
土地査定で見られる8つのポイントと損しないため注意点
土地には定価がないので、売却の際は査定をする必要があります。
土地の査定は、「どんな用途があるか」を見ていきます。
街の中心部に近い土地なら家を建てても店舗を建てても便利ですし、面積が広ければ大規模なテナントも進出できます。
こうした需要の高い土地は、査定額も高くなっていくのです。
では、「この土地は需要があるな!」とどこを見て判断するのでしょうか?ここから解説していきます。
➝土地を売る時の17の注意点!高く売却したい方必読
土地査定で重視される8つのポイント
土地を査定するときは、以下の8つのポイントを重点的に調べます。
- 路線価
- 面積
- 地形
- 高低差
- 前面道路の幅員
- 間口・奥行
- 過去の売買取引事例
- 立地
上記の項目を調べ、一般的な土地に比べてどのような強み/弱みがあるのかを結論付けて、その情報をもとに価格を決めていきます。
①路線価は土地査定のベースになる評価額
路線価とは、国税庁が毎年発表している道路の価格のことです。
相続税や贈与税の計算に使用されることが一般的ですが、土地価格を算出するときは、隣接している道路の路線価に面積をかけます。隣接道路の路線価が高い場合には、土地価格も高くなります。
路線価は、国土交通省が提供している路線価図というマップから計算をします。
路線価図から算出できる価格は実際の取引価格の8割程度で、1.25倍すれば成約価格のかなり近似値まで知ることができます。
ここからは、路線価図を使って査定額を算出する方法を紹介していきます。
路線価図はネットから誰でもアクセスできる
路線価図がまとめてあるのは「財政評価基準書 路線価図・評価倍率表」というサイトです。これは、会員制ではないので誰でもアクセスすることができます。
サイトを開くと地域を選択する画面が現れます。最初に都道府県、次に市区町村…と地域を絞り込んでいきましょう。
絞り込むと、こういった地図がでてきます。円の中に350Cや370Cと書かれていますが、これは1平方メートルあたりの評価額(単位:千円)という意味なので、350Cは35万円/㎡の土地だということになります。
土地の面積がわかれば、1㎡当たりの評価額を換算し、1.25倍すれば簡単に評価額を求められます。
ちなみに、Cというのは土地の借地権の割合を示したものなので、売る際は無視しても構いません。
記号 | 借地権の割合 |
---|---|
A | 90% |
B | 80% |
C | 70% |
D | 60% |
E | 50% |
F | 40% |
G | 30% |
土地の評価額を正確に算出するには補正・加算が必要
上の計算式が基本的な算出の仕方ですが、全ての土地に適用できるわけではありません。
同じ100㎡の土地でもギザギザだったり細長かったりすれば、四角い土地より利用できる面積が狭くなるので、評価額は低くなるはずです。
このように、土地の形状によって価格を補正する必要があるのです。
補正で使われる方法は、以下の3種類です。
- 奥行価格補正:路線から見た奥行の距離で価格を補正
- 側方路線影響加算:2つの路線に接する角地を補正
- 二方路線影響加算:裏・表で路線に挟まれた土地を補正
詳しくはこちらをご覧ください!
→土地の評価額を補正・修正する3つの方法②面積は広すぎず狭すぎない適度な大きさがベスト
土地の面積も査定では重視されます。50㎡未満になると高値は付きにくくなりますが、逆に広すぎても用途に困るので売れにくくなります。
広すぎる土地は分筆をして最適な面積に分けるのがおすすめです。
土地の切り方によっては損をすることもある
分筆をすれば、常にお得に売れるというわけではありません。土地の切り方次第では前より価値が下がるということもあります。
また、土地に家を建てる際は、以下のような規則が建築基準法で定められています。
・敷地は原則、道路幅員が4m以上の道路に間口が2m以上接していないと建物を立てることができない
そのため、分けた2つの土地はどちらも道路に接していなければいけません。
こちらは土地を切り分けた3つの例です。
一番左は旗竿地という、高級住宅街で良く見られるパターンです。税金対策でBの部分を売り、残ったAの部分に住み続けるのが一般的です。
真ん中はバランスよく切り分けているように感じますが、住宅を建てられるスペースが狭すぎるため住宅地として売れない可能性が高いです。
一番右は、土地Eが接道義務を満たしていないので認められません。
ちゃんとした分筆をおこなうために、一度、土地家屋調査士へ相談してみましょう。
隣り合った土地は合筆で一つにできる
分筆の逆で、隣り合った小規模の土地を一つの土地にして売る方法もあります。
合筆という方法で、隣り合う土地の所有者が同じ場合に認められます。
合筆は自分で登記をすることもできます。かかる費用も数千円程度で済むので、司法書士に頼んで1万円以上払うのがもったいないという方におすすめです。
合筆の条件は意外に厳しく、事前に確認する必要があります。こちらに合筆条件をまとめているので、参考にしてください!
→土地の合筆は自分でおこなうべき!費用はどれくらいかかる?③形の悪い土地は査定額が低い!悪形すぎると取引が認められないことも
形の悪い土地は、その分価値が下がります。
上のような旗竿地、三角地は有効利用できる面積が小さく、家を建てようとしても建築基準にひっかかる可能性があります。
面積が小さい土地ほど形状が重要になってくるのです。
売れやすい土地は正方形に近い四角
面積が広い土地でも、形が特殊だと建てられる家は小さくなってしまいます。
逆に利用価値が高い土地は、正方形に近い四角形です。面積を最大限活かすことができるため、幅広い用途に利用できます。
ただ、例えば道路から細長く奥に延びている土地は、このように入口に駐車場を置き奥に店舗を置くこともできるので、商業地として一定の人気があります。
土地形状が売却に不利だと思っても、それを求める買主は必ずいるので、あきらめないようにしましょう。
④高低差があるとコスト分が査定額から引かれる
周辺の道路より一段高かったり、低かったりすると査定価格は下がってしまいます。
接する道路と高低差があるのは危険ですし、ガス・水道を引く際にコストがかかります。
低い土地は排水をポンプアップするコストがかかりますし、高い土地は階段を設けるコストがかかります。このように、買った後に余計な手間・費用がかかる土地は売却価格を低くすることで買主の施工依頼費を確保します。
傾斜地は家を建てる前に造成が必要
傾斜した土地は家を建てる前に造成をする必要があります。これは買主に大きな負担となるので、よほどアクセスの良い傾斜地でないと売れにくいです。
では、売却前に造成をすればどうかという話ですが、造成は整地などの土地をならす作業とは違い、土地を新たに造り上げるレベルでおこないます。
傾斜の角度があまりに強い場合は、不動産会社に買い取ってもらうのも一つの手です。
高低差を活かせば買主のニーズに合った土地活用ができる
土地が道路より高い場合は、玄関までスロープ・階段を設置することで弱点を補うことができます。
また、土地が高ければ地下に掘れる余地もあるので、1階に掘りごたつを作りたい方などにもおすすめできます。
土地が道路より低い場合は、防音性・保温性に優れているので「ピアノやワインセラーの設置におすすめ」とPRできます。
高低差のある土地も活用方法は無数にありますが、上手く宣伝してくれるかは契約する不動産会社の実力によるところが大きいでしょう。
⑤前面道路の幅員は最低4m以上
接する道路の幅が狭いと、土地利用できる面積は実際の面積よりも狭くなります。
道路は大きい車両が通ることも考えて、横幅4m以上を確保することが義務付けられています。前面道路が4m未満の場合は、道路の中心から2m後退しなければいけません。
土地の正面を横切る道路が横幅3mしかないなら、敷地内に0.5mの隙間を作ってその後ろに家を建てる(セットバック)必要があるのです。
大きい家が建てにくくなりますし、単純に危ないということで、前面道路が狭い土地の査定額は低くなる傾向にあります。
北海道は幅員が8m未満だと価値が大きく下がる
北海道では、前面道路の幅員が8m未満だと評価が下がります。
自治体の除雪車が通れないので、自分で除雪作業をおこなう必要があるからです。
北海道に限らず、雪国は自動車がスリップすることも考えて幅員は広いほうが高く査定してもらいがちです。
⑥間口・奥行が広いと査定評価は高い
土地の間口・奥行が広いほど査定価格は高まります。
同じ600㎡の土地でも横6m×縦100mより、横20m×縦30mの均等がとれた土地のほうが使い勝手が良く評価は高いです。
また、道路からの奥行が広いと駐車場なども設置しやすくなるので、店舗利用のメリットが大きくなります。
⑦周辺地域の過去の成約価格が高額だと査定額も高くなりがち
過去に周辺地域でどのような取引がされたという情報も、査定のときには重要となります。
この情報は、国土交通省が運営している「土地総合情報システム」というサービスを利用すればチェックすることができるので、気になる方は利用してみましょう。
当サイトでも、都道府県別・エリア別に、土地の売却事例を掲載しているので、気になる方は要チェック!
⑧微妙な立地の違いも査定に大きく影響する
同じ道路を挟んだ面積の同じ土地でも、このように位置が変わると利用の仕方は大きく変わります。
首都圏、地方都市といった大きな範囲での立地というのも、もちろん売却するときには重要ですが、同じ地域でも2~3件ほど場所が違えば、学区や日当たり、眺めが変わります。
また、土地の建ってる場所が実は工場跡地で、土壌汚染の危険性があるとなれば査定価格は下がります。
微妙な立地の違いが価格に影響するので、自分の土地は他と比べてどうなのか調べてみましょう。
土地の種類によっても査定価格は大きく変わる
ひとくちに「土地」といっても、周囲の利用状況や、国や自治体の方針によって、さまざまな属性に分けられます。
こうした、属性に振り分けられた土地を用途地域といいます。
用途地域の種類は、大きくわけて以下のようになります。
- 住居専用地域・住居地域
- 準住居地域
- 商業地域
- 工業地域
- 山・山林・農地
- 都市計画区域・市街化調整区域
ここからは、それぞれどんな土地なのか、価格相場はどう異なるのか見ていきましょう。
住居専用地域・住居地域はオーソドックスで評価されやすい
住居専用地域や住居地域は、法律によって細かい規定がありますが、一般的には住宅地と考えてもらって良いです。
住宅の跡地や、周辺が住宅地帯のエリアにある土地などが、これにあたります。
最も一般的に売買されるタイプで、査定相場は高くもなければ、低くもないといった感じでしょうか。
そこに新築を建てる買い手が多いので、面積の広さやアクセスの良し悪しが査定額に大きく影響します。
準住居地域は利用制限に注意
準居住地域は基本的に住居地域と同じ扱いですが、道路に面していたりしている場合が多いです。
交通の弁や景観・治安などとの調和をとることが、準住居地域には求められます。
例えばラブホテル、風俗店などの用途は、準住居地域では制限されています。
交通量の多いアクセスの良いエリアが指定されることが多く、高額で査定される傾向にあります。
商業地域はアクセスが良く高額査定されやすい
商業地は、法人や事業者が営利目的で利用する土地のことです。
例えば、駅の目の前にはマイホームはありませんが、飲食店はこぞって進出しますよね?
これは、駅前の土地が商業地として保護されているからです。
店舗利用などが多いので、アクセスが非常に良かったり、大型施設の跡地などは非常に大きな面積だったりするので、売却相場は住宅地よりも高めです。
工業地域は1億円以上で売れることも珍しくない!
東京都品川区の港南エリアなどは、工業施設の建設や、関連備品などの輸送施設のために、土地利用を制限されています。
このような、海沿いの大規模な土地を工業地といいます。
希少性が高いのでかなりの高額(5000万円前後)で取引され、土地の中では最も高値で売れる種類です。
一般の人が工業地を所有しているケースは少ないですが、国の方針(公共の福祉)によって、所有地が工業地に指定される場合も稀にあります。
山林・農地は国の規制が厳しいので注意
山地や農地を売りたい場合は、上のケースとはかなり異なります。まず、山地に関しては、バブル期に流行した原野商法(無価値の土地を買わせる詐欺行為)経由のものが多いので、需要はかなり低いです。
また、農地は国の農業保護の方針のため、安易に均して家を建てるといったことはできません。
まずは査定額よりも、こうした特殊なルールをいかにクリアするかが肝心です。専門で山地や農地の取り扱いをしている業者もあるので、一度相談してみましょう。
市街化調整区域の土地はまず売れるか確認しよう
都市計画で定められた特殊な区域を都市計画区域といいます。
都市計画区域は市街化区域、市街化調整区域、非線引き都市計画区域の3種類に分かれており、それぞれ以下の特徴があります。
都市計画区域の種類 | 内容 |
---|---|
市街化区域 | 都市開発や施設の新築を優先的におこなう地域。すでに市街地となっている区域の他に10年以内に計画的に市街化を進める地域も含まれる |
市街化調整区域 | 市街化を抑制する目的で指定された地域。サービス業以外の目的の土地利用が優先される。 |
非線引都市計画区域 | 市街化・市街化調整区域ではないが、都市計画区域に含まれるエリア |
これらは、国が過剰な都市化を制限したり、逆に都市開発をしたりする際に、住宅エリアと都市部の境目になるような立地の地域が指定されます。
この地域の土地は勝手に用途を変えて売ったり、高い建物を建てたりすることを禁止しているケースが多いです。
まずは売却が可能かどうかを自治体や業者に確認するようにしましょう。
→都市計画区域・市街化調整区域とは?特殊な土地売却のコツをわかりやすく解説!土地査定の流れを徹底解説
ここからは、所有する土地を実際に売ると決めてから、どのような手続きを踏んで業者との契約に至るかを紹介していきます。
ちなみに、大まかな流れは以下の通りとなります。
- 名義人の確認
- 詳細情報の確認
- 複数社へ査定依頼
- 査定額を基に候補を絞り込み
- 訪問査定
- 今後の売却方針の決定
- 媒介契約
それでは、それぞれの手続きの内容をより詳しく見ていきましょう。
名義人の確認
特に相続した土地などは、誰が名義人か曖昧になっていることが多いです。
また、名義人は1人とは限りません。兄弟や親族との共同名義になっている場合だってあります。
まずは名義人が誰かを調べ、自分でなかったり、他にも名義人がいたりするならば、彼らを説得しなければ査定・売却に出すことはできません。
名義人に関する情報は登記簿謄本に記されているので、まずはこの書類を法務局で発行してもらいましょう。
詳細情報の確認
登記簿謄本には名義人の他にも、面積などの大切な情報が記載されているので確認しましょう。
特に土地売却で気を付けたいのは、境界が明確かです。
隣家の木が境界を侵入して生えていたり、逆にこちらが境界を跨いでいたりする可能性があります。
しっかり境界線で土地を区分けしていないと査定・売却はできないので、まずは確認を業者にお願いしましょう。
境界に問題がなくても、登記簿の情報が古いままという場合は、更新が必要です。
ちなみに、土地売却時に法務局で取得する書類は、登記簿謄本を含めて以下のようなものがあります。
書類名 | 内容 |
---|---|
登記事項証明書(登記簿謄本) | 土地の権利関係を表す。土地の売却時には必須で取得する。 |
公図 | 敷地の範囲を示す図面。効力は地図に匹敵するか、それに準ずる。 |
登記事項証明書(登記簿謄本) | 土地の権利関係を表す。土地の売却時には必須で取得する。 |
地積測量図 | 敷地の面積・範囲を示す図面。※土地によっては無いことも多い。 |
隣接地の要約書 | 隣接地の登記事項要約書。境界確認のため、公図を見ながら、すべての隣接地分取得する。 |
閉鎖登記簿謄本 | 土地が合筆されたときなどに閉鎖された古い登記簿謄本。地歴が問題になったときに証明のため取得する。 |
旧紙公図 | 明治期から作られた公図。地歴が気になる場合など、時代を遡って調べたい場合のみ取得 |
複数社へ査定依頼
諸準備が完了したら、次に土地の査定を不動産会社へ依頼します。
このとき、当サイトでも提供している一括査定サービスを使うと、効率よく複数社へ依頼ができて便利です。
ただ、こちらで紹介しているような大手業者は、一括査定サイトに登録せず自社でWEB査定サービスを提供していることも多いです。
→【2018年】大手不動産会社ランキング!売上高・売却仲介件数・評判を比較
大手は自社サイトから査定できるところも多いので、一括査定サイトと併用していくのがおすすめですよ!
また、査定を依頼する時に会社から必要書類の提出を求められることもあるので、事前に書類を揃えておくのが理想的です。
→不動産査定の必要書類一覧!全20種類の内容と提出のタイミングを徹底解説!
査定額を基に候補を絞り込み
査定額が出そろったら、候補を2,3社ほどに絞りこんでいきます。
まず、査定額を比較して、明らかに飛びぬけて高値を付けているところは外しましょう。
媒介契約を結ぶため、あえて査定額を吊り上げてる可能性が高いです。
残った会社の中からどれを選ぶか悩むところですが、一番平均的な価格を付けたところと契約するのがおすすめです。
査定額は「うちならこれくらいで売れる」という見積もりですが、同時に、業者の不動産を見る目が適切かどうかの指標でもあります。
売り出し価格は売り手の意思で高めることができるので、まずは相手がちゃんとした業者かどうかを見分けましょう。
訪問査定
土地の査定には、簡易査定(机上査定)と訪問査定という2種類の査定方法があります。
→土地査定の方法!価格が決まる仕組みとネットで簡単にできる相場の調べ方
どちらにするか迷いますが、まず複数社に簡易査定を依頼し、絞り込んだ上で2、3社に訪問査定を依頼するのがおすすめです。
訪問査定は実際に担当者が現地に赴き、地盤調査などをした上で、より高精度の査定額を算出します。
このとき、実際に担当者と対面し話す機会があると思います。
査定結果だけでなく、対応・人柄も見て最終的な契約先を決定しましょう。
※どうしても1社に絞れない場合は、複数社と同時に契約を結ぶ一般媒介契約という方法がおすすめです。
こちらのページに詳しく載っているので、ぜひご覧ください!
今後の売却方針の決定
業者を絞り込んだら、再度、担当者としっかり相談をしていきます。
いつまでにいくらで売りたいか、保証・検査サービスは利用するか、費用はいつまでに支払うかなど、細かい方針の確認をしましょう。
特に、建物付きの土地を売却する場合は、そのまま建物付きで売るか、立て壊し、更地にして売るかの大きな選択に迫られます。
→土地の売却は家を壊して更地にするべき?メリットとデメリット
媒介契約
方針を確認して問題がなければ、不動産会社と媒介契約を交わします。
その後の土地販売活動は、基本的に仲介業者に一任することになりますが、なるべく売り手も積極的に土地の管理や清掃などを手伝うようにしましょう。
土地の査定方法は2種類!どちらを選ぶのがおすすめ?
土地の査定は、簡易査定(机上査定)と訪問査定という2種類の方法があります。
それぞれかかる日数や正確性が異なり、使い分けることで上手く土地を売ることができます。
それではここから、2つの査定方法の違いを分かりやすく解説していきます!
➝ 不動産の机上(簡易)査定と訪問査定の違い!売却時はどちらがおすすめ?
簡易査定(机上査定)は土地相場や複数社の評価を調べるのにおすすめ
簡易査定とは、机上査定ともいわれる方法です。
不動産の実物をチェックすることなく、概要やデータをもとに簡易的に土地を査定します。
売却の検討段階である、仲介先を探しているという方にとっては、おすすめの方法です。
名前に簡易とついているので、信憑性が低いのではないかと考える人も多いですが、実際に訪問していないとはいえ、数多くの取引事例、土地相場をものに算出されているので、十分に信頼できます。
簡易査定のメリット
簡易査定のメリットは、個人情報の共有を最低限で済ませることができることです。
特に、相続された土地の査定を頼む場合は、相続理由などのあまり言いたくない情報を教えなくてはなりません。
また、媒介契約の誘いを断りやすいという点もメリットの1つです。
査定をおこなった後、業者は何としても媒介契約を結ぼうと営業をかけてきます。
連絡先を教えておくと、ひっきりなしに電話がかかってくることもあるので、まだ売却を検討中だという方にはおすすめです。
簡易査定のデメリット
デメリットは、周辺地域などの情報が反映されていないことです。
駅へのアクセスが便利だったり、高台に位置していて眺めが良かったりすると、査定額は高くなります。
また、上に建っている物件の状況が反映されていないことも、土地ならではのデメリットです。
物件の状態によって、一緒に売却するのか、物件は解体して土地だけ売却するのかの方針が変わります。
解体するとなれば数十万円の費用がかかってきますので、物件の状態を業者に把握しないまま売り出しを決めるのは危険です。
簡易査定は一括で複数社に依頼するのがおすすめ
簡易査定は正確さに問題がありますが、結果が出るまで手間がかからないのが魅力です。
そんな簡易査定の特徴を生かし、一括査定サイトで複数社に一気に査定依頼をするのがおすすめです。
査定額を比較することで土地の平均相場が見えてきますし、それぞれの業者が土地をどう評価しているかも確認できます。
契約する業者を選別する段階で簡易査定を利用するのがおすすめです。
訪問査定は正確な査定額を調べるときに使う
訪問査定では、簡易査定に加えて、現地調査の結果も加味して査定額を算出します。
地質の状態や、騒音についてなどの近隣状況のほか、簡易査定ではわからない情報が盛り込まれるので、より正確な査定価格が算出される方法です。
土地売却を具体的に検討している方には、実際の売却額により近い金額がわかるので、おすすめです。
この訪問査定で算出された額は、そのまま土地の売り出し価格を決めるときの参考額となります。
訪問査定のメリット
メリットは、土地の実態に近い査定額を出してもらえることです。
特に家付きの場合などは、訪問してみてもらうことが大切です。
また、他にも、業者に直接質問をすることができます。
土地売却は、他の不動産よりも権利関係や手続きが複雑です。
そのため、事前に業者からアドバイスをもらえるのはかなり良いことです。
地質調査、汚染調査、測量、境界の決定など、土地の状況に応じてどのような手続きが必要で、どれくらいの費用がかかるのかを教えてもくれるので、本気で売却を検討している方におすすめです。
訪問査定のデメリット
訪問査定は、査定をおこなうための時間をとる必要があります。
もし、今住んでいるマイホームの土地を売却するというのであれば、時間をとるのは簡単ですが、両親から相続した土地で他県にあるという場合は大変です。
また、周辺環境の調査も一緒におこなわれるので、場合によっては近隣の方に迷惑をかけてしまいます。
加えて、相続された土地の売却を検討していることを、周りにあまり知られたくない場合もあるでしょう。
もし、どうしても近隣の方に知られたくないのであれば、その旨を相談しておきましょう。
土地売却で訪問査定は避けて通れない
ここまで2種類の査定方法を紹介しましたが、「2つのうちどちらか一方を選ぶ」というわけではありません。今は不動産会社と契約をする前にその業者の訪問査定を受ける必要があるので、以下の2通りの流れのうちどちらか一方を選ぶだけでしかありません。
- 簡易査定→訪問査定→媒介契約
- 訪問査定→媒介契約
複数社を比較できることから、前者の流れを取るほうが土地売却ではおすすめです。
逆に言えば、査定の依頼先イコール媒介契約の候補でもあるので、「査定だけならどこでもいいや」とはなりません。
検査・保証サービスまでしっかり調べた上で査定を依頼しましょう。
※保証も充実しているおすすめ不動産会社はこちらにまとめてあります!
➝ 【2018年】大手不動産会社ランキング!売上高・売却仲介件数・評判を比較土地の査定価格の根拠になる3種類の手法
土地の査定価格は、何を根拠に決められるのでしょうか?
実は、不動産査定には3つの手法があり、それぞれを組み合わせることで価格を算出していきます。
- 取引事例比較法
- 原価法
- 収益還元法
ここから、どのような手法なのか分かりやすく解説していきます。
取引事例比較法
取引事例比較法は、周辺地域の面積や形状の似た土地がかつていくらで取引されたかのデータを集め、それを参考に査定結果を出す方法です。
例えば、あなたが売りたい土地が、駅から徒歩6分の50坪の土地Aだったとします。今から1年以内の取引事例を調べると、駅徒歩3分で100坪の土地Bが1,000万円で売れていました。また、駅徒歩9分で80坪の土地Cが650万円で売れていました。※土地Aから土地B、土地Cまでの距離はほぼ等距離とする。
状況を整理すると、以下のようになります。
駅までの距離(徒歩) | 坪数 | 成約価格 | |
---|---|---|---|
土地A | 6分 | 50坪 | ? |
土地B | 3分 | 100坪 | 1,000万円 |
土地C | 9分 | 80坪 | 650万円 |
この時、土地Aの価格は以下の式で求められます。
(1,000万円÷100+650万円÷80)×50÷2=453万1,250円
実際、参考データは2つではなく、あればあるほど活用します。
この金額をベースに、形状や経済状況、周辺の開発状況を鑑みて査定額を算出していきます。
原価法
原価法は、主に古家付きの土地で用いられます。今建っている建物を取り壊した場合、全く同じ建物にいくらかかるかを計算(再調達価格)し、築年数に応じて減価修正をおこないます。
原価法では、以下の計算式で査定額を求めます。
価格=再調達価格×延床面積×(耐用年数の残り÷構造ごとの法定耐用年数)
家付き土地は建物部分を原価法で、土地部分を取引事例比較法で計算するのが一般的です。
計算に必要なのが耐用年数ですが、こちらは構造ごとに年数が決まっています。こちらにまとめているのでぜひお読みください。
➝木造住宅の耐用年数とは?減価償却・査定への影響をわかりやすく解説!
収益還元法
収益還元法は一般的な取引よりも、事業目的の取引で用いられる計算方法です。
収益還元法は、更に2つの方法に分かれます。
- 直接還元法
- DCF法
直接還元法は、一定期間の収益を還元利回りで割って価格を求める方法で、DCF法は土地の保有期間中に得られる利益+期間終了後に売って得られる利益を現在の価格に割り戻して算出する方法です。
収益還元法は計算が非常に複雑なので、自分でやるよりも不動産会社に依頼することをおすすめします。
土地を査定する際の注意点!実際の価格が査定より下がることもある
不動産業者がまとめて土地の価格と表記しているものでも、大きく分けて以下の3種類があります。
- 査定額
- 売り出し価格
- 売却価格
査定額は不動産会社が周辺地域の相場や類似物件の取引事例を基に算出した予想額、売り出し価格は査定額を基に売り手の要望も組んで決める最初の売値、売却額(成約価格)は、買い手からの交渉なども踏まえて最終的に取引された金額のことです。
一般的には、売り出し価格>査定額≧売却額(成約価格)の順に値段が高くなります。
この3つの価格により着目することが土地を高額で売る第一歩となります。
多くの場合、売却した土地は査定額と変わらない価格で売れます。
しかし、価格の付け方の基準は業者によって違うので注意しましょう。
土地の査定額は信用できる値か
売却予定の土地情報を一括査定サイトなどに入力すると、複数業者に価格算出を依頼できます。
しかし、この値は実際の売却代金よりも2割近く高いとも言われています。
複数業者が競合する前者のようなサイトは、売り手の気を引いて媒介契約に結び付けるためにこうした行動を取りがちではありますが、半数以上の不動産は前述の通り査定額前後で売れるので安心しましょう。
特に土地の場合は物件と違って第一印象による売却代金の動き幅が少ないので、より信用性が高いといえます。
土地売却で重要なのは売り出し価格の設定
不動産の価格というものは、どれくらいが適切なのか一般の方ではわかりにくいです。
国土交通省のサイトで全国の地価を見ることはできますが、市場に出された時の価値はまた違ってきます。
そのため、ある程度、自分の希望を入れた価格設定をすることも、高額で売るためには大切です。
売り手の希望を反映できるのが、売り出し価格の設定です。
売り出し価格は基本的に査定額を参考に値付けされますが、売り手の意思によって値上げをすることも可能です。
なぜ土地売却をするのかという目的と金額を照らし合わせながら決めていきましょう。
土地は査定額・売却価格(実勢価格)以外にも5つの評価額がある
土地には、査定額・売却額の他にも5つの評価額があります。
評価額の名称と内容は以下の通りです。
評価額 | 内容 |
---|---|
実勢価格・時価 | 土地の売買契約が成立した際の価格のこと |
公示価格(基準地価) | 国・都道府県が公表している、いわば土地の公式価格のこと |
相続税評価額(相続税路線価) | 土地に課される相続税を算出する基準の価格のこと |
固定資産税評価額 | 固定資産税を算出するための価格のこと |
鑑定評価額 | 不動産鑑定士が定めた価格 |
鑑定評価額以外の4つ価格を土地の一物四価ともいいます。ひとつの土地には4つの価格があるということですね。
評価額の求め方・使い方はこちらにまとめてあるので、ぜひお読みください!
土地を売る際には鑑定評価額は必要ない
鑑定評価額とは、不動産鑑定士という国家資格を持った人が定める価格です。
不動産会社の査定価格はあくまでその会社の「私見」なので、会社ごとにバラつきがありますし、価格の根拠も会社によっては曖昧です。
対して鑑定評価額は国に認められた正式な金額なのでブレもありませんが、土地を売る際は特に鑑定を依頼する必要はありません。
そもそも、土地売買は売主・買主の合意に基づいて金額を決めますが、価格は国が定めた定価ではなく、市場の動向や両者の事情を鑑みて決定します。
どちらも素人ですし買主の評価の仕方もそれぞれ違うわけですから、正確な鑑定額を知るよりも複数社に査定を依頼し、相場の平均と最小・最大を知って目標設定をしたり、高く売れなかった際の対処法を考えたり、最終的な売り出し価格の参考にしたりする方が理にかなっています。
また、各鑑定士事務所が個別に定めている不動産鑑定士への依頼費は非常に高額です。
鑑定費用 | 宅地または建物の鑑定評価 | 農地または林地の鑑定評価 | 建物+土地(敷地)の鑑定評価 |
---|---|---|---|
500万円以内 | 181,100円 | 362,000円 | 241,000円 |
1000万円以内 | 181,000円 | 422,000円 | 271,000円 |
1500万円以内 | 196,000円 | 513,000円 | 316,000円 |
2000万円以内 | 226,000円 | 573,000円 | 347,000円 |
2500万円以内 | 249,000円 | 618,000円 | 377,000円 |
3000万円以内 | 264,000円 | 648,000円 | 407,000円 |
4000万円以内 | 286,000円 | 693,000円 | 452,000円 |
5000万円以内 | 316,000円 | 738,000円 | 497,000円 |
6000万円以内 | 346,000円 | 768,000円 | 527,000円 |
8000万円以内 | 392,000円 | 814,000円 | 573,000円 |
1億円以内 | 439,000円 | 861,000円 | 620,000円 |
3000万円以内 | 264,000円 | 648,000円 | 407,000円 |
※出典:株式会社横浜不動産鑑定HP
こんなに高額な費用を支払っても、鑑定額通りに売れるか分からないのですから、普通の土地売却では鑑定依頼をする必要はないでしょう。
➝不動産の査定は鑑定士に依頼すべき?鑑定費用はいくらかかる?
悪質業者に査定を依頼しないように注意する
非正規の不動産会社に査定を依頼すると、高額を騙し取られる可能性があります。
業者に査定を依頼する前に、その業者の免許番号を確認しましょう。
もし免許番号がなければ、違法に運営されている無免許業者だということになります。
まだ査定時なので免許番号がわからない場合は、国土交通省や都道府県のサイトに記載されている行政処分情報を確認しましょう。
もし処分された過去があるなら、査定の依頼はやめておきましょう。
自分で調べただけでは不安だという方は、国土交通省地方整備局、都道府県庁に相談をしにいきましょう。
多くの人が不動産売却を初めて行うので、相手が悪徳業者か見抜くことはほぼ不可能です。
こうした情報を積極的に利用し、事前に悪徳業者との契約を回避しましょう。
→悪徳・悪質不動産業者の営業手口を紹介!免許番号を調べてリスク回避土地は複数の不動産会社に査定してもらおう!
土地の査定は必ず複数の不動産会社に依頼をしましょう。
査定額は業者によって異なるので、複数社の金額を見ないと正しい相場はわからないからです。
ただ、「2社以上に依頼をしたらどれが正しいかわからなくなる」という方もいるでしょう。実はこれは考え方自体が誤りです。なぜなら、不動産会社の査定は前述の通り公的なものではないからです。
そのため、複数社の査定額を比較した上で平均はいくらかを自身がチェックしなければいけません。
「最寄りの不動産会社と契約する」という、多くの方がおこなっている売却方法は1社のみの意見を鵜呑みにしてしまうという点でおすすめできないのです。
査定額が1,000万円以上異なる場合も
3社以上に査定を依頼して金額を比較すれば、その差は如実にあらわれてしまいます。
会社 | 査定額 |
---|---|
A社 | 3,120万円 |
B社 | 3,450万円 |
C社 | 4,080万円 |
これは、ある土地の査定を3社に依頼した時の一例です。
A社とC社では、1,000万円ほどの価格差が出ています。
この場合、C社と契約をするのがお得かと言われれば、決してそうではありません。これほど3社の査定額に乖離があるなら、より多くの会社に査定を依頼して平均値がどこかの見通しを立てましょう。
その上で平均の1割増し程度であれば契約可能なラインです。それ以上査定額が高いと、わざと吊り上げられている可能性もあるので注意しましょう。
一括査定サイトを使って複数社に簡単査定依頼!
土地を複数社に効率よく査定依頼できるツールが一括査定サイトです。
土地のカンタンな情報を記入・送信することで、複数(平均6社前後)の不動産会社に一括で査定依頼ができる優れものです。
依頼をすると数日後に査定書が自宅に届きます。
この査定書を見ればカンタンに土地の相場を調べられるだけでなく、比較してどこと契約すれば高く売れるかも一発でわかります。
→不動産査定書とは?ひな形と記載内容・無料ダウンロード方法を解説何より、他街や他県にいる不動産会社など、意外な優良業者が対応しているのを見逃さないのがうれしいですね。
一括査定サイトの詳しい使い方やおすすめのサイトランキングはこちらにまとめてあります!ぜひ参考にしてください!
→不動産一括査定サイトおすすめランキング!評判・口コミ徹底比較
