不動産売却で損失が発生したら繰越控除特例を使おう!売却損をそのままにしないコツ
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不動産売却は、利益がマイナスになってしまうことも多々あります。
そもそも不動産は築年数が一定の年数を超えると価値がなくなってしまう、仲介手数料をはじめとする費用が100万円前後はかかってしまうということを考慮すると損失が出てしまう事態は十分に想定できますが、不動産という高額資産を売るというイメージ上、損失が出た場合を予測しておらず、対応が後手に回ってしまう人が多いです。
今回は、不動産で損失が出てしまった場合の対処法について解説します。
不動産売却では損失が出るのが一般的
ここまで不動産売却でマイナスになるケースを紹介しましたが、そもそも不動産取引に限らず、ものを売る場合は新品購入時の費用よりも中古売却時の利益の方が安くなるのが普通です。
たとえば2020年に控えている東京オリンピックのような大イベントが近づくにつれて、新築時の価値を追い越してしまうということも少なからずありますが、一般的ではありません。
→今後の不動産価格はどう推移する?市場・市況の動向・価格高騰はいつまで続くかの見通し【2023年最新】
そのため、紹介した例も全くもって一般的なシチュエーションではあるのですが、このときに重要なのがローンの残債です。
上記の例のように、マイナスになるとローンを返せなくなる可能性が高くなるので注意をしましょう。
ローンが残ったまま売却するケースが多い
ただ、不動産の住み替えで損をしてしまう理由は、単に相場が上がったからではありません。
家に価値がつくのは築20年までといわれており、築10年前後が売却するのに最も良い時期だといわれています。
しかし、住宅ローンはこうした期間よりも長く組むことが多いので、売るときは残債が残ってしまいがちです。
ローン残債は不動産の引き渡しまでに完済する必要がありますが、残額が大きければ売却代金を完済にあてるのに精一杯で、引っ越し費用や新居購入費が捻出できない可能性もあります。
売却損は大きな問題ではない
ただ、不動産売却はマイナスになることがほとんどだといっても、売るメリットは多数存在します。
そもそも、不動産売却は利益を得ることを大きな目的としている方もいますが、国に処分を依頼するのと同じく、有効な処理の方法だと見なす人も多いです。
利用しなくなった不動産は、価値も落ち、税金や維持費が延々とかかってしまうので、持っているのが損です。
日本ではそれでも先祖に対する思いなどから相続していくのが一般的でしたが、現在では地縁・血縁が薄れてきたこともあり、売却をする方が多数存在します。
つまり、税金や維持費などの煩わしい費用を支払うくらいなら、不動産を処分してしまえば良い。その上、お金が入るのであれば尚良い、といった考え方と言えばよいでしょうか。
不動産売却における譲渡損失とは?
不動産の売却における「譲渡損失」とは、不動産を売却した際の売却価格が、その不動産の取得費や改良費などから成る原価を下回った場合に生じる損失のことを指します。
これは一種の経済的損失で、売却者の財務状況に影響を及ぼします。
譲渡損失が生じた場合、その損失額は一定の範囲内で所得から控除することが可能です。
これにより、所得税の負担を軽減することができます。
しかし、この控除は年間所得が一定額を下回る場合や、譲渡損失が一定期間続く場合などに限定されています。
したがって、不動産売却における譲渡損失は、売却計画や税務戦略を検討する上で重要な要素となります。
譲渡損失の計算方法
譲渡結果(または損失)は、売却価格から取得費および譲渡費用を差し引いて計算します。つまり、売却価格-(取得費および譲渡費用)が、譲渡結果となります。
取得費とは、不動産を取得する際に支払った金額や関連する手数料などです。建物の場合、減価償却も行われます。
譲渡費用とは、売却に伴う手数料や諸経費を含みます。
相続不動産など、取得時の費用が不明な場合、取得費は売却価格の5%として計算されることがあります。
不動産売却で損失が出たら利用可能な特例
不動産売却で利益が出ると、譲渡税が課されます。
→不動産売却でかかる税金はいくら?費用の計算方法から節税・控除のポイントまで分かりやすく解説
一方、購入額が売却額を上回る場合は、「譲渡損失」と見なされます。
不動産の売却損は非常にコストが大きいため、譲渡税が課されないだけでなく、他の所得と相殺して減税をすることもできます。
これを損益通算と呼びます。
加えて、所得と相殺しても通算できないほど損失が大きい場合は、翌年以降の所得からも繰り越して税金を差し引けます。
これが繰越控除です。
繰越控除を使えば売った年の翌年から最長3年分の所得まで繰り越せるため、売った年から数えて最長4年の所得税・住民税を0にすることも可能です。
損失が出たら利用できる損益通算は、下記の2種類です。
- マイホームを買い替えた場合の特例: マイホームの売却で発生した損失を、新たに購入した住宅に関連するから結果を差し引くことができます。この場合、売却したマイホームに関する条件や新たに購入した住宅に関する条件を満たす必要があります。
- 特定居住用財産の特例: 買い替えが行われない場合でも、自己居住用不動産を売却して紛失した場合、その損失を総から結果として差し出すことができます。この制度にも条件があり、すべて期間や住宅ローンの残高などが考慮されます。
税金控除は住宅ローンと併用できる
この特例は、自宅を売却した前年、前々年に以下の特例を利用していると、使うことができません。
- 所有期間10年超の軽減税率特例
- 3000万円の特別控除
→不動産売却の3000万円特別控除とは?制度の仕組みと適用条件・必要書類を徹底解説
→不動産売却時の税金は5年で課税額が大きく減少!短期譲渡所得の仕組みとポイント
ただ、この特例と住宅ローン控除は併用することができます。
上で紹介したマンションの例に当てはめると、4年めに税金が発生した年から住宅ローン控除が利用できます。
ただ、ここまでの満3年はすでに消化したと見なされるので、例えば10年の住宅ローン控除を受けた場合は適用は7年間となります。
→不動産の買い替え特例のメリットとは?基本内容・条件と利用するデメリット・リスクを紹介①マイホームを買い替えた場合の特例
譲渡損失の繰越控除には2タイプがあり、まず一つ目が自宅の買い替えで売却損が出たときに利用できるタイプです。
近年では自宅を売る理由の50%弱が「より良い住まいへの引っ越し費用にするため」と回答しているので、この控除を使うケースが圧倒的に多いと思います。
このケースで使える控除は「マイホームの買換えの場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例」というものです。
どういうものなのか、利用条件と内容を詳しく解説していきます。
買換え時の控除利用条件
買換え時に使える控除の利用条件は以下の通りです。
- 所有期間5年超の自宅を売った
- 自宅の敷地面積が500㎡以内の部分まで適用
- 合計所得金額が3000万円以内
さらに、買換え先の新居にも以下の条件があります。
- 旧宅売却の年の前年1月1日から翌年12月31日までに取得
- 取得した翌年の12月31日までに入居見込み
- 床面積が50㎡以上
- 返済期間10年以上の住宅ローンを借りている
上記の条件を全て満たしている場合のみ、買い替え控除を利用することができます。
繰越控除の具体例
例えば、所得が年500万円の人が家を買い換えて、2500万円の譲渡損失が発生したとします。
この場合、控除は年々以下のように段階的におこなわれます。
売却してからの時間 | 所得 | 控除した結果 |
---|---|---|
売却した当年 | 500万円 | 2500万-500万=2000万円→課税0 |
2年目 | 500万円 | 2000万-500万=1500万円→課税0 |
3年目 | 500万円 | 1500万円-500万=1000万円→課税0 |
4年目 | 500万円 | 1000万-500万=500万円→課税:500万円 |
結果的に、給与の4年分の税金を節税することができました。
②特定居住用財産の特例
不動産の売却に伴う損失は痛いものですが、知られざる救済策が存在します。
それは、売却損を別の所得から控除できる「繰越控除特例」です。
これは、一定の条件を満たす場合、売却で生じた損失を最長で3年間他の所得から控除することが可能な特例です。
不動産を売却して損失が出た場合、繰越控除特例を利用することで、その損失を最大限に活用し、税負担を軽減することが可能です。
売却損をそのままにせず、税制を活用して負担を軽減することが、この特例を利用する上での重要なコツです。
ただし、この特例を利用するためには、適用条件や手続きがありますので、税務アドバイザーや専門家の助けを借りることをお勧めします。
そして、事前に適用条件を確認し、適切な手続きを行うことで、売却損の最大限の活用を可能にします。
譲渡損失が出た場合の確定申告の条件
譲渡損失が出た場合、原則として確定申告の必要はありません。
しかし、上の特例を利用する場合は確定申告が必要になります。 例外を利用することで、譲渡損失税を得る他のから差し引き、負担を軽減できる可能性があります。
特例を受ける際に抑えておくべきポイントを紹介します。
確定申告の期間は2月16日〜3月15日
確定申告の期間は若干ズレるケースもありますが、基本的には毎年2月16日〜3月15日となります。
不動産を売却した場合は、翌年の上記期間内で確定申告をおこなう必要があります。
2年目以降も税務署に申告が必要
繰越控除を継続的に受ける場合、2年目以降も税務署に申告をする必要があります。
損失申告用の確定申告書を忘れずに税務署へ提出しましょう。
e-Taxを使ってオンラインで確定申告をする
税務署に赴いて申告をする時間がない方は、e-Taxを利用しましょう。
e-Taxを用いれば、インターネットで確定申告をおこなうことができます。
税務署に赴く時間が取れる方も、申告期限間近だと混雑してしまうので、混乱を避けるためにe-Taxを利用するケースは多いです。
繰越控除を利用する際の必要書類
繰越控除を利用する際は、必要書類を提出する必要があります。
「マイホームの買換えの場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例」の場合、以下の書類が必要になります。
- 居住用財産の譲渡損失の金額の明細書(確定申告書付表)
- 居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書(租税特別措置法第41条の5用)
- 売った資産が次のいずれかの資産に該当する事実を記載した書類
- 登記事項証明書や売買契約書の写しなどで所有期間が5年を超えること及び面積を明らかにするもの
- 売った時において住民票に記載されていた住所と売った資産の所在地とが異なる場合その他これらに類する場合には、戸籍の附票の写し等で、売った資産が上記(イ)のAからDのいずれかに該当することを明らかにするもの
- 登記事項証明書や売買契約書の写しなどで購入した年月日、家屋の床面積を明らかにするもの
- 年末における住宅借入金等の残高証明書
- 確定申告書の提出の日までに買い換えた資産に住んでいない場合には、その旨及び住まいとして使用を開始する予定年月日その他の事項を記載したもの
【引用】国税庁HP
不動産売却の損失に関するポイントをおさらい
譲渡損失を判断するポイントは?
譲渡損失は、不動産の売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。
この場合、取得時の代金や手数料(取得費)や譲渡費用を確認する必要があります。
譲渡損失が発生したらどうする?
譲渡損失が発生したら、特例控除を利用することができます。
マイホームを買い替えた場合の特例や特定居住用財産の特例などを利用することで、譲渡損失を他の結果から控除し税負担を軽減できる場合があります。
特例控除を利用する場合、確定申告が必要になります。