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囲繞地(いにょうち)とは?内容と通行権・通行料について分かりやすく解説

【更新日】2023-11-28
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囲繞地
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土地取引では、近隣の土地との兼ね合いも考える必要があります。

特に囲繞地(いにょうち)は、取引時にトラブルが発生しかねないので注意が必要です。

囲繞地を一言で説明すると、他の土地に囲まれて行動に接していない袋地と囲んでいる土地のことを指します。

この囲繞地がなぜトラブルになるのか、所有者の及ぶ権利や取引時の注意点について分かりやすく解説していきます。

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囲繞地の基本的な内容

囲繞地の基本的な内容

囲繞地は、上記のように袋地を囲んでいる土地を指します。

この場合、袋地の住人は公道へ出るために、囲繞地を通過する必要があります。

通常、個人が所有する土地を正面から横切ることは侵入罪に問われるため、禁止されています。

しかし、上記の場合は特別に、袋地の所有者は囲繞地の所有者に許可なく通行が可能となります。

これを囲繞地通行権と呼びます。

囲繞地という表現は2005年から分かりやすく言い換えがされ、「袋地を囲む他の土地」のような表現に修正されていますが、不動産会社などは引き続きこの語彙を利用しています。

囲繞地通行権とは?範囲と登記・拒否条件などを解説

上記の通り、袋地の所有者が囲繞地を自由に横断できる権利を囲繞地通行権と言います。

こちらは袋地の所有者に許された法的な権利であり、囲繞地の所有者は原則的に拒否権を持ちません。

ただ、これによって囲繞地での生活に支障が出る可能性もあり、どこまでを線引きとするかが難しいところです。

囲繞地通行権は公道へ出られることを保証するもの

囲繞地通行権は基本的に、袋地の所有者が公道へ出られることを保証するものです。

逆に言えばそれ以外の権限を持っている訳ではなく、囲繞地に損害を与えてまで有利な条件にすることはできません。

囲繞地の住民にとって常に敷地を横切られるということは、実害とまではいかなくても精神的に安定生活を脅かされる可能性があります。

そのため、袋地の所有者は損害が出来るだけ小さくなる方向で話を進めていく必要があります。

囲繞地通行権の効力は強制的

囲繞地通行権は、登記や申請が必要な権利ではなく、袋地の所有者が原則所有しているものです。

事前の説明や手続きもなく囲繞地を横断したからといって、罪に問われることはありません。

袋地の所有者は囲繞地に道路開設も可能

囲繞地通行権は強制的な権利であり、囲繞地の所有者が拒否することはできません。

また、袋地の所有者は自分の権限で囲繞地内に道路を開設することも可能です。

この際は、袋地の所有者が相応の金銭を負担する必要があります。

建物の建っている囲繞地は住居侵入罪の適用範囲内

袋地の所有者は囲繞地を自由に横断できますが、一方で住宅侵入罪(刑法130条)の対象外という訳ではありません。

袋地の所有者でも、ケースによっては囲繞地の住人から住宅侵入罪に問われる可能性があります。

囲繞地の中で、袋地の住民が通る道の他にブロックや塀、生垣などで囲んだ敷地内に侵入をした場合は、犯罪が成立します。

囲繞地を自動車で横断することは原則できない

囲繞地通行権が担保されているとはいえ、自動車を利用しての通り抜けは原則認められず、徒歩・自転車走行ができる道幅になることが多いです。

その理由は以下の2つです。

  • 囲繞地の住民に与える損害は最小限でなければいけない
  • 自動車は袋地内に必ず駐車しなければいけない訳ではない

ただ、上記2番目の理由に関しては、周辺に駐車場が全くないといった状況次第では適用されないため、自動車での横断が認められることがあります。

また、袋地の住人が駐車場をずっと利用しており、囲繞地の住人がそれを承知で購入した場合などは例外になる可能性が高いです。

囲繞地通行権と通行地役権の違い

囲繞地通行権の他に、通行地役権というものがあります。

これは、袋地に限らず、事情に応じて土地の通行が必要な場合に、合意によって制定される権利のことです。

囲繞地通行権と通行地役権は、以下の違いがあります。

項目 囲繞地通行権通行地役権
合意の必要性 なしあり+地役権設定契約を締結する必要がある
通行範囲 損害が最小になるようにしなければならない合意によって広い範囲の通行も可能
期間 期限なし双方の合意によって期限設定ができる
通行料の必要性 損害に対して支払う必要あり契約内容による

囲繞地通行料の発生条件と無償になるケース

囲繞地の通行に関しては基本的に通行料が発生します。

これは、袋地の住民が囲繞地を通行することで損害を与えていると判断されるためです。

一方で、以下の2条件に当てはまる場合は、囲繞地通行料が無償となります。

  • 既存の道路を利用するケース
  • 土地の分筆があったケース
既存の道路を無料で利用していた場合は、後で有償にすると不公平が生じるので、無料のまま利用することができます。

また、土地の分筆によって発生した袋地の購入者は、囲繞地通行料を支払わなくても良いことになっています。

分筆後に囲繞地となるケース

囲繞地は評価が低く売れにくい

袋地は接道状況を満たしていないので、建物の新築が出来ずに売れ残る可能性が高いです。

一方、囲繞地は接道状況を満たしており、ある程度自由が利く一方で日常的に袋地の所有者が横断するので、買主からの評価は低くなりがちです。

囲繞地の需要は通常の土地より少ない分、売却や処分も難しいことを理解しておきましょう。

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囲繞地の売却を成功させるコツ

上記の理由で、囲繞地はよほど好立地でもない限り、買い手がつくことすら困難です。

囲繞地をスムーズに売却するには、どんなポイントを抑えておけばよいのでしょうか?

コツ➀袋地を購入してからまとめて売る

囲繞地の所有者が袋地を購入した後、まとめて売る方法があります。

土地の面積が広くなるだけでなく、公道と接することで使い勝手も良くなるので、単純計算以上に価格が上がる可能性があります。

コツ②袋地の所有者と同時に売る

袋地の所有者と囲繞地を同時に売ることで、売却価格が増えることはありませんが、スムーズに売れやすくなります。

上記のように袋地もまとめて購入する予算が無い方におすすめです。

コツ③袋地の所有者と等価交換する

囲繞地を袋地の所有者と等価交換

袋地の所有者との合意があれば、等価交換をすることも可能です。

通常は袋地よりも公道と接している囲繞地のほうが価値は高いので、上記のように、よりが広く奥行のある土地に変更することが可能です。

コツ④不動産会社に直接買い取ってもらう

不動産会社の仲介のもと第三者に売却する仲介売却は、売れる基準も高くなってしまいがちです。

こうした物件の売却におすすめなのが、不動産会社による直接買取です。

不動産会社は不要な物件・土地を買い取り、手を施した上で再販をして利益を出すビジネスを展開していることが多いです。

買取は仲介に比べて利益が低くなる分、成約のハードルも低くなるため、囲繞地でも買い取ってもらいやすいです。

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「囲繞地募集中!」とPRする業者に売却を依頼すべき?

不動産会社の中には、売却しにくいとされる囲繞地の仲介売却や買取も積極的に対応しているところがあります。

こうした専門業者に依頼をしたほうが結果に繋がりやすいと考える方も多いのではないでしょうか。

しかし、業者側が「囲繞地に積極対応!」とPRしているからといって、必ずしも囲繞地の取り扱いに秀でているという訳ではありません。

一般知名度のある有名業者のほうが、上記のような業者よりも知識や販売力があるケースは非常に多いです。

大手業者の営業力をかいくぐるため、専門性をアピールしているだけという事例も多いので注意しましょう。

囲繞地は対策をしっかりすれば売却可能

囲繞地は旗竿地や三角地のように売れにくい土地の1つに数えられますが、その中では比較的売りやすい土地だと言えます。

上記で囲繞地売却のコツを紹介しましたが、中には特に対策をしなくても、袋地の所有者の出入りが気にならないからと購入してくれるケースはあります。

必要以上に意識をすることなく、まずは査定を依頼してみましょう。

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