自分の理想を敷き詰めた住まいで生活が送れる注文住宅を購入するとき、建売住宅とは違って、土地と建物それぞれの購入手続きを組みます。

ここでは、土地と建物それぞれでかかる費用の内訳について解説します。

土地購入時にかかる費用

土地を購入する際には、いくつかの主要な費用項目が発生します。

最も大きな部分を占めるのが土地そのものの価格です。

これは場所、面積、地域の不動産価格などにより大きく変動します。

次に、土地を所有するための名義変更手続きや登記費用で、主に司法書士に手続きの代行を依頼する報酬金に当たります。

登記費用は、土地価格の約0.4％～0.6％に相当します。

また、売主が不動産会社である場合は仲介手数料が発生します。

仲介手数料には、「購入価格×3％＋6万円」の上限額が設けられており、そこに、消費税が課税されます。

さらに、都市計画税や固定資産税などの税金も必要になります。

その他にも、土地が整地されていない場合や法定耐震基準を満たすための地盤改良費用が必要な場合もあります。

住居を建てる時にかかる費用

住居を建てる時にかかる建物本体工事費用の大部分は、建設費用が占めます。

建設費用は、建物の規模、デザイン、素材の選択、建築家や建設業者の料金などにより大きく変動します。

また、その他にも建築許可申請料や建築確認申請料などの公的な手数料が必要となります。

さらに、新築住宅を建てる際には、必ず住宅保険への加入が必要になってきます。

例えば、火災保険や工事中の事故をカバーする建設工事保険などが該当します。

また、外構工事や造園費用も発生します。

敷地に駐車場を設けたり、庭を整備したりする費用は案外大きいものです。

そして、一般的に、引き渡し前に清掃費用が発生します。

これらの費用を計画に組み込んで、理想の自宅を建てるための総額を把握しておきましょう。

ここでは、注文住宅の費用相場を、「土地の購入ありのケース」と「土地の購入なしのケース」の2パターンでそれぞれ解説して行きます。

なお、注文住宅の費用項目を「本体工事費」「付帯工事費」「諸費用」「土地代」の4つに分けた形で解説して行きます。

注文住宅の費用相場と内訳【土地あり】

土地所有者が注文住宅を建てる場合、土地の購入費用を除いた、「本体工事費」「付帯工事費」「諸費用」の3つの費用が発生します。

最も大きな費用は、住宅そのものの建築費です。

平均的な注文住宅では、建築費はおおよそ2,000万円～4,000万円程度が相場とされていますが、設計や素材、仕様により大きく変動します。

建築費用には、設計費、施工管理費、建築材料費などが含まれます。

また、建築確認申請料や建設工事保険などの保険料、駐車場や庭の造成にかかる外構工事費用なども必要です。

そのほかにも、地盤改良費用や接道費用などの予期せぬ費用が発生する可能性もあるため、建設費用の他に10～20％程度の余裕を持つようにしましょう。

注文住宅の費用相場と内訳【土地なし】

土地を所有していない場合の注文住宅の費用には、「本体工事費」「付帯工事費」「諸費用」の3つの費用に加えて「土地購入費用」が含まれます。

土地の価格は、その地域や土地の広さ、利便性などによって大きく変わりますが、大都市周辺では、一坪あたり約60万円から100万円程度が相場と言われています。

土地を購入する際には、購入価格の他に登記費用や仲介手数料、都市計画税や固定資産税などの各種税金が発生します。

これらを合わせた土地の全体的な購入費用は、一般的には土地価格の10%程度と見積もられることが多いです。

また、土地購入後には、建築費用、設計費、申請手数料、保険料、外構工事費など、土地を所有している場合と同様の費用が発生します。

これらの費用に加え、土地購入費用を考慮に入れた総予算を設定することが大切です。

また、以下は、地域別で見た注文住宅の所要資金の平均額です。

ここからは、建てたい家の坪数から注文住宅の費用相場と内訳を解説して行きます。

なお、家の広さについて、国は世帯人数に応じて豊かな生活が実現できる誘導居住面積水準を設けています。

20坪代の注文住宅の費用相場と内訳

一般的に、20坪程度の注文住宅の場合、建築費用の相場は約2,000万円～3,000万円程度とされています。

以下は、20坪の家を建てる費用相場です。

ただし、これはあくまで一般的な参考値であり、具体的な金額は使用する素材、設計内容、建築家や施工会社の費用等により変動します。

この建築費用には、設計費、施工管理費、建築材料費が含まれます。

また、建築確認申請料や建設工事保険などの保険料、駐車場や庭の造成に必要な外構工事費用なども必要となります。

さらに、地盤改良費用や接道費用などの予期せぬ費用が発生する可能性もあるため、総予算は建設費用の他に10％〜20％程度の余裕をおきましょう。

30～35坪数の注文住宅の費用相場と内訳

30～35坪の注文住宅の建築費用の相場は、おおよそ3,000万円～4,000万円程度とされています。

こちらも設計内容や使用する素材、選ぶ建築家や施工会社により大きく変動します。

以下は、30～35坪の家を建てる費用相場です。

坪数が増えると、それに伴い建築材料費も増えます。

また、より大きな空間を効率良く使うための設計には高度な技術が必要となり、設計費も増加する可能性があります。

外構工事費用も敷地面積が増えるにつれて高額になることが多いです。

その他の費用についても20坪代の場合と同様に、予期せぬ費用への対応として総予算には一定の余裕を持った状態で依頼しましょう。

40坪数以上の注文住宅の費用相場と内訳

40坪以上の大型の注文住宅の場合、建築費用の相場はおおよそ5,000万円以上となることが一般的です。

大きな家を建てるとなると、設計の自由度が増し、高級な素材の使用や特別な機能の追加などが可能になります。

それに伴い、設計費や施工管理費、建築材料費は増加します。

以下は、40坪の家を建てる費用相場です。

また、広大な敷地を効果的に使うための外構工事や庭造成の費用も増えます。

さらに、地盤改良費や接道費用など、土地に関わる費用も大きな敷地では増加する可能性があります。

これらの費用に対応するため、総予算には建設費用の上に十分な余裕を見ておきましょう。

ここからは、費用相場・建築費別でどのような注文住宅が建築されるのかを解説して行きます。

費用相場・建築費「1,000万円以下」の注文住宅

1,000万円以下の予算で注文住宅を建てる場合、限られた予算の中で賢い選択をすることが求められます。

プレハブ住宅や木造のシンプルな平屋、小さなロフト付きの一戸建てなどが可能な選択肢となります。

デザインは比較的シンプルなものになりますが、工夫次第で快適な住環境を実現できます。

住まいのイメージと部屋数、世帯人数をまとめると、以下のような形になります。

予算の範囲内で最大限の性能を引き出すため、機能性を重視した設計や、コストパフォーマンスの良い素材の選択が重要となります。

また、自分でDIYを行うことで費用を抑えることも可能です。

費用相場・建築費「1,000万円台」の注文住宅

1,000万円台の注文住宅では、少し余裕をもった設計や、こだわりの素材を一部採用することが可能になります。

一部の高性能設備やエコ設備の導入も視野に入れられます。

住まいのイメージと部屋数、世帯人数をまとめると、以下のような形になります。

また、間取りの自由度も増し、必要なスペースを確保しつつ、ある程度のデザイン性を追求することも可能となります。

さらに、基本的な外構工事もこの予算内に含まれます。

費用相場・建築費「2,000万円台」の注文住宅

2,000万円台の注文住宅では、より広範な選択肢と自由度が増します。

設計の面では、より個性的でデザイン性の高いものを求めることが可能で、ユニークな間取りや、一部の高級素材の使用も視野に入るでしょう。

住まいのイメージと部屋数、世帯人数をまとめると、以下のような形になります。

さらに、省エネルギー設備やスマートホーム機能の導入など、快適な生活環境を実現するための最新の設備を取り入れることも可能になります。

外構工事においても、より充実したものを求めることができます。

費用相場・建築費「3,000万円台」の注文住宅

3,000万円台の注文住宅では、豪華な仕様や特別な設備の導入が可能になります。

自然素材を豊富に使用したり、デザイン性を重視した設計を行うことも可能です。

また、最新の省エネ設備や先端技術を用いたスマートホームの導入もできます。

住まいのイメージと部屋数、世帯人数をまとめると、以下のような形になります。

一方で、家族のライフスタイルに合わせたカスタムメイドの間取りを実現したり、特別な趣味やライフスタイルを支える特別なスペースを確保することもできます。

費用相場・建築費「4,000万円台」の注文住宅

4,000万円台の注文住宅は、高級素材の使用や豪華な設備、特別な設計を全面的に採用できます。

また、建築家と共に一から設計を行い、全ての部屋をこだわり抜いた仕様にできます。

住まいのイメージと部屋数、世帯人数をまとめると、以下のような形になります。

さらに、最新のエコ技術やスマートホーム機能を全面的に導入することで、高い居住性と環境性能を両立することが可能です。

また、敷地全体を活用した豪華な外構や庭園の造成なども可能です。

前節で注文住宅の費用相場・内訳を解説してきました。

住まいづくり計画を成功に導くためには、専門知識と技術、豊富な経験を持つ専門業者に依頼ほかありません。

その足掛かりとして、ここでは、注文住宅建築を成功に導くために意識しておくことを3つ紹介します。

住宅のイメージ・条件を固めておく

注文住宅建築の成功には、具体的な住宅のイメージと条件を事前に固めておくことが非常に重要です。

例えば、何人家族で住むのか、子供の成長を考慮した将来のライフスタイルはどうなのか、趣味や仕事の関係で特別な空間が必要なのか、など具体的なライフスタイルを思い描くことが大切です。

また、デザイン面だけでなく、住宅の機能性や、省エネ性、耐震性などの性能面も念入りに考えておきましょう。

その上で、どの程度の予算を想定しているのかを明確にしておきましょう。

これらの条件を固めることで、設計者やハウスメーカーとのコミュニケーションがスムーズになり、理想の住宅建築に近づきます。

資金計画を立てる

資金計画は注文住宅建築を成功させるための重要なステップです。

まず、自己資金と借入可能な金額を確認し、その範囲内でどの程度の住宅を建てることができるのかを具体的に理解しておきましょう。

その上で、資金計画を立てる際には、建築費用だけでなく、諸費用や将来的な生活費、メンテナンス費用なども考慮に入れましょう。

また、万が一の事態に備えて予備費を確保しましょう。

これらをしっかりと計画し、理想の住まいを建てるための資金計画を立てることが注文住宅建築を成功に導くのに必要なステップです。

ハウスメーカー・土地選びを並行して進める

注文住宅の建築にあたっては、ハウスメーカーや設計事務所の選び方が大きなポイントとなります。

一方で、土地選びもまた同様に重要です。

これらを並行して進めることで、より効率的なプロセスが歩めます。

土地選びを行うときは、地盤の強さ、日当たり、風通し、近隣環境、交通アクセスなどを考慮し、理想の生活スタイルを具現化する場所を選びましょう。

同時に、ハウスメーカーや設計事務所を選ぶ際には、その企業の実績や信頼性、提供できるサービスの内容などを確認し、自分の希望に最も合ったパートナーを選びましょう。

これらを並行して進めることで、注文住宅建築の成功につながります。

ここでは、注文住宅の建築を依頼するハウスメーカーを選ぶ時に押さえておきたいポイントを紹介します。

住宅デザインの傾向

注文住宅の建築を依頼する際の最初のステップは、ハウスメーカーのデザインの傾向をチェックすることです。

一部のハウスメーカーは、伝統的な和風デザインを得意とし、一方で、他のハウスメーカーは、現代的な洋風デザイン、モダン、またはミニマリストデザインに重点を置いています。

各ハウスメーカーのショールームやモデルハウスを見学することで、その会社のデザインの傾向やクオリティの確認ができます。

また、自身が求めるライフスタイルや価値観を反映した住宅デザインを提供してくれるハウスメーカーを選びましょう。

アフターサービス・保障内容の充実度

次に考慮すべきポイントは、アフターサービスと保障内容の充実度です。

新築住宅は数十年にわたり生活の基盤となるものですから、そのメンテナンスやトラブルに対する対応は非常に重要です。

ハウスメーカーが提供する保証期間や、その内容をしっかりと確認しましょう。

また、定期的な点検やメンテナンスのサービスを提供しているか、住宅に何か問題が発生した場合の対応体制が整っているかなどを見極めることも大切です。

注文住宅建築の実績・評判

ハウスメーカーの注文住宅建築の実績と評判を確認します。

そのハウスメーカーが過去に建築した住宅の品質やデザイン、住み心地はどうだったのか、クライアントからの評価やフィードバックを調査しましょう。

口コミやレビューを調べることで、実際の建築現場での対応や納期遵守、コスト管理などの点を把握することができます。

これらの情報を元に、自身の理想とする住まいを建てるために最適なハウスメーカーを選びましょう。

注文住宅の建築には、多額の資金が必要になります。

所要資金は、建材や立地、建築を依頼する業者などによって大きく変わってきます。

ここでは、コスパ良く注文住宅の建築を進める方法を紹介します。

あとから変更できる部分は安価な建材を使用する

コスパ良く注文住宅を建てる一つの方法は、あとから簡単に変更できる部分には初期段階では安価な建材を使用することです。

例えば、床材や壁紙などは住み始めてからのライフスタイルや気分によって交換したいと考えている方もいます。

そういった部分は、初めから高価な材料を使うのではなく、必要最低限のコストで済ませ、後から自分の好みや生活環境に合わせてリニューアルするという選択肢もあります。

その結果、初期費用を抑えつつ、自分の理想に近い住まいが建てられます。

外観を可能な限りシンプルなものにする

外観をシンプルにすることもコスパを考慮した注文住宅建築の一つの手法です。

複雑なデザインや形状は、建築費用や工期を増やす可能性があります。

一方で、シンプルな形状の建物は施工が容易であり、その分コストを抑えられます。

また、シンプルな外観はメンテナンスも容易であり、長期的なコストも抑えられます。

一方で、シンプルな外観でも、色彩や素材選びに工夫を凝らすことで個性が出せます。

水回りを1カ所に集中する

コスト削減のためには、家の設計段階で水回りを1箇所に集中することも有効です。

水道や下水の配管工事は、それ自体が高額なものであり、配管が長くなればなるほど費用が増加します。

したがって、キッチン、バスルーム、トイレといった水回りを一箇所に集約することで、配管距離を最小限に抑えられます。

これにより、工事費用を大幅に削減できます。

間仕切りの壁を少なくする

間仕切りの壁を少なくすることで、コスト削減ができます。

壁や扉の数が多ければ多いほど、材料費や施工費が増えます。

また、壁を設けることで空間が分断され、部屋の広さも感じにくくなるため、開放感を得るためにも、必要最低限の壁で間取りを設計しましょう。

これらの方法を利用することで、注文住宅をより効率的に、そして経済的に建てられます。

ただし、これらの方法を適用する際は、自分のライフスタイルや嗜好、家族のニーズに合った家づくりを忘れないようにしましょう。

注文住宅を建てるには、その費用価格の相場を把握することが重要です。

土地価格、建築費、間取りや坪数などにより、注文住宅の価格は大きく変動します。

そして、その価格を抑えるための方法も存在します。

たとえば、建築物の外観をシンプルに保つことや、水回りを1カ所に集中させること、間仕切りの壁を最小限に抑えることなどが挙げられます。

これらの方法を活用しながら、ハウスメーカー選びや住宅のイメージを固め、自分の理想とする住まいを手に入れましょう。

あなたの夢の家への道のりは、きちんとした計画から始まります。