不動産売却の確定申告で認められる経費・取得費は何がある?金額相場・節税効果を解説
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不動産売却をしたら、確定申告が必要になります。
この時に重要なのが、経費の計上です。
経費を出来るだけ多く正確に計上することで、支払う税金を抑えることが出来ます。
今回は、確定申告ができる経費・取得費の内容などを詳しく解説していきます!
→不動産売却の確定申告は必要?申告の流れ・必要書類の書き方を完全ガイド【決定版】そもそも譲渡所得ってなに?内容とかかる税金
譲渡所得とは、その名の通り資産を譲渡することによって生じる所得の事を言います。
例えば、不動産や株式などを譲渡することで発生する所得が譲渡所得です。
不動産を譲渡して収入が発生すれば、基本的に譲渡所得と見なされます。
ただ山林に限っては山林所得という特別な呼び方になります。
これは、山林はただの土地ではなく、樹木が生えていることが理由です。
樹木には一本一本価値があるので、通常の更地売買とは勝手が違ってくるのです。
※ちなみに、山林の敷地は通常通り譲渡所得扱いになります。
➝ 山林売却で発生する山林所得とは?計算方法・確定申告のやり方を分かりやすく解説
譲渡所得の計算式
譲渡所得の計算式は、以下の通りです。
譲渡所得=譲渡価額-取得費-譲渡費用
譲渡価額とは売却額、つまり不動産の成約価格のことを指します。
取得費は、その不動産を購入した際にかかった金額のことです。
最後に譲渡費用ですが、こちらは不動産を売却する際にかかった費用のことを指します。
売却前にハウスクリーニングを頼んだならその代金や、業者に支払った仲介手数料などが譲渡費用に含まれます。
譲渡所得には税金が課される
不動産の売却価格が購入価格を上回っている(売却益)場合は、譲渡所得税が発生します。
譲渡所得税は住民税と所得税にそれぞれ上乗せされる形で課されます。
ちなみに、譲渡所得税の計算式は以下の通りです。
譲渡所得税=税率×譲渡所得
この時、税率は不動産の所有期間が5年以内(短期)か5年超(長期)かによって大きく変わります。
短期譲渡所得 | 長期譲渡所得 | |
---|---|---|
所得税 | 30% | 15% |
住民税 | 15% | 5% |
単純に税金だけを見ると所有期間5年超のほうがお得ですが、戸建てやマンションは築年数が1年経つごとに大きく価値が落ちるので、トータルで考えると必ずしも利益が増えるわけではありません。注意しましょう。
→不動産売却は短期譲渡のほうがお得?長期譲渡税との税率の違いを解説確定申告で譲渡費用への計上が認められる経費まとめ
譲渡費用への経費計上が認められている費用は、以下のようなものです。
- 仲介手数料
- 土地の測量費用
- 印紙税
- 入居者へ支払った立ち退き料
- 建物の解体費用
どれも「不動産を売るために支払った」と言える費用でしょう。
ただ、例外として身内との売買や支払いの費用は経費計上が認められません。
また、土地の測量費なども、100%売買のために支払ったといえない場合は計上が認められないケースが多いです。十分注意しましょう。
譲渡費用へ経費計上できない費用
逆に譲渡費用へ経費計上できないものは、例えば以下のようなものです。
- 抵当権抹消登記費用
- 相続登記費用
- 建物の修繕費用
- 固定資産税
- 税理士への報酬
中には「経費として認めてくれても良いじゃないか」と思うものもありますが、これに関しては慣例・慣習も大きく関わってきます。
基本的には100%売却目的に支払った費用は経費計上でき、それ以外は経費計上できないです。
もし自分で判断できない費用がある場合は、不動産会社に相談してみましょう。
不動産売却の節税は確定申告での取得費計上がカギ
ここでもう一度、譲渡所得税の計算式をおさらいしてみましょう。
譲渡所得税=税率×(譲渡価額-取得費-譲渡費用)
式を見ると分かる通り、取得費と譲渡費用が多ければ多いほど税金は安くなります。
ただ、上で紹介した通り、譲渡費用に経費計上できるものはほぼ決まっており、+αの節税効果は期待できません。
一方、取得費は経費計上できる細かい費用が多いので、多く計上すればするほど節税が見込めます。
取得費は減価償却をして計算する
取得費を計算する際、家やマンションなどの建物は減価償却をおこないます。
なので、税金計算の時に使う取得費の値は、取得費-減価償却費となります。
減価償却費の計算は、以下の式でおこないます。
減価償却費=取得費×0.9×償却率×経過年数(築年数)
経過年数が〇年△ヶ月と端数になっている場合、6か月未満は切り捨て、6か月以上は切り上げて計算します。
ちなみに、償却率は建物の構造によって以下のように変化します。
区分 | 鉄骨鉄筋コンクリート造 | 金属造(肉厚4㎜超) | 金属造(肉厚3~4㎜) | 金属造(肉厚3㎜以下) | 木造・合成樹脂 | 木造モルタル造 |
---|---|---|---|---|---|---|
法定耐用年数 | 47年 | 34年 | 27年 | 19年 | 22年 | 20年 |
償却率 | 0.015 | 0.02 | 0.025 | 0.036 | 0.031 | 0.034 |
例えば、新築時に2000万円で購入した木造物件を15年7か月後に売る際は、以下のようになります。
減価償却費=2000万円×0.031×16=992万円
なので、取得費は2000万円-992万円=108万円となります。
➝ 不動産売却時の税金計算・確定申告では減価償却が重要!事業用・居住用の違いと計算方法を解説確定申告で取得費に経費計上できる費用一覧
取得費として計上できる費用は、以下のようなものです。
- 設計変更費用
- 増改築リフォーム費用
- 仲介手数料
- 不動産取得税
- 免許登録税や登記手数料
- 契約書の印紙代
- ローン事務手数料
- ローン保証事務手数料
- 固定資産税・都市計画税の精算金
- 抵当権設定の免許登録税や登記手数料
- 建物に付属する設備費
- 建築費や工事にかかった諸費用
- ローン借入日~所有開始までにかかったローン金利
- ローン借入日~所有開始までにかかったローン保証料
- ローン借入日~所有開始までにかかった団体信用生命保険料
譲渡費用と違って、かなり多くの費用を計上できるのが分かりますね。
また、住宅ローンなど、購入時の負担を減らすために支払ったローンや保証料も譲渡費用に計上することができます。
これら全てを確定申告で計上するだけで、かなりの節税になりますよ。
取得費に経費計上できない費用
逆に取得費に計上できないのは、以下のようなものです。
- 町会費
- 引っ越しにかかった費用
- つなぎローンの金利
- つなぎローンの事務手数料
- 家電・家具・カーテン代など
- 管理準備金・管理費・修繕積立金など
- 火災保険料
- インターネット加入料・CATV利用料
要するに、不動産の購入に直接関係ないものは取得費に経費計上できないことになります。
計上できない費用がある方は、不動産会社や税理士に相談してみましょう。
取得費が分からない時はどうする?
相続した物件など、取得費がいくらか分からず、当時の書類も見当たらないこともあります。
このような時は、売却価格の5%を取得費として計上します。(概算法)
ただ、概算法を使うと取得費が低くなるため税金が高くなり損してしまいます。
例えば、購入当時は3000万円(建物:2000万円 土地:1000万円) だった築40年・木造の戸建て相続物件を売ったとします。
戸建ては築20年超で価値が0になるので、売却価格は1000万円(土地のみの価格)としましょう。
この時、通常の方法なら、3000万円-1116万円(減価償却費)=1884万円が取得費となります。
しかし、概算法を使った場合は1000万円×0.05=50万円となります。
購入した不動産会社さえ分かれば当時の契約書を保管している可能性もあるので、まずは問い合わせてみましょう。
確定申告での経費計上が節税に繋がる
確定申告で、譲渡費用と取得費になる経費を出来るだけ計上することが、税金をお得にする近道です。
特にサラリーマンの方は確定申告の仕組みを良く分かっておらず、こうしたお得な方法を知らない人も多いので気をつけましょう。
また、経費計上で引いた税金は更に特例を使って控除することができます。
※税金の特例控除についてはこちらにまとめているので、ぜひ参考にしてください!
→不動産売却の税金対策13選!知らないと損する節税方法