不動産査定の方法を徹底解説!査定額の計算方法・査定価格が決まる仕組み
不動産を売却するとき販売価格を最終的に設定するのは売り手です。
ですが、不動産売却の準備を進めるにあたって、おおよそ売却価格を決めるために不動産業者の査定をおこないます。
不動産査定の依頼方法、計算方法はいくつかあり、自分に合った方法を選択することが求められます。
今回は不動産査定の方法を完全網羅!査定の仕組みと、失敗しない査定方法を学び、不動産売却を成功させましょう!
不動産査定の方法は大きく分けて3種類
不動産の査定額の計算方法には、こちらの3種類があります。
- 取引事例比較法
- 原価法
- 収益還元法
それぞれ、対象となる物件や計算式が異なるので注意しましょう。
ここからは、計算式の内容を一つ一つ見ていきましょう。
①取引事例比較法
取引事例比較法は、過去に取引された類似物件の価格などを参考にして、査定額を算出する方法です。
取引事例比較法はマイホーム(居住用物件)の査定で用いられることが多いです。これは、住まいの評価は日当たりや風通しのよさなど、数値化できないことが多いからです。
ここから、取引事例比較法の例を紹介します。査定したい物件Aと構造・立地・築年数・面積が似通っていている物件B、Cの取引事例を以下のように比較します。
物件 | 坪数 | 売買価格 |
---|---|---|
物件A | 40坪 | ? |
物件B | 50坪 | 2,600万円 |
物件C | 70坪 | 3,000万円 |
価格と面積の違いに着目すれば、物件Aのおおまかな査定価格を求めることができます。
(2,600万円÷50+3, 000万円÷70)÷2×40=約18,971,429円(小数点以下四捨五入)
実際にプロが計算する場合は、それぞれの物件の評点を鑑みた上で、価格を修正していきます。
②原価法
原価法は、その建物を今、新築当時の状態に建て直したらいくらかかるか計算した上で、経過時間を考慮して調整(減価修正)していきます。
計算式にすると、以下の通りです。
価格=再調達価格×延床面積×(残りの耐用年数÷法定耐用年数)
再調達価格は、構造によってある程度相場が決まっています。
構造 | 再調達価格の相場(標準価格~最大価格) |
---|---|
木造 | 14.8万円/㎡~20.9万円/㎡ |
軽量鉄骨造 | 14.8万円/㎡~20.9万円/㎡ |
鉄骨造(重量) | 15.6万円/㎡~22.0万円/㎡ |
RC造 | 18.8万円/㎡~25.1万円/㎡ |
SRC造 | 18.8万円/㎡~25.1万円/㎡ |
次に法定耐用年数ですが、これは安全に利用できる年数を示すもので、こちらも構造によってキッチリ年数が決まっています。
構造 | 法定耐用年数 |
---|---|
軽量鉄骨造(厚さ3㎜以下) | 築19年 |
木造 | 築22年 |
軽量鉄骨造(厚さ3~4㎜) | 築27年 |
鉄筋コンクリート造 | 築47年 |
例えば、築15年の一般的な40坪=約132㎡の木造住宅を原価法で査定すると、以下のようになります。
価格=14.8万円×132×(7÷22)=約625万1520円
原価法は取引事例比較法と違い、過去のデータがなくても使えます。ただ、利用できるのは建物に限られています。
③収益還元法
不動産投資で使われる収益物件は、住みやすさや築年数より利益を上げられるかどうかを重視します。
こうした物件の収益性をもとに査定する方法が、収益還元法です。
収益還元法には、直接還元法とDCF法の2種類に分かれます。
- 直接還元法:年間家賃収入÷還元利回り×100
- DCF法:(X年後の合計収益)÷(1+年間割引率のX乗)
直接還元法は1年間の家賃収入をもとに査定価格を求めるのに対し、DCF法は賃貸経営の開始から売却までの期間・利益を想定して査定価格を求めます。
還元利回りは「HOME’S 不動産投資」や「楽待」などの収益物件専用サイトをチェックすれば、類似物件の数値を確認することができます。
自分で計算する際はそこから利回りを想定してみましょう。
不動産査定の依頼方法は2通り
査定を依頼する際は、 2通りの方法があります。
- 簡易査定
- 訪問査定
こちらの2つは不動産会社がおこなう査定となります。
ここからは、この2つの査定方法の内容を分かりやすく解説していきます。
簡易(机上)査定
簡易査定は机上査定ともいわれ、現地の不動産を見ずに無料で不動産の価格を算出する方法です。
実際の不動産物件を見るわけではないので、物件の種類、物件の立地条件、築年数、間取り、エリアなどの条件に加えて周辺地域の売却事例を考慮して価値を決めます。
この提示された価格は3か月以内の売却を想定しているので売れない場合は値下げする可能性もあります
限られた情報の中で、おおよその価格を付けるため、正確性には欠けます
簡易査定のメリットとデメリット
簡易査定のメリットは、不動産の情報を回答する部分が少なくインターネットなどでも依頼が簡単にできるため、気軽に不動産の価値を知ることができます。
また、依頼する不動産会社によってはその日のうちに査定結果が出るところもあるので手軽に利用できます。
デメリットとしては、不動産内部の状態などを見て査定をしたわけではないので、出された結果は正確なものではなく暫定的なものになってしまいます。
訪問査定
訪問査定は、不動産会社のひとが実際に現地にきて物件を見て無料で不動産の価値を算出する方法です。
内部もしっかりとチェックした上で、簡易査定や一括査定より正確な価格を提示してくれます。
資産価値が上がるポイントや周辺の商業施設の充実度、日当たりや、物件の状態など考慮して価格を決めます。
基本的には、簡易査定や一括査定をしてから実際に訪問し価値を算出する流れになっています。
結果がその日に出ることはなく、数日程度待つ必要があります。
訪問査定のメリットとデメリット
訪問査定を利用するメリットは、周辺の環境も含めて価格を出すのでより正確な価格を提示してくれるところです。
もし提示された結果に疑問があっても査定書があるので理由をしっかり知ることができます。
→不動産査定書とは?ひな形と記載内容・無料ダウンロード方法を解説
デメリットとしては、立ち会うための時間を作り、結果が出るまでにも待たなければならないということが挙げられます。
複数の不動産会社に訪問査定を依頼する場合、より時間も労力もかかってしまいます。
他にも、近隣住民の方に売却を知られてしまう可能性もあるので、デリケートな理由で物件を売るという方は注意が必要です。
不動産の査定相場を自分で調べる方法
不動産の査定額は、業者に依頼しなくても自分自身で概算値を調べることができます。
自分で査定相場を調べる方法は、大きく分けて以下の4通りです。
- ポータルサイトを使って調べる
- 土地情報総合システムを使って調べる
- レインズを使って調べる
- 不動産ジャパンを使って調べる
ここから、相場の調べ方を分かりやすくガイドしていきます。
①ポータルサイトを使って査定相場を調べる
素人が1から査定額を計算するのは大変ですが、すでに計算されて売り出された物件を見れば、だいたいの相場が分かります。
スーモやライフルホームズなどのポータルサイトは賃貸探しに使うことが多いですが、売却中の物件も多数掲載しています。
購入者専用ページから売りたい不動産のタイプと同じものを指定すれば、売り出し中の戸建てやマンションが見られます。
地域や築年数、間取りなどで絞り込む機能があるので、こちらを使って類似物件がいくらで売られているのかをチェックします。
売り出し物件の写真だけでなく、築年数や面積、構造などの詳しい情報もスーモには掲載されています。
同じような築年数、アクセスの建物や土地の情報をいくつか集めたら、それを全て合計して1㎡あたりの価格を算出しましょう。
例えば、3件の売り出し物件の合計額が3000万円で、面積の合計が150㎡の時、1㎡あたりの価格は20万円と計算できます。
あなたの売りたい物件の面積が50㎡なら、相場はだいたい1000万円(20万円×50㎡)だと考えることができます。
ただ、この方法で正確な値を算出するには、面積以外の他の項目がピッタリ同じでないといけないので、算出額はあくまで参考程度に考えておきましょう。
ポータルサイト記載の金額は査定額でも成約価格でもない?
注意してほしいのが、ポータルサイトに載っている物件の金額は、実際の査定額とも、成約価格ともかけ離れている可能性があるということです。
査定額、売り出し価格、実際の成約価格は、以下の流れで変化していきます。
- ①不動産会社が査定額(適正価格)を設定
- ②業者と相談の上、売主の意思で売り出し価格(希望価格)を設定
- ③売れ残った場合は、市況を見て価格を値下げ
- ④買主と価格交渉、ここで更に値下げすることも
- ⑤お互いに納得がいったら、成約価格で取引
査定額通りで売る人も、1度も値下げせず成約が取れる人も多いので、必ずしも上の通りではありません。
ただ逆に言えば、サイトに記載されている金額が査定額(適正価格)を無視したものなのか、一度値下げをしてこの数字なのかといった情報は確かめにくいのです。
スーモは掲載情報を更新した期日は載っていますが、いつから掲載しているかは載っていません。つまり、その物件がいま売り出したばかりか、売れ残っている状態なのか(値下げをしているか)は正確に分からないのです。
過去の成約事例をもとに査定相場を推測するのが、もっとも正確な方法ではあります。
②土地情報総合システムを使って査定相場を調べる
直近5年間の全国の成約事例が多数掲載されているデータベースが土地総合情報システムです。
こちらで、不動産の種類や所在地を絞り込んで検索すると、実際の取引データが指定した期間分だけ表示されます。
駅までの距離や取引総額、利用目的などもここでチェックすることができます。
査定相場をチェックする時は、多くのデータを参照することで精度が高くなります。
土地総合情報システムは効率よく多くのデータを収集するのに適しています。
経済状況や環境の変化に注意
過去の成約事例をもとに査定相場を計算する場合は、単純に価格を比較するだけでは不十分です。
【銀座エリアの平均地価推移(2005年~2015年】
西暦 | 地価(10万円以下四捨五入) | 主な出来事 |
---|---|---|
2005年 | 9,500万円 | - |
2006年 | 14,000万円 | - |
2007年 | 17,000万円 | - |
2008年 | 17,000万円 | リーマンショック |
2009年 | 15,000万円 | - |
2010年 | 12,000万円 | - |
2011年 | 11,000万円 | 東日本大震災 |
2012年 | 11,000万円 | - |
2013年 | 12,000万円 | 東京オリンピック開催決定 |
2014年 | 14,000万円 | - |
2015年 | 16,000万円 | - |
上は日本でも屈指の高さを誇る銀座エリアの平均地価の推移です。
2000年代前半は不況の影響で地価が下がっていました。回復の兆しが見えたところでリーマンショックが起こり、再び低迷。
2011年には東日本大震災が起こって追い打ちをかけるように相場が下がる中、2013年に東京オリンピックの開催決定したことで好転。2019年現在はバブル期以上の高騰を見せています。
このように、経済状況や環境の変化で、個別にはどうしようもないくらい不動産全体の価格が推移していきます。
過去の成約事例をチェックする際は、こうした地価相場の変化にも目を向けなければいけません。
③レインズを使って査定相場を調べる
全国の不動産会社が登録しており、最も信頼できるデータベースがレインズです。
レインズには売り出し中の物件を検索できるものと、成約事例を検索できるREINS Market Informationの2種類があります。
前者は正規の不動産会社しか閲覧できませんが、後者なら個人も無料で見ることができます。
→レインズは不動産会社しかログインして見れない?個人がレインズを閲覧する方法
レインズマーケットインフォメーションを開くと、マンションか戸建てかを選ぶ画面が出てきます。地域を選択して、下の検索ボタンをクリックしましょう。
すると、指定した物件タイプ、地域にあてはまる、直近1年間の取引情報がグラフで表示されます。
赤い線で価格の中央値を示してくれるので、どこが平均なのかが計算しなくてもすぐにわかります。
ただ、このデータベースは土地の情報が登録されていないので注意が必要です。
④不動産ジャパンを使って査定相場を調べる
個人がレインズにログインをして売り出し状況を確認することはできませんが、それとほぼ同じ規模で個人でも閲覧できるデータベースが不動産ジャパンです。
→不動産ジャパンは全国の不動産が検索できる!仕組みとサービス内容を徹底解説
不動産ジャパンは、以下の売り出し情報をチェックすることができます。
- マンション(1棟/分譲)
- 一戸建て(分譲・建売/分譲)
- 土地(分譲地/それ以外)
- 事業用物件
検索をするとこのように結果が一覧で表示されます。クリックをするとかなり詳しい情報までチェックできます。
中には情報登録日という項目もあり、ここで売り出しからだいたい何か月経ったのかを推測することもできます。
不動産査定で良く見られるポイント!査定価格に大きく影響する項目
不動産査定では、不動産の面積や立地などに加え、実際に営業マンが訪問調査した結果も合わせて評価を決めていきます。
査定の際には不動産を隅から隅までじっくり調査しますが、その中でも評価を大きく左右するポイントがいくつか存在します。
ここからは、不動産査定時によく見られるポイントを紹介していきます。
建物の査定では築年数が最も重要
マンション、一戸建てといった建物を査定する際は、築年数が最も価格に影響する要素となります。
築年数 | ㎡単価 | 価値減少率 | 平均価格 | 平均面積 |
---|---|---|---|---|
~5年 | 7437万円 | 100% | 4895万円 | 65.81㎡ |
6~10年 | 6117万円 | 82.2% | 4243万円 | 69.37㎡ |
11~15年 | 5646万円 | 75.9% | 3159万円 | 67.61㎡ |
16~20年 | 4673万円 | 62.8% | 3159万円 | 67.61㎡ |
21~25年 | 3155万円 | 42.4% | 1899万円 | 60.19㎡ |
26~30年 | 2997万円 | 40.3% | 1670万円 | 55.74㎡ |
31年以上 | 2979万円 | 40.1% | 1678万円 | 56.33㎡ |
【出典】「築年数から見た首都圏の不動産流通市場」東日本不動産流通機構(2016)
こちらは、首都圏のマンションの成約状況を築年数ごとに分けて比較したものです。
築年数が10年経てば、価格が20%も下がってしまうのが分かりますね。また、築5年以下のマンションと築30年超のマンションなら、売却価格が3,000万円以上も違ってしまいます。
いくら立地の良い物件でも、築年数の経過は逃れることができないのです。
中古物件を高く売るには、築浅のうちに売ってしまうのがセオリーです。
立地は駅徒歩6分を基準に考える
築年数に次いで重要なのが、不動産の立地です。
基本的には都心や大きな街に近いほど査定評価は高くなり、地方・郊外にいくほど評価は低くなってしまいます。
不動産の所在地が都市か郊外かというのも重要ですが、最寄り駅へ歩いて何分か、最寄り駅から都市部・周辺へのアクセスは良好かというのも、重要なポイントになります。
だいたいの目安としては最寄り駅までの徒歩分数が6分以内であればプラス評価、それより遠ければマイナス評価になるイメージです。
マンションの場合は階数・部屋の位置も重要
分譲マンションの1室を売る場合は、その部屋が高層階かどうか、角部屋か中部屋かという点も査定に考慮されます。
マンションの査定評価は、高層階であるほど高くなります。
逆に低層階の査定額は低くなりがちですが、実際には「下の階のほうが災害時に逃げられるし安心」などの理由で、低い階を好む人も多くいます。
査定時の評価が低かったからといえ、売れない訳ではないので安心しましょう。
また、同じ階でも角部屋のほうが、中部屋より査定価格は高くなります。
不動産の面積はそこまで査定に影響しない?
「うちの田舎の実家は広いから高く売れるだろう!」と自信満々に言う方が、結果的に安値でしか売れず悩むケースをよく見ます。
確かに、不動産の面積が広ければ広いほど、査定額は高額になる傾向にあります。
ただ、中古不動産は買ってもらわないと意味がないので、広すぎて使い勝手が悪ければ意味がありません。
特に最近は核家族化が進行していることもあり、広い家の需要が昔より減ってきています。
逆に面積が狭くても、築浅でアクセス良好の物件なら高値で査定してくれる可能性は十分あります。
不動産査定でチェックされるその他のポイント
上で挙げた主な項目のほかにも、不動産査定では様々なポイントをチェックされます。
建物の場合は、以下のような項目を評価し、総合的な査定評価を決めていきます。
- 最寄り駅までの距離(バス・徒歩)
- 生活の利便性
- 築年数
- 建物のグレード
- 管理人の勤務形態
- 駐車施設の有無
- 階数
- 位置(角部屋・中部屋)
- 方位・向き
- 間取り
- 眺め・景観・日当たり
- 騒音・振動
- 室内の保守状況
- 敷地利用権の種類
土地の査定項目には築年数がないですが、代わりに以下のような項目をチェックしされます。
- 駅までの距離
- 買い物の便
- 前面道路の状況(接道状況・方位・幅員・舗装状況)
- 形状
- 間口
- 排水施設
- 街路の整備
- 周辺環境(街並み・嫌悪施設の有無)
- 隣地の状況
- 騒音・振動
- 眺め・日当たり・風通しなど
全ての項目が優れている不動産は多くありません。
まずは不動産会社に査定を依頼して、金額を実際に見てみることから始めましょう。
不動産査定の前に必要書類を揃えよう
不動産査定を依頼する前に、必要書類を揃えておきましょう。
ネット査定を依頼する際に書類の提出は必要ないですが、訪問査定などの際に、業者によっては以下の6つが必要になります。
- 登記簿謄本
- 公図
- 土地の測量図または建物の図面
- 登記済権利書または登記識別情報
- 身分証明書
- 印鑑証明書
また、提出義務はなくても、こちらから提出することで不動産の評価が高まる書類もいくつかあります。例えば、以下のようなものです。
名称 | 内容 | |
---|---|---|
① | 公図 | 法務局にある土地の図面。形状、地番、接道などが分かる。インターネットからも取得可能 |
② | 土地の測量図 | 法務局にある土地の形状、面積、測量方法などが記載された図面 |
③ | 建物の図面 | パンフレットや設計図、リフォーム図など、建物内の構造がわかるもの |
④ | 不動産の周辺環境がわかるもの | 主に最新の鳥観図など |
⑤ | 購入時の売買契約書 | どんな条件で契約したかを示す書類 |
⑥ | 建築確認済証または検査済証 | 物件内を検査していれば業者からもらうことができる。建築基準法に則った物件であることを示せるので、提出すれば成約率が上がる |
⑦ | 建築設計図書または工事記録書 | 法的な証明力はないが、設計・工事がどうおこなわれたか知ることができるので重宝する |
⑧ | 境界確認書 | 土地の境界線を定めた書類。そもそもなかったり、実情に即していない場合は新たに測量をする必要がある |
⑨ | 住宅性能評価書 | 住宅の性能を数値で表したもの。国交省の認可を受けているので証明力がある |
⑩ | 耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書 | 別途検査を依頼した時に受け取っている報告書。最新のものであるほど評価が高い |
⑪ | 固定資産税納税通知書または固定資産税評価証明書 | 本人名義で物件を所有しているなら、毎年送られてくる。納税額の確認や評価額・登録免許税の算出に使うことができる |
⑫ | リフォームの契約書・報告書 | 今までにリフォームをしたことのある場合は提出が必要。これがないと適切に査定評価をすることができない |
⑬ | 管理費・修繕積立金の記載書類 | マンションの場合は管理組合に問い合わせればもらえる。これが高額すぎると査定評価は落ちる |
⑭ | 管理組合規約 | ペット飼育・喫煙・同居の可否などを定めたマンションの規約 |
書類は提出して損をすることはありません。不動産会社は物件評価を詳しく調べることができますが、住み心地などは分かりません。
近所のお店やショッピングモールのパンフレットなども、そういった意味では有効です。
→不動産査定の必要書類一覧!全20種類の内容と提出のタイミングを徹底解説!不動産査定の前にチェックしたい4つのポイント
不動産査定の前には、書類集めの他にもチェックしておきたいポイントがいくつかあります。
事前に注意点をしっかりチェックして、スムーズに不動産査定を進めていきましょう。
①査定後の流れを把握しておく
不動産査定から、成約・引き渡しまでの流れは以下の通りです。
- 不動産会社への相談・査定依頼
- 査定・業者選び
- 媒介契約
- 売却活動・部屋のクリーニング
- 内覧対応
- 買付(購入申込書)をもらう
- 売買契約
- 引き渡し・決済
流れを事前に知っておくことで、自信をもって査定を依頼することができます。
流れを見るとわかるように、査定は業者選びの最初の一歩でもあります。最初から売却を見据えて、手続きを進めていきましょう。
②不具合や修繕の必要な個所をチェック
担当者が数時間訪問しただけでは、すべての不具合を見つけることはできません。
生活する中で気づいた雨漏りや水漏れ、ドアノブの不具合などは自分から不動産会社に告知しましょう。
告知すべき情報としなくても良い情報の線引き
不動産会社や買主に、あなたの情報を全て告知する必要はありません。
あなたが告知しないといけない情報は「隠しておくことで新しい住人が安心して生活するのを阻害する情報」です。
これらの情報を告げれば査定額は低くなりますが、隠して引き渡し後に発覚したら瑕疵担保責任に問われ、賠償金を請求されます。
逆に離婚や子供のいじめなど、売る理由がつらいものだったとしても、新生活に影響はないので査定評価にはかかわりません。なので秘匿してもOKです。
③リフォーム・ハウスクリーニングの必要があるかチェック
中古の建物を売る時に大規模リフォームをする必要はありません。
中古物件の買主は購入後にリフォームをすることを想定しているため、逆に売主が勝手にリフォームすると売れにくくなります。
ただ、前述のようにドアノブの不具合があるケースなどは、場合によっては簡易リフォームを依頼することになります。
また、汚れが目立つ場合はハウスクリーニングを業者に依頼する必要があります。
ハウスクリーニングに関しては低予算で見違えるほど印象を良くすることができるので、余裕のある方におすすめです。
場所 | 料金相場 |
---|---|
浴室 | 10,000~20,000円 |
洗面所 | 6,000~10,000円 |
トイレ | 6,000~13,000円 |
キッチン | 10,000~24,000円 |
レンジフード | 10,000~20,000円 |
④境界線が明確になっているかチェック
一戸建てや土地の中には、近隣との境界線があいまいになっているものもあります。
境界があいまいだと、どの部分まで売れば良いか分からないので、境界確定をする必要があります。
登記簿謄本に載っている面積と実際の面積が明らかに違う場合も、境界測定をしないと売れにくいので注意しましょう。
→土地を売る時は測量・境界確定が必要?測量費用・流れを徹底解説
山地・山林など、広大過ぎて境界確定が困難な土地は、手続きをせずに査定をすることもあります。
→山林を売る方法とは?売却の流れ・注意点から費用・税金まで解説不動産タイプ別のおすすめ査定方法を紹介
不動産には様々なタイプがあり、見られるポイントもそれぞれ違います。
ここからは不動産タイプ別におすすめの査定方法を紹介していきます。
家・一戸建てはネット査定を信用しすぎない
ネット査定は表面的なデータのみで価格を算出するので、建物内の状態などが評価されていません。
特に一戸建ての家は間取りやデザインの違いが著しかったり、傷や凹みの状況も個体差が大きかったりするので、ネット査定の金額と実際の売却価格が大きく違うことも少なくありません。
事前に売り出し物件の相場を調べておくことをおすすめします。
マンションは階数や部屋の位置を要チェック
分譲のマンションを査定評価には、階数や部屋の位置(角部屋・中部屋)も含まれてきます。
これは一戸建ての査定にはないマンション独自のポイントです。
また、同じ棟の他のマンションがいくらで売られているかによっても金額は変わってきます。売り出し状況の確認もおこないましょう。
→マンション査定はどこを見られる?7つのポイント・仕組みを知ろう
土地の査定額はブレにくい
土地の査定額は国土交通省が発表する公示地価がもとになるので、建物に比べて業者ごとのブレは起きにくい傾向にあります。
ただその中でも高く売ってくれる業者は存在するので、少しでも高く売るにはしっかり比較する必要があります。
→土地査定の方法!価格が決まる仕組みとネットで簡単にできる相場の調べ方
収益物件の査定は利回りがベースになる
ビルやアパートなど、賃貸経営をしている物件を収益物件と呼びます。
収益物件は収益還元法で査定額を計算するのですが、市況が変化しやすいので注意が必要です。
首都圏を中心に収益物件を専門に扱う不動産会社も多いので、そちらにも査定を依頼しましょう。
不動産査定の方法・査定結果は業者によってバラバラ?その理由は?
ほとんどの不動産会社が、依頼をすれば無料で査定をしてくれます。ただ前述の通り、業者によって査定価格が正確なものもあれば、実際の価格から大きく外れているものもあります。
普通の人は不動産査定の経験なんてありませんから、査定価格の精度を見分けるのは非常に難しいです。
素人にとっては、どの不動産業者もその道のプロですから、価格を算出されたら信じてしまうでしょう。
素人が適正価格を見抜くにはどうすれば良いのでしょうか。
査定価格の信頼性は営業マン・会社の印象とイコール?
複数社の不動産営業マンと接すると、信頼できる人と相性が悪い人の違いが見えてきます。
100%ではありませんが、自分が信頼できる会社・営業マンの出した査定額は信頼できる数字であることが多いです。
人気の不動産会社は営業マン1人が抱える案件が多いので、一人ひとりへの対応がなおざりになってしまいがちです。このことが不信感を感じる原因でもあります。
不動産の査定額は最低限の情報を式に当てはめるだけでも大まかな値を算出できます。
しかし、詳しく価格を算出しようと思えば、過去のデータの読み込みや周辺環境の調査なども重要になります。
あなたが親身になって考えてくれる、やる気のある人(会社)と思うなら、その人は時間を割いて根拠のある価格を算出してくれる可能性が高いのです。
査定の根拠を質問してみる
査定額が正確なら、その金額になる明確な根拠があるはずです。
査定結果が出たら根拠を質問してみて、出方をうかがいましょう。
根拠がなく適当に算出した場合、質問の答えをはぐらかしたり、「業界ではこうなってる」という答えに逃げたりする可能性が高いでしょう。
逆に根拠のある査定額を算出してくれた場合、質問すれば分かりやすい言葉で誰もが納得できる説明をしてくれる可能性が高いです。
査定価格は時期によってそこまで変動しない
「今は売れやすい/売れにくい時期なので」と言う営業マンがいますが。不動産の売却相場はそこまで時期によって変動するものではありません。
時期によって成約率の変動はありますが、価格が大きく変動するのはリーマンショックや東日本大震災などの大イベントがある時くらいです。
こうした外的要因で価格が変動する要素を数値化したのが、流動性比率というものです。
流動性比率は査定価格を最後に修正するための値で、85%~110%で変動します。
ただ、よっぽどのことがない限りは基準値である100%で計算するので、価格の変動がおこることは稀です。
流動性比率の値は査定結果にしっかり書かれています。100%以外の値で計算してある場合は、一度聞いたほうが良いでしょう。
不動産査定の価格が適切か判断する方法!査定結果の精度を見抜くコツ
ほとんどの不動産会社が、依頼をすれば無料で査定をしてくれます。ただ前述の通り、業者によって査定価格が正確なものもあれば、実際の価格から大きく外れているものもあります。
普通の人は不動産査定の経験なんてありませんから、査定価格の精度を見分けるのは非常に難しいです。
素人にとっては、どの不動産業者もその道のプロですから、価格を算出されたら信じてしまうでしょう。
素人が適正価格を見抜くにはどうすれば良いのでしょうか。
査定価格の信頼性は営業マン・会社の印象とイコール?
複数社の不動産営業マンと接すると、信頼できる人と相性が悪い人の違いが見えてきます。
100%ではありませんが、自分が信頼できる会社・営業マンの出した査定額は信頼できる数字であることが多いです。
人気の不動産会社は営業マン1人が抱える案件が多いので、一人ひとりへの対応がなおざりになってしまいがちです。このことが不信感を感じる原因でもあります。
不動産の査定額は最低限の情報を式に当てはめるだけでも大まかな値を算出できます。
しかし、詳しく価格を算出しようと思えば、過去のデータの読み込みや周辺環境の調査なども重要になります。
あなたが親身になって考えてくれる、やる気のある人(会社)と思うなら、その人は時間を割いて根拠のある価格を算出してくれる可能性が高いのです。
査定の根拠を質問してみる
査定額が正確なら、その金額になる明確な根拠があるはずです。
査定結果が出たら根拠を質問してみて、出方をうかがいましょう。
根拠がなく適当に算出した場合、質問の答えをはぐらかしたり、「業界ではこうなってる」という答えに逃げたりする可能性が高いでしょう。
逆に根拠のある査定額を算出してくれた場合、質問すれば分かりやすい言葉で誰もが納得できる説明をしてくれる可能性が高いです。
査定価格は時期によってそこまで変動しない
「今は売れやすい/売れにくい時期なので」と言う営業マンがいますが。不動産の売却相場はそこまで時期によって変動するものではありません。
時期によって成約率の変動はありますが、価格が大きく変動するのはリーマンショックや東日本大震災などの大イベントがある時くらいです。
こうした外的要因で価格が変動する要素を数値化したのが、流動性比率というものです。
流動性比率は査定価格を最後に修正するための値で、85%~110%で変動します。
ただ、よっぽどのことがない限りは基準値である100%で計算するので、価格の変動がおこることは稀です。
流動性比率の値は査定結果にしっかり書かれています。100%以外の値で計算してある場合は、一度聞いたほうが良いでしょう。
査定価格が最も高い不動産会社と契約するのが正解?
不動産の一括査定を6社に依頼した場合、以下のようなイメージで査定価格が共有されます。
不動産会社 | 査定結果 |
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A社 | 3500万円 |
B社 | 3200万円 |
C社 | 3400万円 |
D社 | 3000万円 |
E社 | 3800万円 |
F社 | 4200万円 |
単純比較をすればF社と契約するのが最も良いように感じますが、必ずしも最高額で査定してくれた不動産会社と契約するのが正解ではありません。
ここからは、より上級者向けの不動産会社選びのコツを紹介します。
不動産査定の定義は統一されていない
以前、新興の不動産会社のインタビューで「ほとんどの不動産会社は平均的な価格で査定をしますが、うちは努力して売れる最高の金額で査定させていただきます!」という内容のものがありました。
努力してくれるときけば聞こえは良いですが、そのことを知らない利用者からすれば、勝手に査定額の定義を変えているので混乱する可能性が高いです。
不動産の査定額は3か月程度で不動産が売れた場合の予想価格というアバウトな定義はありますが、何も法律などで明文化している訳ではありません。
前述の例でいえば、査定額が高いF社だけが「最高額=査定額」という考えで計算をしているかもしれません。
どんな考え方で査定をしているのか、しっかり確認しましょう。
他社より2割近く査定額が高い場合は注意
複数社の査定額を比較して、高値を付けてくれた業者と契約したほうが良いのは間違いありません。
ただ、高値といっても他と比べて常識の範囲内に収まっているところと契約したほうが良いです。
他と比べて2割前後も査定額が高い業者は、ワザと査定額を吊り上げて契約を取ろうとしている可能性があります。
特に一括査定は複数社の査定額を比較される前提のサービスです。査定額が飛びぬけて高いとユーザーの注目が集まり、契約率も高まることを不動産会社は知っているのです。
こうした業者と契約しても、販売活動中に金額を下げられる可能性は高いです。不動産会社が得る仲介手数料は成約価格が下がってもそこまで変化はないので、不動産会社にとってデメリットは少ないのです。
査定額を吊り上げる悪徳業者を排除するためには、できるだけ多くの業者に査定を依頼すること、事前に相場をチェックすることを徹底しましょう。
【結論】根拠のある価格で査定してくれる業者と契約しよう
結論から言えば、根拠のある適正価格で査定してくれる不動産会社と契約するのが最もおすすめです。
査定価格は、その会社が物件をどう評価しているのかの指標でもあるので、高くても低くても、適正なところからズレている業者は今後の販売活動に不安が残ります。
適正価格で査定した業者と契約しても、それとは別に売主の希望で売り出し価格を決めることはできます。査定価格を無視して高値で売ることは可能なのです。
ただこれも、最初から物件を高値で売れると思い込む業者Aと、適正価格を知った上で高く売る戦略を立てる業者Bでは、絶対に後者と契約するほうが成功率は高いです。
査定価格の高さも重要ですが、やはり最後は信頼できるかどうかで業者選びをすることをすすめします。
複数の不動産査定額を比較するなら一括査定が便利!
上で挙げた3種類の査定方法の他に、最近は一括査定という査定方法が流行しています。
一括査定は、一度不動産に関する必要事項の記入をしてもらったら、複数の不動産企業に同時に査定を依頼することができるものです。
価値を決めるうえでの判断材料は簡易査定と同じになります。
インターネット上で手続きをおこなうため、回答が早く電話やメールでの対応も比較的早いです。
運営元のIT企業へ、不動産会社が紹介料を支払う形で成り立っており、利用者は無料で使うことができます。
一括査定サイトの詳しい使い方とおすすめサイトは以下にまとめています。参考にしてください!
不動産査定の方法を把握しておこう
ここまで不動産査定の方法を詳しく説明しました。
どの方法を選ぶか、どの書類を提出するか、どこまで情報を共有しているかによっても、査定額は変わってきます。
査定を依頼する前に方法を把握しておき、損しない不動産査定を実現させましょう!