株式会社realwave/不動産ジャーナリスト
亀梨奈美
大手不動産会社退社後、不動産ライターとして独立。
2020年に株式会社real wave設立
不動産全国紙の記者として、不動産会社や専門家への取材多数。
「わかりにくい不動産を初心者にもわかりやすく」をモットーに執筆している。
マンション選びに際して、広さや間取り、共用施設など重視すべきポイントは複数あります。
その中でも、意外と盲点になりやすいのが、行政の取り組みと地域の将来性です。
自治体によって、子育て支援策や人口動態などは大きく異なります。
今回ご紹介する「東京都府中市」は、東京の中でも比較的、不動産価格が安い一方で、暮らしやすさや将来性において魅力の高い自治体です。
とくに、マンション価格が高騰し続ける今、その魅力はさらに高まっているといえます。
株式会社realwave/不動産ジャーナリスト
亀梨奈美
大手不動産会社退社後、不動産ライターとして独立。
2020年に株式会社real wave設立
不動産全国紙の記者として、不動産会社や専門家への取材多数。
「わかりにくい不動産を初心者にもわかりやすく」をモットーに執筆している。
府中市は、東京都の中でも子育て支援が充実しています。育児には妊娠、出産、幼少期、青年期……それぞれにお金がかかりますが、府中市の支援策は一時的なものではなく、長く保護者を支えてくれる体制が整っています。
東京都では、現在、所得制限を設けて0歳児から高校生までの医療費を助成しています。
東京都23区は、自主財源により所得制限を撤廃し、全ての高校生の医療費を無料としています。
東京都下の対応は市町村で異なりますが、府中市は自主財源で所得制限を撤廃している自治体の1つ。
子どもの医療費については“都民格差”が見られるものの、府中市は23区と同等の条件となっています。
2021年から始まった「ふちゅうママパパ応援隊」という事業では、妊娠中から子どもが1歳の誕生日を迎えるまで第一子で最大80時間、第二子で最大100時間の家事サポートを受けられます。
このサポートには、育児のみならず、食事の準備や買い物、兄弟姉妹の送迎なども含まれています。
民間の家事代行サービスが1時間あたり3,000円ほどと考えると、20〜30万円の助成を受けられるのと同義です。
他にも府中市では、待機児童の保護者などに対し、1時間150円でベビーシッターが利用できるサービスも提供しています。
東京都の待機児童数は、一時期より大きく減少しました。
しかし、町田市の75人(2022年度)を筆頭に、東京都下ではまだ待機児童ゼロを実現していない自治体が少なからずあります。
府中市の2022年度の待機児童数は、14人。
2018年頃まで、府中市は多摩地域の中でワーストワンの待機児童の数でしたが、近年は大きく改善しています。
不動産を購入するうえで必ず持つべき視点が、周辺地域の「将来性」です。
多くの方が、10年や20年、それ以上、住み続けることを想定してマイホームを購入するはず。
「今」暮らしやすいだけでなく、将来にわたって住環境と資産価値が維持できるかどうかは、家族の未来に関わる重要なことです。
(出典:府中市)
日本の地価総額は、バブル期をピークに大きく下落しています。
1990年は2,500兆ほどだった地価総額も、今では約半分の1,200兆ほどです。
そんな中、国土交通省によれば、府中市の地価は上昇傾向にあります。
2023年3月に発表された住宅地の公示地価は、多摩地区全域の変動率が+1.6%だったのに対し、府中市の変動率は+3.3%。多摩地区で二番目に高い上昇率です。
(出典:東京都)
人口の増減は、不動産価格に大きく影響します。
日本では、すでに人口が減り始めており、2040年までに東京都の市区町村でも人口の減少が見られると推測されています。
しかし、上記画像の通り、府中市は現在の人口の90%以上を維持する見込みです。
周辺の三鷹市や小金井市、国分寺市、調布市、稲城市、日野市は90%を切ると推測される中、府中市は、都下の主要都市の1つになっていくことが見込まれます。
(出典:府中市)
府中市では、長らく再開発が推進されてきました。
府中駅南口地区では1974年に再開発が始まり、専門店街「フォーリス」や「ミッテン府中」、商業住居複合施設「くるる」などの進出により商業化が加速。
再開発が進むに伴い、府中市全体でも人口、世帯数が大きく増加しています。
現在では、住みたい街ランキングの上位にランクインすることもしばしばです。
新築マンションが高騰する中、府中市は比較的、手が届きやすい金額で分譲されています。
利便性や持続可能性を考えれば、府中市の魅力は非常に高いといえるでしょう。
■2023年3首都圏新築マンション平均価格
エリア | 平均価格 |
---|---|
首都圏 | 1億4,360万円 |
東京23区 | 2億1,750万円 |
東京都下 | 6,741万円 |
神奈川県 | 5,865万円 |
埼玉県 | 4,804万円 |
千葉県 | 4,908万円 |
新築マンション価格は。近年ぐんぐん上がっており、2023年3月にはついに首都圏の平均価格が1億円の大台を突破しました。
東京都23区は、なんと2億超え。
一般的な収入のビジネスパーソンには、なかなか手が届かない水準にまで高騰しています。
全国的に新築マンションが高騰する中、府中市も例外なく価格が上がっています。
とはいえ、2023年3月時点、府中市で販売されている新築マンションの価格は3,000万円〜5,000万円台が中心。
決して安くはないものの、一般的なビジネスパーソン、あるいは共働きのご夫婦が住宅ローンに通りやすく、手が届きやすい金額といえるのではないでしょうか。
新築マンション価格が高騰する中、府中市の物件は比較的、手が届きやすく、都心へのアクセスも非常に良いことから注目が高まっています。
コロナ禍を経た今、子育て支援が手厚く、将来性もあることに加え、住環境も良い府中市の魅力は高まるばかりです。
マイホームを選ぶ際には、こういった地域特性や行政の取り組みにも目を向けることをおすすめします。