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農地は固定資産税をいくら払えばいい?計算方法や免除条件について解説

【更新日】2021-02-01
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農地の固定資産税

土地を所有していると毎年かかる固定資産税。

固定資産税は農地にも課税される税金で、所有者自身が納めなければなりません。

しかし、自分の所有している農地にどれぐらいの固定資産税がかかるのかわからない人も多いかと思います。

また固定資産税の額だけでなく、納税方法や免税に関しても理解しておく必要があります。

農地にかかる固定資産税は他の土地と比べて算出方法で異なる点も多く、知っておかないと思わぬデメリットに陥ってしまいます。

今回は、農地所有者が事前に理解しておきたい固定資産税の基礎知識を紹介します。

固定資産税は平均いくら?税率の仕組みと計算方法・シミュレーション・軽減措置(減税・減免)を解説

固定資産税が異なる4種類の農地

農地の固定資産税に関して算出する際には、まず所有している農地がどの農地区分にあてはまるのかを見ておく必要があります。

ここからは、4種類の農地区分の違いについてみてきましょう。

一般農地

一般農地は都市計画区域内の調整区域内の農地や生産緑地としての農地、また都市計画外の農地のことを示します。

そのため一般農地では長期的に農業を営むことが前提とされており、売買価格の決定の際も農地の売買における実例価格を基にしていますまた収益性の低さを考慮して評価されるのが、特徴となっています。

一般市街化区域農地

一般市街化区域農地は特定市街化区域農地以外の市街化区域内の農地のことを言います。

市街化区域とは現在すでに市街地が形成されている土地や、おおむね10年以内に市街化を進めていく土地のことです。

そのため一般市街化区域農地は、農地ではあるものの今後市街化が進められていく可能性のある農地であることが分かります。

特定市街化区域農地

特定市街化区域農地とは、三大都市圏内の特定都市における市街化区域内の農地のことです。

三大都市圏は首都圏、近畿圏、中部圏から構成される都市圏のことを表します。

特定市街化区域農地は一般市街化区域農地に比べ宅地へと転用される可能性が高いとされており、宅地に近い課税評価がされるというのが特徴です。

生産緑地

生産緑地は市街化区域内にある農地のうち、都市計画法によって生産緑地として定められた農地のことを言います。

生産緑地として認定されるためには、以下の条件を満たしている必要があります。

生産緑地の認定条件
  • 公害または災害の防止、農林漁業と調和した都市環境の保全等良好な生活環境の確保に相当な効用があり、公共施設等の敷地の用に供する土地として適している
  • 500㎡以上の希望の区域である
  • 用排水その他の状況を勘案して農林漁業の継続が可能な条件を備えている

1992年に生産緑地法により緑地の環境維持を目的として、農地として保全するための生産緑地が指定されました。

生産緑地は、生産緑地に指定されてから30年間は農地として使用し続けるということが前提とされています。

生産緑地は全国に東京ドーム約2,968個分もあり、三大都市圏に約8割集まっているような状況です。

固定資産税の評価方法

固定資産税はその土地の固定資産税評価額を基に計算されますが、その固定資産税評価額は固定資産税評価基準という基準に沿って決められます。

農地の場合は、その農地が今後も農地として使われる前提の農地評価、もしくは宅地として転用される可能性がある宅地並評価の2種類に分かれます。

上で説明した4種類の農地区分を基にこれらの評価について解説していきましょう。

農地評価

農地評価はその名の通り、今後も農地として用いられるであろう農地の固定資産税評価額を考える際に利用される評価のことを言います。

農地評価の場合は、その農地でどれぐらいの作物の収穫が得られるのか、それ伴ってどれぐらいの収益を上げられるのかを基に評価されます。

農地評価では農地における収益性の低さから負担の調整なども行われるのが特徴です。

宅地並評価

宅地並評価は今後市街化してくことが予測される地域、つまり宅地として転用される可能性がある農地を対象に用いられる評価基準です。

4種類の農地区分のうち、一般市街化区域農地と特定市街化区域農地に適用されます。

一般市街化区域農地と特定市街化区域農地の中でも違いがあり、一般市街化区域農地では現況農業を営んでいる場合には農地評価と同じく負担の調整が行われます。

一方、特定市街化区域農地では負担の調整措置は行われません。

その代わりに指定から4年間は軽減率が適用されます。

固定資産税の算出方法

固定資産税の算出方法は、農地評価と宅地並評価、一般市街化区域農地と特定市街化区域農地で異なります。

基本的な考え方としては本則税額と調整税額の額が低い方が課税されます。

また調整税額の算出の際には負担水準や負担調整率を出す必要があるため注意が必要です。

負担水準=前年度の課税標準額÷本年度の課税標準額

負担水準 負担調整率
0.9以上 1.025
0.8以上0.9未満 1.05
0.7以上0.8未満 1.075
0.7未満 1.1

固定資産税の算出方法が誤っていると、納税する額の不足や超過にもつながってしまう可能性があるので必ず理解するように努めましょう。

一般農地・生産緑地の算出方法

一般農地・生産緑地の固定資産税を算出する場合、農地評価が適用されるため負担の調整が行われます。

負担の調整が行われた調整税額と本則税額のうちその額が低い方が課税されます。

  • 本則税額=評価額×1.4%
  • 調整税額=前年度の課税標準額×負担調整率×1.4%

それでは例題を用いて計算してみましょう。

ちなみに、シミュレーションの対象となる農地の状況は以下の通りとします。

項目 現況
農地の状態 政令指定都市内の生産緑地
農地面積 1000㎡
売買価格 本年度:1000円、前年度:800円(1㎡あたり)
限界収益修正率 0.58

本則税額

  • 1000㎡×1000円×0.58=58万円
  • 58万円×1.4%=8120円

負担調整率

前年度の課税標準額=1000㎡×800円×0.58=46万4千円

本年度の課税標準額=1000㎡×1000円×0.58=58万円

負担水準=46万4千円÷58万円=0.8

負担水準と負担調整率の対応表より負担調整率=1.05

調整税額

調整税額=46万4千円×1.05×1.4%=6820.8

8120(本則税額)>6820.8(調整税額)

以上により固定資産税は6820.8円と算出できます。

一般市街化区域農地の算出方法

一般市街化区域農地は今後市街化、宅地化が進められていく農地のため、評価額より宅地造成のために費やされた金額を差し引いて課税額を算出することができます。

本則税額=評価額×1/3×1.4%

調整税額の算出方法は一般農地・生産緑地の算出方法と同様です。

項目 現況
農地の状態 政令指定都市内の生産緑地
農地面積 1000㎡
売買価格 本年度:10万円、前年度:8万円(1㎡あたり)
宅地造成費 1000万円

本則税額

評価額=1000㎡×10万円-1000万円=9000万円

本則税額=9000万円×1/3×1.4%=42万円

負担調整率

前年度の課税標準額=1000㎡×8万円-1000万円×1/3=2333万円

負担水準=2333万円÷3000万円=0.77…

負担水準と負担調整率の対応表より負担調整率=1.075

調整税額

調整税額=2333万円×1.075×1.4%=35万1116.5円

42万円(本則税額)>35万1116.5円(調整税額)

以上により固定資産税は35万1116.5円と算出できます。

特定市街化区域農地の算出方法(負担水準が0.8未満の場合)

特定市街化区域農地の固定資産税は負担水準が0.8を超えるか超えないかによって算出する方法が異なってきます。

こちらも例題を用いて課税額を算出しましょう。

本則税額=評価額×1/3×軽減率×1.4%

調整税額=(前年度課税標準額+本年度評価額×1/3×5%)×1.4%

負担水準=前年度課税標準額÷(今年度の課税標準額×1/3)

項目 現況
農地の状態 政令指定都市内の生産緑地
農地面積 1000㎡
売買価格 本年度:10万円、前年度:8万円(1㎡あたり)
宅地造成費 1000万円

本則税額

評価額=1000㎡×10万円-1000万円=9000万円

本則税額=9000万円×1/3×1.4%=42万円

調整税額

前年度の課税標準額=1000㎡×8万円-1000万円×1/3=2333万円

調整税額=(2333万円+9000万円×1/3×5%)×1.4%=34万7620円

42万円(本則税額)>34万7620円(調整税額)

以上により固定資産税は34万7620円と算出できます。

特定市街化区域農地の算出方法(負担水準が0.8以上の場合)

負担水準が0.8以上の場合は同じように本則税額と調整税額のいずれか小さい方が課税税額となりますが計算式は以下のように異なります。

本則税額=評価額×1/3×軽減率×税率

調整税額=前年度課税標準額×税率

農地の固定資産税の支払い方法

農地の固定資産税の支払い方法は他の固定資産税の支払い方法と同様です。

まず支払いの対象者ですが、毎年1月1日時点の固定資産課税台帳にその土地の所有者として登録されている人が固定資産税を納税する義務を負います。

支払う方法は銀行や郵便局の他に地方自治体によっては、様々な支払方法を選ぶことができます。

例えば、クレジットカード払いやコンビニでの納付などです。

支払い回数は年4回に分けて納税する方法と一括で納付する2種類の方法があります。

納付する際の選択肢が多いことは納税者にとっても、わかりやすくありがたいですね。

農地の固定資産税の減免方法

固定資産税は場合によっては減免できることがあります。

しかしそれには一定の条件を満たしている必要があるため、ここではそのケースと条件について見ていきましょう。

評価額に対して不服の場合

固定資産課税台帳に登録されている評価額に不服な場合は、固定資産評価審査委員会に審査を申し出することが可能です。

しかし条件として申し出できる人は納税義務者に限定されており、文書での申し出が必要になります。

期間は公示された日から納税通知書の交付を受けた日後、3か月までとされているため注意が必要です。

災害や生活保護を受けている場合

評価額に対して不服がある場合の他に、災害の被災者や生活保護を受けている場合にも固定資産税が減免されるケースがあります。

生活に困窮している場合に固定資産税が減免されるのはうれしい制度ですね。

このようなケースの条件は各地方自治体が決めている場合がほとんどなので、各地方自治体に問い合わせてみることが必要です。

農地の固定資産税支払いが免除されるケース

農地の固定資産税は免税となるケースが存在します。

それはその土地が免税点を満たさないケースです。

原則として地域内の同一人物が所有する土地の課税標準額が30万円に満たない場合は、固定資産税の納付が免除されます。

また上野災害や生活保護を受けている場合でも、免除となるケースがあるため自治体への確認が必要です。

農地転用後の固定資産税の支払い

農地を転用した場合、転用した後の地目に合わせて固定資産税の課税の評価がされます。

しかし、固定資産税の評価は毎年1月1日を基準にして行われるため、転用するタイミングによってその年の課税額というものが異なってきます。

一般的に固定資産税の額は宅地に比べ、農地の方が安いとされています。

一般農地・生産緑地の算出方法の条件でその差を求めてみると、農地の場合固定資産税額は6820.8円に対し宅地の場合は1万4000円と宅地の固定資産税は農地の場合の2倍以上の結果です。

これだけ差が出てくるものなので必ず注意しておきましょう。

前年に農地を転用したケース

前年に農地を宅地に転用した場合、当年の課税標準額は転用後の宅地の地目が反映されます。

そのため12月などの年末に宅地に転用した場合は、収益が得られてないのに宅地として課税されてしまいます。

当年に農地を転用したケース

当年に農地を宅地に転用した場合、当年の1月1日時点では地目は農地として課税評価されます。

そのため2月初頭に宅地へと転用した場合でも、固定資産税の評価上は地目が農地であるため宅地での課税評価は翌年からということなるのです。

令和3年度課税からの農地の固定資産税の変更点

令和3年度から令和2年1月2日以降に転用の届け出や許可を受けた農地を対象に固定資産の評価基準が変更になりました。

それに応じて税額が異なる場合もあるため、注意しておきましょう。

農地のままの土地を宅地等介在農地として評価

この変更の背景として転用の手続きをしているのに着手していない農地が日本には多く存在しています。

毎年1月1日を基準に農地転用の届け出や許可を得ているのにも関わらず農地のままとなっている土地を宅地等介在農地として評価するように変更になりました。

課税標準額が非住宅用地と同様の扱いになる

宅地等介在農地は宅地の価値を有しているとみなされ、宅地並みの評価を受けることになります。

課税標準額に関しては非住宅用地と同様の扱いになるため、農地に比べ非常に大きくなりました。

農地の固定資産税のよくある疑問

ここからは農地の固定資産税を考える際によくある疑問について一つずつ解説していきます。

年度途中に売買した農地の固定資産税はどう支払われる?

固定資産税の納税義務者は、毎年1月1日の農地の所有者です。

そのため年度途中で売買した場合は当年の納税義務は売買前の所有者に課されます。

固定資産税の金額を見直して欲しい時はどうする?

固定資産評価委員会に対して申し出を文書にて行うことにより、評価額の審査をしてもらうことができます。

ただし、申し出できる人は固定資産税の納税義務者で、その期間も公示日から納税通知書を受けた日後の3か月後までとされています。

地価が下がっているのに固定資産税が上がっていくのはなぜ?

平成9年度以降、固定資産税の負担水準を均衡化していくという措置が取られ始め、負担水準の低い土地に関しては税負担を上げていくという仕組みが採用されています。

そのため地価が下がっているのに固定資産税が上がっていくのは、その土地の負担水準が低いからと考えることができます。

自宅の一画を畑にしたら固定資産税はどうなる?

この場合の家庭菜園のような小規模農地は、自宅の土地と合わせて宅地として評価されます。

そのため宅地として評価されることには変わりありません。

農地転用のタイミングで固定資産税が上がったのはなぜ?

令和3年度から農地転用をしているが着手していないという土地を宅地等介在農地として評価することになりました。

そのため農地でも宅地並みの評価を受けることになったため注意が必要です。

2022年問題で予測される固定資産税への影響

1992年に制定された生産緑地法。

市街地に農地を残すために制定されたこの法律ですが、2022年問題とはどのようなものなのかまたそれによって引き起こされる固定資産税への影響について見ていきましょう。

生産緑地の優遇措置の終了

1992年の生産緑地法により、生産緑地として指定した農地の固定資産税は安くなるという優遇措置が取られてきました。

しかしその期限が2022年に迫っており、2022年以降は優遇措置が終了するため税額が大幅に上がってしまいます。

土地の供給過多

優遇措置の終了によって、「税額が大幅に上昇した土地を手放したい」という土地所有者が増加するということが予想されています。

そのため市場は土地の供給過多に陥り、不動産価格の下落が心配されています。

またそうなると売りたいのに売れないという事態にもなりかねないため、割高となった固定資産税を長期にわたって払い続けなければならないということも発生してしまいます。

現在農地を所有している人は2022年問題やその後の固定資産税に関して注意が必要でしょう。

生産緑地の2022年問題を分かりやすく解説!指定解除による不動産価格下落の見通しと今からできる対策

農地の所有者は固定資産税への理解が必要

現在自分が所有している農地の区分はどれで、いくらぐらいの固定資産税がかかるのかを知っておくことは納税義務者にとっては必要不可欠です。

またお金で損しないために、減免や免税できるケースがあることも理解しておく必要があります。

固定資産税について知識を深め、税金への対策を検討しておきましょう。

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