相手あってのことなので、いつ成約するかの予測が付きにくいというのが売却の難点です。
譲渡所得税がかかる
分譲マンションの売却価格が購入時の価格を超える場合、譲渡所得税がかかります。
譲渡所得税は、以下の計算式で求めることができます。
譲渡所得税=税率×{譲渡価格-(取得費+売却費用) }
税率は所有期間が5年以内(短期)か5年超(長期)かによって変わってきます。
【短期譲渡所得】 | 【長期譲渡所得】 | |
---|---|---|
所得税 | 30% | 15% |
住民税 | 15% | 5% |
マンションは購入時から年々劣化するので売却価格>購入費用となるケースはあまりないですが、2020年前は地価が高騰していることもあり、税金がかかってしまう可能性はいつもより高いです。
仲介手数料がかかる
物件を売る際は、販売活動を不動産会社に任せる「仲介売却」という方法をとることが多いです。
この時にかかるのが仲介手数料という、成約時に報酬として支払う費用です。
この費用は、売却価格によって以下のように決まっています。
取引額 | 仲介手数料(法定の上限額) |
---|---|
200万円以下 | 売却額×5% |
200万円超400万円以下 | 売却額×4%+2万円 |
400万円超 | 売却額×3%+6万円 |
分譲マンションを1,000万円で売った場合、仲介手数料は1,000万円×3%+6万円=36万円となります。
非常に高額ですが、値引きをする方法もあります。こちらにまとめているので参考にしてください。
→仲介手数料は半額まで値切れる!値引き交渉のテクニック3選分譲マンションを売る際はローン残高に注意しよう
売却をする際は、まず住宅ローンの残高を確認しなければいけません。ローンが残ったまま売りに出してもOKですが、引き渡し前には必ず完済しなければいけないからです。
ローンの返済は新しい居住者に引き継がせることはできません。また、住宅ローンを借りると住まいが担保になり、抵当権というものが付きます。
これはローンが払えないときに物件を差し押さえて競売できるというものなので、引き渡し前に取り外さないとトラブルが起きてしまいます。
売却を選ぶ際は、ローンが返済できるかしっかり考える必要があります。
一括返済手数料が追加でかかるので要注意
残ったローンは、引き渡し前に一括返済をします。
ただ、この時に支払うのはローン残高だけではありません。それぞれの金融機関は一括返済手数料を定めており、こちらも合わせて支払わないといけません。
【主要銀行住宅ローンの一括返済にかかる手数料】
金融機関 | 一括返済手数料 |
---|---|
ARUHI | 0円 |
イオン銀行 | 5万4000円 |
じぶん銀行 | 3万2400円(変動金利:0円) |
新生銀行 | 0円 |
住信SBIネット銀行 | 3万2400円(変動金利:0円) |
ソニー銀行 | 0円 |
楽天銀行 | 0円 |
みずほ銀行 | 3万2,400円 |
三井住友銀行 | 5400円 |
三菱UFJ銀行 | 1万800円 |
りそな銀行 | 1万800円 |
三菱UFJ信託銀行 | 3万2,400円 |
優良住宅ローン | 0円 |
カブドットコム証券 | 1万800円 |
このように、かかる手数料は金融機関によって異なります。また、返済期間が残り少ないと手数料の金額が変わることもあります。
細かい手数料は個別に聞いてみないとわからないので、必ずローンを借りている金融機関に連絡して確認しましょう。
賃貸もローンが残る場合はできないことがある
賃貸は売却と違い、ローンが残っていても出来ることは多いです。
ただ、これは契約次第です。例えば住宅ローンを借りる際に目的を「自宅購入のため」としていれば、名義人以外が住むと契約違反になり兼ねません。
この場合は、一括返済をしてから賃貸に出すしかありません。
分譲マンションを賃貸に出すメリット・デメリット
分譲マンションを手放さず、賃貸に出すこともできます。
特に最近は不動産業界が好況ということもあり、マンションの賃貸経営人気が増加しています。
ブログで成功者の体験談を良く目にし、「不労所得で生活なんて憧れる!」という方も多いでしょう。
しかし、賃貸経営も良いところばかりではありません。ここからは、中古マンションを賃貸に出すメリット・デメリットを解説していきます。
分譲マンションを賃貸に出すメリット
賃貸のメリットは、以下の2つです。
長期的な安定収入を見込める
分譲マンションなら、ほぼノーリスクで賃貸に出すことが出来ます。
賃貸を始めてからずっと部屋が埋まっていたとしたら、初期投資を回収するまで平均10年弱、早ければ5年前後で収益はプラスになります。
利益が出るまである程度時間がかかりますが、一度住人が入れば2年は出ていかないので、毎月収益を計算できるのが強みです。
せっかく買った家を手放さなくて良い
家というのは重要な資産で、いざという時に担保にして大口ローンを借りたりもできます。
子どもに家という財産を残してあげられるのも、親としては嬉しいですよね。
今後、万が一リストラなどで無職になったりした時に、高額資産が手元にあると助かります。売ってしまったらもう手元に戻らないので、手放したくない方は賃貸に出すのをおすすめします。
分譲マンションを賃貸に出すデメリット
ここからは、分譲マンションを賃貸に出すデメリットを紹介します。
初期投資(購入費用)すら回収できないこともある
多くの人は賃貸経営の利回りを、貸してすぐに満室になると楽観視して計算しています。
しかし、そもそも分譲マンションが埋まるという保証はありません。都市部には新築タワーマンションがどんどん出来ており、比較的安値で入居できます。
築古の分譲マンションはどんどん入居率が下がっているため、利回りを計算する際は厳しく見積もる必要があります。
入居率が悪ければ広告の出稿を依頼する必要があるため、運営コストが多くかかってきます。賃貸経営で絶対成果を出すという自信がなければ、黒字を出すのは難しいです。
大事に使ってくれる保証はない
賃貸に出しても持ち主はあなたのままですが、実際に利用するのは入居者です。
あなたが管理人として「大事に使ってください」と口を酸っぱく言っても、2年住めば壁の剥がれやフローリングのキズは避けられません。
最悪の場合、火災などが起きるリスクもあります。
売ってしまえば、その後に住人がトラブルを起こしても関係ないですが、部屋の実質的な責任者である以上、近隣トラブルがあれば貸主に責任が及ぶ可能性もあります。
住む人の収入条件を決めることはできても、会った時の印象で入居を拒否するのは難しいです。入居者を選べないというのは、賃貸の大きなデメリットでしょう。
家賃をおとなしく払ってくれる保証さえない
もっと言えば、入居者が毎月期限を守って家賃を払ってくれる保証すらありません。
オーナーや管理会社が滞納時にガツンと言わないと、払わなくても何とかなると思われて常習的に滞納するようになります。
追い出そうにも、一度審査に通した人は無理やり退去させることができません。入居審査で人柄を見抜く力、いざという時は厳しく対応する度胸も賃貸経営には必要があるのです。
今まで住んでいた分譲マンションを貸し出す際は二重ローンに注意
住宅ローン返済中でも分譲マンションを賃貸に出すことはできます。
しかし、賃貸に出した後に、住み替え先をローンを組んで購入する際は、二重ローンとなり審査に通りにくくなります。
2箇所から住宅ローンを借りると負担が大きくなるので、完済できないリスクが大きくなります。借り逃げを避けるためにも、二重ローンの審査は厳しくなるのです。
ローンが支払えないと金融機関はマンションを差し押さえて強制的に競売にかけることもできるので、所有者にとっても二重ローンはデメリットです。
二重ローンになる場合、まず重要なのが申込者の収入です。余裕でどちらも返済できるようなら、審査に通る可能性は高いです。
信用情報のクリーンさも重要です。
既に住宅ローンを1件借りているのに、他にカードローンなどを借りていれば多重債務になり審査には落ちやすくなります。
また、過去に借金やクレカの利用延滞があれば、更に審査に通りにくくなります。
住宅ローンは2つ以上同時に借りないことをおすすめします。
賃貸に向いているマンションの特徴とは?
賃貸に向いているマンションの特徴は、まず一人暮らし向けのものです。
大きなリビングと家族のための寝室があるファミリータイプ物件は、賃貸で住む人が非常に少ないです。これは、家族のいる層は一定以上の貯蓄があるので、賃貸に住むより中古を購入するか一戸建てを新築するという選択をするからです。
また、駅が近いのも前提になります。最寄駅までバスで20分かかるような物件だと、なかなか入居者が現れません。
ワンルームなどでも、賃料を低く設定すればアクセス次第ですぐに希望者が現れます。
50㎡以下の適度な広さが人気
部屋を賃貸に出す場合、広すぎると借主はなかなか付きません。
これは、毎月高額の家賃を支払うよりも買ってしまうほうがお得だとほとんどの人が思うからです。
実際、2人暮らしの夫婦などに一番人気があるのは40㎡くらいの2DKタイプになっています。
賃貸に出すには広すぎても、面積が大きければその分売れば高値が付くので、売却してしまうことをおすすめします。
リフォーム代がかかりそうなら売るほうがお得
賃貸に出すのであれば、今よりも多少キレイにしなければいけません。
この時、フローリングや壁に大きなキズ、凹みがあれば高額のリフォーム代が必要になってしまいます。
一方、売却は基本的にリフォームをせず、そのまま引き渡してもOKです。これは中古住宅を住まいとして利用する場合、勝手に知らない人にリフォームされるよりも、自分のプランでリフォームしたい人が多いからです。
賃貸に出すならリフォーム代はいくら必要か、またそれを出せるだけの自己資金はあるのかも、売るか賃貸に出すかを見極める判断材料の1つです。
分譲マンションを賃貸に出す際の4つの注意点
分譲マンションを賃貸に出す際には、4つの注意点があります。
それぞれの注意点を見ていきましょう。
①ローンが残っていると賃貸に出せないこともある
賃貸は売却と違い、ローンが残っていても出来ることは多いです。
ただ、これは契約次第です。例えば住宅ローンを借りる際に目的を「自宅購入のため」としていれば、名義人以外が住むと契約違反になり兼ねません。
この場合は、一括返済をしてから賃貸に出すしかありません。
②管理者が別にいるときは承諾が必要
分譲マンションを賃貸に出す場合は、おおもとの管理者に許可を取る必要があります。
また、あなたが建物全体の権利者だったとしても、敷地の持ち主が違う場合は賃貸に出すことができません。
権利が絡み合い複雑な場合は、賃貸に出すため承諾料を支払う必要があるケースもあります。
契約書の内容をまずは確認しよう
住宅ローンの契約がどうなっていたかは、契約時の書類に書いてあります。賃貸に出す前に、まずここを確認しましょう。
その中に住宅の使用目的が変更されたらローン利用はどうなるかの内容が記載されていると思います。
ただ、具体的に用途変更でどんな罰則があるのか書いていなくても、「契約内容に背く場合、貸出を中断」など、遠回しで罰則が規定されていることもあるので注意しましょう。
素直に相談すれば意外と聞いてくれる
厳しい契約を交わしても、サラリーマンには転勤が付き物なので、同じ物件に名義人が住み続けられないケースは多々あります。
金融機関もこれを分かっているので、「転勤の期間だけ賃貸に出して、戻ってきたら再度住みたい」という要望も柔軟に対応してくれることが多いです。
また、金融機関に相談せず勝手に貸し出してしまう人も多いですが、バレてもそこで契約打ち切りということはなく、話し合いをした上で良い方法を決めるようになります。
③入居者が来ないとコストが高額になる
賃貸経営をはじめてから入居者を募集するので、部屋が埋まるのは早くても3ヶ月、遅ければいつまでも埋まらないかもしれません。
せっかく入居者が来たと思っても、1年もしないうちに引っ越されるリスクもあります。この時にキズや凹みがあったりすると、リフォーム費用がかかってしまい、更に空室期間が長引いてしまいます。
このリスクが怖いのであれば、売ってしまったほうが良いです。
④アパートローンに借り換えると金利が高くなる
住宅ローンは一般的に、お住まいとして使う家を担保にして借ります。
住宅ローンを借りてるままでは物件を貸し出せないので、収益物件専用のアパートローンに借り換えます。
この時、金利が1、2%ほど高くなるのが一般的です。
たかが1、2%と思うかもしれませんが、30年ローンなら総返済額が1000万円近く変わってきます。
借り換え時は、なるべく低金利のアパートローンを選ぶようにしましょう。
売却と賃貸はどっちがお得?費用・労力・かかる時間で比較
ここまで売却と賃貸のメリット・デメリットと手続きの流れを紹介しましたが、結局のところどちらがお得かわかりにくいですよね。
そこでここからは、売却と賃貸の内容をより詳しく比較していきます。
比較する項目は、こちらの3つです。
- かかる費用
- 収益を得るまでに使う労力
- 収益を得るまでにかかる時間
賃貸に出す際は固定資産税に注意
まず、売却と賃貸の費用を比較していきます。
売却の場合は、ある程度かかる費用が決まっています。
- 仲介手数料
- 印紙税
- 譲渡所得税
- その他諸費用(ハウスクリーニング代など)
もし譲渡所得税がかかった場合、一般的な分譲マンションにかかる費用はトータル200万円~300万円ほどです。
一方、賃貸には初期費用がかかりませんが、所有している限り固定資産税がかかります。
固定資産税は以下の式で計算できます。
課税標準額×税率
固定資産税は一戸建てなら土地・建物の両方にかかりますが、分譲マンションなら建物のみなので30~10万円くらいが相場でしょうか。
更に、賃貸の場合は管理費がかかります。入居者が定着すればプラス経営は見込めますが、1室を貸し出すのであれば副収入としては微々たるものでしょう。
所有している分譲マンションをもう使わない場合は売却してしまうほうが費用面ではお得です。賃貸経営は転勤で一旦住まいを離れるという方など以外は、費用面で損をしてしまうでしょう。
どちらが簡単かは物件内容によって異なる
売却と賃貸のどちらが楽かに関しては、物件の立地や広さ・間取り、更にタイミングによっても異なるので、一概には言えません。
売却は取引が成立すれば税負担や管理の責任が全てなくなる分楽ではありますが、良い物件も運が悪くて売れ残るケースは多々あります。
一方、賃貸経営は最初のうちは副収入が入ってくる喜びもありますが、時間が経ってくるとタイムリミットに向けてどうお金のやりくりをするか、いつ売り払うかを常に考えなければならず、ストレスが溜まります。
また、初心者がいきなり不動産投資を始めると、分からないことだらけで先行きを不安に感じてしまうことも多いです。まずは小口の投資で知識を得てからが良いでしょう。
収益化までにかかる時間は同じくらい
分譲マンションを売りに出してから成約までは平均3~6ヶ月です。
一方、賃貸経営の場合はいつ入居者が入るかわかりませんが、平均期間を考えれば大体同じくらいの時間になるでしょう。
ただ、売却は成約すれば数千万円のまとまった金額が手に入るのに対し、賃貸は毎月の賃料収益を毎月続けていくというイメージなので、その後の行動が全く異なります。その点は注意が必要です。
数字面で詳しく検証!2LDK分譲マンションを売る場合と賃貸に出す場合を比較
ここからは、分譲マンションを売った場合と賃貸に出した場合をもっと具体的に比較してみましょう。
例に挙げるのは、築20年の分譲マンション。間取りは2LDKです。
このマンションの売却価格を、一般的な価格である3000万円とします。
この時、売却にかかる費用・税金は以下の通りとします。
- 仲介手数料:96万円
- 印紙税:1万円
- 抵当権抹消登記・司法書士への報酬:1万5千円
- ハウスクリーニング費用:7万円
- 合計:105万5千円
つまり、手取額は2984万5千円です。
一方、賃貸に出した場合の費用は以下の通りとします。
- 家賃相場:8万5千円
- リフォーム費用:250万円
- 賃貸業者への手数料:8万5千円
- 火災保険料:20万円(120ヶ月で分割)
- 管理費・修繕積立金:月1万円
- 固定資産税:年間18万円ほど
部屋が埋まってから1年間の収益は、約63万4810円となります。
2年目以降の収益は、約71万9810円。10年間の総収益は大体711万3100円となります。
10年間経っても、売却時の4分の1以下にしかならないのがわかりますね。
持ち主の事情・マンションの状態ごとにおすすめの方法を解説
ここまで、売却と賃貸のメリット・デメリットをそれぞれ紹介しましたが、どっちがお得かはマンションの状況やあなたの目的によります。
ここからは、ケース別に売却と賃貸のどちらがおすすめか解説していきます!
住宅ローンが残っている場合は売却がおすすめ
住宅ローンが残っている分譲マンションは、売却のほうがお得です。
賃貸収益を月々の返済に充てるのは難しいです。住宅ローンの返済期間は10年以上の長期に渡ることが多く、その間入居者の減少が全くないというのは考えられません。
であれば、売却でまとまった金額を手元に入れ、一括で完済するほうが利息もかからずお得です。
➝ローンが残ってる分譲マンションも売却できる!残高を精算出来なかったらどうなる?
立地の悪い分譲マンションも売ってしまうのがおすすめ
立地環境が悪い分譲マンションは、賃貸ではなく早めに売ってしまうのがおすすめです。
今後、開発などで環境が整備されるのであれば話は別ですが、基本的には築年数の経過で今よりも価値はどんどん下がります。
最寄り駅まで徒歩15分以上かかる、主要都市まで乗り換えが2回以上必要という場合は、賃貸に出すよりも売ってしまうほうが良いです。
物件をいずれ手元に戻したいなら賃貸がおすすめ
分譲マンションを売ってしまうと、手元に戻ることはありません。
不動産は価値のある資産なので、手元に置いておくだけで良いことがあります。
例えば、万が一リストラや入院でまとまったお金が必要になった場合、不動産を担保にすることで大口ローン(不動産担保ローン)を借りることができます。
何より、住まいを子どもに残すことができるというのは親として魅力ですよね。
今は不要でも今後必要になるかも知れないという方は、賃貸をおすすめします。
賃貸経営なら分譲マンション所有者は変わらないので、いずれ手元に戻すことも、売りに出すこともできます。
ただ、いざ所有者に出ていってもらおうとしても、こちらに正当な理由がなければ強制立ち退きさせることはできません。それでも立ち退いてほしいのであれば、立ち退き料が必要になります。ちなみに、立ち退き料はこのどちらかの金額になるのが一般的です。
- 新居の入居にかかる費用全額(保証金・敷金礼金・仲介手数料など)
- 家賃の半年~1年分
投資でお金を稼ぎたい方には賃貸がおすすめ
賃貸経営が成功すれば、莫大な臨時収入が手元に入ります。
規模を拡大していけば、いずれ仕事をしなくても生活できるようになる可能性は十分ありますよね。
いらない分譲マンションを持っているなんてケースは普通の人はなかなかありません。見方を変えれば、賃貸経営を成功させるチャンスとも言えますよね。
賃貸経営には多数のリスクがありますが、それでも挑戦したい!という方には賃貸に出すことをおすすめします。
※ここまで読んでもどちらか悩むという方は、PERや実質利回りという指標を使って決めるのも一つの手です。2つの指標の計算方法は、こちらに分かりやすく解説しています!
→分譲マンションを売るか貸すか迷ったらPERと実質利回りを参考にしよう!分譲マンションを売るか貸すか迷ったらPERと実質利回りも参考にしよう
売却か賃貸か悩んでいる方の多くは、あまり不動産屋を利用した経験がない素人が多いと思います。
そのため、自分で「こっちが良さそう!」と判断するのではなく、確かな根拠を持って判断したいですよね。
そんなときに役立つのが、PERと実質利回りという2つの指標です。
この指標を使えば、「この物件自体が売却と賃貸どちら向きなのか」がはっきり分かるので、自分だけの判断で決めて失敗することが無くなります。
今回はこの2つの指標の計算方法について詳しくみていきます。
PERが20を下回ったら賃貸に出すのがおすすめ
売るか貸すか迷った時に、最初に見るべき指標がPERです。
PERは収益力を図る指標で、ある賃料で貸し出した時に、何年で購入価格を回収できるかを表しています。
PERは以下の計算式で求めることができます。
PER=購入価格÷(想定月間賃料×12)
例えば、1000万円で買った分譲マンションを月10万円で貸し出すとしましょう。
この時、PERは1000万円÷(10万円×12)=8.3333…となり、回収まで8年半弱かかることがわかります。
ちなみに、2017年発表された3大都市圏の平均PERはこちらです。
- 首都圏:24.49
- 近畿圏:22.21
- 中部圏:21.66
ただこれは新築物件を想定したもので、中古マンションの場合は築年数の経過も考慮しなければいけません。
また、20年の間、ずっと入居者がつく確証もありません。
中古物件の場合は、10~20くらいのPERが賃貸に出すには必要でしょう。
逆にPERが20以上の場合は売ることをおすすめします。
実質利回りの高い分譲マンションなら賃貸に出しても利益が見込める
投資の指標の1つとして利回りというものがあると知っている人は多いですが、それが具体的にどんなものか知っている人は少ないと思います。
利回りは、1年間で初期投資の何%を回収できるかの指標です。
実は、利回りには表面利回りと実質利回りの2種類があります。
- 表面利回り=年間想定賃料÷購入価格×100(%)
- 実質利回り=(年間想定賃料-物件運用時諸経費)÷(物件購入価格+物件購入時諸経費)×100(%)
実際に計算してみるとい、表面利回りと実質利回りでは数値に大きな差が出ます。
例えば、年間想定賃料100万円、運用時諸経費が20万円、購入価格3000万円、購入時諸経費が100万円の物件を例に計算をしてみましょう。
- 表面利回り=100万円÷3000万円×100(%)=3.333…%
- 実質利回り=(100万円-20万円)÷(3000万円+100万円)×100(%)=約2.6%
このように、数字が大分変わってきます。
通常「利回り」と表示されるパーセンテージは表面利回りですが、不動産売却では実質利回りのほうが重要となります。
計算方法をしっかり覚えておきましょう。
郊外の分譲マンションを貸すなら実質利回り10%以上は必要
求められる利回りは、立地が悪くなるほど高くなります。
なぜなら、立地が悪いほど入居者が付きにくく、空室期間が長引きがちだからです。
郊外の分譲マンションなら、最低でも実質利回りが10%以上ないと安定した賃貸経営は難しいでしょう。
もし利回りが低いなら、運用経費を減らすなどの工夫も必要になってきます。
【第3の選択肢】損を覚悟で空き部屋のまま所有する
せっかく買った分譲マンション。手放したくないけど、かと言って賃貸に出す自信もないという方は、空き部屋のまま所有するのも一つの手です。
売却か賃貸かで悩み、結局なし崩し的に空き部屋のままという方も意外と多いです。
誰も住んでいないので内装が傷つく心配が一切なく、入居者がご近所トラブルを起こすようなリスクもありません。
ただ、遠方の空き部屋を所有していると、それだけで多くのデメリットがあります。
- 高額な維持費用がかかる
- カビが発生するリスクがある
- 築年数が古くなって価値が下がる
- マンション内(管理組合)の役職が回ってくるかも知れない
- 修繕積立金が値上がりする可能性大
- 大規模修繕や建て替えの時期にバッティングする可能性がある
こうしたデメリットを下げるためには、以下で説明する2つの方法を使うのがおすすめです。
【第4の選択肢】期間サブリースやリロケーションを活用する
第4の選択肢として、期間サブリースやリロケーションという方法があります。
期間サブリース | 期間限定で不動産会社に貸し出す方法。その間の用途は自由 |
---|---|
リロケーション | 業者に賃貸の客付け・管理を全て依頼し、一部収益をもらう方法 |
収益性はサブリースの方が高いですが、利用できるのが人気のエリアに限られているのが難点です。
一般の方は、賃貸経営の嫌な手間を全てお任せできるリロケーションをおすすめします。
賃貸で収益を出すのは難しい!目標・期間をしっかり決めておこなおう
不動産投資で成功するのはかなり難しいですし、金融状況など自分ではどうにもならない要素が深くかかわってきます。
賃貸に出す場合は、年いくらの収益を出すのかという明確かつ現実的な目標を立て、それに向かって努力することが重要です。
また、貸し出す期間をしっかり定めることも大切です。築年数が経てば人気は下がるので、どの時点で切り上げるかというのも考えなければいけません。
期間を設定せずダラダラ賃貸に出しても、管理費や固定資産税がかかってしまうだけなので損です。
賃貸に出して失敗したら、早めに貸し出しを止めたり、売り払ったりする決断力も必要なのです。
賃貸に出しても住む人はいないかも…それでも貸す覚悟はある?
p>結局のところ、賃貸経営をする際に必要なのは持ち主の決断力だと思います。どんなに条件の良いマンションでも、タイミング次第では住み手が全く付かない可能性だって大いにあります。
それでも後悔せず、入居者が現れるのをじっと待てるかどうか、その覚悟はあるのかが重要になってきます。
もし、序盤で固定資産税や管理費などのコストが大きくなってしまい後悔しそうなら、素直に売却してしまうほうが良いでしょう。
初心者は定期借家契約がおすすめ
賃貸経営で初心者が陥りがちなのが、やめ時の見誤りです。
賃貸経営は、会社の1つのプロジェクトに似ています。コストはいくらで、いつまでに目標額いくらを達成するかを決め、達成したらそこで経営は一旦完了です。
その後もズルズル続けていくと、築年数が経って入居人数は減り、管理費などのコストがどんどん値上がりしていきます。しまいには収益が出費を超えるようになります。
賃貸経営が成功したら、頃合いを見て売ってしまうのが最もお得なのです。
やめ時の見極めは初心者には難しいので、定期借家契約という方法をおすすめしています。これは貸し出す期間を先に決め、満了したら入居者は退去が必要という契約です。
この契約を結べば立ち退き料を払わなくても良いですし、最初のプランを確実に実行できます。
「今はいらないけど今後相続したい」という方も、ただ空室のまま置いておき税金を払うよりも、試しに賃貸に出した方がお得です。この定期借家契約を上手に使って、経営失敗のリスクを減らしていきましょう。
一括査定サイトで分譲マンションの価値を査定しよう
分譲マンションを売るか貸すかで迷っているなら、まず査定をすることから始めましょう。
一括査定サイトを使えばスムーズに複数業者へ査定依頼できるので便利ですよ。
サイトの中には売却価格と賃料の2種類を査定できるものもあります。こうしたツールを効果的に使い、成功させましょう!
※一括査定サイトの使い方はこちらにまとめてあります。
→不動産一括査定サイト33社を比較!2018年おすすめランキング