不動産買取でも「契約不適合責任」は適用される?通知期間や責任免除の特約について徹底解説
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戸建て住宅やマンションといった居住用物件などの不動産を売却し終えた後、設備不良や不備があると、売主には、契約不適合責任が問われます。
「契約不適合責任」は、契約内容と異なるもの、あるいは記載がないモノがあったときに適用される制度で、強制的な契約解除や数十万円から数百万円単位の損害賠償を請求されるなど、様々な事例があります。
しかし、「契約不適合責任」が問われるのは、個人間で不動産売買を行う仲介売却を行った時です。
では、業者相手に不動産を売却する「買取」を選択した時も、売主は「契約不適合責任」を問われるのかという疑問について解説して行きます。
また併せて、「契約不適合責任」で追及される権利や通知期間、免責になる方法についても解説して行きます。
不動産買取では契約不適合責任が問われない【結論】
結論から述べると、業者相手に所有する不動産買取を利用した時に限り、「契約不適合責任」は、免責される可能性が高いです。
まず、不動産買取とは、一般的に、物件のオーナーが不動産会社に対して物件を直接売却することを指します。
これに対して、契約不適合責任とは、売買契約が成立した後に商品やサービスが契約内容に適合しない場合に、売主が買主に対して負うべき法的責任のことを指します。
また不動産買取は、物件の評価や査定は不動産会社によって行われ、契約成立時点で双方が合意した条件に基づいて取引が進行します。
従って、一度買取契約が成立すると、原則として、不動産会社は売主に対して契約不適合責任を問われることはありません。
これは、不動産会社が専門の知識や情報を持っており、物件の状態や価値を適切に評価できるためです。
ただし、売主が不動産の重大な欠陥を故意に隠したり、虚偽の情報を提供した場合、契約不適合責任が発生する可能性があります。
このような場合、不動産会社は損害賠償を請求することができ、法的な争いに発展することも考えられます。
また、消費者としての知識が不足している場合や、契約内容の理解が不十分な場合、売主は不利な条件での取引となる可能性があります。
このため、不動産買取においては、適切な知識と情報を持ち、契約内容を十分に理解した上で取引を進めることが重要です。
つまり、不動産買取においては、一般的に契約不適合責任が問われることは少ないですが、売主が適切な情報提供を怠った場合や、不十分な知識で取引を行った場合には、トラブルが発生する可能性があります。
したがって、両者が適切な知識と情報を持ち、誠実に取引することが、争いを避けるための基本となります。
買主が契約不適合責任で追及できる権利
不動産業者と売買契約を締結する不動産買取に限り、売主は契約不適合責任が面積になります。
とはいえ、物件調査時に見つからなかった瑕疵や虚偽の情報があれば、買取でも、契約不適合責任が問われる可能性があります。
仮に「契約不適合責任」になると、売主は買主から以下の追及を受ける結果になります。
- 追完請求
- 代金減額請求
- 損害賠償請求
- 催告解除
- 無催告解除
ここでは、各追及について解説して行きます。
追完請求
追完請求とは、買主が契約の履行を求めることができる権利です。
物件に不備や欠陥があった場合、この権利を行使することで、売主は契約通りの状態に物件を戻す義務が生じます。
- 物件瑕疵の修補
- 代替物の引渡し
- 不足分の引渡し
上記3つ中にあるいずれかの対応を持って、責任を果たすわけですが、売却した不動産に代替物や不足分が補えるだけの対応は基本出来かねます。
例えば、未発見の瑕疵か設備不良で追及を受けた時は、修理や改修といった手段をもって対応するのが無難です。
代金減額請求
代金減額請求は、売主が対応できるだけの期間を設けたうえで追完請求を出したにもかかわらず、一向に対応されなかったときに追及できる権利です。
この権利を追求すれば、請求不適合に応じて、対応にかかる費用の減額請求ができます。
しかし、不適合内容によっては対応しかねる場合もあります。
例えば、購入した土地面積に誤差があり、足りない面積を売主に請求する場合です。
足りない土地面積を補完して渡すのは売主にも対応しかねるので、このような場合は、代金減額請求を取ることで、足りない土地面積にかかる費用の減額ができます。
損害賠償請求
欠陥物件によって買主が損害を受けた場合、売主に対して損害賠償を請求できます。
この請求を行うことで、買主は物件の欠陥によって生じた追加的なコストを売主に負担させることができます。
しかし、売主に帰責事由がないと判断されれば、損害賠償請求が無効となります。
催告解除
催告解除は、不動産取引において契約が不適合であることが判明した際に、買主が売主に対し一定の期間を設けて契約の履行を求め、それが不可能な場合に契約を解除する権利です。
これは、取引が円滑に進むための法的な措置であり、買主は売主に対し改善や修復の機会を与えます。
しかし、期間内に適切な対応がなされない場合、催告解除により契約は無効となり、買主は代金の返還を売主に請求できます。
この制度は、双方が公平な立場で取引を行うことを保障し、争いを最小限に抑える役割を果たします。
この制度は、双方が公平な立場で取引を行うことを保障し、争いを最小限に抑える役割を果たします。
無催告解除
無催告解除は、売主の過失や不正が明白で、催告による是正が不可能と判断される場合に、買主が通知無しで直接契約を解除することができる特別な権利です。
これは、売主が明らかに悪意を持って行動したり、重大な違反行為があった際に、買主を守るための法的措置となります。
無催告解除は、売主に一切の是正の機会を与えず、買主は速やかに契約を終了し、損害補償を売主に請求できます。
この権利は、買主が不当な損害を被ることなく、速やかに取引から撤退できるよう保障するものです。
契約不適合責任とは?売主が不利になる?瑕疵担保責任との違い・契約時の注意点をわかりやすく解説瑕疵担保責任との違い
瑕疵担保責任と契約不適合責任の違いは、前者は物件に潜在する欠陥(瑕疵)に対する責任を、後者は契約内容の不適合に対する責任を指します。
瑕疵担保責任は、欠陥が存在することで生じ、売主は瑕疵を知っていたか否かに関わらず責任を負います。
一方、契約不適合責任は、契約内容と物件の状態が一致しない場合に生じるものです。
これらの違いを理解することで、買主は適切な権利を行使し、自身の利益を守ることができます。
以下は、それぞれの違いをまとめたリストになります。
問われる責任制度 | 瑕疵担保責任 | 契約不適合責任 |
---|---|---|
買主が売主に請求できる権利 | 契約解除 損害賠償請求 |
追完請求 代金減額請求 契約解除(催告、無催告) 損害賠償請求 |
売主が負う損害賠償責任の範囲 | 信頼利益にのみ適用。 ※売主の過失の有無は不問 |
履行利益までの範囲で適用。 売主の過失が認められた場合のみ責任を負う |
権利行使の通知期限 | 貸し発見から1年以内 | 契約内容の不適合発見から1年以内に通知を行えば、権利行使に期限はない |
契約不適合責任の通知期間
不動産取引において契約不適合責任の存在が判明した場合、買主はその事実を売主に通知しなければなりません。
通知期間は、契約関係者の性質により異なる場合があります。
ここでは、それぞれの通知期間について解説して行きます。
個人に適用される契約不適合責任の通知期間
個人同士の取引においては、通常、契約不適合責任の通知期間は短めとされます。
不適合が判明した場合、買主は適切な期間内に売主に対し通知を行い、適切な対応を求めるべきです。
通知が遅れることで、売主の修復の責任が免除されることもあるため、速やかな行動が求められます。
具体的な期間は、契約内容や地域の慣習により異なるため、事前に確認が必要です。
不動産会社に適用される契約不適合責任の通知期間
不動産会社との取引においては、契約不適合責任の通知期間は一般に長めに設定されることが多いです。
これは、不動産会社が専門的な知識や経験を持つことから、買主に対しより広い保護が与えられるためです。
通知期間が長いため、買主は不適合を確認し、慎重に次の行動を計画することができます。
しかし、不動産会社も事業者であるため、通知期間の逼迫に注意が必要です。
宅建業者以外の事業者に適用される契約不適合責任の通知期間
宅建業者以外の事業者との取引においても、契約不適合責任の通知期間は存在します。
しかし、この場合の期間は、不動産会社とは異なる可能性があり、契約内容や事業者の性質、取引の慣習によって変動することがあります。
宅建業者以外の事業者も専門性を持つことが多いため、買主は通知期間に注意し、不適合が発見された際には迅速に通知を行い、対応を求めるべきです。
結論として、契約不適合責任の通知期間は、契約の相手方やその性質によって異なるため、契約時には通知期間についての確認と、不適合が発見された際の迅速な行動が重要です。
これにより、買主は自身の権利を保護し、適切な対応が受けられます。
契約不適合責任を免責にする方法
不動産取引において、売主が契約不適合責任を免責にする方法は複数存在します。
適切な方法を選択し、買主と認識を共有することで、双方が安心して取引が勧められます。
ここでは、契約不適合責任を免責にする方法について解説します。
買主売主双方が納得いく免責特約を設ける
免責特約は、契約不適合責任を免責する有効な手段の一つです。
買主と売主双方が納得の上で、特約を契約に盛り込むことで、特定の不具合について売主の責任が免除されます。
免責特約を設ける際は、不具合事項を具体的に記述し、双方の認識のずれを防ぐことが重要です。
また、買主の理解と合意が必要となるため、充分な説明と協議が必要です。
不具合事項をまとめておく
物件の不具合事項を事前にリストアップし、買主に対して開示することで、契約不適合責任が回避できます。
不具合事項を明示的に示すことで、買主はそれを理解し、納得した上で購入します。
買主の購入目的を知っておく
買主の購入目的を正確に把握することで、売主は買主の期待に沿った情報提供や対応ができ、契約不適合責任を免れます。
例えば、投資目的であればリスク要因に対する説明が重要となり、自己居住目的であれば生活に必要な設備や環境に焦点を当てる必要があります。
ホームインスペクション・土壌汚染調査を受ける
ホームインスペクションや土壌汚染調査を受けることで、物件の状態や問題点を正確に把握し、得た情報を売主に正確に伝えることができます。
これらの調査により明らかになった問題点は、取引前に買主に開示し、納得を得ることが重要です。
また、これらの調査により、売主自身も物件の価値を正確に評価し、適切な価格設定が可能となります。
契約不適合責任は心理的瑕疵にも適用される場合がある
不動産取引において、「契約不適合責任」という言葉は主に物理的な欠陥や法的な問題を指しますが、時には「心理的瑕疵」に対しても適用されます。
心理的瑕疵とは、物件自体の物理的な損傷や法的な問題ではなく、過去の事件や事故、近隣住民とのトラブルなど、購入者の心理に影響を与えうる事象を指します。
心理的瑕疵がある場合、それが物件の価値にどのように影響するかは一概には言えませんが、購入者の居住意欲や物件への価値観に大きく影響を与えます。
たとえば、物件が犯罪の現場となった歴史がある場合、購入意欲が著しく減退することが予想されます。
このような心理的瑕疵が判明した場合、契約不適合責任の適用が問われることも考えられます。
売主としては、心理的瑕疵を適切に開示し、購入者の理解を得ることが重要です。
開示義務違反によって契約が取り消されるリスクを避けるため、心理的瑕疵がある場合には、その事実を正確に伝え、購入者が納得の上で契約するよう努める必要があります。
また、購入者としては、心理的瑕疵に対する感受性は人それぞれ異なるため、自身の価値観やライフスタイルに照らし合わせ、その物件が適切かどうか検討することが大切です。
心理的瑕疵による影響を十分に考慮し、適切な価格交渉や契約条件の設定を行うことで、心地よい住まい手になるでしょう。
心理的瑕疵による契約不適合責任は、物理的、法的な瑕疵とは異なるアプローチが必要とされますが、双方が誠実な対応を心掛けることで、問題なく取引が行えます。
事故物件を売るには?価格相場と高く売るコツを紹介契約不適合責任を負わず不動産を売却するなら買取を活用するのが得策
不動産売却において売主が直面する可能性のある課題の一つが、契約不適合責任です。
これは、物件に隠れた欠陥や瑕疵が見つかった際に、売主が買主に対して責任を負うことを意味します。
そのため、このリスクを避けたい売主にとっては、不動産買取が有効な選択肢となります。
不動産買取は、不動産会社が直接物件を買い取る形式の取引で、一般的な仲介による売却と比較して、契約がスムーズかつ迅速に進みます。
この方式では、物件の査定から売却までのプロセスが短縮され、売主は買主と直接交渉することなく、契約不適合責任のリスクから解放されます。
買取による売却は、特に売主が迅速な取引を希望する場合や、物件に瑕疵がある場合において、その利便性が最大限に発揮される方法です。
これにより、売主は不動産の売却における手間やリスクを大幅に軽減することができると同時に、安心して取引を進めることができます。