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相続した不動産は3年以内に売却すると節税できる!取得費加算の特例を使うメリット

【更新日】2023-12-11
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相続した不動産は3年以内に売却すると節税できる
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相続した不動産は、たとえ使い道がなくても手放しづらいものです。

しかし、不動産の価値は築年数が経つごとに下がります。

使い道がないと判断した場合は、所有者を変更する、売却するといった行動を早めにおこなうべきです。

戸建ての家の売却相場と築年数はどう関係する?築年数ごとの売却価格の相場をグラフ付きで解説

特に、相続の申告(亡くなってから10か月以内)をしてから3年以内に売ると、特例を受けることもできるので、お得です。

この記事では、相続された不動産を売るなら3年以内にすべき理由について解説します。

不動産売却でかかる税金はいくら?費用の計算方法から節税・控除のポイントまで分かりやすく解説

取得費加算の特例とは?相続不動産は3年以内の売却で税金がお得に!

相続や生前贈与で取得した不動産は、前所有者の取得費(購入費用)を引き継ぐようになります。

つまり、相続物件の取得費を考える場合は、前所有者がいくらでいつ購入したかをチェックする必要があるのです。

この相続物件を相続後3年10か月以内に売却すると、取得費加算の特例(相続財産を譲渡した場合の取得費の特例)を受けることができます。

この特例を使うと、一定の金額を取得費に加算することができるのです。

そして、この取得費の加算が、譲渡税の大幅減額にもつながるのです。

取得費が増えれば譲渡税の課税額は減少

不動産売却によって売却益【売却益(譲渡収入)>購入費用(取得費)】が発生した場合、譲渡税(譲渡所得税)が発生します。

譲渡税は、以下の計算で課税額を求めます。

譲渡所得税=税率×{譲渡収入-(取得費+売却費用) }

ちなみに、譲渡税の税率は、不動産の所有期間に比例して、以下のように決まっています。

所有期間5年以内 所有期間5年超
所得税 30% 15%
住民税 15% 5%

もし、取得費加算の特例を使うと。以下の計算式が適用されます。

譲渡所得税=税率×{譲渡収入-(取得費+売却費用+取得費加算額) }これにより課税額を抑えることができますし、{譲渡収入-(取得費+売却費用+取得費加算額) }がマイナスになれば譲渡所得税はかかりません。

取得費の加算額はいくら?計算方法を紹介

ところで、この特例を使った場合、一体いくらが取得費に加算されるのでしょうか?

取得費の加算額は、以下の計算式で求められます。

被相続人の総相続税額×売却した不動産の相続税評価額÷相続税の課税額

ただ、この式を見ただけでは初心者は内容を理解できませんよね。

そこでここからは、それぞれの項目を詳しく紹介していきます。

①被相続人の総相続税額

相続税は、以下の計算式で求められます。

相続税=税率×{遺産総額-基礎控除額(3000万円+相続人の人数×600万円)}

つまり、相続税の計算は相続物件だけでなく、家具や預金口座など全てを合わせて算出されるのです。

ちなみに、相続税の税率は遺産の総額によって、以下のように変化します。

法定相続分に応ずる取得金額 相続税の税率
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15%
5,000万円以下 20%
1億円以下 30%
2億円以下 40%
3億円以下 45%
6億円以下 50%
6億円超 55%

この計算によって算出されるのが、被相続人の総相続税額ということです。

②売却した不動産の相続税評価額

相続税評価額とは、公示地価を参考にそれくらいの相続税がかかるかを示した評価額となります。

相続税評価額は、財政評価基準表「路線価図・評価倍率表」の路線価図から読み取ることができますが、読み取り方は少し難しいので、こちらの記事を参考にしてください!

路線価の詳しい見方・使い方

相続税評価額は、路線価を使って以下の計算式で求めることができます。

相続税評価額=路線価(千円/平方メートル)×面積(平方メートル)×補正率

※補正率は、角に位置していたり、路線に土地が囲まれていなかったり、間口が狭かったりした場合に適用されます。

③相続税の課税額

これはつまり、不動産を売却した個人に相続税がいくら課されるかということになります。

課税価格は、以下の計算式で求めることができます。

課税価格=本来の相続財産+みなし相続財産+相続開始前3年以内の贈与財産+相続時精算課税による贈与財産―非課税財産―債務および葬式費用

ちなみに、みなし相続財産とは、所有者がなくなったことで、ある意味なし崩し的に被相続人のものになった財産(例:弔慰金、保険金など)を指します。

相続時精算課税による贈与財産とは、生前贈与時に特例を受け、減免された税金の精算金を指します。詳しくはこちらをご覧ください。

不動産を生前贈与するメリット・デメリット!相続・売却の税金と贈与税を比較

非課税財産は、墓石・仏壇などのいわゆる祭祀財産など、特別に非課税扱いの財産のことを指します。

墓地は売却できる?ルールや墓じまいの注意点・かかる税金について解説

取得費加算の特例が利用できる条件

相続税を不動産の取得費に加算するためには、以下のような条件を満たしている必要があります。

取得費加算の特例が利用できる条件

  • 相続や贈与による取得
  • 生計を一にする親族からの相続や贈与であること
  • 相続税の申告期限から3年以内に譲渡していること
  • 確定申告を提出していること
  • 居住用不動産の売却であること

これらの事項を守っていないと、加算することができません。

加えて、誰かが勧めてくれるわけでもありません。

ここでは、各要件について詳しく解説して行きます。

相続や贈与による取得

取得費加算の特例の利用要項の1つに、相続や贈与によって不動産を取得した場合に限り適用可能です。

つまるところ、故人から不動産を相続したものが利用できる制度ということになります。

加えて、相続や贈与によって取得した不動産の取得費(相続税評価額や贈与税評価額)が、市場価格に比べて低く設定されるため、売却時の譲渡所得が過大になる可能性を示唆しているからでもあります。

よって、この特例を利用することによって、適正な譲渡所得の算出と税負担の軽減が図れます。

生計を一にする親族からの相続や贈与であること

取得費加算の特例の利用ができるのは、生計を一にする親族から相続や贈与を受けた場合に限られます。

ここでいう「生計を一にする親族」とは、配偶者や親子、兄弟姉妹など、生活を共にしている家族を指します。

これは、生計を一にする親族間での相続や贈与が、経済的な支えや生活の安定のために行われることが多いことを踏まえる同時に、税負担を軽減することが目的になっています。

相続税の申告期限から3年以内に譲渡していること

相続や贈与から売却までの期間が3年以内に済ませていないと利用できません。

相続してから3年以上が経過している場合、取得費加算の特例を利用することはできません。

この条件は、不動産の価格変動による税負担の不公平を防ぐために設けられています。

確定申告ほ提出していること

相続税を加算するときには確定申告が必要です。

この場合に必要となる書類は、以下の通りです。

  1. 相続税の申告書(写し)
  2. 相続税の計算明細書
  3. 譲渡所得の内訳書

確定申告のときには、以上のような、相続申告時に利用したものなどが必要になります。

そのため、書類をしっかり保管していないと、申告をすることができないので注意をしましょう。

不動産売却後の確定申告の流れ!申告時期から必要書類の書き方までわかりやすく解説

居住用不動産の売却であること

取得費加算の特例が適用されるのは、自己が居住する目的で所有していた不動産か、貸家として使用していた不動産の売却に限定され、商業用の不動産や投資用不動産の売却には適用されません。

物件ごとに適用の可否があるのは、居住用不動産の売却が生活の変化に伴うものであり、そのような場合に税負担を軽減する目的があるためです。

また取得費加算の特例は、不動産を売却しようと考えている人にとって重要な税制優遇措置ですが、内容が複雑なので、詳細な計算や適用条件については、専門家に相談するのがベストです。

相続した不動産は3年以内に必ず売却すべき?

相続した不動産は、利用価値がないのであれば間違いなく3年以内に売却すべきです。

しかし、他の要因などと合わせて考えると、必ずしも早期に売れない場合もあります。

たとえば、ひとつの不動産を複数人で売却した場合は、すべての名義人の許可を得ないと売り出すことができません。

また、相続した不動産をすぐに売り出すと、買い手が訝しく思う可能性もあります。

こうしたことにならないためにも、まずは不動産業者に相談してみることが大切です。

相続した不動産が避けられるケースも

たとえば、親が自宅でなくなった後、その不動産をそのまま相続した場合、「以前にこの家で人が亡くなっている」という事実を嫌い、購入を拒否する人も出てきます。

もちろん、清掃をきちんとすれば何の問題もなく住めます。

買い手の感受性や心象の問題によるところが大きいですが、亡くなったということを隠しておくと、賠償金を取られかねないので注意しましょう。

あまりに早く売り出すと反感を買う?

相続した不動産をすぐに売り出すと、周囲から「情がない」と批判されてしまうかもしれません。

近年は、不動産は売却のメリットを考えながら購入すべきだと言われており、利用価値がないなら売り出すという行為は非難されるものではありません。

ただ、世代によっては遺産に対する感覚も違うので気をつけましょう。

業者に相談をすれば、近隣にばれないように売却するといった対策をとってくれますよ。

相続した不動産を3年以内に売却するメリットは節税以外にも多数!

相続後3年以内に不動産を売却することで、譲渡所得税を節税できることをここまで紹介しました。

ただ、それ以外にも相続物件を早期売却すると、さまざまなメリットを受けることができます。

相続物件を早期売却するメリットは、以下の通りです。

  1. 築年数が経たないうちに換金できる
  2. 固定資産税の負担を減らすことができる
  3. 2022年問題の影響を受けない

それぞれどういう意味か、ここから詳しく説明していきます。

築年数が経たないうちに換金できる

特に相続した建物は、築年数が1年経過するごとに大きく価値が下がっていきます。

具体的に言うと、戸建て住宅は築10年で価値が購入時の5割に半減、築15年で購入時の2割に減少、築20年で0になると言われています。

築年数㎡単価価値減少率平均価格平均面積
~5年7437万円100%4895万円65.81㎡
6~10年6117万円82.2%4243万円69.37㎡
11~15年5646万円75.9%3159万円67.61㎡
16~20年4673万円62.8%3159万円67.61㎡
21~25年3155万円42.4%1899万円60.19㎡
26~30年2997万円40.3%1670万円55.74㎡
31年以上2979万円40.1%1678万円56.33㎡

【出典】「築年数から見た首都圏の不動産流通市場」東日本不動産流通機構(2016)

また、こちらは首都圏のマンションの成約状況を築年数ごとに比較したものですが、築年数が1年経過するだけで価格が平均100万円以上下がっているのがわかります。

つまり、不動産は早期売却するだけで、100万円以上の利益を生むことができるのです。

戸建ての家の売却相場と築年数はどう関係する?築年数ごとの売却価格の相場をグラフ付きで解説

もちろん、不動産は持っているだけで価値があるので、大切に取っておくのも一つの手です。

ただ、築年数が浅いうちに売ってしまうほうが、金銭的価値の側面においては絶対的にお得です。

固定資産税の負担を減らすことができる

不動産を所有するだけで、固定資産税の納付義務が発生します。

固定資産税=課税標準×1.4%

使い道のない相続物件は、持っているだけでコストがかさむと言ってよいでしょう。

こうした税負担を失くすためにも、早期に売却するのがおすすめです。

また、不動産は古くなるほど管理費、修繕費用などのコストもかさみます。また、災害による倒壊の危険性も高まるので、万が一のときは近隣住民へ賠償金を支払わなければいけません。

早いうちに売却してしまえば、こうしたリスクも”押し付ける”ことができるのです。

※固定資産税は1年を通じて納付義務がありますが、不動産売買では引き渡し日以降の税金を買主(転入者)に求める(精算)ことができます。

不動産売却後の固定資産税はどう精算・納付する?

2022年問題の影響を受けない

現在、不動産業界で危惧されているのが2022年問題です。

1992年に施行された法律「生産緑地法」によって、市街化区域内の農地を生産緑地として申請し、税負担を軽くすることができるようになりました。

この生産緑地法の期限が2022年なので、22年前後には生産緑地が税負担の増加をおそれて大量に売り出され、不動産相場が一気に低下すると予測されています。

土地のみならず全ての売り出し物件が影響を受けると考えられている2022年問題。政府も対策をおこなっていますが、実際のところどうなるかは誰にもわからない状態です。

相続物件を早期売却すれば、こうしたリスクを避けることにもつながるのです。

2022年問題で不動産価格の今後の推移はどうなる?

相続物件を高く売るには不動産一括査定サイトを活用しよう

不動産一括査定サイト

不動産を高く売った方の多くが活用しているのが、不動産一括査定サイトです。

これは所要60秒ほどのカンタンな物件情報を入力するだけで、複数の不動産会社に一括で査定依頼できる優れものです。

こちらで紹介されているような人気不動産会社が多数登録されており、彼らの広告料でサイトが運営されているので利用料は無料です。

【2018年】大手不動産会社ランキング!売上高・売却仲介件数・評判を比較

不動産一括査定サイトの詳しい使い方やおすすめのサイトはこちらにわかりやすくまとめています。ぜひ参考にしてください!

不動産一括査定サイトおすすめ比較ランキング!不動産売却におすすめの人気16社を厳選紹介【2023年最新】
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