建築一式請負とは?一式工事の特徴とメリットを紹介
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建築一式請負とは、建築工事を行う際に施工者の建築業者や工務店が、大工や左官、塗装、内装などの工事を一括で請け負い、全工程を済ませてから施主(建築主)に引き渡す様を指します。
建築一式請負は、マネージメント業に近いですが、質の高い技術を持った専門的な業者とつながりがあれば、必然的に良い結果が得られます。
今回は、一式請負工事の特徴とメリットについて解説します。
一式請負工事とは?
一式請負工事は、施主(建築主)が、建築業者や工務店などと交わす請負契約の方法の一つです。
一般的には、建築確認を必要とする新築工事や増改築、大規模改修工事などが、建築一式工事となります。
契約時に請負金額や工期を決めて、一括で請け負うため、請け負った建築業者や工務店は全体的な計画が立てやすいのがメリットと言えます。
専門工事との違い
一式請負工事は専門工事と違って、総合的な企画、指導、調整のもとにマネージメントする仕事です。
一式請負工事には、土木工事業と建築工事業がありますが、どちらも、専門業者たちを束ねる業務をおこないます。
例えば、新築工事を施工するには、それぞれ、屋根工事、電気工事、管工事、内装工事などの許可を持っている専門の下請に仕事を出します。
専門工事には、以下のような工事があります。
- 土木工事
- 建築工事
- 大工工事
- 左官工事
- とび・土工工事
- 石工
- 屋根工事
- タイル・れんが・ブロック工事
- 鋼鉄筋工
- しゅんせつ工事
- 水道施設工事
- 消防施設工事 など
マネージメントする建築業者や工務店と、専門の下請業者の質や関係いかんによって、施主(建築主)の満足度が違ってきます。
一式請負工事のメリット
工事一式を受注した元受けの建築業者や工務店は、実際の工事は専門性が必要なため、専門性の高い業者に下請けに出します。
その際、確かな技術と実績がある専門の業者とパイプがあると、マネージメントがしやすく、請負工事がスムーズに進みます。
契約が簡略化できる
建設業許可を受けなくても請け負うことができる、比較的小さな規模の建設工事を、軽微な建設工事と言います。
この軽微な工事のみを行う場合は、建設業許可を受けなくても、建設工事を請け負うことが可能です。
軽微な工事とは、「工事1件の請負代金が1,500万円に満たない工事」であり、「延べ面積が150㎡に満たない木造住宅工事(延べ面積の1/2以上を居住の用に供すること)です。
管理がしやすい
工事一式を受注した元受けの建築業者や工務店は、長年取引があり、なじみのある専門性の高い業者に下請けに出すため、様々な面で意思の疎通が図りやすく、管理がしやすいと言えます。
責任の所在が明確化できる
建築業者や工務店では、技術的に無理な工事を専門性の高い業者に下請けに出します。
しかし、その部門の主任技術者は、元請の監理技術者が行うべき役割と、同じ責任を担っているため、責任の所在が明確化できます。
一式請負工事の種類
一式工事は、「土木一式工事」と「建築一式工事」の2種類に分類されます。 土木一式工事とは、総合的な企画、指導、調整などをもとに、土木工作物を建設する工事のことを指します。
建築一式工事とは、総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事を指します。
土木一式工事
総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物を建設する工事(補修、改造又は解体する工事を含む)です。
基本的に一式工事とされるのは、大規模、複雑な工事等が該当しますが、とび、土工、コンクリート工事等の単一工事でも、専門的なものは土木一式工事に含まれます。
ちなみに、家屋その他の施設の敷地内の配管工事や上水道等の配水小管を設置する工事が管工事で、上水道等の取水、浄水、配水等の施設及び下水処理場内の処理設備を築造、設置する工事が水道施設工事ですが、これらの工事も土木一式工事になります。
建築一式工事
総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事です。
建物の新築工事、建築確認を要する増改築工事、建物の総合的な改修工事などが、建築一式工事です。
基本的に一式工事とされるのは大規模、複雑な工事等が該当しますが、一般住宅の電気工事、管工事、内装仕上工事等の単一工事も建築一式工事に含まれます。
一式請負の注意点
請負とは、業務委託の種類の一つで、完成した仕事に対して報酬を支払う契約形態です。
建設業法第19条では、建設工事の請負契約の当事者は、契約の締結に際して、一定の事項を書面に記載し、署名または記名押印して相互に交付しなければならないと定めています。
- 建設業法で定める一定の事項は工事着手の時期や工事完成の時期
- 工事代金の支払方法
- 設計変更や工事中止の際の対処方法
- 紛争が生じたときの解決方法
参照:建設業法_第三章 建設工事の請負契約より
一式工事を下請けに丸投げは禁止されている
丸投げとは 一括下請けのことで、元請会社が下請会社に対し、すべての建設工事を任せます。
このような丸投げのやり方は、建設業法で禁止となっています。
丸投げが判明した場合は、違法行為として営業停止処分などの厳しい制裁を受ける場合があります。
なぜなら、丸投げ( 一括下請け)を許せば、元請けは利益だけを得ることになり、下請けは、不当な搾取を受けることがあるからです。
下請会社が適正な報酬を得られなくなると、予算不足から工事の質が低下する可能性があります。
ひいては、何も知らない施主(顧客側)の不利益が増大してしまいます。業者によって質が左右される
建築一式請負を行う業者は、専門工事を下請けに依頼する場合、適切な下請契約を作成し、適正な報酬配分を決め、監督責任を負わなければなりません。
施主(建築主)が業者を選ぶ際には、建築士を自社におき、常用大工を抱え、屋根工事、電気工事、管工事、内装工事などの許可を持っている専門の下請とパイプがある業者にしましょう。
高い施工能力のある元請け業者を選ぶことが、質の良い住宅を手に入れることにつながります。
一式請負をする業者選びは慎重に行おう
施主(建築主)が、一式請負をする業者選びのポイントは、予算内で住む人の立場になって施工を行ってくれ、アフターケアもしっかりしてくれることです。
そのためには、数ある業者から信頼できる業者を選ぶ必要があります。
例えば、ネット上には「大手のハウスメーカーより近くの工務店の方が信頼できる」といった体験談などが載っています。
施主(建築主)の好みの問題なので、一概には言えませんが、古くから営業を続けている工務店などは、地域のことをよく知っていて、トラブルを招きにくく、アフターケアもしっかりしてくれることが多いようです。
建築一式請負工事の特徴を抑えたうえで下請けに依頼しよう
建築一式請負工事では、建築業者や工務店が、建築および土木工事を一括で請け負い、専門的な分野は、それぞれの業者に下請けに出します。
しかし、元請会社が下請会社に対し、すべての建設工事を任す丸投げは、建設業法で禁止となっているので、施主(建築主)は注意しましょう。
施主(建築主)が、一式請負業者を選ぶ際には、建築士を自社におき、常用大工を抱え、屋根工事、電気工事、管工事、内装工事などの許可を持っている専門の下請とパイプがある業者を選ぶと安心です。
また、後のトラブルを防ぐために、施主(建築主)は、不安なことや疑問点を明確にして、業者と書面を交わすことも大事です。