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投資不動産流通協会が目指す安全・安心な取引とは?取引の現状と今後の見通しを井上徹理事長にインタビュー

【更新日】2021-04-05
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投資不動産流通協会
お話を聞いた人

井上徹 理事長

一般社団法人投資不動産流通協会 理事長

公益財団法人日本賃貸住宅管理協会 賃貸管理研究会 副委員長

株式会社フォーリア 代表取締役

日本で初めて投資不動産専門の協会を設立。

未熟な投資不動産市場の活性化と未整備な取引であった投資不動産取引の標準化と適切かつ安全な取引に取り組んでいる。

「投資用不動産の売買仲介のノウハウ」「投資用不動産の標準的査定方法」「資産の組換えで価値ある不動産を増やす方法」等々、数多くの講演と研修を開催。

同協会にて「投資不動産取引士」資格制度を創設。法務大臣認証ADR(裁判外紛争解決制度)調停人の基礎資格として認定される。

投資用不動産の取引では、その不透明さがしばしば問題になります。

グレーな取引を持ち掛ける業者はまだまだ多く、投資家にとっても「良い物件を見つけて良い運営をおこなう」のと同じくらい、「悪徳業者に騙されない」ことが重大な懸念となっています。

一般社団法人 投資不動産流通協会は、こうした不動産投資のマーケットの課題を解決するための取り組みをおこなっています。

今回は一般社団法人 投資不動産流通協会の井上 徹理事長に、団体の直近の活動や今後の見通しについて、話を伺いました。

投資不動産流通協会の取り組みについて

―投資不動産流通協会の概要について教えてください。

投資不動産流通協会は、投資用不動産に特化した協会で、業界の中では珍しい存在です。

投資用不動産は標準化されたルールがなく、長らくトラブルの温床になっていました。

特にワンルーム投資のトラブルが多く、最近ではスルガ銀行の不正問題も記憶に新しいです。

投資用不動産の契約トラブルが多いのは、買主・売主ともに居住用不動産より真剣さが足りないところが要因でもあります。

投資家は、自分の住んでいる地域と全然違うエリアに物件を持っていることが多いです。

直接対面する機会が少なく、買主・売主の両方がアバウトになってしまいがちです。

投資用不動産流通協会はもともと、このような背景を受けて投資用不動産の正しい取引を浸透させるために発足されました。

―投資不動産流通協会が解決したいトラブルとは、具体的にどんなものですか?

投資用不動産の査定方法は積算価格といって、収益性・物件そのものの評価・地域の利回りやリスクを鑑みて評価をする方法なので、価格が計算しにくい面があります。

また、投資用不動産を査定・管理するには、賃料や入居者の状態を判断できるノウハウも必要です。

つまり、不動産投資だけでなく賃貸管理の能力も必要なのです。

しかし現状は、十分なノウハウを持たない業者が横行しています。

まずは投資用不動産の取引を、通常の住宅の取引と同じようにおこなうことが目標です。

―実際にグレーな業者に対して改善の働きかけをするケースはあるのですか?

我々は行政団体ではないので、業者に直接働きかけることはできません。

協会がメジャーになり、協会に所属する会社なら安心という認識が浸透してくることで、所属会社と契約する方が増えてトラブルが減るように進めていくというのが今後の活動の根幹です。

投資用物件の顧客は富裕層が多く、彼らに対して適正な取引をして長期的な顧客化を図るストックビジネスが不動産投資です。

ただ、スルガ銀行の不正融資問題などに取り組んでいると、多くの業者が宅建業法違反の取引をしているというのも実情です。

当協会は業者向けの協会で一般層への働きかけはメインではないのですが、加盟している会社経由で一般層への啓蒙活動をおこなっています。

―こうした不正が減らないのは投資家の意識も問題なのでしょうか?

一般消費者から悪質な業者にお灸をすえていただくのが一番だと我々も考えています。

ただ「投資なので、儲かれば何でもいい」と投資家自身が思ってしまうと、安全な取引からズレてトラブルが多くなってしまいます。

例えば、手付金だけ先にとって契約しないというトラブルは、このような考え方で契約を結んでしまった被害者が非常に多いです。

投資不動産流通協会の一般投資家への働きかけとは?

―一般の投資家に向けてどのような取り組みをされていますか?

一般向けにセミナー等はおこなっていませんが、お客様向けに相談窓口を作りました。

また、不動産会社からの依頼があったら、投資家向けの節税セミナーもおこなっています。

―窓口への相談はどのようなものが多いですか?

相談内容としてはワンルーム投資に関するものが多いです。

「売買しようとしてもサブリースが外れない」という相談は良く来ますね。

こうしたお客様の話を聞くと、ワンルーム投資のメリットしか知らず、デメリットやリスク・注意点を良く分かっていないケースが多いです。

こうしたお客様の認識が課題感としてあります。

そもそも、不動産投資を投資として真っすぐ捉えられていない方も多いです。

よく「節税のために不動産投資をおこなう」という方がいますが、節税をしたいのならまずは税理士へ相談にいくべきです。

窓口で解決できないトラブルに対しては、弁護士に斡旋するといった対応を取ることもあります。

―投資用不動産のトラブル解決で難しい点はどこでしょうか?

不動産投資はふたを開けてみないと危険性が分からない部分もあり、事前にトラブルを防止するのが難しいです。

スルガ銀行の問題が表沙汰になってから、宅建業法に照らし合わせてもありえない取引をしていることが分かりましたが、そこまでおかしい取引だということも調査の結果わかりました。

不動産会社は喫茶店などで大金を伴う契約を結びますが、傍から見てもリスクの高い状態です。

例えばこうした契約はおこなわないように、といった啓蒙活動をおこなうのは我々団体の役目です。

コロナ禍での投資不動産流通協会の取り組み

―コロナ禍で投資不動産流通協会はどのような取り組みをしていましたか?

オンラインセミナーや動画の配信をおこなっていました。

また、会員にはメルマガ塾を実施しています。

契約の手続きで重要な部分を反復して伝えることで、ミスが少なくなったという反響があります。

その他の取り組みとしては、投資用不動産専用の重説や売買契約書などの作成をおこないました。

本来、投資用不動産のこうした書類作成は調査項目が広すぎるので時間がかかる上、ミスの可能性も高くありました。

その上、投資用不動産専用のチェックリストが無かったので、当協会で作成をしました。

全部覚える必要はなく、新人でも漏れなくチェックをすれば問題なく契約できる仕組みになっています。

―投資用不動産の契約が元々ミスしやすい側面もあるのでしょうか?

もともと投資用不動産を専門的に扱っていた業者なら別ですが、区分所有系を売っていた業者が一棟ものにシフトする際に、土地付き建物に慣れておらず説明トラブルが発生するといったケースもあります。

また、基準期間の課税売上が1,000 万円を超えれば課税対象になる人もいますが、事前に説明をしておらず、後になって消費税の問題が発生することも多いです。

近年ではリースが流行していますが、こちらは期間中の中途解約は基本的に禁止になります。

中には自分がリースを解約したと思っていたり、リース契約したことすら忘れていたりする中で、リース料をずっと支払っている事例などもあります。

投資不動産流通協会の今後の見通し

―今後、不動産投資流通協会はどのような団体を目指す見通しですか?

投資家が信頼できる不動産会社を選ぶ際に、不動産投資流通協会の加盟業者から選ぶようになるのが理想的です。

当団体では投資不動産取引士制度を実施しており、入会後、一年以内に取得しない場合、退会していただいています。

結果的に、加盟業者は怪しいセミナーなどをしていない、地に足のついた業者が多いと思います。

―投資初心者からすれば、どの業者が信頼できるか判断するのは難しいと思います。見分け方があれば教えていただきたいです。

まず、不動産投資の業界では怪しいセミナーを実施しているケースが本当に多いです。

こうしたセミナーに共通するのは、ちゃんとしたリスクの説明をしていないことですね。

いかに簡単に始められるかを強調してくる会社は、契約を避けた方が良いでしょう。

例えば最近はサブリースが増えていますが、これは賃料が安くなるので悪い面もあります。

通常の賃貸との比較を事前にしっかり説明する必要があります。

また、不動産投資は住宅ローンの組み方が非常に重要となります。

住宅ローンの組み方について詳しく説明してくれる会社を選ぶことが大切です。

ローンを返済できない時はどうなるのかを事前に把握しておかないと、リスクヘッジの意識が希薄になってしまいます。

最近は100%ローンを組む事例も増えていますが、よほど利回りが良くないと合わないです。

特にフルローンでサブリースを始めると危険です。

とりあえず買わせるために100%ローンを勧められるケースも警戒しましょう。

不動産投資に興味を持つ方へメッセージ

―コロナ禍の不安で不動産投資に興味を持つ方は増えていると聞きます。

彼らが注意すべきことは何でしょうか?

まず、不動産投資は絶対に黒字でなければいけないという前提を持ちましょう。

投資なので当然のように思いますが、医師などは赤字でもローンを組めてしまいます。

彼らに対しては、ワンルーム投資を3件ほどおこない、その後に「次は1棟にしましょう」などと声をかけるといったものが営業の常套手段ですね。

医師のようにお金を持っているのに多忙な方は、「不動産投資は経営に手がかからない」という文句になびいてしまうケースが多いです。

ただ、サブリースのように手をかけない契約は前述のリスクがあります。

不動産投資の魅力はレバレッジですが、きかせるほどリスクは高まります。

無理にやらずに、まずは自己資金を貯めることから始めましょう。

ちゃんと頭金を入れさえすれば住宅ローンのリスクも軽減されます。

トラブルを避けるためには、正しい買い方をすることが大切です。

―最後に、コロナ禍で一般層のニーズや考え方も変化したと思います。不動産投資を成功させるポイントがあれば、お教えいただけますか?

リモートワークの需要が増えたので、ネット環境が整備されていて騒音のないRC造などは人気が増えましたね。

大学の近くにある物件などは、学生の契約が増えたので明暗が分かれました。

一方でインバウンド市場の大打撃もあり、民泊経営は悲惨な事態に陥ってしまいました。

不動産投資は投資の中でもコントロール可能な取引ですが、民泊はコントロールが難しい、片手間での作業が難しいという面があり、初心者が対応できる範囲を超えている部分もあります。

最後に、不動産会社は売る時も買う時も、会社の規模で選ぶよりプロがいるかどうかで選んだほうが安心です。

一般知名度の高い超大手の不動産会社の居住用物件担当は、投資用の取引に熟知しているケースが多いです。

もちろん、対応できる場合もありますが、ふたを開けてみなければ実際のところ分からないということがあるので、事前に頼れるプロがいるかどうかはチェックしておきましょう。

(インタビューは以上です。)

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