
分譲マンションとは?賃貸マンションとの違い・メリットと購入方法・注意点
物件を探している中で、分譲マンションという分類を良く目にすると思います。
不動産に対して知識のない方からすると“分譲”というのは馴染みのない言葉かも知れませんが、物件選びでは最低限知らなければいけない知識と言えるでしょう。
一体、分譲マンションとはどのような物件のことを指すのでしょうか?メリットや注意点を詳しく解説していきます。

分譲マンションは部屋を分割譲渡しているマンションのこと
分譲とは、分割譲渡の略称です。
分割譲渡とは、一棟のマンションを戸ごとに分割して販売することを言います。
例えば、同じ棟のマンションの部屋Aと部屋Bがそれぞれバラバラに販売され、購入者が異なるタイプの物件を指します。
戸建て住宅の場合は建物・敷地を含む権利をまるごと購入するのが一般的ですが、マンションの場合は棟ごと購入しても使い道がないので、投資目的や事業目的以外なら、分譲マンションを購入するのが普通です。
逆に言えば、分譲マンションは居住用の購入マンションという意味合いで使われるケースも少なくありません。
【補足】分譲戸建住宅とは?
分譲マンションは一つの部屋が別々に売り出されているということで、比較的イメージがしやすいかと思います。
一方で、一戸建ての場合も、分譲戸建て住宅というように、分譲販売されるケースがあります。
通常、戸建ては図の左側のように、一つの敷地に対して、建物が一件建ってます。
一方、分譲戸建て住宅の場合は同じ区画の中に同じようなデザインの住宅がまとまって販売されています。
分譲マンションと賃貸マンションの違い
部屋の所有権を購入し、持ち家として暮らせるのが分譲マンションです。
一方で、オーナーから部屋を借り、毎月家賃を支払って暮らすのが賃貸マンションになります。
分譲マンションと賃貸マンションにはどのような違いがあるのか、整理していきましょう。
想定している居住期間の長さが異なる
賃貸マンションは通常、2年契約で期間満了後は更新料を支払って住み続けます。
1つの賃貸に10年以上住み続ける方も少なくないですが、基本的にはそこまで長期定住を想定しておらず、設備などもそこまで充実しておりません。
対して分譲マンションは一戸建ての持ち家と同じく、長年住み続けることを想定しております。
そのため、設備なども充実しており、10~15年スパンの長期計画で管理や修繕がおこなわれます。
分譲マンションは適用されるルールが少ない
賃貸マンションの場合、子供の成長に応じて間取りを作り変えるようなことは原則でいません。
しかし、分譲マンションに関しては購入したら自分の家なので自由に間取りや壁紙を変更することが認められています。
ただ、分譲マンションの場合も管理組合の規則により、ペット飼育不可などのルールに制限される場合があります。
完璧に自由に住まいを利用したいなら、一戸建て住宅を購入したほうが良いでしょう。
分譲マンションのほうが住まいとして優れている裏の理由とは?
賃貸マンションの中にも質に優れた優良物件は多数存在しますが、分譲マンションの質に比べると劣るのが普通です。
なぜこのようになるのかを突き詰めて考えると、賃貸マンションの場合は投資効率を考える必要があるためです。
賃貸マンションは視点を変えると投資の一環であり、大家に利益が出るような仕組みになっている必要があります。
建築に力を入れて設備を豪華にしすぎた場合、家賃収入でコストを回収できない可能性が出てきます。
これでは、業者も大家も賃貸マンションを提供するメリットが一切なくなってしまいます。
一方、分譲マンションは設備を豪華にした分だけ価格を高額にし、富裕層向けに売り出せばコストは回収できます。
こうした性質の違いが、質の違いに大きく影響しているのです。
分譲賃貸マンションと通常の賃貸マンションの違い
前述の通り分譲マンションは購入用途で提供されることが多いですが、賃貸物件として提供されるケースも多々あります。
通常な賃貸マンションの場合は一棟の権利を持つ大家が同居していることも多く、彼らに対して家賃が振り込まれます。
一方、分譲賃貸マンションは部屋ごとに大家がいて、入居者は個別に対応する大家へ家賃を振り込む仕組みになります。
分譲賃貸マンションの場合、オーナーが同居していないケースがほとんどなので、人の目を気にせずある程度自由に過ごせるというメリットがあります。
その一方で、大家が責任をもって同居していないことで、セキュリティ上の不安や管理の怠慢などが起こりやすいというメリットがあります。
分譲マンションを購入するメリット
メリット➀設備が充実している
分譲マンションは設備が充実しているのが強みで、食洗器や浴室乾燥機、生ごみ処理機など最新の設備が備え付けられているケースも少なくありません。
その他、床暖房や追い炊き機能のなど、季節にかかわらず快適に暮らせる機能が多く付帯している例も多いです。
その他、キッズルームや室内プール、ジムにバーなど、高級分譲マンションには特有のオプションが付いているケースも少なくありません。
メリット②セキュリティが充実している
オートロック付きのエントランスや防犯カメラなど、セキュリティ設備が賃貸マンションよりも充実している傾向にあります。
耐震性・防災に関してもしっかり対策を施されており、安心して生活することができます。
メリット③必要な機能・スペースが全て揃っている
戸建て住宅の場合、年を重ねて家族構成が変化するにつれて階段の上り下りが大変になったりと、困難な要素が増えてきてしまいます。
一方、分譲マンションは生活に必要な設備や要素が丁度よい大きさの中に全て揃っているので、足腰が弱くなった後も安心して暮らすことができます。
分譲マンションを購入する流れ
分譲マンションを購入する流れは、以下の4ステップで進むのが一般的です。
- 購入するマンションを探す
- マンションを内見する
- 購入を申し込む
- 契約を結ぶ
それぞれの内容を一つずつ見ていきましょう。
ステップ➀購入するマンションを探す
まずは、購入するマンションを選ぶことから始めていきます。
ポータルサイトやWeb広告、新聞の折り込みチラシなどをチェックして、どのマンションを購入するかチェックしていきましょう。
特に、以下の要素が希望にかなうかどうかは慎重にチェックすることをおすすめします。
- 立地
- 価格
- 間取り・面積
- 仕様・設備
ステップ②マンションを内見する
希望のマンションが見つかったら、実際に部屋を見学します。
建設中のマンションならモデルルームとして提供していますし、建築済みのマンションなら空き部屋を内見することになります。
内見時は、以下のポイントなどを優先的にチェックしましょう。
- 家具・家電を配置した時の間取り・広さ
- 窓やドアの動き・立て付け
- 防音性
- セキュリティの実情
- ゴミ置き場や駐輪場
- 周辺の雰囲気
- 駅までの実際の距離
ステップ③購入を申し込む
内見をした上で購入したいマンションが見つかったら、申込をおこないましょう。
人気の物件だと同時期に申込が殺到している可能性もあるので、出来るだけ早めに手続きをしたほうが良いです。
ステップ④契約を結ぶ
申込が済み、購入条件が整ったら契約を結びます。
売買契約の前に条件を話し合い、当日は話し合った内容も含めて齟齬が無いかの確認をおこないます。
この際、所定の手付金を支払う必要があるので、いくらになるか確認した上で準備をしておきましょう。
契約が完了したら、住宅ローン審査を受ける際は結果が出るまで期間を空け、諸々の作業が終わった後に指定のタイミングで引き渡しをおこないます。
分譲マンションの購入にかかる費用
分譲マンションを購入する際は、以下のような費用が発生します。
- 頭金
- 申込み証拠金
- 手付金
- 仲介手数料
- 登記費用
- ローン借入費用
- 印紙税
- 不動産取得税
- 都市計画税・固定資産税
それぞれの費用の内容をみていきましょう。
頭金
分譲マンションを購入する際に、ローンではなく現金で支払う分を「頭金で支払う」と言います。
ローンで購入する場合は利息がかかるので、頭金が増えるほどトータルのコストは減少します。
ただ、頭金を無理に捻出しすぎて生活が苦しくなると意味がないので、いくらの頭金を入れるかは慎重に考えましょう。
申込み証拠金
申込み証拠金とは、購入を申し込む際に不動産会社へ支払う費用のことです。
申込み証拠金の相場は2万円~10万円程度となります。
契約を結ばない場合は、申込み証拠金は返金されます。
一方、契約を結ぶ場合は、申込み証拠金が手付金の一部となります。
手付金
手付金は売買契約時に支払われるお金で、買主側から契約を破棄する場合は手付金の放棄、売主側から破棄する場合は手付金の倍返しがおこなわれます。
手付金は一般的に、購入費用の5~10%となります。
仲介手数料
仲介手数料は不動産会社の仲介のもとで物件を購入する際に発生する手数料です。
価格の設定は、不動産会社によって異なるケースも多いです。
登記費用
分譲マンションを購入した際、所有権を証明するために不動産登記という作業が必要になります。
この際にかかる費用が登記費用で、多くの場合は司法書士に作業を委託するので、その報酬も含まれます。
ローン借入費用
分譲マンションを購入する際はローンを借り入れる方も多いです。
この際に、団信の保障費用や火災保険料などの支払いが必要になります。
印紙税
印紙税は、相当額の収入印紙を売買契約書に貼り付けて納付します。
不動産売買で使われる収入印紙は高額部類になるので、郵便局などキチンとした取り揃えのあるところで購入するのをおすすめします。
不動産取得税
不動産取得税はその名のとおり、不動産の所得者に対して支払われる税金のことです。
不動産所得税は、以下の計算式で算出されます。
ちなみに、取得日が平成20年4月1日から令和3年3月31日までの場合、税率は以下のようになります。
- 【土地・家屋(住宅)】税率3/100
- 【家屋(非住宅)】税率4/100
都市計画税・固定資産税
分譲マンションを購入する場合、固定資産税がかかります。
固定資産税は毎年1月1日時点で不動産の所有者に対して課される税金です。
加えて、市街地など特定の区域の分譲マンションには、都市計画税が課されます。
分譲マンションを選ぶポイント
分譲マンションを購入する際は、どの点に注意して物件を選ぶかというのも重要になってきます。
ここからは、分譲マンションを購入する際に必ずチェックすべきポイントを紹介します。
➀条件に合うエリアで選ぶ
通学・通勤・ショッピングなど、エリアを選ぶ際に優先したい要素はいくつもあると思います。
ただ、手持ちの資金を考えると、全て備わっているエリアの物件を購入するのは非常に難しい傾向にあります。
優先したいポイントの中でもどこを最優先したいのか、しっかり考えていきましょう。
②駅までの距離で選ぶ
特に首都圏などは、最寄り駅までの距離がどれくらいなのかは重要なポイントになります。
物件広告に記載されている駅徒歩の分数は、鳥観図から見た駅までの距離を一般的な徒歩速度で割って算出しているので、正確な時間は実際に自分で計測してみることをおすすめします。
駅に近すぎるあまり、騒音がして治安が悪いというケースも少なくないので注意が必要です。
③広さ・間取りで選ぶ
広さや間取りも分譲マンションを購入する重要な要素です。
もしあなたが新居を長く暮らす前提で選ぶのであれば、今の家族構成に合うかどうかだけではなく、数十年後も快適に暮らせるかどうかをイメージすることも大切です。
ただ、将来何が起きるかを100%把握することはできませんから、せっかく買ったマンションを今後売るという選択肢も出てくるかもしれません。
最近では、いざ売却が必要になった時に全く売れず、負債化するのを防ぐために、売れるかどうかも購入時にチェックする方が増えています。
→分譲マンションを高く売る全知識!3割増で売却するためのポイント11選
④価格で選ぶ
分譲マンションは当然、高価格になるほど設備は充実してきます。
ただ、住まいばかりが豪華で家計が苦しければ、何の意味もありません。
相場に見合った分譲マンションをしっかり選ぶようにしましょう。
周辺環境で選ぶ
医療施設や商業施設、スーパーや公園など、暮らしやすい環境かどうかも分譲マンションを選ぶ上で重要なポイントです。
物件選びにばかり力を入れてここを疎かにしてしまうと意味がないので注意しましょう。
防犯・治安で選ぶ
エリアによっては犯罪率が多いところ、地震や火災のリスクが大きいところもあります。
こうしたエリアに暮らすのは、出来るだけ控えておきたいものです。
また、セキュリティロックなどの設備も物件によって異なるので、しっかり見極めることが大切です。
分譲マンションは暮らしやすさが再注目されている
現在、国内では一戸建て離れが進み、逆にリーズナブルで暮らしやすい分譲マンションが注目されています。
一戸建てに比べてデザイン性に乏しいのが分譲マンションのデメリットですが、設備や共用部分に独自の特徴を持つものも多数あるので、ぜひ購入を検討してみましょう!
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