不動産売買にもクーリングオフはある?適用条件・適用期間・申請方法を解説
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不動産売却ではクーリングオフ制度が利用できると、宅地建物取引業法で定められています。
これは、一度結んだ売買契約を8日間以内であれば解除できるというものであり、上手に活用することができれば、手付金の倍返しや賠償の支払いなど、契約解除時にリスクが伴うのを避けることができます。
→不動産売却の手付金とは?金額の相場や支払い方法・返金の仕組みについて簡単に解説
ただ、不動産取引で クーリングオフが利用できる範囲はかなり限定的なので、事前にどんな場面で利用できるかをしっかり確かめておくことをおすすめします。
→不動産売却の方法ガイド|不動産を売るなら読むべき鉄則!成功した人の共通点不動産売買でクーリングオフが利用できるケース
クーリングオフとは「頭を冷やす」という意味で、申し込み・契約後の一定期間であれば無条件で解除できるという法制度です。
利用できる場面は限定されており、訪問販売や電話勧誘販売などがほとんどですが、不動産取引も含まれています。
ただ、適用される範囲は限定的で、売却者が不動産業者であることが条件となっています。
つまり、「今まで住んでいた家を、転勤を機に売却して売買契約を結んだが、転勤が取りやめとなったのでクーリングオフを利用して契約を解除した」というような使い方はできないということです。
不動産取引でクーリングオフが利用できる例
不動産取引でクーリングオフを利用するには、以下の条件を満たしていることが前提となります。
- 不動産の中でも宅地か建物の取引であること
- 売却者が不動産業者であること
- 購入者が不動産業者でないこと
- 事務所(店舗や営業所など、業者が運営している場所)以外で売却をもちかけられ、申し込み、契約をおこなった場合
- 解除手続きの説明を書面でもらってから8日以内に実行する場合
- 引き渡しや代金の支払いがまだおこなわれていないこと
上の条件が適用されるのは、電話や訪問によるマンションや土地の勧誘販売などがほとんどでしょう。
仲介売却の売買契約にクーリングオフは適用されない
前述の通り、不動産のクーリングオフは不動産会社と個人の売買にのみ適用されるので、不動産会社の仲介によって第三者に売却する場合も、この制度は適用されません。
これは法人間の取引や買主が不動産会社だったとしても同じです。
原則、不動産会社が売主で、個人が買主の場合のみクーリングオフが利用できると覚えておきましょう。
不動産売買でクーリングオフを利用する際の条件
不動産売買でクーリングオフを利用する際は、適用条件を満たしている必要があります。
主な条件をチェックしていきましょう。
売主が宅地建物取引業者である
不動産会社やハウスメーカーなどの宅地建物取引業者である場合のみクーリングオフが認められています。
もちろん個人間の売買であった際も宅地建物取引業者であればクーリングオフの対象となります。
不動産の売買をする対象が、宅地建物取引業者であるかは必ず確認してから取引するようにしましょう。
事前に確認をして宅地建物取引業者であれば、購入後でもクーリングオフ制度を利用することが可能です。
宅地・建物の売買契約である
宅地・建物の売買契約が対象になります。
ただ、宅地には山林・農地・駐車場なども含むので意外と範囲は広いです。
事務所など以外での契約である
クーリングオフは、「宅地建物取引主任者を置くべきとされる場所以外」での契約が対象になります。
上記がどんな場所かというと、事務所や店舗の他、モデルルームなども含まれます。
基本的には突然の訪問販売を対象にした制度なので、本来店舗で契約できるのに自宅に呼んで契約した場合はクーリングオフの対象にはなりません。
クーリングオフの説明を受けてから8日以内
申し込みや契約締結ではなく、宅建業者から「クーリングオフという制度が使えます」という説明を受けてから8日間が対象になります。
この期間中に不動産の引き渡しや代金の支払いを受けていないことが条件です。
クーリングオフをおこなう際の注意点
上記の条件にも書いてある通り、クーリングオフは方法を書面で告げられた日から8日以内で実行する必要があります。
方法は、ハガキや封書、郵便、FAXなどにクーリングオフをするという旨を記し、送るだけです。
ただ、相手が悪徳業者の場合などは、内容をすり替えられてしまう可能性もあるので、必ず控えを持っておくか、内容証明郵便を利用するようにしましょう。
クーリングオフ期間の確認と適用
不動産売買におけるクーリングオフ期間は、方法を書面で通知された日から8日間と定められています。
この期間内にクーリングオフを行う意思表示をしなければなりません。
クーリングオフの意思表示はハガキ、封書、FAXなど書面に記し、それを送付することで行います。
しかし、業者によっては書面の内容を変更する可能性もあるため、送付の際は控えを保持するか、内容証明郵便を使用するようにしましょう。
クーリングオフ期間の数え方
クーリングオフ期間の計算はやや複雑で、契約日からではなく、クーリングオフの方法を通知された日から数えます。
また、通知が届いたその日を1日目として計算します。
例えば、通知が1月10日の夜に届いた場合、クーリングオフ期間の終了は1月17日となります。
口頭によるクーリングオフ通告のリスク
クーリングオフの意思表示を口頭で伝えることも可能ですが、これにはリスクが伴います。
口頭での通告は法的な制度として認められていますが、実際には通告が行われた証拠を残すことが困難です。
口頭で通告したにも関わらず、不動産業者が契約解除を行わないという事態が発生した場合、第三者を証人として立てることができなければ、クーリングオフの意思表示を証明することができません。
この結果、クーリングオフが適用されず、契約解除に必要な費用を支払うことになる可能性があります。
クーリングオフを利用する前にチェックすべきポイント
クーリングオフを利用する前にチェックすべきポイントを解説します。
売主は宅地建物取引業者だったか
まず、売主が宅地建物取引業者だったか確認をしましょう。
できれば契約前にその旨を確認しておくのが理想的です。
契約場所はどこだったか
事務所などで契約をおこなった場合、クーリングオフは適用されません。
どこで契約を結ばされたのかしっかり覚えておきましょう。
クーリングオフ後は手付金による契約解除をおこなう
クーリングオフがおこなえる条件を見てみると、まず「売却者が不動産業者であること」という条件があるので、一般の売却者では利用することができません。
そのため、契約解除がおこってしまうと、手付金を使った処理をしなければいけません。
この手付金とは不動産の売買契約時に支払われる売却代金の一部で、全体の5~10%程度が相場となっています。
不動産売却の解約手付
取引時に、売却者の方から契約のキャンセルを依頼する場合は、解約手付というものを使うのが一般的です。
これは、「手付金の中でも、条件さえ満たしていれば理由を問わず解除できる」という意味のものとなっており、不動産売却がキャンセル可能であることを証明するものでもあります。
よく、「手付金を払ってしまうと契約を解除できない」と考える人がいますが、実際は真逆の意味を持つものです。
不動産売却者が手付金を倍返し
手付金は購入者から売却者へ支払われるものですが、もし売却者の都合で不動産契約を解除する場合、この手付金を倍にして返さなければなりません。
不動産の中でも一戸建てなどは代金の相場が4000~5000万円ほどになるので、少なくとも40万円以上はキャンセルのために支払う必要があります。
特に住み替えを希望していた方などは、これから引っ越しやローン返済を控えているわけで、こうした出費を差し引いても余裕があるという方はわずかでしょう。
こうした突発的な契約解除に対応するためにも、手付金をもらってすぐに使うということをせず、少なくとも引き渡しが完了するまでは手を付けないようにしましょう。
クーリングオフが出来るとしても事務所以外の取引はリスクがある
ここまで、不動産売却ではクーリングオフが適用されないということと、代わりに手付金の倍返しによる方法がとられるということを説明しました。
クーリングオフは電話などによる勧誘を解除できるので、非常に便利で安心ですが、そもそも引っかかってしまうほうにも問題があります。
物件の取引額は数千万円になることが一般的なので、しっかりと注意をする、責任を持つということを怠っていると、大きなトラブルが起こりかねません。
危険な事態を防ぐためにも、まず事務所以外で取引をおこなうのは避けましょう。
手続き中も要注意
クーリングオフになるような事態は、はじめて物件を提案されて、そのまま購入に応じてしまうなど、勢いで押し切られてしまったときに起こることが多いです。
ただ、手口によっては、最初は優良な業者のふりをして近づき、移転登記などの後半の手続きでお金をだまし取るといった場合も多いです。
自分の意志でうっかり契約してしまったときはまだ解除が可能ですが、こうした詐欺がおこってしまうと、クーリングオフ制度をもってしても解決することができないので注意をしましょう。
不動産売買契約のトラブルを回避する方法
不動産会社の中には、とにかく契約のメリットだけ伝えてハンコを押させようとする悪徳業者もいます。
特に創設間もない業者などは、契約1件につき歩合給〇万円というように定めているで、依頼者の損得を考えず、とにかく契約を結ばせてくる傾向にあります。
また、不動産の契約は担当者と対面して2人きりでおこないます。不動産売買は普通の人なら人生に1度経験するかどうかの作業なので、担当者から最もらしいことを言われればすぐ信じてしまいます。
更に、2人きりで話し合いを進めるので第三者にストップをかけてもらえず、弱みをみせればそのままズルズルと契約してしまいます。
➝不動産売買契約の流れ・注意点を徹底解説!契約書のチェックポイントと瑕疵担保責任
そこで今回は、業者からの無理やりな契約催促を回避する方法を紹介します。
契約に司法書士を同席させる
ルールに反した契約催促が堂々とおこなわれるのは、それをチェックする第三者が同席していないからです。
そこでおすすめなのが、司法書士に同席を依頼する方法です。特に騙されがちな費用・税金に関する知識も不動産会社よりあるので、詐欺にあう確率をかなり減らせます。
ただ、注意点として司法書士が不動産会社とグルの可能性もあります。
契約で同席する司法書士は、業者が斡旋した司法書士ではなく、自分で見つけるようにしましょう。その方が費用も安上がりで済み、一石二鳥ですよ!
➝不動産売却で司法書士は何をするの?売買契約は立会可?役割と費用相場を解説
一旦契約の場を離れる
おそらくどの不動産会社にも顧客に契約させるノウハウというものがあります。
あなたが物件に興味が湧いているのは、その物件が魅力的だからではなく、相手の術中にまんまとはまっているからかも知れません。
不動産屋に向かう際は、その場で良い契約内容を提示されるかどうかに関わらず、必ず後日に持ち越すと決めておくのも一つの手です。
一旦家に帰って冷静に考えると、契約するほどでもないと思えるかも知れませんし、不動産は数日たつとドンドン新しいものが出てくるので、より良い条件がすぐ見つかるかもしれません。
不動産会社にも「一筋縄ではいかないな…」「この人は不動産を知っている」と思わせれば、次回の対応はより正攻法になる可能性が高いです。
「うち限定」「今だけ」という言葉を使う
「この物件はうちしか取り扱ってないんですよー」なんてことを担当者から言われ、コロッと心動かされる方もいるでしょう。
ただ、不動産会社の取り扱い物件はREINS(レインズ)というデータベースに保管され、全ての業者が共有できるようになっています。
ある特定の会社からしか紹介してもらえない物件というのはあり得ないので、こんなことを言われたら間違いなく詐欺と思って良いです。
また、「このシーズン限定」「今日契約しないと他に取られるかも」というのも、あまり気にする必要はありません。
確かに人気物件はなるべく早くキープするのが得策ですが、現在は昔ほど季節によって不動産市況が変わるということはなくなっています。
自分が切羽詰まっているほど、こうした言葉に惑わされやすくなります。不動産探し・売買はなるべく余裕をもっておこないましょう。
免許番号から過去の行政処分情報を調べる
不動産屋のサイトや店舗に、「〇〇県(×)第△△△△△△号」といった免許番号が必ず記されています。
これは、国(国交省)、都道府県の認可を得た正規の不動産業者ということを示すもので、免許番号がないと不動産会社として営業することができません。
また、国交省の宅地建物取引業者検索サービスを使えば、免許番号から過去5年間の行政処分情報を閲覧することができます。
過去に処分された経歴がある業者は信用できないので、契約するのは避けたほうが良いでしょう。
➝悪徳・悪質不動産業者の営業手口を紹介!免許番号を調べてリスク回避