
家の売却でかかる税金には3,000万円特例控除を活用しよう!使わないと損する特例控除の内容・適用条件
家を売った時に売却益が購入費用を上回ると、譲渡所得税という税金が発生します。
→家を売る時にかかる税金をわかりやすく解説!計算方法・節税対策
譲渡所得税は非常に高額な負担となることが多く、せっかく高く売れたのに結果として損をしてしまいます。
今回は、家を売って譲渡所得税が発生した時に使える特例控除をまとめて紹介していきます。税負担が不安な方は、この記事を参考にしながら自信を持って家売却に挑みましょう!
→【完全版】家を売る方法を徹底解説!売却手続きの流れと損をしない極意
家を売って利益が出ると譲渡所得税が発生する
まず、譲渡所得税というのがどんな税金なのか詳しく解説していきます。
譲渡所得税は所得税と住民税にそれぞれ上乗せされるという形で課税されます。
→不動産売却後も税金が!譲渡所得税の仕組みと注意点ちなみに、計算式は以下の通りです。
譲渡所得税=税率×{譲渡価格-(取得費+売却費用) }
次に税率ですが、こちらは家の所有期間が5年以下か5年超かによって以下のように変化します。
税金の種類 | 5年以下 | 5年超 |
---|---|---|
所得税 | 30% | 15% | 住民税 | 15% | 5% |
ちなみに、所有期間は取得日から引き渡し日までではなく、取得日から引き渡した年の1月1日までとなります。
ややこしいので注意しましょう。
家売却で税金が発生したら3,000万円特別控除を活用しよう!
家を売却した時に高いリスクとなるのが、譲渡所得税です。
どんな状況で売却したかにもよりますが、数百万円の税金が課されるケースも少なくありません。
これを一気に節税できるのが、3,000万円の特別控除です。
譲渡所得税は高額になりがちとは言え、課税額が3,000万円を超えるケースはほぼありません。
この控除を活用すれば、税金を確実に0にすることができます。
3,000万円特別控除の適用条件
3,000万円特別控除の主な適用条件は、こちらの6通りです。
- 自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること。なお、以前に住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
- 売った年の前年及び前々年にこの特例(「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例」によりこの特例の適用を受けている場合を除きます。)又はマイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていないこと。
- 売った年、その前年及び前々年にマイホームの買換えやマイホームの交換の特例の適用を受けていないこと。
- 売った家屋や敷地について、収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと。
- 災害によって滅失した家屋の場合は、その敷地を住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
- 売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと。
※引用:国税庁公式サイト
必要書類を揃えて確定申告をする必要がある
3,000万円特別控除を利用するには、まず確定申告が必要です。
確定申告は家を売却した翌年の2月16日~3月15日の間におこないます。
サラリーマンの方は確定申告の経験がない方がほとんどなので、手間取ることも多いと思います。
不動産売却時の基本的な確定申告のやり方はこちらにまとめているので、参考にしましょう。
→不動産売却時は確定申告が必要!必要書類の書き方を完全ガイド【決定版】
3,000万円特別控除を利用する際は、記入した確定申告書の他に、こちらの書類も添付する必要があります。
- 除票住民票
- 譲渡所得計算明細書
申告に必要な書類は全て国税庁の公式HPからダウンロードすることができます。
3,000万円特別控除と軽減税率で更に家売却時の税金がお得になる
詳しくは後述しますが、所有期間が10年以上の家を売る際は、軽減税率の特例が適用されて、譲渡所得税の税率が安くなります。
3,000万円特別控除は、こちらの軽減税率特例と併用して税金をより安くすることができます。
築50年を超えるリノベーション物件などは、購入当時の貨幣価値が低い分、売却価格が購入価格を大幅に超過する可能性があります。
このような場合でも、特別控除と軽減税率特例を併用すれば、確実に課税額を0にすることができます。
家売却で税金が発生した時に使える3つの特例控除
家を売却して税金が発生した時に利用できる特例・控除は、こちらの3つが一般的です。
- 3000万円特別控除
- 10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例
- 特定の居住用財産の買換え特例
まず、この3つの特例・控除の中のどれを利用するにしても、以下4つの条件のうち1つ以上を満たしていることが前提となります。
- 主として住んでいる自宅を売却すること
- 居住しなくなった日から3年後の年末までに売却すること
- 自宅を解体した場合はそれから1年以内に敷地の売買契約を結んだこと
- 配偶者が主として住んでいる家を売却すること(本人が単身赴任などの場合)
加えて、それぞれの特例・控除にはより細かい適用条件があります。それぞれ見ていきましょう。
①3000万円特別控除
3000万円特別控除は別名マイホーム特例とも呼ばれ、譲渡所得税の特別控除の中ではかなり代表的な制度です。
最大で3000万円もの控除を受けられるので、使うのと使わないのでは税負担にかなりの差が出ます。
また、3000万円特別控除は居住用財産なら所有期間の制限に縛られず適用されるのが大きなメリットです。
あなたの家が居住用財産の定義に当てはまるか、まずはチェックしてみましょう。
②軽減税率特例
譲渡所得税の税率は所有期間が5年を超えると下がりますが、更に10年を超えると税率がより低くなります。
譲渡所得(円) | 住民税の税率 | 所得税の税率 |
---|---|---|
6000万円以下 | 10% | 4% |
6000万円超 | (譲渡所得-6000万円)×15%+600万円 | (譲渡所得-6000万円)×5%+240万円 |
③買換え特例
現在の住居を売り、新居を購入(買換え)する場合に利用できるのが買換え特例です。
買換え特例を利用すると、新居の購入価格-売却価格の分だけ譲渡所得税を繰り延べることができます。
例えば、2000万円で家を売却し、それを元手に3000万円の新居を購入した場合は、差額の1000万円まで譲渡所得税を将来、新居を売却した時まで繰り延べることができるのです。
➝家の住み替え(買い替え)について解説!注意点と後悔しないためのポイントこちらの買換え特例は、以下がその適用条件となります。
所有期間が10年超のマイホームを売り、新居(建物50㎡以上、土地500㎡以下)を購入した場合
直近の支払いが免除になるのは嬉しいですが、繰り延べ額が高額すぎると数十年後に自分の首を絞めるかもしれないので十分注意しましょう。
家を売って損失が発生したら2つの税金控除が利用できる
売却益が出て譲渡所得税が発生した時には3つの税金控除を受けられますが、逆に売却損が出てしまった時も、こちらの2通りの特例控除を利用することができます。
- 居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
- 居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
長い名前ですが、上は買換え時に利用する特例、下はそれ以外のケースで利用する特例となり、内容自体は変わりません。
この特例控除を使えば、売却損を他の所得によって損益通算することができます。
例えば、所得500万円の人が2500万円の売却損を出してしまった時、上の特例を使えば以下のように控除できます。
売却してからの時間 | 所得 | 控除した結果 |
---|---|---|
売却した当年 | 500万円 | 2500万-500万=2000万円→課税0 |
2年目 | 500万円 | 2000万-500万=1500万円→課税0 |
3年目 | 500万円 | 1500万円-500万=1000万円→課税0 |
4年目 | 500万円 | 1000万-500万=500万円→課税:500万円 |
まず給与所得など、他のプラス所得と相殺し、それでも損失が残れば最大3年間は損失を繰り越すことが出来るのです。
➝不動産売却で損失が発生したら税金に注意!繰越控除特例で節税しよう
ちなみに、こちら2つの特例控除は所有期間が5年を超える居住用財産を売った時しか利用できないので注意しましょう。
家売却時に知っておくべきその他の特別控除
利用頻度は高くないですが、家売却時に利用できる税金の特別控除は他にもあります。
自分が条件に当てはまるか、利用できるかどうかをチェックしておきましょう!
被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
親などから相続された物件でも、3,000万円特別控除を受けられる特例です。
ただ、この特例を利用するには、以下2つの条件をクリアする必要があります。
- 昭和56年5月31日以前に建築さえた物件である
- 被相続人以外に同居人がいない
また、こちらの特例は令和5年(2023年)12月31日までの間に売却しないと適用されないので注意しましょう。
平成21年及び平成22年に取得した国内にある土地を譲渡した場合の1,000万円の特別控除の特例
平成21年、22年はリーマンショックの煽りを受けて、大きく景気が低迷しました。
その際に不動産市場を活性化させるために嗜好されたのがこちらの法律です。
このタイミングに購入した土地は、平成28年以降に売却する際は1,000万円の特別控除が受けられる仕組みです。
公共事業などのために土地建物を売った場合の5,000万円の特別控除の特例
家の売却は、自分の意志に反しておこなわれるケースもあります。
公共事業のために家を売却する際は、5,000万円の特別控除が受けられます。
なお、この特例には募集から半年以内に売却を申し出なければならないという決まりがあります。
特定土地区画整理事業などのために土地を売った場合の2,000万円の特別控除の特例
国・自治体がおこなう土地の区画整理によって家が売られた場合、2,000万円の特別控除を受けることができます。
特定住宅地造成事業などのために土地を売った場合の1,500万円の特別控除の特例
宅地の造成や収用事業のために家を売った場合、2,000万円の特別控除を受けられます。
税金の特例控除は併用できないケースが多い
ここまで計5つの税金控除を紹介しましたが、利用する際は一定の条件を満たしている必要があるので、十分注意しましょう。
また、2つ以上の特例の条件を満たしていたとしても、併用できないケースが多いです。例えば、3000万円特別控除と買換え特例は併用できないので、どちらがお得か見極める必要があります。
これは家の状況によって個別に異なるので、不動産会社にも相談してみましょう。
一方、3000万円特別控除と軽減税率特例は併用できるので、2つ合わせれば大きな節税効果が期待できます。
このように、特例の組み合わせ要件にも注意しておきましょう。
家の売却価格から税金を支払うのが理想的
家の売却で発生する税金は非常に高額なので、控除を使っても支払えるか不安という方が多いでしょう。
こうした不安を無くす最も良い方法は、家をできるだけ高く売ることです。
そもそも、税金は家の売却代金を越さないようになっているので、払えないということはまずありません。
しかし、例えば家を3000万円で売り、そのうち2000万円を新居購入に使うという場合は費用の支払いにあてられるのは1000万円以下となるので、払えないケースも出てきてしまいます。
もともと2000万円が必要なら、その分を除いても余裕で税金が払えるように、家を高く売る努力をしましょう。
査定額が3000万円の家なら1割高く売れたとしても、300万円もの余裕ができます。
家を高く売るコツはこちらにまとめているので、ぜひ参考にしてください!
高く売るには不動産会社選びが重要!
家を高く売りたい!と思っても、実際に営業や広告作成をするのは契約している仲介業者です。
そのため、高く売るためには、高く売ってくれる腕の良い業者と契約することが不可欠なのです。
良い業者を見つけるには、なるべく多くの不動産屋を比較することが大事ですが、これをスムーズにおこなえるおすすめサービスが一括査定サイトです。
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