外壁を漆喰にするメリット・デメリットとは?工事費用・メンテナンス方法・注意点を解説
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漆喰と聞くと日本の伝統的な家屋を思い浮かべる方も多いですが、実は現代でも数多く利用されており、お住いの住宅をより住みやすくするために活躍しています。
そんな漆喰ですが、実際にはどのような長所と短所があるのでしょうか。
ここでは、漆喰のメリット・デメリットに始まり、工事費用やメンテナンスの方法について解説していますので、是非参考にしてください。
漆喰の特徴
簡単に言うと、漆喰の外壁とは左官屋という専門の業者が漆喰という塗り剤を使って仕上げた外壁のことです。
漆喰(本漆喰)の主原料は消石炭(水酸化カルシウム)というもので、石灰石を焼いて水を加えることで生成されます。
石灰石とは、サンゴ礁が地殻変動などで長い年月をかけて隆起し陸地になった、石灰鉱脈から採掘される材料です。
この石灰石にのりやスサなどのつなぎを混ぜ、水で練り上げることで漆喰(本漆喰)を生成します。
外壁に塗装できる漆喰は5種類
ここからは、漆喰の種類とそれぞれの特徴を解説していますので参考にしてください。
本漆喰
漆喰と聞いて最初に思い浮かべる白い塗り剤が本漆喰です。本漆喰は昔から使われており、日本にある伝統的な建物のほとんどに使われています。
美しい見た目が魅力的なため少し前に漆喰調のビニールクロスが流行りましたが、これが全国行きわたると今度は昔ながらの職人塗りが再ブレイクしてきました。
そのため、本漆喰は現在でも数多く利用されており、日本において最も一般的な漆喰といっても過言ではありません。
土佐漆喰
土佐漆喰とは、土佐伝統の塩焼灰と発酵わらすさを混ぜ水で練り上げた漆喰です。高知県では古くから使われており、家屋の外壁・屋根・内側などにはほとんど土佐漆喰が使われています。
耐久・耐火性は十分に優れており、伊豆の長八美術館の外壁に土佐漆喰の磨き仕上げを施した際には、日本一の鏝絵であると全国から賞賛の声が届きました。
※鏝絵とは左官職人が鏝(こて)を用いて仕上げたレリーフ(浮彫)。
ムチ漆喰
ムチ漆喰は琉球漆喰とも呼ばれ、沖縄で祝い事があったときに食べるムーチーと呼ばれる餅に色や手触りが似ているというのが名前の由来です。生石灰に藁を混ぜ水で練り上げることで生成され、沖縄では赤瓦屋根の瓦止めとして活躍しています。
練り上げた際は黄色っぽい色をしていますが、時間とともに白色に変わり赤瓦とのコントラストが美しいです。
さらに、沖縄でよく目にするシーサーの多くはムチ漆喰を使って作成されています。
既調合漆喰
既調合漆喰とは、最近DIYなどで使いやすいとして注目を浴びている漆喰で、水を混ぜるだけで漆喰を生成できる粉タイプと、すでに完成されたものが缶に詰められているタイプがあります。既調合漆喰は手軽な割に優秀で、100度以上の高温でも変色がなく金属を錆びさせることもないため、最近ではプロの工事でも使われる漆喰です。
西洋製漆喰
西洋漆喰はヨーロッパ諸国で古くから利用されており、私達が目にしているヨーロッパの伝統建造物のほとんどには西洋漆喰が利用されています。作り方は、消石灰に砂・大理石・セルロースファイバーなどを加えて混ぜ合わせるのが一般的で、日本の漆喰に比べ塗り方や仕上げ方の種類が多く様々な仕上げ方が可能です。
漆喰を外壁に塗装するメリット
ここでは漆喰外壁のメリットについて解説していますので、自宅の外壁に漆喰を検討している方は是非参考にしてください。
他の塗り剤に比べて耐用年数が2倍以上
適切なメンテナンスを施した場合、漆喰外壁の耐用年数は100年を超えると言われています。最近、住宅の外壁によく使われているサイディングやタイルの耐用年数が20~50年程であることを考えると、100年という耐用年数は非常に優秀です。
調湿効果がある
漆喰は呼吸する壁とも言われており、空間の湿度を調整する機能を備えています。例えば、湿度の暑い夏には外気の湿気を吸収し、湿度の低い冬には湿気を放出してくれるため1年を通して快適に暮らすことが可能です。
ただし、JISの規定によると調湿建材の定義は吸放湿量が70g/24hを超えている事なので、吸放湿量40g/24h程の漆喰は調湿建材とは言えない事に注意してください。
※吸放湿量とは1㎡の外壁が24時間で吸収したし水分とその後24時間で放出した水分を何度も測定し、その平均値を取った値です。
メンテナンスが簡単で自分でもできる
漆喰は静電気を貯め込まずほこり等のごみが付きづらいので、メンテンスは基本的に必要ないです。仮に、コーヒーや子供の落書き等で汚れてしまった場合でも消しゴムや紙やすりで表面を軽く削ることでメンテナンスできます。
ただし、長期間雨風にさらされてカビが生えてきているような場合には業者に相談が必要です。
消臭効果がある
湿度の調整にも役立っている表面の小さな穴は、臭いを伴う水蒸気を吸収したり放出してくれるため、消臭効果もあります。また、漆喰は強アルカリ性なので、排水溝等の酸性タイプの匂いを中和することも可能です。
ニオイ測定器を使った実験では、漆喰を内壁に塗装した家の中で換気扇をOFFにし、夕食に焼肉を食べたとしても翌朝には数値が0になっていました。
臭いの強い焼肉でもしっかり招集されているので、日常生活で匂いが気になる事はないはずです。
建築基準法で不燃材料として認定されるほどの耐火性
漆喰は建築基準法第2条9号において不燃材料として認定されているほど耐火性に優れているうえ、火災に見舞われたとしても科学建材のように有害物質を発生させることがありません。これは、古くから城の外壁や土蔵に漆喰が使われている要因の一つです。
ちなみに、漆喰の主成分である消石灰は580度で分解し酸化カルシウムになるので、不燃材料としての実力は折り紙付きといえます。
漆喰を外壁に塗装するデメリット
沢山の優れた機能を持っている漆喰ですが、外壁材として使う際に弱点となってしまうポイントもあります。ここでは外壁材として漆喰を使うデメリットについて紹介しておきますので、頭に入れておいてください。
工事に時間がかかる
漆喰の外壁塗装には時間がかかり、工期はモルタルやサイディングに比べかなり長いです。漆喰は二酸化炭素を吸収することで徐々に耐久性が上昇するため、塗装後は長期間かけて乾燥させなければなりません。
具体的な工事期間の目安か下記の通りです。
住宅の大きさ | 工期の目安 |
---|---|
10平米 | 約2~3日 |
20平米 | 約3日 |
30平米 | 約3日 |
40平米 | 約4日 |
50平米 | 約5日 |
60平米 | 約6日 |
70平米 | 約7日 |
100平米 | 約10日 |
150平米 | 約15日 |
200平米 | 約20日 |
ひび割れが起きる可能性がある
漆喰は非常に硬い素材なので、ひび割れが起こりやすく、下地の伸縮や急激な乾燥・周辺の工事による振動がひび割れの原因になりやすいので注意が必要です。また、塗装を日差しの強い夏や気温が5度以下の時期に行うと、漆喰の硬化機能が理想的に発揮されず、ひび割れが起こりやすくなります。
ひび割れのリスクを低くするための工事時期に関しては業者に相談してみましょう。
他の塗り剤に比べて工事費用が高い
漆喰の塗装工事は、希少価値の高い職人と高度な技術が必要なため、高叔父費用が高くなる傾向にあります。ただし費用が高いことがデメリットであるとはいえ、安すぎる業者では職人の技術力が低く、漆喰を適切に扱えない可能性が高いため業者選びは慎重に行ってください。
具体的な業者選びの方法に関しては後ほど解説します。
引っ掻き傷が目立ちやすい
漆喰は硬くとがったものでの引っ掻きに弱く、すぐに傷ついてしまうという特徴があります。子供がいる場合や人通りに面した場所に自宅がある場合は注意が必要ですが、傷ついてしまった場合は上から塗り直すことで部分的に補修できますので安心してください。
漆喰塗りができる左官屋が少ない
漆喰は左官屋という専門の職人に塗装してもらう必要がありますが、左官屋は20年程前から減少しています。バブル期に住宅の建設依頼が増えたことによりハウスメーカーが職人を必要としない工事方法を作り出したため、職人の仕事が減ってしまったというわけです。
ただし、左官屋が見つからないからと言って左官工事を請け負っていない業者に依頼すると完成時のクオリティ低下につながりますのでお気を付けください。
外壁に漆喰を塗装する時の平均費用相場
ここでは漆喰塗装を専門の業者に依頼した場合とDIYで行った場合に分けて費用を比較していきますので、予算を計算する際は参考にしてください。
業者に依頼した場合は5,000~7,000円㎡/円
一般的な30坪ほどの住宅を想定した場合、漆喰の塗装費用は合計で60~75万円程になり、1㎡あたりの料金は5,000~7,000円という計算になります。一般的な外壁塗装の費用が1㎡あたり3,000~5,000円であることを考えると漆喰の塗装が比較的高額であることが分かります。
ただし、漆喰の耐用年数が一般的な外壁の倍以上であり、メンテナンスに要する手間が少ないことを考慮すればトータルでの費用は同等か少しお得といったところです。
漆喰を検討する際、価格がネックになっている方は一度業者に相談してみてください。
DIYで漆喰塗りをした場合は1,000~1,500円㎡/円
漆喰をDIYで塗った場合の費用は、購入する漆喰代を基に計算すると、1㎡あたり1,000~1,500です。仮に30坪の一戸建て(2階建て)住宅の外壁をすべて塗装した場合は一缶15,000程の漆喰を19缶ほど消費することになり合計金額は285,000円と計算できます。
※うま~くヌレール18kg(14,958円)を想定 価格は業者に依頼する場合の半分ほどといったところですが、素人には左官屋のような鏝技術がないため耐用年数などの強みは薄れてしまう可能性が大きいです。
漆喰の耐用年数は100年以上
漆喰は気硬性素材といわれ、その主成分が二酸化炭素を吸収することで徐々に硬くなっていきますので、何十年という長い年月をかけて徐々に硬く頑丈になっていきます。
そのため、歴史的な建物の中では100年以上前の江戸時代に建てられたものも数多く現存しています。
漆喰外壁のメンテンナンス時期と手入れの方法
ここでは漆喰を長持ちさるためのメンテナンス方法とメンテナンスを加えるべき症状について解説していますので、自宅の漆喰を確認してみてください。
汚れ・カビはスポンジを使って落とす
白く美しい見た目が魅力の漆喰も汚れてしまっては台無しです。漆喰の表面に汚れが見受けられる場合は消しゴムでこする事で傷を簡単に落とせますし、消しゴムで落ちない場合には、市販のスポンジを水で濡らしてこすれば大体の汚れは落ちます。
早めの対応が重要なので定期的に確認しておきましょう。
表面の剥がれは専門業者へ相談する
漆喰の表面が剥がれている場合にはすぐに専門業者に相談してください。漆喰は剥がれてしまうと表面を剥がし新しい漆喰を塗り直す必要がありますが、この作業は素人にできるものではありません。
放置しておくと悪化する一方なので、早めに業者に来てもらいましょう。
ひび割れ箇所には漆喰を重ね塗り
漆喰にはひび割れしやすいという弱点がありますが、この症状が現れた場合には漆喰の重ね塗りが必要です。放置してしまうといずれ剥がれ始めるため、小さなひびであっても業者に連絡して相談してください。
重ね塗りと塗り替えの費用相場は下表のとおりです。
メンテナンス方法 | 費用相場(30坪一戸建て) |
---|---|
重ね塗り | 30~45万円 |
塗り替え | 55~75万円 |
漆喰の塗装業者選びのポイント
ここでは、漆喰塗装業者の失敗しない探し方について確認するべきポイントごとに解説していますので、信頼できる業者探しに役立ててください。
飛び込み営業でやってくる塗装業者は避ける
左官屋は漆喰に精通している職人が不足しているため、優秀な業者であれば仕事を取るために営業をする必要がありません。向こうから営業をかけてくる場合にはぼったくり業者や手抜き工事をするような悪徳業者の可能性が高いため注意が必要です。
無料見積を進めてくる業者や不安を煽る営業トークをしてくる業者は避けて、他の業者を探しましょう。
漆喰の工事実績が豊富(10年以上)な業者を選ぶ
検討している漆喰塗装業者には10年以上の実績があるかを確認してください。外壁塗装の業界は参入障壁が低いため、知識や技術の浅い業者が多く存在し、そのような業者の場合は、工事の質が悪く5年と持たず倒産するケースがほとんどです。
そのため、10年以上の実績がある業者に依頼すれば安心して自宅の外壁を任せられます。
左官工事として仕事を受けてくれる業者を選ぶ
漆喰の塗装は一般的な外壁塗装工事とは違い左官工事に該当するため、左官工事として依頼を受けてくれる業者を探してください。左官屋以外の外壁塗装業者で請け負ってくれる場合もありますが、技術力が低く早期で劣化が進んでしまう可能性があります。
必ず左官工事を謳っている業者に依頼するようにしましょう。
複数社の見積もりを確認する
見積書をもらう際は必ず複数社に依頼し、費用と内容を比較してください。費用の項目が一式などのあいまいな業者や、費用が極端に高いまたは安い業者の場合は注意が必要です。
信頼できる左官屋は、しっかりとした道具と職人を使っているため、そう安くはできませんし、高すぎる場合にはぼったくりの可能性が考えられます。
漆喰外壁は他の外壁塗装剤に比べ非常に優れている
漆喰は独特な雰囲気が美しいうえ、正しくメンテナンスすれば100年以上の耐用年数を発揮する魅了的な塗り剤です。
さらに、他の塗り剤には期待できない機能を備えているため、あなたの生活をより快適にしてくれることは間違いないでしょう。