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アパートの査定方法「収益還元法」は通常の不動産査定とどこが違う?収益物件の査定の仕組み・査定額の計算方法とポイント・注意点

【更新日】2020-11-13
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アパートの査定方法

アパートの査定方法は、一般的な不動産とは少しやり方が異なります。

アパートの査定時に使われるのは、収益還元法という方法です。

アパートの査定方法「収益還元法」の計算式
査定方法 計算式
直接還元法
  • 年間家賃収入÷※還元利回り×100
  • ※利回り(%)=年間家賃収入(円)÷初期投資(円)×100
DCF法 現在価値=(X年後の合計収益)÷(1+年間割引率のX乗)

今回は、アパートの査定方法「収益還元法」とはいったいどんな方法なのか、どこをチェックされるかなどを詳しく解説していきます。

損せずアパートを売るには?高く売却する方法と注意点

収益還元法はアパートの収益力に基づいて査定

収益還元法は、アパートの収益力に基づいて査定をおこないます。

アパートの収益とは、部屋を貸している住人から得られる家賃収入のことです。

この家賃収入が高ければ高いほど、査定も高額になる傾向にあります。

収益還元法は収益物件(投資物件)に用いられる査定方法

収益還元法はアパートだけでなく、貸家やビル、テナントなどにも広く使われる方法です。

一般的に不動産の価値は築年数や立地、間取りなどで決まりますが、こうした収益物件(投資物件)は実際に住む人よりも投資家がターゲットになります。

そのため、何よりも所有することで利益が得られるかどうかが重視されるのです。

収益還元法の計算には2つの方法がある

収益還元法には、以下の2つの計算方法があります。

  • 直接還元法
  • DCF法

ここからは、それぞれの計算方法を分かりやすく解説していきます。

直接還元法は1年間の収益を還元利回りで割り戻す

直接還元法の計算式

直接還元法では、一定期間の純利益(収益-経費)を還元利回りで割り、不動産の価格を求めます。

アパートの純利益とは、家賃収入から管理費などを差し引いた金額のことです。

将来的な家賃収入はあくまで想定なので、契約内容や築年数、空室の多さなどを参考にして求めます。

経費は一般的に年間の家賃収入の2、3割ほどなので、想定収益から引いていきます。

築年数の古いアパートほど経費は膨らむ傾向にあるので、厳しめに計算されます。

不動産会社にレントロール(家賃表)を提出すればそこから査定額を計算してくれますが、実際の家賃と違う場合もあるので、現在いくらで貸しているのかしっかり伝えるようにしましょう。

直接還元法の計算式

収益還元法の計算式は、以下の通りです。

年間家賃収入÷還元利回り×100

また、利回りは以下の式で計算できます。

利回り(%)=年間家賃収入(円)÷初期投資(円)×100

利回り(表面利回り)は、1年間の収益からアパート自体の価格を割って求めます。

たとえば、年間の収益が200万円と予想されるアパートそのものの査定額が2000万円の場合、利回りは10%となります。

想定利回りの相場は「HOME’S 不動産投資」で調べられる

利回りの相場がだいたいいくらかというのは、 HOME’S 不動産投資というサイトで調べることが出来ます。

HOME’S 不動産投資

このサイトを使えば、現在売り出し中の収益物件の利回りをほぼ全てチェックすることができます。

地域や不動産タイプで絞りこみ検索をすれば、大体の相場が分かるので、査定前に具体的なイメージをつかむために活用しましょう。

DCF法は予想収益と売却価格から現在の価値を割り引く

DCF法の計算式

DCFとは「ディスカウント キャッシュ フロー」の略であり、将来予想される収益と売却価格から現在の価値に割引、合計するという方法です。

将来の収益を考えるとき、1年後に200万円が得られるのと5年後に同額得られるのは、全く価値が違います。

まず、同じ額ならリスクを考慮して早めにもらって売るほうがお得でしょう。5年後に経済が破綻し、200万円の価値が相対的に下がっている可能性だってあります。

DCF法は将来的にもらえる金額を今もらった時の価値をまず算出し、それによって価値を求めるというものです。

アパート経営の出口戦略!売り時のベストタイミングを見つけるポイント11選

上の記事にもあるように、アパートを持つ利益を最大化しようと思ったら、必ず最後に売却をする必要があります。

DCF法はこの出口戦略という観点を取り入れているため、直接還元法より精度の高い査定ができます。

DCF法の計算式

DCF法の計算式を簡単に説明すると、以下のようになります。

現在価値=(X年後の合計収益)÷(1+年間割引率のX乗)

例えば、年間収益が200万円のアパートを、1年後に1,000万円で売る見込みだったとします。

このとき、合計で得られた収益は200万×1=200万円となります。

更に、銀行に預金すると年1%の利子がつくとすれば、以下のように計算できます。

200万円÷(1+0.01)=198万198円

つまり、1,000万円+198万198円=1,198万198円というのが、このアパートの現在の価値というわけです。

通常の不動産査定は取引事例比較法・原価法でおこなわれる

ここまでアパートで使われる収益還元法について紹介していきましたが、収益物件以外の不動産の査定には取引事例比較法や原価法といった方法が用いられます。

アパートを売るべきか判断する時は、これらの違う尺度を用いて調べてみるのもおすすめです。

取引事例比較法はマンション・土地に良く使われる

取引事例比較法の内容

取引事例比較法は最も分かりやすい査定方法で、過去の取引事例と比較をして査定額を算出する方法です。

例えば家Aの査定をしたい場合、成約時の築年数と最寄り駅までの距離が同じな家Bと家Cを参考データに使ったとします。

物件 坪数売買価格
家A 40坪
家B 50坪2,000万円
家C 80坪3,000万円

この時は、以下のような計算方法で家Aの査定額を見積もることが出来ます。

2,000万円÷50+3,000万円÷80)÷2×40=(40万円+37万5000円)÷2×40=1550万円

ただ、実際に不動産会社が計算をする場合はもっと参考データが多かったり、経済状況の変化を鑑みたりするので、ここまで単純な計算にはなりません。

原価法は中古の一戸建てに良く使われる

原価法の計算式

原価法は、今建っている建物を取り壊し、再び立て直した場合にいくらかかるかの再調達価格をまず計算し、そこから築年数分の減価調整をおこなう方法です。

原価法の計算式は、以下のようにして求められます。

価格=再調達価格×延床面積×(耐用年数の残り÷構造ごとの法定耐用年数)

耐用年数とは、物件の構造ごとに定められている、安全に利用できる年数のことです。

構造 法定耐用年数
軽量鉄骨造(厚さ3㎜以下) 築19年
木造 築22年
軽量鉄骨造(厚さ3~4㎜) 築27年
鉄筋コンクリート造 築47年

例えば、再調達価格が15万円/㎡、延床面積が100㎡の木造物件(築20年)を原価法で査定する場合、以下のようになります。

1500万(円)××(2÷22)=136万3636円 (小数点以下四捨五入)

まずは複数社にアパートの査定を依頼しよう

ここまでアパートの査定方法について解説していきましたが、想定利回りや現在の価値をどう評価するかは、不動産会社によって異なります。

一般的には査定額が高い業者ほどアパートを高く売ってくれるので、まずは複数社の査定結果を集めることから始めましょう。

1社ずつ連絡を取って査定依頼をするのは面倒ですが、一括査定サイトを使えばかなり簡単に複数社へ査定を一括依頼できます。

詳しい使い方はこちらにまとめているので、ぜひ参考にしてください!

不動産一括査定サイト33社を比較!2019年おすすめランキング

アパートの査定価格に影響する7つの基本的なポイント

アパート査定のポイント

アパートの査定価格に影響する7つの基本的なポイントを解説していきますが、最初に言うとこれらは努力しても改善できない部分が多いです。

立地や環境などは事前に対策のしようがないので、査定価格は上げようがないのです。

ただ、一つ知っておいてほしいのは、中古物件は査定価格通りに売れるわけでもないということです。

査定価格が低くても売却価格を高める方法はあります。損せず売る方法はこちらにまとめているので、ぜひ参考にしてください。

損せずアパートを売るにはどうすればいい?売却の流れと注意点

では、ここから査定価格に影響する7つのポイントを解説していきます。

①最寄り駅からどれくらいの距離か

最寄り駅からの距離がどれくらいかというのも、査定価格に大きく影響します。

財団法人不動産流通近代化センターによると、アパートと最寄り駅の距離に応じて、このように評価が変化します。

最寄り駅までの徒歩距離3分以内 3~6分 7~10分 11~15分
+5 0 -5 -13
最寄り駅までバスで向かった時の距離10分以内 11~15分 16~20分
0 -5 -10
最寄りのバス停への徒歩距離(上に加算)3分以内 3~6分 7~10分 11~15分
0 -3 -8 -16

上の表を見てもらうと分かるように、距離が少し違うだけで評価は大きく変わります。

ただ注意点として、この評価の計算は鳥観図から割り出した最短ルートを使っておこないます。(ポータルサイトに掲載されている物件広告も同じです。)

部屋を降りてからエントランスまで向かう時間や、途中の障害物は考慮されないので気をつけましょう。

②住みやすい周辺環境か

スーパーなどが多く買い物がしやすい環境にあるか。学校や塾が近くて子育てしやすいか。閑静な住宅街かなども調査されます。

逆に交通量が多く騒がしい、近くに暴力団事務所などの嫌悪施設がある地域は評価が低くなります。

不動産会社は周辺環境を5段階でチェックをし、評価を付けています。

  • 優良住宅地:+5評価
  • 一般住宅地:0評価
  • 高住住宅地:-3評価
  • 工住住宅地:-5評価
  • 嫌悪施設有:-10~20評価

ただ、騒音の多い地域なら壁や窓の防音性次第で評価が下がるのをある程度抑えることもできます。

③眺めや方角の良さ・悪さ

部屋やバルコニーから海を一望できたりすると、アパートの査定評価は高くなります。

ただ、眺めを良いと思うか悪いと思うかは業者によっても異なるので、評価が分かれる部分でもあります。

また、バルコニーの向きも換気の良さや洗濯ものの乾きやすさなどに大きく関わる重要な点です。

もっとも評価が良いのが南向きで、次に西向きや東向き、評価が最低なのが北向きとなります。

④ブランド力・耐久性

同じようなアパートでも、長年続いているシリーズや大手不動産会社が手掛けた物件などは評価が高くなりがちです。

また、物件の頑丈さも評価を大きく分けます。1981年をきっかけに物件の耐震基準が大きく変わり、震度6強以上の地震にも耐えられるようになりました。

特に東日本大震災や熊本地震などの頻発で、近年は地震に対する備えの重要性も上がっており、耐震性は査定評価を大きく分けるポイントにもなっています。

⑤メンテナンスやセキュリティが行き届いているか

管理が上手く機能しているアパートも評価は高いです。

外壁の塗り替えや防水施工を近年おこなっていれば、その分だけ査定額も高くなります。

これは見映えが良いからというだけでなく、管理が行き届いている=直近で欠損がおこるリスクが低いという発想によるものです。

つまり、一般的な中古アパートのメンテナンスにかかる分を差し引いて、評価に上乗せしているということです。

管理にはお金をかけるものだけでなく、障害物を取り除いて壁が傷つくのを避けるなど簡単な方法もあります。まずは毎日、物件の見回りをすることからはじめましょう。

⑥直近でのリフォームの有無

最近、大規模なリフォームをおこなったかどうかも査定価格に影響します。

これも⑥と発想は一緒で、直近でリフォームをしていれば買主がその後支払うリフォーム代が少なくて済むので査定額が上乗せされるのです。

ただ、掃除でどうにかなる部分は査定に影響しないので注意しましょう。

⑦環境や相場の変化

1年前に査定額が3000万円だったアパートを今売る際には、築年数の経過分を価格から引けばよいというわけではありません。

なぜなら、周辺環境や地価の変化というのが考慮されていないからです。

例えば東日本大震災の直後は、今の相場よりもかなり低くなっています。こうした事情も考慮して査定額は付けられるのです。

アパートを含む収益物件の査定で共通して重視される3つのポイント

アパートは上の7つの基本的なポイントに加え、更に収益物件として評価される3つのポイントがあります。

ここからは、それぞれのポイントを分かりやすく解説していきます。

⑧家賃収入

今まで家賃収入がどれくらい出ていたのか、今後も安定して出そうかは厳しくチェックされます。

1棟に部屋数はいくつあるか、現在は賃料いくらで募集しているか、築年数は何年か…など、とにかく様々な要素から収益性を見られます。

また、物件自体に収益性があったとしても、アクセスが悪かったり、すぐ隣の地域に開発の予定があったりすると需要を取られてしまうため、査定額が下がる可能性もあります。

⑨空室率

いくら家賃が高く立地の良い物件でも、空室が目立つと査定額が低くなりがちです。

空室率が高い=数字では現れないデメリットがあると取られて、評価はどうしても低くなります。

また、空室率が高いということは新規で入居してくる確率が低いということになるので、今後の収益の拡大は見込めません。

今いる住人も築年数の経過に伴って離れてしまうので、どんどん利益は下がっていってしまうのです。

⑩想定利回り

想定利回りとは、初期投資に対してどれくらいの利益が発生したかの割合のことです。

例えば、購入金額5000万円のアパートの年間家賃収入が500万円とすると、利回りは1.00となります。

ただ、年間支出額を予想するのは難しいので、査定前には年間収入÷購入価格という簡単な式で想定利回りを算出します。

築20年前後か、それいかなら利回りは約6%以上、築20年超なら約7、8%以上であることが理想的です。

アパート査定で一般的な収益還元法の具体例・考え方

不動産査定には3つの計算方法がありますが、その中でも一般的なのが収益還元法です。

この収益還元法は前述の通り、直接還元法とDCF法の2種類に分かれています。

直接還元法の場合、1年間の純利益÷還元利回りで計算します。

この純利益(純収益)とは、アパートの家賃収入から費用を差し引いた金額を指します。

この時にややこしいのが、アパート運営にかかる費用とは何かです。

アパート運営にかかる費用とは、主に修繕費用や保険料などです。不動産管理会社に委託をしている場合は、管理費用も運営費用として計算されます。

アパートの運営でかかる年間費用は、1年間の合計収益の20%というのが相場になります。

細かい費用の金額が分からない時は、20%を費用として計算するのが一般的です。

もう一つがDCF法ですが、こちらは完全に専門家向けの計算法と言えます。個人がザックリとアパートの相場を調べる際は直接還元法を用いるケースがほとんどです。

アパートの査定は取引事例比較法や原価法でおこなうこともできます。

ただ、これらの方法で査定をおこなう場合、好立地のアパートは収益還元法に比べて価格が高くなる傾向にあります。

また、アパートの稼働率が査定額に反映されないため、不動産投資家にとってはあまり重要ではない金額が算出されています。

一方、収益還元法というのは、アパートの現在の稼働率を高く評価するやり方になります。

つまり、今住民が多くいるかどうかが評価を大きく左右するのです。

アパート査定では収益還元法が一般的なので、査定額を上げたいのであればオーナーが稼働率を高めることが、最善の策といえます。

アパート査定の必要書類を一挙公開!一覧チェックを忘れずに

Webサイトなどからアパート査定を依頼する際は、特に書類提出などの必要はありません。

ただ、不動産会社に直接来店して査定を依頼する際には、最低でもこちらの6種類の書類が必要になります。

  1. 登記簿謄本
  2. 公図
  3. 土地の測量図または建物の図面
  4. 登記済権利書または登記識別情報
  5. 身分証明書
  6. 印鑑証明書

業者によっては査定段階での提出を求めないこともありますが、全て契約時に必要な書類なので、早めに揃えておいて損はありません。

また、提出は必須ではないものの、持っていると評価がアップする以下のような書類もあります。

書類の名前 内容
レントロール(家賃表) 貸借条件一覧表。現状の契約内容の把握などに使う
住宅地図 場所が分かる図、最寄駅から物件までの地図は需要が高い
固定資産評価証明書 評価額が記載。固定資産税の根拠になる
地積測量図 土地の大きさ、形が分かる書類
修繕履歴一覧表 今までのリフォーム履歴がまとめられたもの
管理経費一覧表 アパート管理でかかった経費の履歴がまとめられたもの
設備などの点検報告書 設備点検の結果がまとめられたもの
付帯設備表 どんな付帯設備があるかまとめられたもの
購入時の売買契約書 どんな条件で契約したかを示す書類
建築設計図書または工事記録書 法的な証明力はないが、設計・工事がどうおこなわれたか知ることができるので重宝する
住宅性能評価書 住宅の性能を数値で表したもの。国交省の認可を受けているので証明力がある
耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書 別途検査を依頼した時に受け取っている報告書。最新のものであるほど評価が高い
管理費・修繕積立金の記載書類 管理会社に問い合わせればもらえる。これが高額すぎると査定評価は落ちる
管理規約 アパートの細かい規約がまとめられたもの
納税納付書(事業主の場合) 税務署で納税手続きをした後にもらえる書類

上記書類にかかわらず、「この書類使えそう!」と思ったものは積極的に不動産会社へ見せてみるようにしましょう。

不動産査定の必要書類一覧!全20種類の内容と提出のタイミングを徹底解説!

アパート査定に影響を与える「レントロール」とは?

レントロール(家賃表)とはアパートの賃料や教育費、契約期間などがまとめられている一覧表です。

レントロールは上記のような形式で、各項目を資料にまとめていきます。

入居者のいるアパートの所有権のみを売買することをオーナーチェンジといいますが、特にこのタイプのアパート売買だとレントロールは重要になります。

まず、契約内容が賃料いくらになっているので、現在の入居者の契約期間は残りどれくらいなのかを知ることで、買主は購入に値するかの判断をするからです。

不動産会社もそれを分かっているので、アパート査定時にはレントロールの出来が評価に大きな影響を与えます。

アパートを査定に出す際は、このレントロールを力を入れて作成することをおすすめします。

アパートの査定額を高める3つの方法

アパートの査定額は築年数や立地で全て決まっており、査定額を高めることなど出来ないと考えている方も多いと思います。

しかし実際には、査定額を上げる方法は存在します。

今回は、査定額を上げるおすすめの方法を3つ紹介していきます。

入居率を高める

空室の目立つアパートなら、なんとか満室にしてから査定依頼することをおすすめします。

空室があると単純な利益が下がるだけでなく、イメージの上でも良くありません。

空室が目立つアパートを売る際は、仲介業者への支払いを上乗せするなどして、何とか部屋を埋めるようにしましょう。

家賃の滞納者は早めに対処する

アパートの権利のみを売買することをオーナーチェンジと言いますが、この時の入居者は継続して住み続けることになります。

入居者にとってはオーナーが変わっても家賃の振込先が変わる程度なので、特に影響はないのです。

ただ、入居者の中に家賃の滞納者がいたりすると買主にとってデメリットですし、そもそも買おうとしてくれません。

不動産会社もこれを見越して価格を付けるため、査定額は低くなってしまいます。

これを解決するためには、家賃の滞納者などの迷惑な入居者は査定前に対応し、追い出してしまうことが大切です。

目に見える欠陥は修理する

中古の不動産はそのまま売買して良いことになっており、売却前に大規模リフォームをしたりすると逆効果になることも多いです。

しかし、ドアの立て付けが悪いといった目に見えて分かる欠陥に関しては、査定前に簡易修繕してしまったほうが良いでしょう。

こうした物件を購入する際は修理が買主持ちになってしまうので、余分なコストを払いたくない人は購入を嫌がります。

業者もその点を理解しているため、どうしても査定額は低くなってしまうのです。

アパートの買取査定額は売却査定額の約60%

アパートの査定価格は、仲介売却で3か月以内に制約が取れた時の予測価格となります。

ただ、アパートの売り方は仲介売却の他にも、業者に直接買い取ってもらう方法(業者買取)があります。

仲介売却と業者買取を比較すると、以下のような違いがあります。

売却方法 仲介 買取
内容 仲介業者に販売活動を依頼 不動産会社に買い取ってもらう
長所 高額で売れやすい 成約の可能性が高く、現金化も早い
短所 売れるまで時間がかかる(平均3~6ヵ月) 利益が低い(仲介の約4割減)

買取に出すメリットは、何といっても処分のスピードです。

仲介売却は成約まで平均3~6か月となります。ただ、これはあくまで平均期間で、運・タイミングが悪く買主とのマッチングが進まなければ良いアパートでも成約まで1年前後かかることがあります。

対して、業者買取は契約を結んだ時点でいつまでにいくらで取引するかが確定するので、売れ残りを不安に感じることもありません。

早い業者なら、契約した3営業日後に換金してくれるところまであります。

ただ、アパート買取は仲介売却益の6割ほどまで下がってしまうというデメリットがあります。

不動産会社は買い取ったアパートをリフォームして再販して利益を出しますが、再販に必要なリフォーム代を利益から差し引くのです。

買取査定額は、だいたい通常の売却査定額の6割ほどです。どちらにするか迷っている方は、売却査定額の60%を算出してみて、それでも買取に出したほうが良いか考えてみましょう。

査定額が低くても買取向きなアパートの特徴

買取査定額が低くても、買取に出したほうが良い以下のようなアパートもあります。

  • 築年数が古くて修理が大変なアパート
  • 入居者に家賃滞納や孤独死などのトラブルがある
  • 空室ばかりで全く埋まらない
  • 再建築不可物件に当てはまる
  • 近隣との境界があいまい
  • 高額なリフォーム代を持主が準備できない

簡単に言うと、状態が悪くて古いアパートが買取向きと言えます。

仲介売却は相手(買主)も素人なので、いくらプロが「良い物件ですよ!」と言っても、第一印象の良し悪しで判断してしまいがちです。

一方、業者買取は相手がプロなので、第一印象にとらわれず収益性や構造・材質を重点的にチェックします。

価格は低くなってしまいますが、よっぽどのことがない限り価格が付かないということはありません。

アパート買取業者おすすめランキング!買取業者の選び方と買取に向いているアパートの特徴

アパート査定の注意点

アパート査定を依頼して価格が算出されたら、その金額通りに売れるというものでもありません。

アパートの査定額はあくまで各社の私見なので、査定額と実際の売却価格が違っていたとしても、不動産会社のせいにすることは出来ないのです。

つまりアパート売却において査定額は非常に参考になりますが、だからといって査定額を鵜呑みにしすぎると売却の失敗につながるということを知っておく必要があります。

ここからは、アパート査定を依頼する前に心得ておきたい注意点を紹介していきます。

アパートの査定額は基本的に個人で算出は難しい

上記で挙げた収益還元法の計算式を用いれば、初心者でも簡単にある程度の金額を算出できます。

ただ、実際にアパートの金額を査定するのであれば、それだけでは不足しています。

過去の実績や市場の傾向、エリアごとのニーズなども踏まえて価格を算出する必要があるので、基本的に初心者が正確な金額を算出することは不可能です。

近年ではAIが不動産価格をシミュレーションする査定サービスも出てきましたが、あまり一般的になっていないのは、未だ不動産査定というものが不動産会社の長年の勘やデータベースの利用によって決まる要素を含むためです。

だいたいの金額を自分で計算してみるのは良いことですが、本格的に査定をするのであれば不動産会社へ依頼をするのが不可欠です。

アパートの査定額の定義を知る

アパートの査定額とは一体何なのでしょうか?

不動産会社が算出する査定額は基本的に、平均的な期間で大きな外的要因がなく、通常通り売却できたときの金額であることが多いです。

ただ、往々にして大きな外的要因の変化というものは起こります。かつてのリーマンショック、東日本大震災、2020年現在も猛威を奮う新型コロナウィルスの流行などです。

こうした“異常事態”でも査定額通りアパートが売れるかというと、必ずしもそうではないということを把握しなければいけません。

不動産会社の査定額は根拠・評価内容までチェックする

基本的な査定額の考え方は上記の通りですが、中には「うちが頑張れば最大○○万円で売れる!」という金額を査定額と定義しているところもあります。

また、そのエリアのアパートを購入希望する人が多くいる会社などは、個別評価よりも彼らの相場観(いくらまで出せるか)を優先して査定額を算出するケースもあります。

つまり、全ての不動産会社が共通認識でアパートの査定額を計算している訳では全くないのです。

中には評価する項目が会社ごとに全然違っていたり、査定額の根拠が曖昧だったりする事例も多々あります。

査定額をチェックする際は、査定書の細かいところまでチェックをして、疑問点を相談する必要があります。

アパート査定を依頼するのにおすすめな不動産会社の特徴

アパート査定を依頼するのにおすすめな不動産会社

アパートは収益物件に分類されますが、どの不動産会社も収益物件の査定に対応している訳ではありません。

査定の先には契約・売却が待っているため、アパート査定を依頼する際はそこも見越して業者選びをする必要があります。

ここからは、アパート査定でおすすめな不動産会社の特徴を解説していきます。

アパート査定・売却の実績があることが前提

アパートは収益物件ですから、収益物件の取り扱いがメインの不動産会社に依頼をすれば、問題なく査定依頼ができると考えてしまいがちです。

ただ、都市部の収益物件専門業者の中には高級物件のみに対応しているところも多く、アパート査定にそぐわないケースも多々あります。

アパートの査定を依頼したいなら、アパートの取り扱い実績が豊富な業者に依頼するのが大前提です。

全国にネットワークのある不動産会社がおすすめ

居住用不動産は近隣住民や、そのエリアに転居してくる人が主なターゲットになりますが、収益物件の場合は縁もゆかりもない物件を投資条件が良いからといって購入するケースが多々あります。

地方ののどかな場所にあるアパートでも、国内外の投資家が狙っている可能性も十分あるのです。

こうした背景を考えると、全国に支店を持つ不動産会社などに依頼をしたほうが、スムーズに査定・売却へ繋がる可能性は高いです。

設備の評価を重視する不動産会社がおすすめ

アパートのような集合住宅は、立地や間取りの他に共有スペースや設備の充実度も住みやすさに大きく影響します。

設備の管理・修繕を疎かにしているアパートはどんどん空室が増えていく傾向にあるので、設備をキチンと評価してくれる不動産会社の査定額のほうが、より正確と言えます。

適正価格で査定してくれる業者が最も信頼できる

アパートの査定を依頼する前に、まず相場の調査をする必要があります。

これをすることで、業者の付けた査定額が適切か、増減は常識の範囲内かを見抜くことができるからです。

人は高い査定額を付けてくれた業者に群がる傾向にありますが、実は最も契約すべきなのは適正価格を付けてくれた不動産会社なのです。

適正価格を付けたということは、それだけ観察力・経験が優れているということでもあります。

また、適正価格を付けた実績のある業者と契約をし、こちらが「もう100万円高く売りたい」と希望したら、そのためのプランを丁寧に教えてくれます。

査定額が低いほうと契約したからと言って高く売れないわけではないので、安心してください。

アパート査定は大手業者と中小業者どちらがおすすめ?

アパートが査定できる業者を探していると、全国規模の大手業者と最寄りの中小業者が見つかると思います。

公式サイトや口コミを見る限りでは、多くの人は大手に依頼する方がお得と感じるでしょう。

大手不動産会社ランキング!売上高・売却仲介件数・評判を比較

ただ、必ずしも大手が良い訳ではなく、中小にも長所は存在します。

【比較項目】 大手 地元中小
おすすめエリア 都市部・住宅地 地方・郊外
売却活動のコスト 高い 低い
おすすめエリア 都市部・住宅地 地方・郊外
売却活動のコスト 高い 低い
集客力 高い 低い
ネットを使った宣伝 不得意 得意
不動産タイプごとの実績 タイプに関わらず平均的 得意・不得意がはっきりしている
地域の情報 持っていない 独自情報を持っている
担当者の対応 比較的ドライ 親身になってくれる
囲い込みの危険性
最新の市場動向 対応 未対応なことも多い
検査・保証 しっかりしている 対応が不十分な場合もある

複数社を比較する際は、必ず候補の中に大手と中小をそれぞれ最低1社は入れるようにしましょう。

不動産売却は大手業者か中小業者どちらがいい?徹底比較

会社規模に惑わされず実力を見極めよう

上の表は大手と中小の違いを簡単にまとめたものですが、必ずしもこの通りというわけでもありません。

不動産会社はそれぞれ異なる特徴を持つため、査定を依頼し、担当者と話してみないと真の良さ・悪さは分からないものです。

大手と中小を比較することはもちろん大切ですが、最終的には会社規模に惑わされず、心から任せられる1社と契約するのが理想です。

アパートの査定結果は必ず複数社のものを比較しよう

アパートの査定結果は、必ず1社ではなく複数社で比較するようにしましょう。

上で解説したように、アパートの眺めなどは業者によって評価が変わる部分でもあります。

複数社に査定を依頼したら評価の良い業者、悪い業者を比較して見極めることができますが、最寄りの不動産屋にだけ査定を依頼したらそれが損なのか得なのかわかりません。

もしかしたら、気づかないうちに損をしている可能性もあるので注意しましょう。

また、契約したからといってアパートはすぐ売れるわけではなく、担当者と二人三脚で試行錯誤していく必要があります。

そのため、自分と担当者の相性が合うかどうかもしっかりチェックすることをおすすめします。

また、査定の結果が記載している不動産査定書が送られてきますが、これがどれくらい丁寧に書いてあるかも業者選びの参考にかなりなりますよ。

不動産査定書とは?内容と注意点・ひな形の無料ダウンロード方法を解説

それぞれの業者のアパート売却実績を確認しよう

「このアパートなら質も良いし高く売れそうですね!」と不動産屋に言われても、その業者が過去に1度もアパートを売った経験がなかったら信用できませんよね。

不動産と一括りに言っても戸建てやマンション、アパート、土地では査定の仕方や売り方が全く異なります。

アパートの査定を依頼する際は、必ずアパ―トの売却実績を確認しましょう。

一棟アパートの査定は東京の不動産屋に依頼するのがおすすめ

中古の一棟アパートを購入するのは主に投資家で、近所に住む人や引っ越してきた人ではありません。

では、投資家はどこにいるかというと、主に東京や大阪など地方の大都市です。

物件の管理は管理会社に一任することもできるので、別にオーナーがアパートの近くに住んでいる必要はないのです。

地方の一棟アパートは最寄りの不動産屋に査定依頼するよりも、実績のある東京のアパート売却専門業者に依頼することをおすすめします。

一括査定サイトを使って複数社にアパートの査定を依頼しよう

ここまでアパートの査定方法について解説していきましたが、想定利回りや現在の価値をどう評価するかは、不動産会社によって異なります。

一般的には査定額が高い業者ほどアパートを高く売ってくれるので、まずは複数社の査定結果を集めることから始めましょう。

1社ずつ連絡を取って査定依頼をするのは面倒ですが、一括査定サイトを使えばかなり簡単に複数社へ査定を一括依頼できます。

詳しい使い方はこちらにまとめているので、ぜひ参考にしてください!

不動産一括査定サイト33社を比較!2019年おすすめランキング

アパートの査定額比較におすすめ!一括査定サイト4選

アパートの査定額を比較する際は一括査定サイトを使うのがおすすめです。

しかし、一括査定サイトは大小合わせて30サイト以上あるので、初心者はどれを使えば良いか分からないことと思います。

また、一括査定サイトが対応しているのは主に一戸建て・マンション・土地の3種類です。

そのため、どのサイトもアパートの査定額を正確に算出できる訳ではないのです。

ここからは、アパートを査定する際に利用すべき、おすすめ4サイトをそれぞれ紹介していきます。

楽待はアパート査定だけでなく査定相場の把握も簡単にできる!

楽待は、アパートやビル、事務所などの収益物件に特化した不動産サイトです。

他のサイトにはない隠れた優良業者も多く登録されており、一括査定のし甲斐があります。

また、全国の売りアパートの情報がリアルタイムで掲載されており、周辺地域の情報を収集すれば、だいたいいくらで売れるかのイメージが付きます。

更に、投資物件の持ち主に向けて公開される耳よりなコラム、最新ニュースなどを読むこともでき、楽しみながら知識を収集することができます。

アパートを査定に出すなら、一度訪問したいサイトです。

楽待で不動産売却査定!実際に利用した方の評判・口コミ

リガイドは一棟アパート専用の査定フォームを用意

リガイドは、2019年時点で運営開始から13年目を迎える老舗の査定サイトです。

知名度はhome4uなどに押されてはいますが、リガイドがアパート査定におすすめな理由として、収益物件売却専用の査定フォームを用意していることが挙げられます。

通常は、マイホームなどの居住用物件と、アパートなどの収益物件は同じフォームで査定依頼をします。そのため、記入項目も査定業者も同じになってしまいます。

リガイドはそれぞれのフォームを分けることで、最適な業者へ的確に査定を依頼できるようにしているのです。

また、リガイドはYahoo!IDやFacebookのアカウントを持っていると個人情報の入力をカットできるので、スピーディに申し込みたい方にもおすすめです。

リガイドで不動産売却査定!実際に利用した方の評判・口コミ

イエイは訳ありアパートの査定におすすめ

イエイは創業10年の一括査定サイトで、日本最大級の1700社以上が登録されています。

オーソドックスな査定サイトではありますが、意外にアパート査定におすすめな理由が、希望・要望の自由記入欄に文字数制限がない点です。

例えば不動産査定エージェントなどのサイトでは、こちらの自由記入欄が最大500字の制限がついています。

しかし、これでは本当に伝えたいことが書ききれるか不安です。

ましてはアパートは構造上問題が起こりやすいので、正確に伝えておいた方が良いです。

イエイの自由記入欄に伝えたいことを余すことなく記載しておけば、業者にそのまま伝わるので査定がスムーズですよ!

イエイで不動産売却査定!実際に利用した方の評判・口コミ

ふじたろうなら未来のアパート査定額も算出してくれる

ふじたろうは、搭載されている高精度AI(人工知能)によってアパートを査定されます。

ふじたろうに査定を依頼すると、現在の査定額が分かるだけでなく将来の予測額も算出してくれます。

アパート経営の出口戦略として売り時を模索している方にとっては、「いつ売れば利益を最大化できるか」というのは重要課題でしょう。

ふじたろうで将来の予測額が分かれば、売り時を見抜く手助けにもなります。

ふじたろうで不動産売却査定!実際に利用した方の評判・口コミ
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