二世帯住宅の売却は税金がお得?課税額を下げるポイント
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二世帯住宅を建てる人は最近多いですが、親世代と折り合いがつかなかったり、死別してしまったりして売却するケースもあります。
中古住宅を売る際に気になるのが税金・費用ですが、二世帯住宅は一般的なスタイルの家よりも費用が安くなると言われています。
今回は二世帯住宅の売却でかかる税金の内容と、節税のコツを解説していきます。
→二世帯住宅は売れない?売却価格の相場と高く売るポイント・注意点二世帯住宅の売却時にかかる3種類の税金
二世帯住宅の売却時には、こちらの3つの税金がかかるのが一般的です。
- 印紙税
- 登録免許税
- 譲渡所得税
ここからは、それぞれの税金の内容を分かりやすく解説していきます。
①印紙税
印紙税は、国や自治体に向けて安全・公正な取引を担保してくれた見返りとして支払う税金です。
印紙税はその名の通り、対応する金額分の印紙を売買契約書に貼り付けて提出することで納付します。
ちなみに、課税額は売却価格に応じて、以下のように決まっています。
不動産売却代金 | 印紙税額 |
---|---|
100万円以下 | 500円 |
500万円以下 | 1,000円 |
1,000万円以下 | 5,000円 |
5,000万円以下 | 10,000円 |
1億円以下 | 30,000円 |
印紙はコンビニなどでも購入できますが、豊富な種類は取り揃えていない可能性が高いです。そのため、郵便局で購入するのが一般的です。
②登録免許税
二世帯住宅を買主に引き渡した時は、所有権移転登記をおこなう必要があります。
この手続き時に発生する税金が登録免許税です。
登録免許税は、土地・建物別に以下のように算出します。
不動産タイプ | 課税額 |
---|---|
建物 | 売却価格の1000分の20 |
土地 | ※売却価格の1000分の15 |
※2019年4月1日から1000分の20に減額
二世帯住宅を丸ごと譲渡する際は、建物部分と土地(敷地部分)を分けて税額を考えます。
例えば、2019年3月に二世帯住宅を3000万円で売り、その内訳が建物2000万円、土地1000万円だった場合、以下のように税額を計算します。
2000万円×20/1000+1000万円×15/1000=40万円+15万円=55万円
ちなみに、免許登録税は司法書士に依頼し、手続きと共に納付するのが一般的です。
→不動産売却で司法書士は何をするの?売買契約は立会可?役割と費用相場を解説
③譲渡所得税
不動産の売却益が購入費用を超える場合、譲渡所得税が発生します。
譲渡所得税は、所得税と住民税に分けて課されます。
ちなみに、課税額は以下の計算式で算出します。
譲渡所得税=税率×{譲渡価格-(取得費+売却費用) }
また、税率は二世帯住宅の所有期間が5年以内(短期)か5年超(長期)かによって、以下のように決まっています。
【短期譲渡所得】 | 【長期譲渡所得】 | |
---|---|---|
所得税 | 30% | 15% |
住民税 | 15% | 5% |
譲渡所得税が発生したら、所得税の上乗せ分を確定申告した上で納め、その後に住民税の上乗せ分を納めていきます。
不動産の確定申告はサラリーマンにとっては手続きが難しいと思うので、こちらのガイドを参考にしていきましょう。
→不動産売却の確定申告は必要?申告の流れ・必要書類の書き方を完全ガイド【決定版】二世帯住宅は相続税をかなり抑えられる
二世帯住宅の長所は、かかる相続税をかなり抑えられるところです。
これは、小規模宅地の特例という制度を利用することができるためです。
ここからは小規模宅地の特例について、詳しく説明していきます。
小規模宅地の特例で土地の評価額が8割下がる
まず、最初に相続税の仕組みを紹介します。
相続税は、以下の式で算出できます。
相続税=税率×(遺産総額-基礎控除額)
親の不動産も遺産に含まれますが、相続税評価額という本来の価値ではない独自の評価額を使って税額を計算します。
※相続税評価額は路線価を使って算出します。路線価の見方はこちらにまとめています。
→路線価を使って土地の売買価格を査定しよう!路線価図の見方・計算方法
小規模宅地の特例を使うと、この評価額を最大で8割下げることができるのです。
土地は遺産の中で最も高額な部類に入ります。そのため、評価額を8割も下げることが出来れば、相続税全体を大きく抑えることができるのです。
小規模宅地の特例を利用する条件
小規模宅地の特例には、こちらの3つの条件があります。
- 相続前から被相続人と一緒に生活している
- 相続から最低10ヶ月間は相続した土地を利用している
- 居住用宅地なら330㎡以下、事業用宅地なら400㎡以下の面積である
これらの条件をすべて満たしていれば評価額が80%減少しますが、最後の条件に関しては面積が大きくても減税はされます。
例えば、400㎡の居住用宅地が他2つの条件を満たしている場合、80%×(330/400)=66%となり、評価額が66%減少します。
”小規模宅地”でなくても特例を利用できる理由
この特例を実際に利用できるケースは多くないですが、二世帯住宅ならほとんどの方が使える内容になります。
これはなぜかというと、「相続前から被相続人と一緒に生活している」という条件を明確に満たしているからです。
同居していた住宅を相続したことは強く証明できるので、特例を利用しやすいのです。
二世帯住宅の売却時にかかる税金を抑えるコツ
二世帯住宅を売る際の税金を抑えるためには、まず購入時に将来の処分の行方を考えておくのが一番です。
悲しい話ですが、寿命を考えれば親世代が先にいなくなるのが自然です。
そうなった時に処分して引っ越すか、相続して住み続けるかをまずは考えなければいけないでしょう。
昔は親の家に相続するのが当たり前でしたが、現在は経済状況や家族環境に合わせて売却、購入、賃貸など適切な方法を様々な選択肢から取ることが求められています。
ここからは、どんな二世帯住宅が税金を安く抑えられるのか解説していきます。
非完全分離型のほうが税金は安い
二世帯住宅には、完全分離型と非完全分離型という2つのタイプがあります。
- 非完全分離型:親世帯と子世帯のスペースが通路・扉でつながっている
- 完全分離型:親世帯と子世帯で玄関も違う
どちらかというと、非完全分離型のほうが税金は安く抑えられます。
非完全分離型は、普段親世帯と子世帯が合わなくても一つ屋根の下に同居していると見なされます。
そのため、親が亡くなったら問題なく小規模宅地の特例が使えます。
一方、完全分離型は1つの建物の中の2つの居住スペースに、それぞれが1世帯ずつ暮らしていると見なすこともできます。
そのため、ケースによっては「同居している」と見なされない可能性があり、小規模宅地の特例を利用できないのです。
例えばマンションは同じ棟に暮らしていても、違う部屋の人を「同居している」とは見なしませんよね?完全分離型は言わばこうした扱いを受ける可能性があるのです。
小規模宅地の特例を受けられるかどうかは節税のために重要なので、注意しましょう。
区分所有登記をしない
完全分離型でも、区分所有登記をしなければ特例を受けられる可能性が高いです。
区分所有登記とは、親世帯と子世帯をそれぞれ別の区分だと公式に申請することです。
こうすることで固定資産税の支払いやもしもの時の責任を分散することができますが、同居しているとは見なされなくなり、小規模宅地の特例を受けることができなくなります。
節税をしたい方は、区分所有登記を避けましょう。
二世帯住宅は3000万円控除の対象にならない?
マイホームを売却して譲渡所得税が発生した際には、3000万円控除の特例を使って大幅に課税額を控除することができます。
→家の売却でかかる税金には3,000万円特例控除を活用しよう!使わないと損する特例控除の内容・適用条件
この特例は二世帯住宅も使えますが、完全分離型とみなされる場合は注意が必要です。
例えば、1階部分が親世帯のスペースで、2階部分が子世帯のスペースの場合、相続をしても2階部分だけしか税金控除を受けられない可能性があります。
こうした状況を防ぐためには、上で紹介したように区分所有登記を避けるといった方法が有効です。
税金を抑えて利益を最大にしよう!
二世帯住宅を売る際は、高額な税金がかかることを考えなければいけません。
この不動産を売れば目標額に達すると思っていても、税金で引かれれば十分なお金が得られず、更に家という高額資産をみすみす手放してしまうことになります。
また、住み替えの場合は引っ越し代など様々な費用がかかってしまうため、手取り額はなるべく多いに越したことはありません。
二世帯住宅を高く売るだけでなく、税金を抑える方法まで学んでおくことが重要ですよ!
→不動産売却の費用・手数料を一覧で紹介!手数料を安く抑えるコツや計算方法も解説