軒天の塗装は意外と重要?塗装方法と時期の目安・費用相場を解説
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外壁・屋根塗装の際に盲点になりがちな軒天ですが、この部分も建物を守るうえで重要な役割を担っているので劣化が見られる場合は塗装が必要です。
そこで今回は軒天の塗装について、塗装の意義・費用・塗装方法に付いて紹介していきます。
軒天の役割
軒天(のきてん)と言っても、どの部分のことを指しているのか分からない方は意外と多いのではないでしょうか。
軒とは、屋根が外壁より前に出ているひさしの部分のことをいい、その裏側にある軒の天井部分のことを軒天といいます。
軒天は軒裏天井・軒井・軒裏と呼ばれることもあります。
役割としては、以下があります。
- 屋根や垂木の野地板を隠す
- 不燃材を使用し、火事の際に屋根裏の延焼を軽減・防止させる
- 有孔板や換気口から空気を取り入れ、天井裏の結露やカビを防止する
軒天の種類は大きく2つ
ケイカル板(ケイ素カルシウム板)
土などに含まれるケイ酸と酸化カルシウムが結合したケイ酸カルシウムという物質と、補強用繊維を配合している板です。かつては建物の多くに繊維強化セメント板が使われていましたが、アスベストが社会問題になってから使用されることがほとんどなくなりました。
これに代わって登場したのがケイカル板となります。
防湿性、耐火性に優れているのが特徴で、もちろんアスベストを含んでいません。
べニア板・合板
日本家屋などでは、べニア板や木目調の合板が使われていました。とくに、木目調は風情のある軒天に仕上げることができるので人気でした。
しかし、数年で劣化してしまうことや、耐火性が低いどころか燃える材料となってしまうので近年はケイカル板が主流となっています。
軒天の塗装にかかる費用は平均25万円~40万円
そのため、一般的な軒天(40㎡)の塗装にかかる費用の相場は、平均で25万円~40万円ほどになります。
なお、こちらの価格は軒天に絞って塗装を依頼した場合であり、足場代なども含んだ値段です。
外壁と合わせて塗装をすれば節約可能
外壁塗装+屋根塗装など、他の箇所も合わせて塗装を依頼する場合、軒天の塗装にかかる費用は15万円~25万円ほど節約できます。この価格は、足場の組立・取り外し・除去にかかる費用を指しています。
足場の組立は作業員の安全や丁寧な工事を担保するためになくてはならないものなので、高所の作業では必ず設置する必要があります。
軒天塗装、外壁塗装、屋根塗装を別々のタイミングで依頼すると、その度に足場の組立が必要になるので、かかる足場代は1回の工事の3倍になります。
一方、さまざまな箇所の塗装をまとめて依頼することができれば、かかる足場代は1回分で済みます。
軒天を塗装すべきタイミング
外壁塗装と屋根塗装と同じタイミングで塗装をおこなえばいいと考えている方が多いかもしれません。
それは間違いではないですが、軒天だけ劣化が激しくなっている場合は早めに塗装を検討しなければなりません。
それでは軒天によくみられる劣化現象を紹介していきますので、あなたの自宅で以下のような劣化現象が見られていないか確認してみてください。
汚れ・色あせが見える
軒天は紫外線を直接受けているわけではないですが、経年劣化によって汚れが付着したり、色あせが起こってしまうことがあります。軒天の色あせや汚れは緊急性のあるものではないですが、塗装によってメンテナンスすることで劣化が進行してしまうことを防ぐことができるので、ぜひこのような劣化を見つけたら塗装を検討してみてください!
剥がれが発生する
軒天の表面が剥がれてしまい、ボロボロになってしまっている場合は塗装が必要になります。塗装の剥がれは軒天に雨や風の影響を直に受けてしまっている状況なので、早急に塗装が必要な場合があります。
雨水などが軒裏に入り込んでしまうことも考えられますので、そのような場合は最悪雨漏りの原因ともなってしまいます。
雨漏りが発生してしまうと工事に大きな費用を費やすことになってしまうので早めに塗装をおこなうことをおすすめします。
カビ・コケが発生する
軒天にカビやコケが発生してしまっている場合は、雨水や湿気が発生しやすい状態にあるので、通気がしっかりとできていない可能性があります。通気ができていない場合さらなるカビ発生の原因となってしまいます。
またコーキングなどから雨水が侵入し、湿った状態になってしまいカビが発生してしまうこともありますので、やはりこのような劣化がみられる場合は早めのメンテンナンスが必要といえます。
もし劣化状態を自分で判断できない場合は地元の塗装業者に依頼して点検してもらってもいいでしょう。
シミが発生する
シミが発生している場合は雨漏りの危険性が高いです。屋根やベランダから排水がしっかりできていない場合は、雨水が中に入ってしまい軒天にシミが出てくることがあります。
雨漏りが進行している場合もありますので、早急に塗装業者に点検してもらいましょう。
シミができている場合はメンテナンスの緊急性が高いといえます。
もし雨漏りの進行状況がひどい場合は、塗装ではメンテナンスはできず、新しい軒天への張り替えをおこなうことになってしまいます。
こうなると工事費用も高くついてしまうので、シミ発生前にメンテンナンスをしておきたいものです。
軒天の塗装方法
軒天塗装の際には、必ず塗装業者に工事を依頼しましょう! 簡単な工事だからと言って自分で粗相してしまうと失敗してしまったり、落下などの危険を伴うので絶対にやめましょう。
研磨紙刷り込み(下地調整)
塗膜の不具合の場合は、まず研磨紙によって古い塗膜を取り除いていきます。そのあとで刷毛や雑巾などで軒天をきれいにしていきます。
軒天の塗り替えをおこなううえで、下地調整がどれだけキレイにできているかで塗装の完成度が変ってきます。
塗装がキレイにおこなえれば長持ちに繋がりますので、まずは下地調整が大切になります。
吸い込みとめの塗布
軒天をきれいに清掃できたら、吸い込み止めをローラ―や刷毛を使って塗装していきます。吸い込み止めは、塗料が下地・中塗り・上塗り塗料に吸い込まれてしまい、ツヤを失ってしまったり肉持感がなくなってしまう状態を防止する役割があります。
吸い込み止めの塗布は、軒天塗装の成功を左右するのでこの作業はとても重要だといえます。
塗装開始
吸い込み止めを塗装したら、中塗り・上塗りをしていきます。塗装後は一定の乾燥時間をおいて重ね塗りをしていきます。
本来塗装は中塗り・上塗りの1回づつとなりますが、2回では不十分と判断した場合は3回目の塗装が必要になります。
高圧洗浄はできない
軒天には、通気性をよくするための、有孔板や換気口を設けてあります。それゆえ軒天に高圧洗浄をおこなってしまうと、通気部分から水が入ってしまうので高圧洗浄ができないのです。
軒天塗装におすすめの塗料
特に、合成樹脂エマルションペイント(EP・AEP)と呼ばれる種類が昔から人気です。
人気のビニデラックス(関西ペイント)やエコフラット100(日本ペイント)はVOCの含有量が少ないので自然に優しく、塗りやすさもピカイチで職人からの人気も高いです。
一方、近年ではアクリル樹脂系非水分散形塗料(NAD)が軒天塗装で使われる割合も増えてきました。
NADはEPよりも密着力に優れ、高い耐水性を誇ります。
人気の塗料としては、以下の3商品などが挙げられます。
- アレスセラマイルド(関西ペイント)
- ケンエースG-Ⅱ(日本ペイント)
- セラミタウンマイルド(エスケー化研)
白や明るい色に塗装するのがおすすめ
軒天を塗装する時に人気なのが、白やオレンジ、または黄色がかった明るめの色です。軒天は外から見ると目立たない部分ではありますが、だからこそ目立つ色を使っても主張しすぎることはありません。
軒天は迷ったら白色がおすすめと言われていますが、白があまり好きではないという方は外壁よりワントーン明るい色にするのがおすすめです。
また、軒天の色を屋根と同じにすることで外壁とくっきり色分けされてコントラストが強調される効果もあります。
軒天のDIY塗装がおすすめできない理由
しかし、軒天は高い所にあり塗装体制が厳しいことから、本当は難しい作業なのです。
他にもDIYをおすすめできない理由がいくつかあるので紹介していきます!
塗料が外壁を汚してしまう
天井に塗装するということで、塗料が垂れたりこぼれたりして外壁を汚してしまうことがあります。これは素人のミスとして多いものですね。
キレイな外壁を塗料で汚してしまうと、新たな作業を増やすことになってしまうので自信がない場合はおすすめできません。
上を向いて塗装すると考えるだけでも、作業の難しさは何となく想像できるのではないでしょうか。
隅々まで塗装するのが難しい
軒天は塗装面が狭いので簡単に思えますが、隅々までキレイに塗装するのは意外と大変な作業になります。まんべんなく、均一に塗装しなければ軒天を塗膜で守ることができません。
軒天に一枚のきれいな膜を作るのが軒天塗装なのです。
上を見て作業するので危険が伴う
軒天塗装のスタイルは、ずっと上を見て作業する形です。足元がおぼつかない場面も多く、転落などの危険もあるので注意が必要な作業になります。
骨折なんてしてしまっては、後悔しか残りませんので身の安全を考えてプロに任せることをおすすめします。
プロの塗装のほうが耐久性が高い
あたりまえではありますが、プロに塗装してもらうほうが長く建物を守ってくれる塗装にすることができます。素人の塗装は塗膜が均一にならないことがほとんどです。
それでは劣化が早まり、何回も通すするはめになりかねません。
いくら自分で塗装していたとしても、回数が多ければコストがかさみます。
さらに、塗面がキレイじゃなく見た目が悪くなってしまうことも多いです。
それを考えると、プロにお願いしたほうがいいのではないでしょうか。
軒天の塗装で失敗しないポイント
防水性・耐水性にこだわる
意外と知られていませんが、軒天は日が当たらないので、雨天時などに湿気がかなり溜まりやすくなっています。湿気が猛烈に溜まると塗装の剥がれや劣化などが早期に起こり、家全体の悪化にもつながりかねません。
湿気が軒天の下地を腐食させると、家全体の劣化を引き起こします。
より広範囲のリフォームが必要な事態を避けるために、早めのメンテナンスをしましょう。
塗装する必要がないことも多い
外壁や屋根を塗装するのと同じタイミングで軒天も塗装を依頼すると、費用を安く抑えることができます。ただし、日光や風雨に常に晒されている外壁や屋根とは異なり、軒天の劣化は比較的緩やかです。
他の箇所と合わせて塗装をするとお得なのは間違いないですが、軒天の状態的に塗装が必要ないなら、特にまとめて依頼する必要はありません。
劣化が激しいなら修理や交換が必要
塗装は、家という“主”に対し、あくまで“従”の効果しかないと言われます。つまり、防水性・耐久性に優れた塗料を使用しても、家自体の防水性・耐久性が低い場合、それを超えるほどの効果は期待できないのです。
軒天の劣化が激しい場合は、塗装ではなく修理や交換が必要になってきます。
塗装業者の中には状態に関わらず塗装工事を勧めてくることもありますが、状態の悪化している軒天を塗り替えるのは損なので注意しましょう。
ひび割れや傷の状態は事前に確認してもらう
軒天は遠くから見ると分かりにくいですが、近くで見ると無数のひび割れや傷が発生していることが多いです。ひび割れが起こった軒天に塗装をすると、塗料がひびに入り込んで割れを拡大させてしまいます。
そのため、塗装の際は傷・ひびを直す下地処理が必要になりますが、状況によっては下地作業に費用がかかり過ぎて補修や交換をしたほうがお得なこともあります。
軒天にどれほど傷・凹みがあるかは、事前にはなかなかチェックすることができません。
軒天の状況調査が終わるまでは、具体的な工事計画を進めるのは避けましょう。
軒天の状況は定期的にチェックする
ただし、軒天の劣化が家全体に広がるケースも十分考えられます。
軒天の状況は定期的に確認し、目に見えた劣化があればメンテナンスするのが理想的です。