深基礎(ふかぎそ)とは?内容とデメリット・ベタ基礎や布基礎との違いを徹底解説
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住宅の施工方法の1つに、深基礎(ふかぎそ)というものがあります。
これは一言でいうと、敷地の高低差や傾斜をカバーするために、基礎部分を通常より深く工事して対応する方法です。
新たに擁壁を造らずに、基礎自体が擁壁の効果を発揮するので、通常の基礎工事に比べて安値で済むというメリットもあります。
ただ、その分リスクや注意すべき事柄もあります。
今回は、深基礎について詳しく解説をしていきます。
深基礎が用いられるケース
①高低差を合わせるのにコストがかかるケース
道路と敷地に高低差がある場合、真っ先に考えられるのは高さを是正するやり方です。
ただ、敷地全体を削るとなると高額費用が発生してしまいます。
こうした際に、深基礎を利用して低コストで建物を施工するケースが多いです。
②排水のために一部傾斜を作るケース
雨水などは高いところから傾斜を流れて低いところへ流れていきます。
高いところにある家が上手く排水できないと、台風時に浸水被害などを受ける恐れがあります。
この場合、一部を深基礎にして排水の仕組みを作り、安全性を保つことがあります。
③高低差を有効利用したいケース
敷地の高低差を利用してスペースを生み、駐車場などに利用するケースもあります。
例えば敷地内に駐車場を造る場合、普通の敷地だと駐車場と入り口の高さが一緒になるので、間に距離が必要になります。
一方、深基礎の場合は駐車場と入り口の間に距離があるので、駐車場をピッタリ付けることがあります。
これによって駐車場へのアクセスが楽になりますし、通常よりもスペースを広く活用することができます。
安全性を高めるために用いるケース
工学用語に、安息角(あんそくかく)というものがあります。
これは、土砂などの粉体が崩れない限界の角度を表わしています。
安息角が崩れてしまうと地圧によって被害を生じますが、深基礎にすることで地圧の影響範囲を上記のように下げることができます。
深基礎は道路との高低差を埋めるための手法というイメージがありますが、高さの変わらない場合も安全性を考慮して上記のような施策を提供するハウスメーカーは一部存在します。
深基礎のメリット
水害に強い
深基礎にすることで、床上・床下浸水への耐性がかなり強くなります。
周辺にある通常の敷地の家に浸水被害があり、車も何台か流された後にようやく深基礎の物件が浸水するレベルなので、ほぼ水害とは無縁と言って良いでしょう。
プライバシーが保護される
深基礎の家は窓の位置が高くなるので、道路からはほぼ中が見えません。
昼間は換気・採光のために窓を全開放しても、不安な点がありません。
家が豪華に見える
建物は下から見上げることで、実物より高く立派に見える視覚効果があります。
お城や豪邸も高台にあるイメージが一般的にあるので、リーズナブルに評価を高めることができます。
擁壁のような閉塞感がない
道路より高いところに建物を建設する際、もう一つの手段として有効なのが擁壁(ようへき)です。
擁壁は、崖などの崩壊を防ぐための土留めとして、コンクリートブロックや石などを使って建設されます。
擁壁は壁の部分から建物まで差があるので、外から完全に見えないメリットがある一方で、閉塞的な印象を与えたり、外で起こっていることが見えなかったりしてしまいます。
深基礎のほうが外から見るとスッキリしており、開放的な印象になります。
また、擁壁は上の写真のようにコケが蒸しやすいので、深基礎のほうが管理は楽です。
擁壁工事より費用が安い
擁壁工事では土留めのための構造物を新たに建築する必要があります。
一方、深基礎は通常よりも深く基礎を作ることで、基礎が擁壁を兼ねる働きをすることを目的としています。
基礎自体は通常より大きなものが必要ですが、擁壁工事に比べると低コストで済みます。
深基礎のデメリット
通常の基礎工事より高額
深基礎は擁壁工事よりリーズナブルですが、通常の基礎工事に比べると高額な費用がかかってしまいます。
家の大きさにもよりますが、深基礎50cmのm単価は1万7,000円程度が相場となります。
普通の基礎工事に加えて、10~30万円の追加費用が発生する計算です。
家の出入りに階段利用が必要
深基礎の物件は出入りのために階段利用が必要となります。
雨の日や老後の負担が大きくなるため、十分注意が必要になります。
深基礎とベタ基礎・布基礎の違いを断面図から解説
深基礎の他にも、ベタ基礎・布基礎といったものがあります。
それぞれ混同しがちなので、違いを覚えておきましょう。
ベタ基礎
ベタ基礎は上記の通り、建物の底面一面を鉄筋コンクリートで覆うタイプの基礎となります。
建物の重みを基礎全体で受ける構造になっており、非常に安定感があります。
また、耐震性にも優れているという特徴があります。
もともとは家を線で支える布基礎が一般的でしたが、耐震性を求める基準が年々上がっていることもあり、徐々にベタ基礎が主流になっています。
耐震性の他にも、ベタ基礎は湿度に強くシロアリ防止効果がある、建物の不同沈下(傾斜しながら地盤沈下する状態)を回避できるなどの強みがあります。
布基礎
布基礎は、建物の壁に沿ってコンクリートを打って基礎をつくり、横に防湿コンクリートを敷きます。
日本の木造建築で伝統的に用いられてきた手法で、低コストで施工できる一方で、安全性に不安が残ります。
地震などを心配せずに住める家を建てたいなら、ベタ基礎のほうをおすすめします。
深基礎を擁壁にすれば高低差を上手に活用できる
深基礎を擁壁代わりにすれば、高低差を上手に活用することが可能です。
基礎がむき出しでゴツいと言う人もいますが、デザイン次第でおしゃれに見せることも十分可能です。
耐震性も高く、安心して住める家を建てるために、深基礎の仕組みを理解しておくと良いでしょう!