技術の進歩に伴い、不動産査定の在り方にも変化が起きています。

家の査定をお願いするとき、机上査定と訪問査定の2方法を用いて査定を行います。

例えば、机上査定は過去の取引データを基におおよその査定価格を算出してくれる査定方法ですが、その方法は時代を経るごとに変化しています。

例えば、AIに過去の取引実績を学習させて査定価格を算出させるAI査定ツールが今では主流になっており、気軽に査定価格を知る術になっています。

AI査定ツールを用いる場合は、物件の築年数、間取り、面積、周辺の環境や利便性、近隣の相場などの情報が必要になります。

さらに、360度カメラやドローンを使用して物件の内外を撮影し、それを基に査定を行う方法も登場しています。

特に、360度カメラは室内の全景を捉えることができ、リアルな状態を業者に伝えられるので、実際に現地を訪れることなく、より正確な査定が期待できます。

とはいえ、机上査定のみに頼るのは非常にリスキーな行為です。

例えば、物件の特有の匂いや、目に見えにくいダメージ、近隣の環境などはオンラインだけでは捉えきれません。

そのため、最も正確な査定を得るためには、結局のところ訪問査定を利用するしかありません。

つまり、不動産業者を家に入れないで査定を受けることは技術的には可能ですが、最終的な価格を確定するには、不動産会社の助力が必要不可欠ということになります。

正確な査定結果を得たい場合や家の売却を本格的に考えている場合は、机上査定等を行った後、訪問査定を実施しましょう。

しかし、査定結果を基に売却するかどうかを決めたいときや今の不動産価格を知りたいという場合は、匿名査定やこれから紹介する方法のいずれかを用いることで価格把握ができます。

匿名査定

匿名査定は、商品やサービスの価値を評価する際に、利用者の個人情報や名前を公開せずに行われる査定のことを指します。

例えば、不動産の売却を考えているがまだ具体的な取引をするか未定の場合、個人情報を開示することなく物件の大まかな価値を知ることができるのは非常に便利です。

また、中古品の買取サービスなどでも、匿名査定は顧客のプライバシーを尊重する手段として活用されています。

しかし、完全な匿名性を保つことは難しいため、サービスを利用する際にはその信頼性や利用規約をしっかりと確認することが重要です。

匿名査定は、多くの人々にとって安心感を提供する一方、提供する情報の正確性や、サービス提供者の信頼性を確かめることが必須となります。

それにより、より正確で安心な査定結果が得られます。

AI査定などの査定ツールを使用する

AI技術の進化は、不動産業界にも多大な影響を及ぼしています。

AI査定ツールは、物件の写真や基本的な情報を入力するだけで、自動的に査定額を計算してくれる便利なツールです。

匿名査定同様、短時間で査定結果が閲覧できます。

ただし、AI査定ツールは、過去の取引データや近隣の不動産価格を考慮して、査定価格を提示しているにすぎません。

それが正しい価格であるという保証はないため、提示された価格はあくまで参考程度に留めておくのがいいでしょう。

一括査定サイトを活用する

一括査定サイトは、一度の入力で複数の不動産会社から査定額を得ることができる査定サービスです。

これにより、時間と労力の大幅な節約ができます。

一括査定サイトを利用することで、市場の標準的な価格帯を把握しやすくなり、より有利な取引が期待できます。

しかし、提供された査定額はあくまで参考価格であり、最終的な価格は直接の交渉や状況によって変わることがある点を理解しておきましょう。

自力で不動産価格を調べる

インターネットの普及により、不動産価格の情報は公開されることが増えてきました。

公的機関の提供する不動産取引価格情報や、不動産ポータルサイトを利用することで、類似物件の取引価格や市場の動向を自分で調査できます。

この方法は、不動産査定に来た方の意見に疑問を持った場合や、より具体的な価格を知りたい場合に有効です。

ただし、専門的な知識や経験がないため、自分での調査には限界があることを認識し、必要に応じて専門家の意見を取り入れることが重要です。

机上査定は、近年のテクノロジーの発展とともに普及してきたサービスです。

匿名性を保ちながら物件の価値を知ることができるこの手法は、多くのメリットを持っています。

ここでは、机上査定が持つ主なメリットについて解説します。

査定結果が通知されるまでが早い

従来の査定方法に比べ、机上査定はオンラインでの手続きが中心となるため、物件の基本情報を入力した直後に自動で査定結果が通知されます。

この迅速さは、時間を取られたくない忙しい人々や、すぐに査定額を知りたい場合に非常に便利です。

また、AI技術を取り入れた査定ツールは、数分以内に結果を提供してくれます。

営業や売却勧誘の電話が掛かってこない

机上査定を利用する最大のメリットの一つは、プライバシーの保護です。

名前や連絡先を提供せずに査定を依頼できるため、不必要な営業や売却の勧誘を受けるリスクが低減します。

これにより、純粋に物件の価値を知りたいだけの人々も安心して利用できます。

自分から不動産会社に売却のアプローチができる

机上査定を通じて得た情報をもとに、自分のペースで不動産会社に接触できます。

これにより、査定結果が気に入った場合や、具体的な取引を考える際に、自らアクティブに動けます。

このアプローチの自由度は、査定のプロセスを自分のコントロール下に置きたい人々にとって魅力的です。

誰にも知られずにおおよその査定額が把握できる

机上査定は、周囲の人々や隣人、知人に自分が査定を依頼したことを知られることなく、査定結果が得られます。

これは、まだ売却を迷っている段階や、一部の人々にしか知らせたくない場合など、デリケートな状況での査定依頼に最適です。

この匿名性は、多くの利用者にとって大きな安心感をもたらしています。

机上査定は、住宅の価格を知りたいが、すぐに個人情報を開示したくない人々に特に適しています。

以下に、机上査定の依頼の基本的な流れになります。

査定価格を算出する物件の情報を入力する

机上査定を提供する不動産ポータルサイトや専門のサービスサイトを利用します。

多くのサイトでは、物件の種類、築年数、面積、所在地などといった必要最低限の物件情報を入力することで査定依頼が出せます。

この時、名前や電話番号、メールアドレスなどの個人情報の入力は求められません。

この段階では、あくまで大まかな価格を知るための入力となります。

査定結果を受け取る

入力した情報に基づき、オンライン上で即座に査定結果が表示される場合や、指定した方法で査定結果が通知されるサービスも存在します。

この査定結果は、入力された情報と過去の取引データや市場の動向を元に算出されるため、正確な価格ではありませんが、物件のおおよその価値を知るための参考となります。

気に入った会社に連絡を入れる

机上査定の結果が気に入った場合、または更に詳細な査定を希望する場合は、自分から選んだ不動産会社に直接連絡を取りましょう。

この時点で初めて個人情報を提供し、具体的な査定や取引に関する相談が始められます。

一方、結果に納得がいかない場合や、まだ売却を迷っている場合は、何もアクションを取らないまま終了することもできます。

このように、机上査定は利用者の意向に応じて柔軟に対応できるのが大きな魅力となっています。

家の売却を行うとき、今の物件価格がどれくらいかを把握しておく必要があります。

価格を知る手段として、査定は最も有効的手段ですが、いきなり不動産会社に依頼してしまうと、足元をすくわれてしまう恐れがあります。

その前段階として、一括査定サイトやAI査定ツールなどを活用してみるのがおすすめです。

ここでは、匿名で利用できるおすすめの査定サイトを3つ紹介します。

HowMa

HowMaでは、AI査定とオンライン売却の2つのサービスを提供しています。

AI査定は、売却したい物件の情報を入力するだけで、物件の種類別に蓄積された査定実績を基におおよその査定価格を算出してくれます。

オンライン売却は、オンライン上でHowMaが物件を確認して、最大6社の不動産会社に査定依頼を送信してくれるサービスです。

オンライン売却は、産出された結果に納得していただければ、そのまま複数の会社と一般媒介契約が結べるという画期的サービスになっています。

LIFULL HOME’S

LIFULL HOME’Sは、日本全国に3,000以上もの不動産会社と提携を組み、多種多様な物件情報を開示しているポータルサイトです。

当ポータルサイトでは、個人情報を伏せた状態で査定依頼が出せる匿名査定の依頼ができます。

会社側から営業の電話を受け取りたくないという方に最適です。

また対応しているエリアや物件の種類も幅広いので、特殊な物件を売却するときなどにも使えます。

10秒でDo！

「10秒でDo」は、不動産フランチャイルズ「ハウスドゥ」が提供している査定アプリです。

アプリ名の通り、物件情報を入力してから約10秒というごく短時間で査定結果が分かるので、今すぐ結果を知りたい方におすすめです。

査定結果は、仲介売却時における価格のみならず、業者買取を選択した時の価格も提示してくれます。

机上査定は多くのメリットを持つ一方、正しく活用するためにはいくつかの注意点があります。

物件の売却を検討する際、期待外れの結果にならないためにも、以下のポイントを頭に入れておきましょう。

査定結果=売却価格にはならない

机上査定で得られた価格は、物件情報と過去の取引データや市場の動向を元に算出される参考価格です。

これはあくまで大まかな指標であり、具体的な取引が行われる際の最終的な売却価格とは一致しない場合が多いです。

特に、物件の内部の状態や周辺の環境、市場の変動など、オンラインでの簡易査定ではカバーしきれない要素が価格に影響を及ぼします。

したがって、机上査定の結果を絶対の価格と考えず、実際の取引を進める際は査定士を自宅に招いた訪問査定を依頼しましょう。

真剣に取り組んでくれる会社が少ない

机上査定の便利さとプライバシーの保護は魅力的ですが、一方で不動産会社側から見ると、匿名のため取引の真剣度が低い傾向にあります。

その結果、提供される査定額が簡易的であったり、細かな対応を期待するのが難しい場合があるのです。

もし真剣に売却を検討しているのであれば、机上査定の後、気に入った会社に具体的な意向を伝え、正確な査定を受けるステップを踏みましょう。

このアプローチにより、不動産会社も取引の真剣度を感じ取り、より一層のサポートをしてくれることでしょう。

不動産の売却を考える際、多くの人がオンラインの簡易査定を最初のステップとして選びます。

それには理由があり、手軽さや匿名性、速さが求められる現代において、簡易査定は非常に魅力的な方法として位置づけられています。

しかし、真剣に物件を売却しようと考える場合、その取引価格は大きな金額になることが予想されるため、できるだけ正確な査定価格を知ることが必要不可欠です。

この正確な査定を実現するためには、オンラインの数字だけでなく、実際に査定士に家を見てもらうことが最も確実です。

査定士は、物件の内外の状態、周辺環境、そして市場の動向を総合的に判断し、正確な価格を出してくれます。

特に、物件の細かい修繕の状況や、他にはない特徴、価値を正確に評価するためには、専門家の目利きが不可欠です。

つまり、不動産の売却を真剣に考えているのであれば、簡易査定だけに頼るのではなく、査定士を実際に家に招いて、しっかりとした査定を受けましょう。

これにより、物件の真の価値を知ることができ、最も適切な取引を進めるための土台が築けます。