お話を聞いた人
株式会社リンクス代表取締役 毛利 英昭
1972年福岡県生まれ、京都府育ち。
立命館大学経済学部卒業後、金融業界、大手マンションディベロッパーを経て、2009年に独立。
FPの立場から不動産投資セミナーや個別相談会を行い、手がける物件は大阪市内中心部のワンルームマンションに特化。
管理する物件の入居率は99%以上(2021年1月末現在)、購入物件の紹介・リピート率は8割以上。首都圏在住の顧客も多く、2014年に東京オフィスを開設。
趣味はトライアスロンとグルメ紀行。
著書第三弾となる【改訂版 ファイナンシャルプランナーが教える「大阪」ワンルームマンション投資術】を2019年2月にダイヤモンド社より出版。
■その他著書
- ファイナンシャルプランナーが教える いま大阪ワンルームマンション投資を始める理由
- ファイナンシャルプランナーが教える「大阪」ワンルームマンション投資術(ともにダイヤモンド社)
株式会社リンクスは大阪市に本社を置く不動産会社で、大阪のワンルーム投資では先駆者的な存在です。
大規模再開発でワンルーム需要の高まりを見せる大阪を拠点に仕入れ・管理のコスト軽減、好立地・築浅ハイスペック物件のスピーディな仕入れなどをおこない、投資家からの需要を拡大しています。
株式会社リンクスの毛利英昭氏は大阪のワンルーム投資がおすすめな理由を自身のYouTubeチャンネルや著書でも発信し続けており、地域密着型業者ならではの高い知見を持っています。
今回は毛利氏に、2020年のコロナ禍で大阪のワンルーム投資はどうだったのか、2021年はどのように予想できるかの見立てについて聞きました。
―まず、2020年の大阪のワンルーム投資の状況についてお聞かせください。
毛利氏―正直なところ、ワンルーム投資は影響がほぼ0ですね。
入居者が転出する心配もありましたが、緊急事態宣言などで引っ越し控えが起き、むしろ退去者が減少する傾向にありました。
―大阪のワンルーム投資が安定していたのは、地域的な要因もあるのでしょうか?
毛利氏―大阪は東京と違い、自転車を使う人が多いです。
東京の場合は都心に住む人が学校や職場まで自転車で通うことは中々ないですが、大阪の場合は自転車移動が割と普通なんです。
中心部から電車圏内に住む層が一定数いるというのも、安定して投資が出来る要因でしょう。
―コロナ禍で投資家の層に変化はありましたか?
毛利氏―投資家の中には、例えば株式投資などとも比較をして不動産投資の安定性を改めて実感できたので、買い増しをする、いわゆるリピーターが増えています。
年収が高く融資の与信枠が余っている人などですね。
その他に、現金でマンションを購入する人も増えています。
これはコロナショックでも日経平均が上がっており、株で儲かった人が不動産に回しているということです。
買える層がもっと買ってくる…という訳ですね。
その他にも、リモートワークが増えて通勤時間が減少。
情報を取得する機会が増えたことで、不動産投資に興味を持ってオンラインセミナーを受講する層も増えています。
コロナ禍でボーナスが削られるかもしれない、安定収益の柱が欲しいといった不安が、不動産投資への注目度を増やしていると考えられます。
―一方で、ホテルや飲食・民泊などの観光系は大きなダメージを受けました
毛利氏―大阪でもホテル・飲食店などの投資は大きなダメージを受けています。
その他、関西でいうと観光業の強い京都が悲惨ですね。
オープンする前に潰れた民泊施設もあり、オーナーが路頭に迷っているケースもあります。
大阪だと特にミナミの繁華街「道頓堀商店街」は、今回のコロナ禍で2~3割程がシャッターを閉鎖しています。
商業ビルのテナントが解約し、利回りが減少する例も多いです。
ただ、これは地価が暴落したというよりも、今まで前年比40%も急騰していた分が正常に戻ったというのが正しいですね。
―先日ミナミの路線価が大幅に下落しました。路線価が1955年に導入されて以来はじめての減額補正と話題になっています。
毛利氏コロナが来る前は、道頓堀の商店街がかなり賑わっていました。
特に主力だったのが観光客を対象にしたインバウンド向けビジネスです。
ドラッグストアの爆買いなども日常的に見られましたからね。
他県から来た方が、「ここは本当に日本なのか?」と疑問に思うほどです。
これがコロナ禍の渡航制限によって収益が大幅減になったので、路線価が減少するのも当然といえば当然です。
―ここまで2020年のワンルーム投資に関するお話を聞きましたが、2021年はどうなると思いますか?
毛利氏2021年こそ大阪のワンルーム投資はチャンスと考えています。
まず、マンションを建てようと思ったら土地を仕入れるところから始めます。
土地の仕入れから着工して竣工まで約2年。
2021年に竣工されるマンションは2018~2019年くらいに仕入れられた土地に建てられる訳ですが、その時期はまだまだ観光業が盛んで、中心部は観光系デベロッパーが土地を多く仕入れていたため地価が高騰し、マンションデベロッパーは中心部では仕入れ出来ず、大阪は環状線の外側や大阪市外のエリアでしか竣工(供給)できないのです。
こうした背景から、居住用ワンルームは大阪では環状線より外側のエリアでしか竣工できないのです。
これは、首都圏のマンション新築が大宮、川崎、柏などで活発化したのと同じ現象です。
更に、東京と大阪のコロナ感染の状況の違いも大きいです。
2020年、大阪市の転入超過が全国最多を記録しました。
これは、東京の状況を見て大阪への人員配置を増やした企業が多かったこと、2025年の大阪関西万博に向けてビジネスチャンスを見込んで移ってきた層の存在などがあります。
大阪は家賃が安くて中心部・オフィス街の近くでも住めるので、リモートワーク期間でも住宅手当や交通費が大きな出費にならないという企業の思惑も関係しているかも知れません。
つまり、2021年は大阪中心部に竣工されるワンルームマンションは増えず、一方で入居したい人の数は増加する見込みです。
供給減・需要増で物件の値打ちは上がっていくため、ワンルーム投資家にとっては追い風と言えます。
―なるほど。新型コロナのダメージが大阪は相対的に軽いという要因と、他の地域的要因が合わさって有利な状況が続くと…
毛利氏東京では毎年どこかの駅の近くに新築マンションが竣工されていましたが、その勢いは数年前から下火でしたね。
2021年に大阪のワンルーム投資が盛り上がる!というのは、コロナがいつ収束するかに関わらず言えることだと思っています。
東京に比べて価格が半額近くの安さでリスクが少ない点などに惹かれ、すでに近年、不動産投資家は東京から大阪へ結構流れてきていましたからね。
―これから不動産投資を始めたい人にも大阪がおすすめなのでしょうか?
毛利氏―そうですね。
先ほど言った通りコストを抑えられるのと、入居者の転出が激しくないのもメリットです。
東京の有名大学って基本的に都心にあると思うのですが、大阪の有名大学は大阪市内、特に環状線の内側にキャンパスがないんですよね。
基本的に環状線の外側の郊外に位置しています。
東京都心でワンルーム投資をしようと思ったら、学生の存在はネックになります。
コロナでオンラインでの授業になり東京に住む理由がなくなり、実家に帰る学生が増えたせいで空室率も高くなっている物件も多いです。
一方、大阪の環状線内側ならターゲットはほぼ社会人なので、年中入退去があるというメリットがあります。
―コロナ禍で人の暮らしは大きく変わりました。Withコロナと言われる今の時代、不動産投資はどう変化するとお考えですか?
毛利氏コロナで人の流れが変わるというのは大きいと思います。
東京ではリモートワークが進み、都心オフィスを売却する大手企業も出てきました。
東京に留まるリスクを明らかに避けていますね。
一方で、東京以外の都市ではリモートワークは進んでいません。
大阪ですらリモート導入は進まず、今でも満員電車を見かけます。
このような背景から東京の人口が別の都市に移動すれば、一極集中が緩和され、不動産投資は東京では不利となるでしょう。
今後の東京は黄色信号、大阪は青信号と評価できますが、とはいえ都心一等地はどんな時代でも高いニーズが残り続けます。
このコロナ禍で肝心なのは、「下手な手は打たないこと」だと思っています。
―基本に忠実で安定した不動産投資をすべきということですね。
毛利氏不動産投資のセミナーが現在活況なのは、その家賃収入の安定性が評価されている部分が大きいです。
その中でもどっしりと構えて、安定収益が見込める物件を購入した投資家はコロナも関係なく収益を上げられていますね。
逆に今回ダメージを受けたのが、高利回りで「これからは民泊経営の時代」という触れ込みに乗せられて物件を購入した人などです。
アパートの一棟投資をした人も同じですね。
―東京でいうと、「地盤の固いエリアの物件を買え!」なんて触れ込みに乗った投資家は最近多いですね。
今までもこれからもそうですが、不動産投資は普通に儲かる・将来的にも安定して儲かるエリアと物件を選ぶというのが、一番大事なんじゃないかなと思いますね。
―不動産投資はギャンブルではなく安定的な資産運用・資産形成だということを理解することがまず大切ですね。
(インタビューは以上です)