ワンドリンク・ 二度漬け禁止・車椅子入店禁止…飲食店のルール破るとどうなる?出禁の可能性は?
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カフェなどの飲食店には、長時間の席の占有禁止や、居眠り・勉強の禁止など、独自の利用ルールが定められていることがあります。
また、いわゆる“こだわりの多い料理店”では、料理の食べ方を指定していたり、やや厳しいと思えるようなマナーがあったりすることがあります。
飲食店ごとのルールは、どの程度守らなければいけないものなのでしょうか。
また、守らなかった場合はどのような措置が取られるのでしょうか。
法的な問題点や、トラブル時の対処法について、星法律事務所の星太輔弁護士に聞きました。
●飲食店ごとのルールには法的拘束力が存在する?
飲食店を利用する際は、お金を支払う対価として、食事や店内の滞在などのサービスを受けることができます。
この時、契約書こそ交わさないものの、利用者とお店の間で契約が結ばれたと一般的に解釈することができます。
例えば、お店側が提示する、「店内利用は1時間まで」「ワンドリンク制(1回の利用につき、必ず1人1回は飲み物の注文が必要)」などのルールを理解した上で利用者がお金を支払ったとすれば、利用者はルールに合意をしたと解釈できます。
その上で利用者がルールを破ったとしたら、合意を破ったとみなされる可能性があります。
つまり、法的拘束力は存在すると考えられます。
●ポイントは、ルールを知った上で入店・利用を決めたかどうか
裏を返せば、利用者がお店側のルールに違反したとみなされる場合、「利用者がお店のルールを理解した上でお金を払って店内利用し始めたのに、結果的にルールを破った」という事実が必要になります。
例えば、居酒屋の入り口に「当店はワンドリンク制です」と記載があり、注文前にも店員から同様の説明があったのに、利用者が料理しか頼まず退席しようとした場合はルールを破ったとみなされる可能性が高いです。
ただし、お店側によるルールの共有が不十分な場合など、利用者がルールを承諾してお金を払ったとみなせない場合は、お店側が後から利用者に対して強制的にルールに従わせることはできません。
利用者が既に料理などを注文した後にドリンクの注文が義務だとお店側から急に言われた場合、利用者はその段階でルールに従うかどうかを決めることが出来ると考えられます。
もともとそのお店がワンドリンク制のルールだったとしても、後からルールを共有された段階で、利用者が納得せずにお店を出ていけば法的には問題ないのです。
●飲食店から訴えられたり、出禁になったりすることもある?
店のルールを破ったとみなされた場合、出禁になるケースもあります。
「席の利用は1時間まで」というルールを破った場合、周りの方やお店側に実害が無くても、お店が側ルールを破った人は利用させないという意思表示をすれば、基本的には再度利用することができません。
店側がルールを破った利用者と契約を結ばない意思があるため、契約が成立しない=いわゆる出禁状態ということになります。
基本的には、お店側が設定していたルールが、下記の2つのうちいずれかを満たしていれば、破られた場合にお店側が出禁にする正当な理由はあると考えられます。
①営利活動を妨げない為の合理的な意図がある
②ルールを守ることによる客側の負担が大きくない
ただし、中には「一切の私語禁止」「関西弁禁止」のように、客側に無理を強いる、または現実的に守れないルールをお店が設定しているケースも報告されています。
こうしたルールのせいで不当な扱いを受けた場合は、第三者への相談をおすすめします。
●飲食店はいつでも利用者を退店させることができる?
ただし、どの段階で出禁とできるかについては、状況に応じて解釈の余地があります。
利用者がお店や他のお客に多大な迷惑をかけていて、即刻退店が必要と客観的に判断される場合は、料理が提供済みでも退店させることが認められます。
ただし、やむを得ない事情を除けば、サービスの対価としてお金をいただいている以上、料理を食べさせずに退店させるのは、逆に店側の合意違反と判断される可能性があります。
基本的には、店側がいただいたお金を返した上で、「お代はいらないので、お店から出ていってください」と対応することが多いようです。
●飲食店のルールが正当かどうかのボーダーライン
一見すると過剰に見える下記のようなルールでも、正当な理由と判断されれば店側は入店拒否を主張できることが多いです。
- 店内が非常に狭いため、大柄な方や大きな荷物を持つ方の入店を拒否する
- 店内に置くスペースがないため、車椅子の方の入店を拒否する
- アルコール類を提供するお店なので、お酒が飲めない方の入店を拒否する
また、利用者が下記のような行動をした場合も、お店側と利用者との”暗黙のルール”を破ったとして、入店拒否にできる可能性があります。
- 魚の活造りや豚の丸焼きが看板料理のお店で、「見た目が気持ち悪い!」「お魚が可哀そう!」などと聞こえるように話す
- 野球チームのユニフォームや選手のサインが飾られている店で、そのチームの悪口を聞こえるように話す
利用者にとって、お店やそのサービスを利用するかどうかについては契約自由の原則の考え方が適用されます。
お店側は「うちの店のルールが気に食わない人もいるが、気に入ってくれる人もいる。嫌なら来なければいい」と言えてしまいますし、利用者も「この店は気に食わないから、もう二度と行かない」という選択が可能なのです。※もちろん直接言うのは憚られますが…
ただし、お店側のルールの内容が利用者をないがしろにしているようなものであると感じられたり、SNSや口コミ投稿サイトなどでお店側の対応の悪さを指摘されて炎上したりと、違法性はなくても信頼を損なうことはあるので注意が必要です。
●「外国人入店禁止」は違法になる可能性大
上記とは別に、「外国人入店禁止」のような人種差別を助長するルールは、“市民的及び政治的権利に関する国際規約(国際人権B規約)“や、“あらゆる形態の人権差別の撤廃に関する国際条約(人権差別撤廃条約)“によって違法とみなされる可能性が高いです。
例えば、外国語を話せるスタッフがおらず、外国人が入店しても十分にサービスを提供できない、といった理由があったとしても、国籍を理由に入店拒否するのは原則NGです。
旅行客に対して店側が最初に外国語への対応が難しいことを伝えても、旅行客が入店を希望する場合には、入店を拒否する正当性は認められ難いと考えられます。
このように、安易なルールの設定はお店側の評判も大きく落とすリスクがあるので、注意が必要です。
(不動産プラザ編集部)
協力:星 太輔弁護士(星法律事務所)
東北大学法科大学院修了。現在は星法律事務所 代表弁護士として中小企業法務や一般民事事件を主に取り扱う。
HP://ss363404.stars.ne.jp/hoshi-law-office.com/
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