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相続したビルを売却したい!相続税と消費税に注意

【更新日】2024-01-11
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相続したビルの売却
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親からビルを相続する事例が増えています。

バブル期の不動産投資ブームで購入したものの、直後にバブルが崩壊し、目立った利益を出せぬまま、放置されていたケースが多いようです。

最初のうちは「ビルが相続できるなんて!」と舞い上がる人も多いですが、だんだん管理が大変なことに気づき、売ってしまいたいと思うようになります。

相続したビルも売ることはできますが、手続きや税金の面で注意すべき点もあります。

今回は、相続したビルを売る際の注意点を分かりやすく解説していきます。

※ビル売却の基礎知識はこちらにまとめています。併せてご覧ください。

ビル売却の注意点を分かりやすく解説!はじめて売る方は要確認!

相続した不要なビルは早めに売却すべし!

相続したビルに使い道がなく、いらないと思うなら、出来るだけ早期に売ってしまうのがおすすめです。

「今はいらないけど、いつか使うかも?」と思って放置をしていても、後から必要になるケースはかなり稀です。

逆に、即決せずビルをただ放置しておくと、様々なデメリットが発生してしまいます。

ここからは、具体的なデメリットを紹介します。

相続したビルを放置すると固定資産税・維持費がかかる

ビルを放置するリスクでまず考えられるのが、固定資産税です。

ビルは相場が高い分、毎月の固定資産税も高額になりがちです。

ビルを放置しても固定資産税の支払いは免れられず、結構な負担になります。

また、ビルの設備が故障した時は修理が必要になります。こうした維持費も積もり積もって大きなコストになります。

迷惑なテナントの管理を引き継ぐケースも

相続したビルが空ビルとは限りません。

テナントが入居しているビルを相続した場合は、あなたが新オーナーとなって管理をする必要があります。

これだけでも面倒ですが、テナントの中には賃料を何年も滞納する人や、オーナーに食ってかかるヘビークレーマーもいます。

相続したビルを管理していたものの、こうしたテナントに頭を悩ませ、精神的にまいってしまった人も多いです。

古くなり過ぎたビルは処分が難しい

ビルは構造・材質が頑丈なので、築50年くらいまでは使用することができます。

ただ、市場に出回っている売りビルは築10~30年が多いので、それ以上の築古だと悪い意味で目立ってしまいます。

また、築年数が50年を超えると、ビルは処分が難しくなります。

普通の一戸建てなら建て替えたり、立て壊して処分したりできますが、ビルは気軽に解体できないので、処分に困ることになります。

解体できず、売ろうにも買い手がつかない…。そんな状態に陥る前に、早めに売ってしまうことをおすすめします。

相続したビルを売却する流れ

相続したビルを売却する流れ

相続したビルの売却は、原則こちらの6ステップで進んでいきます。

  1. ①不動産の相続人決定(遺産分割協議)
  2. ②所有者名義の変更
  3. ③業者選び・媒介契約
  4. ④販売活動・媒介契約
  5. ⑤引き渡し・決済
  6. ⑥売却代金を分配

ここからは、それぞれの手続きを手順に沿って分かりやすく紹介していきます。

①不動産の相続人決定(遺産分割協議)

親が亡くなった時は、まず遺産を整理して、相続人決定の手続きをしなければいけません。

遺産には様々な種類がありますが、不動産を相続する場合は以下の3つの方法で処理をします。

  • 換価分割:現金化して分割
  • 代償分割:1人に所有権を移し、新所有者は対価として金銭を払う
  • 共同分割:共同名義で不動産を所有する

換価分割を選んだ際は、その後に売却手続きを進めていきます。

②所有者名義の変更

親が亡くなった時に、不動産の名義が自動的に子どもに変わるわけではありません。

そのため、所有者名義の変更(相続登記)が必要になります。

相続登記は必須でやらないといけない手続きではありません。実際、親名義の実家を引き継いで住んでいる方は多くいます。

ただ、相続したビルを売却する場合は、絶対に相続登記が必要になります。なぜなら持主以外にビルの処分を決定する権利はないからです。

相続登記は、被相続人全員で遺産分割協議書を作成します。この際、全員分の印鑑証明書、実印も必要になります。

相続登記がきっかけで険悪な関係になることも多いので、出来るだけスムーズに対応することをおすすめします。

③業者選び・媒介契約

名義変更が済んだら、全員が相続したビルを売ることで意見が一致する必要があります。

満場一致で売ることが決定したら、一人を代表者にして手続きを進めていきます。

まずは業者選びです。査定額の比較などを通し、契約先に最適な業者を選んでいきます。

相続したビルは売却後の手続きも面倒なので、相続・税金関係に詳しい業者を選ぶのが理想的です。

契約先の候補が絞れたら、媒介契約を結びます。これは、売主が業者へ販売活動を委託する代わり、成約のあかつきに売主から業者へ仲介手数料を支払うという契約です。

媒介契約には3つの契約方法があり、内容が少しずつ違います。

契約の種類 契約の有効期間 売り手自身が買い手を見つけること 依頼可能な業者数 仲介業者からの報告※
専属専任媒介契約 3ヶ月以内 できない 1社のみ 1週間に1回、メールか文書で連絡
専任媒介契約 3ヶ月以内 できない 1社のみ 1週間に1回、メールか文書で連絡
一般媒介契約 3ヶ月以内 可能 複数社と契約可能(契約数の上限なし) なし

基本的には、(専属)専任媒介契約を結びます。一般媒介契約は複数社と契約できてお得に感じますが、業者からすれば仲介手数料がもらえない可能性もあるので、リスクが高くコストを抑えがちです。

ただ、都心のビルのように、どれだけコストを使っても回収できそうな物件なら、一般媒介契約にすることで業者間の競争が起き、相場以上に高く売れることもあります。

不動産売却時の媒介契約とは?専任媒介と一般媒介の違いとメリット・デメリットをわかりやすく解説

④販売活動・売買契約

媒介契約を結んだら、仲介業者が販売活動を進めていきます。

ビルは他の不動産と異なり、大々的なPRはおこなわれないことが多いです。

内見や条件交渉を通して相手が納得すれば、次に売買契約を結びます。

売買契約では主に、契約書の読み合わせがおこなわれます。契約を締結してしまうとキャンセルができないので、スケジュール設定をしっかりしておきましょう。

⑤引き渡し・決済

売買契約を結んだら、最後に引き渡し・決済をおこないます。

決済は高額のお金が動くので、安全性を考慮して銀行の一室で行われることが多いです。

引き渡し日当日の流れをまとめると、このようになります。

  1. 本人確認と書類の確認
  2. ローン融資を買い手がおこなう
  3. 税金などの精算
  4. 売り手から買い手へ領収書の発行
  5. 仲介手数料の支払い
  6. 司法書士への報酬支払い
  7. 売り手のローン返済手続き
  8. 抵当権の抹消登記完了
  9. 鍵や重要事項説明書などの引き渡し

この時、売主から買主へ所有権の移転登記をおこないます。司法書士に依頼して手続きをするのが一般的ですが、依頼費がかかるので注意しましょう。

不動産売却で司法書士は何をするの?売買契約は立会可?役割と費用相場を解説

全ての手続きが終われば、引き渡し完了です。

⑥売却代金を分配

相続したビルを売った場合は、最後に売却代金を分割する必要があります。

売主はあくまで分割相続人の1人で、手続きを代行しているにすぎません。

売却代金をどう分割するかは事前の話し合いに沿っておこないます。

相続したビルの売却でかかる税金・費用・手数料

相続したビルを売ると、以下のような費用がかかります。

  1. 仲介手数料
  2. 印紙税
  3. 抵当権抹消登記費用
  4. 譲渡所得税

それぞれ計算式や支払いのタイミングが異なるので注意しましょう。

かかる費用については、こちらで詳しくまとめています。ぜひ参考にしてください。

不動産売却の費用・手数料を一覧で紹介!手数料を安く抑えるコツや計算方法も解説

ビルに相続税が課される仕組み

ビルを相続した場合も、他の遺産と同じように相続税が課されます。

ビルの相続税は、どんな仕組みで課されるのでしょうか?

相続税は遺産の総額から算出される

相続税は、個別にではなく引き継いだ遺産全体にかかります。

相続税額を計算式で表すと、以下のようになります。

相続税額={遺産総額-基礎控除額(3000万円+相続人の数×600万円)}×税率

相続税率は取得金額に比例

相続税の税率は、遺産の総額(取得金額)に比例して以下のように決まっています。

法定相続分に応ずる取得金額 相続税の税率
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15%
5,000万円以下 20%
1億円以下 30%
2億円以下 40%
3億円以下 45%
6億円以下 50%
6億円超 55%

こうして見ると相続税は高く感じますが、遺産総額を基礎控除額で差し引いている分、贈与税よりはお得になります。

相続税を払いたくないなら相続放棄も可能ですが、全ての遺産を放棄しないといけないので注意が必要です。

相続したビルの売却では消費税がかかる?

ビル売却の大きなリスクが、売却益に対してかかる消費税です。

特に2019年10月からは税率が8%→10%に増税されるので、負担は大きくなります。

ただ、消費税は過去の収益によって課税を判断されます。相続前に売り上げが出ていたビルも、売却時に消費税がかかるのでしょうか?

ビルを相続した時の消費税免除特例

まず、原則として消費税が発生する条件は2期(年)前の課税売上高が1,000万円を超える場合になります。

ただ、ビルを相続したその年に売る場合、以前の課税売上高が1,000万円を超えていたとしても消費税は免除されます。

ただ、被相続人が自営業者などで、基準期間の課税売上高が1,000万円を超えている場合は特例の対象にならないので注意が必要です。

相続した翌年に売るか2年後以降に売るかで消費税のかかり方が変わる

ビル売却で消費税がかかるかどうかは、法人なら2期前、個人なら2年前の課税売上高で判定します。

相続してすぐに売れば特例が利用できますが、相続から2年以上おいて売る場合は、消費税がかかっても自分の責任となってしまいます。

節税の観点から見ても、売るかどうかを早めに判断して処分することが大事なのです。

不動産売却で消費税はかかる?譲渡損失と課税・非課税の条件と課税額の計算方法・注意点

相続したビルはできるだけ高額売却しよう

相続したビルを売ると、コストがかかってややこしいことが分かったでしょうか。

こうした費用を節約するために、それぞれの税金で様々な特例が用意されてはいます。

ただ、コストを処理する最も良い方法は、ビルを少しでも高く売ることです。

巷では、「ちょっとした工夫で不動産が相場の3割増しで売れた!」なんて体験談であふれています。

ビルの平均価格は5000万円くらいですから、3割増しなら1500万円の利益アップになります。

これほど高額の増益があれば、コストの支払いを余裕でおこなうことができます。

こちらの記事を参考にしながら、まずはビルを少しでも高く売る努力をしてみましょう。

ビルを高く売る方法を解説!損せず売れる不動産会社の選び方とは?
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