食事や排せつなど、日常生活を送る動作の一部分で人の手を借りなければならない要介護2の方が入所できる公的施設に区分する施設は以下の4種類になります。

なお、公的施設に当たる「特別養護老人ホーム」は、要介護3以上の認定を受けている必要があります。

しかし、要介護2でも、先のリストで上げた4箇所での生活が困難となれば、特例として、「特別養護老人ホーム」への入所が認められるケースもあります。

ここからは、先のリストで紹介した4つの施設について紹介します。

介護老人保健施設

介護老人保健施設は、日常生活を自立して過ごすことが困難な高齢者が、一時的または長期的に安心して生活できるように支える施設です。

介護やリハビリテーションのほか、医療サービスも提供しています。

要介護2の高齢者も、この施設を利用することで、医療スタッフや専門の介護スタッフによる24時間体制の支援を受けられます。

施設内では、食事や入浴、排泄など日常生活の補助だけでなく、健康状態のチェックや病状の進行を抑えるためのリハビリテーションも行われています。

介護療養型医療施設

介護療養型医療施設は、日常生活の一部または全てにおいて介護が必要な高齢者に対して、医療サービスと介護サービスを一体的に提供する施設です。

要介護2の方は、特に医療的なケアが必要な場合、ここで総合的なケアを受けることができます。

病状管理だけでなく、リハビリテーションや生活機能の向上を目指した介護サービスも提供します。

療養上の必要性があるために病院へ長期入院している高齢者が、より家庭に近い環境で適切なケアが受けられます。

介護医療院

介護医療院は、医療が必要でありながらも病院での治療が必要ないとされる要介護2の方に対して、医療と介護を一体的に提供する施設です。

ここでは、医療スタッフと介護スタッフが連携して、個々の利用者に合わせたケアプランを作成し、提供します。

リハビリテーション、食事、入浴、排泄などの日常生活の支援はもちろん、必要に応じた医療ケアも提供します。

これにより、高齢者は安心して日常生活が送れます。

認知症高齢者グループホーム

認知症高齢者グループホームは、認知症の症状がある要介護2の高齢者が共同生活を送るための施設です。

家庭的な雰囲気を持つこの施設では、高齢者が自立した生活を送ることが目指されます。

スタッフは24時間体制で支援し、食事作り、洗濯、掃除などの日常生活の援助を提供します。

また、コミュニケーションを重視したケアが行われ、日々の生活の中で楽しみや活動を見つけることで、認知症の進行を遅らせる効果も期待されています。

長期間に渡って利用できる公的施設の中には、利用できるサービスに限りがあるものもあります。

目的に適ったサービスを利用して、よりよい生活を送るためにも、民間施設の利用も検討しましょう。

以下は、要介護2の方が入所できる民間施設です。

ケアハウス

ケアハウスは、高齢者が自立した生活を送ることが難しくなったときに、日常生活の支援や介護を提供する民間の施設です。

要介護2の方でも、この施設を利用することで日常生活を安心して過ごすことが可能です。

ケアハウスでは、スタッフが24時間体制で支援を提供し、食事、入浴、排泄などの日常生活の補助を行います。

また、健康状態の管理や、個々の健康状態に応じたリハビリテーションも提供します。これにより、要介護2の高齢者は安心して生活できる環境が整います。

住宅型有料老人ホーム

住宅型有料老人ホームは、自宅に近い環境で、必要なケアを受けながら生活できる民間の施設です。

要介護2の方でも、この施設を利用することで自立した生活が送れます。

こうした施設では、スタッフが24時間体制でケアを提供し、食事、入浴、排泄などの日常生活の補助を行います。

また、必要に応じてリハビリテーションやレクリエーション活動も提供します。

これにより、要介護2の高齢者も、社会生活を維持しながら、安全で快適な生活が送れます。

介護付き有料老人ホーム

介護付き有料老人ホームは、自立生活が難しくなった要介護2の高齢者が、必要なケアと生活の安全を確保しながら、自宅に近い生活を続けられる民間の施設です。

スタッフは24時間体制でサポートし、食事、入浴、排泄などの日常生活の補助から健康管理まで、多方面でのケアを提供します。

また、各人の生活習慣や趣味、体調に合わせてケアプランを作成し、適切なケアを提供します。

このような環境は、要介護2の高齢者が日常生活を充実させるための支援を提供します。

サービス付き高齢者向け住宅

サービス付き高齢者向け住宅は、自立した生活を送りつつも、何らかの支援が必要な要介護2の高齢者に対して、安全で快適な住環境と、日常生活の支援を提供する民間施設です。

この施設では、必要なケアやサポートを提供するため、スタッフが常駐または訪問し、24時間体制でのサポートを提供します。

食事、入浴、排泄などの日常生活の補助から、健康状態の管理、レクリエーション活動まで、幅広いサービスが提供されます。

これにより、要介護2の高齢者でも、自分らしい生活を維持しながら、必要なケアが受けられます。

冒頭でも紹介したように、要介護2は、食事や排せつなど、日常生活を送るために欠かせない動作の一部に見守りや介助が必要な状態を指します。

ここからは、要介護2の方に見られる心身の状態や要介護1・3との違いについて紹介します。

日常生活の一部で見守りや介助が必要なレベル

要介護2の状態とは、日常生活の一部で見守りや介助が必要な高齢者のことを指します。

例えば、食事の際には食事の準備や後片付けを手伝う、入浴時には浴槽への出入りを支援する、排泄時にはトイレへの移動や介助を行うなどの支援が必要です。

また、移動時には歩行器や車椅子を使用して移動することが難しく、スタッフの手助けが必要な場合もあります。

その他にも、日々の生活の中で衣類の着脱や清潔管理など、一部の日常生活動作において支援が必要な高齢者を要介護2と評価します。

要介護2と要介護1との違い

要介護1と要介護2の違いは、介護が必要となる日常生活動作の範囲とその度合いにあります。

要介護1の状態の高齢者は、日常生活の一部において見守りや介助が必要なレベルです。

例えば、入浴や排泄の際に部分的な介助が必要な場合や、歩行時に歩行器や杖を用いても安定した歩行が難しい場合などです。

一方、要介護2の高齢者は、これらの日常生活動作に加え、食事の際の支援も必要になることが多く、介助の範囲が広がり、介助が必要な時間も増えます。

また、要介護2の場合は、一部の生活動作では完全な介助が必要です。

要介護2と要介護3との違い

要介護2と要介護3の違いは、介護が必要な範囲とその度合い、また介護の頻度にあります。

要介護2の状態の高齢者は、日常生活の一部で見守りや介助が必要ですが、一部の生活動作は自己管理が可能です。

しかし、要介護3の高齢者は、多くの日常生活動作で支援や介助が必要となり、自己管理が困難な動作も増えます。

例えば、歩行がほとんど不可能で車椅子の使用が必要な状態や、食事、排泄、入浴などの日常生活動作すべてに介助が必要な状態を指します。

したがって、要介護3の状態では、要介護2の状態よりもより高度な介護が必要となります。

要介護2と1・3とでは、介助の頻度や心身状態に違いがある点から入所できる施設をはじめ、利用できるサービスに違いがあります。

ここでは、要介護2の方が受けられる介護保険サービスを紹介します。

訪問サービス

訪問サービスは、要介護2の高齢者が自宅で安心して生活を送ることができるように、介護職員や看護師が定期的に訪れて、生活の支援や医療的なケアを提供するサービスです。

具体的には、食事の準備や後片付け、入浴や排泄の支援、衣類の着脱などの日常生活の介助、健康状態の確認や病状管理などが含まれます。

また、リハビリテーションの指導や健康相談なども提供します。

訪問サービスは自宅での生活を維持したい方や、家族が日中留守になる家庭などにとって重要なサービスです。

通所サービス

通所サービスは、要介護2の高齢者が自宅以外の施設に通い、そこで日中の生活の支援やリハビリテーションを受けられるサービスです。

これには、デイサービスセンターやデイケアセンターなどがあります。

具体的には、食事や入浴、排泄の支援、日常生活動作の練習や体操などのリハビリテーション、趣味の活動やゲームなどのレクリエーションが提供されます。

通所サービスは、一日の生活リズムを保つためや社会的交流の場として利用できます。

短期入所（ショートステイ）

短期入所（ショートステイ）は、要介護2の高齢者が一時的に介護施設に滞在し、そこで24時間体制での介護を受けられるサービスです。

これは、家族が旅行や入院などで一時的に介護ができない場合や、家族が一時的に休息を必要とする場合などに利用できます。

滞在中は食事、入浴、排泄の支援、健康状態の管理、リハビリテーションなどが提供されます。

ショートステイは、家族の介護負担の軽減に大きく貢献します。

福祉用具レンタル・購入

福祉用具レンタル・購入サービスは、要介護2の高齢者が安全に生活を送るために必要な福祉用具を、レンタルまたは購入するためのサポートを提供します。

これらの用具は、日常生活を自立して行うためや、介護者が介護を行う際の負担軽減、また高齢者自身の安全を確保するために重要です。

このサービスを利用することで、生活の質の向上と安全確保が目指せます。

複合サービス

複合サービスは、要介護2の高齢者が必要とする様々なサービスを一つに組み合わせて提供するサービスです。

例えば、デイサービスと訪問介護、またはショートステイと福祉用具レンタルなど、必要なサービスを組み合わせることで、一人ひとりの生活状況や健康状態に合わせた、より適切なサポートを提供しています。

複合サービスを利用することで、高齢者や家族は、それぞれのニーズに応じた介護を受けることができ、日常生活の安全と快適性を向上させられます。

要介護2の方が入所できる施設に支払う初期費用と月額利用料金は、公的施設と民間施設ごとに費用が異なります。

以下は、今回紹介した施設8カ所の費用相場の一覧です。

上記表から伺えるように、公的施設の方が民間施設に入所するよりも初期費用及び月額料金が安価な傾向にあります。

加えて、公的施設は、初期費用が不要という場合が多いため、入所の敷居が低いです。

ここらは、それぞれの施設に入所した場合の費用相場や違いについてより詳しく解説して行きます。

要介護2で公的施設に入所した場合の費用

公的施設への入所費用は、施設の種類や地域、個々の収入状況などにより変動します。

しかし、一般的には、日本の介護保険制度の下で、利用者が自己負担する割合は所得に応じて設定されています。

通常、利用者の月額負担額は、自己負担率（1割～2割）に介護サービス費用を掛けたものになります。

ただし、自己負担上限額が設定されており、それを超える費用は公的な支援により補填されます。

この上限額は、収入水準によって異なります。

また、施設によっては食費や日用品費など、保険適用外の費用が別途必要になります。

要介護2で民間施設に入所した場合の費用

民間の介護施設への入所費用は、公的施設と比べて高額になる傾向にあります。

施設の設備やサービスの充実度、地域や建物の新しさなどにより費用は大きく異なることがあります。

一般的に、敷金や礼金、入会金などの初期費用と宿泊費、食費、介護費用などを含めた月額費用が必要になります。

ただし、民間の施設でも介護保険の適用を受けることができるサービスがあります。

その場合、介護保険が適用される部分については公的施設と同様、所得に応じた自己負担割合が適用され、自己負担上限額も設けられています。

介護保険適用外のサービスについては全額自己負担となることが多いです。

施設選びの際には、料金体系をしっかりと確認することが重要です。

介護2の方が公的施設もしくは民間施設のいずれかに入所することになったとき、科の段取りを組んで、施設への入所を進めていきます。

ここからは、各流れについて1つずつ解説して行きます。

資料請求

施設への入所を考える際の最初のステップは、資料請求です。

希望する施設や、複数の施設のパンフレットや資料を請求します。

この段階では、施設の特色やサービス内容、料金体系、入所の流れなどの確認ができます。

また、施設が提供しているサービスが自身の介護度や生活スタイルに合っているかの確認もできます。

必要に応じて、資料請求だけでなく、施設の公式サイトの情報も参照してみましょう。

施設の見学・体験入所

資料を確認した後、実際に施設を見学することをおすすめします。

見学では施設の雰囲気や設備を直接確認できます。

また、スタッフとの対話からその施設のサービス内容や人間関係の良好さが感じ取れます。

一部の施設では体験入所が可能な場合もあり、実際に施設で過ごしてみることで、より具体的なイメージが持てます。

施設の説明会に参加

施設の説明会は、施設の詳細な情報を得るための重要な機会です。

施設の管理者やスタッフが、施設のサービス内容、料金体系、契約条件などを詳しく説明してくれます。

また、質疑応答の時間も設けられることが多く、自分の疑問点や不明点の確認ができます。

入所契約

施設を決定したら、次に入所契約の手続きを進めます。

契約内容は施設によって異なりますが、料金体系やサービス内容、契約期間、解約条件などを明記した書面を確認し、納得がいったら契約を結びます。

この際、法的な観点からも、契約内容をよく理解した上で署名することが重要です。

入所

契約手続きが完了したら、入所日を決定します。

入所初日には、必要な持ち物を準備して施設に行きます。

スタッフから施設のルールや日常生活の流れなどを説明されます。

そして、新しい生活が始まります。最初は慣れない環境に戸惑うかもしれませんが、スタッフや他の入所者とコミュニケーションを取ることで、新生活に順応できます。

ここでは、要介護2の方が入所できる施設に関する疑問を質問形式で解説して行きます。

要介護2でも1人暮らしはできる？

要介護2の状態の方でも、適切なサポートがあれば1人暮らしは可能です。

具体的な生活の状況や健康状態は個々によりますが、介護や支援が必要な事項が限定的であれば、自宅での生活を続けることも選択肢の一つです。

その際、訪問介護やデイサービス、居宅介護支援などのサービスを活用し、自己の能力を最大限に活かしながら、適切な介護を受けることが大切です。

しかし、自己の身体状況や病状の進行により自宅での生活が難しい場合、または24時間体制での介護が必要となる場合は、施設への入所を考えることもあります。

重要なのは、自身の状況を正確に理解し、適切なサポートを求めましょう。

入所費が高いのは公的施設と民間施設のどっち？

一般的に、民間施設の入所費用は公的施設よりも高額です。

これは、民間施設が提供するサービスや設備、環境などが公的施設と比べて充実しているためです。

また、一部の民間施設では、介護保険の適用を受けられないサービスも提供しており、その分費用が高くなる場合があります。

しかし、公的施設でも入居者の所得や資産によっては、一部の費用を自己負担する必要があります。

また、公的施設に入所するためには要介護度の認定や入所の申請手続き、施設の空き状況などの要因を考慮する必要があります。

要介護2の区分限度支給額はいくら？

要介護2の場合、介護保険の区分限度支給額は、日本の介護保険制度に基づいて定められています。

具体的な金額は、改定などにより時期によって変わる可能性があるため、現在の具体的な金額については、最新の情報を地域の社会保険事務所や介護保険担当窓口などに問い合わせるか、ネットで検索してみましょう。

この区分限度支給額は、要介護度に応じて、1ヶ月あたりに介護保険から支給される最大の金額を示します。

この金額を超えるサービスを利用した場合、超過分は利用者の全額負担となります。

要介護2の認定を受けた方は、一部の日常生活で見守りや介助が必要となる状態ですが、それでも自分らしい生活が送れます。

そのためには、介護保険サービスと家族や近親者からのサポートが大きな役割を果たします。

介護保険サービスは、要介護状態の方が自宅で生活し続けるための重要な支援の一つです。

訪問サービス、通所サービス、短期入所などのサービスを活用し、日々の生活に必要な介護や看護が受けられます。

また、介護用具のレンタルや購入も、生活の質を向上させる上で大いに役立ちます。

一方、家族からのサポートも欠かせません。

家族の理解と協力があることで、自宅での生活がより安心で快適になります。

また、必要に応じて施設への入所を選ぶことも一つの選択肢です。

公的施設や民間施設など、自身の状況に合わせて最適な施設を選びましょう。